この記事は、令和元年度の宅建試験について、50問それぞれが何の論点を、どんな形で聞いていたかをまとめた「論点の地図」です。問題文・選択肢・正解の番号は載せていません。
問題と正解は、不動産適正取引推進機構の公式サイトで公開されています(不動産適正取引推進機構のトップから「宅建試験」→「宅建試験の問題及び正解番号表」。令和元年度のPDFはこちら)。過去問を解いたあとに、どの論点の記事で復習すればよいかを探す、という使い方を想定しています。
令和元年度は、令和2年4月1日に施行された民法(債権関係)の改正の前に行われた、最後の回です。宅建試験の問題は、試験を行う年度の4月1日現在で施行されている法令で作られます。この回の問1〜問10(民法など)は、改正前の条文で作られています。たとえば、意思表示(錯誤など)、売主の担保責任、弁済、請負、時効、不法行為の期間は、改正で条文が変わった所です。この回の民法の問を今解くときは、答えを今の条文に当ててから確かめてください。どの肢の答えが変わるかは、この記事では扱っていません(今の条文での論点は、各論点の記事で説明しています)。
この回の特徴(数えた事実)
- 分野ごとの問数は、権利関係14問・法令上の制限8問・税・その他8問・宅建業法20問でした(当サイトの数え方。公式の内訳ではありません)。
- 問いの形は、正しいものを選ぶ形が26問、誤っているものを選ぶ形が18問、個数問題が6問でした。
- 個数問題の6問は、すべて宅建業法でした。
- 同じ論点が2問以上出たのは、35条書面(3問)、建築基準法(総合)(2問)、宅建業法(総合)(2問)、37条書面(2問)です。
- 合格基準点は50問中35点でした(機構の試験実施概況。合格点の推移は宅建試験の合格点と合格率)。
表の※は、直近10回(令和7年度〜平成30年度)の中で、主な論点としてこの回だけに出た論点です。直近10回は、令和7年度から平成30年度までの10回です(令和2年度と令和3年度は10月と12月の2回ずつ試験があったので、それぞれ2回と数えています)。
この回の50問を、直近10回の出方で分けると
この回の50問を、その論点が直近10回(この回を含む)で何回、主な論点として出たかで分けました。
| 直近10回で出た回 | この回の問数 |
|---|---|
| 10回(指定席) | 24問 |
| 4〜9回 | 22問 |
| 1〜3回 | 4問 |
指定席の論点だけで24問、4回以上まで広げると46問でした。1〜3回の論点の4問は、問4、問7、問8、問23で、このうち3問が問4・問7・問8の民法(不法行為・弁済・請負)、1問が問23(譲渡所得)でした。
この一覧は、どうやって作ったか
不動産適正取引推進機構が公開している宅建試験の問題(昭和63年度〜令和7年度の40回、2,000問)を、当サイトが1問ずつ読み、主な論点と副の論点に分けて数えました。分け方は当サイトの判断で、公式の分類ではありません。4回分200問を別の担当が読み直し、主な論点の一致は97.5%でした(食い違った問は直してから数えています)。
「主な論点」は、その問が全体として何を聞いているかで1つだけ決めたものです。「副の論点」は、1問の中に別の論点の肢が混ざっているときに、最大2つまで記録したものです。数えたのは問ごとの論点で、1問の中の4つの肢を1つずつ数えてはいません。表の「中に」の後ろは、副の論点です。問いの形は、問題の最後の聞き方で分けました。「違反しないもの」は正しいもの、「最も不適当なもの」は誤っているもの、「〜はいくつあるか」は個数、「〜の組合せ」「全て掲げたもの」は組合せに入れ、4つのどれにも当たらない聞き方は「その他」にしています。論点の名前は当サイトの記事の分け方で、リンク先はその論点を扱う記事です。
権利関係(問1〜問14)
問7の弁済は、直近10回でこの回だけに主な論点として出たもので、主な論点としては平成20年度以来でした(弁済と相殺の記事)。問5は代理の問で、判決文を読ませる形でした。中には相続の肢も混ざっていました。権利関係の14問は、正しいものを選ぶ形と誤っているものを選ぶ形が7問ずつで、個数問題はありませんでした。
法令上の制限(問15〜問22)
| 問 | 主な論点 | 問いの形 |
|---|---|---|
| 問15 | 都市計画法(地域地区・都市計画の内容) | 誤っているもの |
| 問16 | 開発許可 | 正しいもの |
| 問17 | 建築基準法(総合) | 誤っているもの |
| 問18 | 建築基準法(総合)(中に用途制限) | 正しいもの |
| 問19 | 宅地造成等規制法(当時の名称) | 正しいもの |
| 問20 | 土地区画整理法 | 誤っているもの |
| 問21 | 農地法 | 正しいもの |
| 問22 | 国土利用計画法 | 正しいもの |
8問とも、直近10回の並びどおりでした(問15が都市計画法、問22が国土利用計画法)。前の平成30年度は、国土利用計画法が問15で、並びが1つずれていました。建築基準法の2問目(問18)には用途制限が混ざっていました。問19は当時の名前の宅地造成等規制法です。
税・その他(問23〜問25・問46〜問50)
問23は所得税(譲渡所得)、問24は固定資産税、問25は地価公示法でした。この3つの組み合わせは、2年前の平成29年度と同じです。問46〜問50は、いつもの5分野でした。
宅建業法(問26〜問45)
| 問 | 主な論点 | 問いの形 |
|---|---|---|
| 問26 | 宅建業法(総合)(中に広告) | 正しいもの |
| 問27 | 8種制限(総合)(中に自己の所有に属しない物件) | 個数 |
| 問28 | 35条書面(重要事項説明) | 正しいもの |
| 問29 | 監督処分・罰則 | 個数 |
| 問30 | 広告 | 個数 |
| 問31 | 媒介契約 | 個数 |
| 問32 | 報酬 | 誤っているもの |
| 問33 | 保証協会 | 正しいもの |
| 問34 | 37条書面 | 正しいもの |
| 問35 | 業務上の規制 | 正しいもの |
| 問36 | 37条書面 | 個数 |
| 問37 | 8種制限・手付金等の保全措置(中に未完成物件) | 正しいもの |
| 問38 | 8種制限・クーリング・オフ | 個数 |
| 問39 | 35条書面(重要事項説明)(中に建物状況調査) | 正しいもの |
| 問40 | 宅建業法(総合)(中に帳簿・従業者名簿・事務所・案内所等) | 誤っているもの |
| 問41 | 35条書面(重要事項説明) | 正しいもの |
| 問42 | 宅建業の定義(免許の要否) | 誤っているもの |
| 問43 | 欠格事由 | 正しいもの |
| 問44 | 宅建士(登録・宅建士証)(中に欠格事由) | 正しいもの |
| 問45 | 住宅瑕疵担保履行法 | 誤っているもの |
35条書面(重要事項説明)が主な論点で3問(問28・問39・問41)あり、問39には建物状況調査の肢が混ざっていました。個数問題は6問(問27・問29・問30・問31・問36・問38)です。問43の欠格事由は、主な論点としては平成25年度以来でした(欠格事由の記事)。問26と問40は、宅建業法のいくつかの規定にまたがる問です。
前の年度・次の年度と比べて、何が変わったか
| 項目 | 令和元 | 平成30 | 令和2(10月) |
|---|---|---|---|
| 個数問題 | 6問 | 3問 | 4問 |
| うち宅建業法 | 6問 | 3問 | 4問 |
| 組合せ | 0問 | 1問 | 0問 |
| 誤っているもの | 18問 | 18問 | 13問 |
| 正しいもの | 26問 | 27問 | 32問 |
前の平成30年度と比べると、個数問題が3問から6問に増え、6問とも宅建業法でした。組合せの形は、平成30年度の1問から0問になっています。誤っているものを選ぶ形は、どちらの年度も18問でした。次の令和2年度(10月試験)は、改正後の民法で行われた最初の回で、正しいものを選ぶ形が32問に増えていました(令和2年度(10月試験)の論点一覧)。1回ごとの増減が続くかは、数からは分かりません。
この一覧の使い方
過去問を1回分解いたら、間違えた問の番号をこの表で引き、論点の記事で条文と考え方を確かめます。同じ論点で間違いが続くなら、その論点はほかの年の問でも当たっておきます。年ごとの一覧は、令和7年度から平成30年度までの10回分を作っています(ひとつ前の回は平成30年度の一覧、ひとつ後の回は令和2年度10月の一覧)。
1回分だけの並びでは、どの論点が毎回出るのかは分かりません。全40回・直近10回で数えた結果は、宅建の出題論点ランキングにまとめています。古い年度の過去問を今の法令で解くときの注意は、宅建の過去問の使い方で書いています。この回の論点を○✕で続けて確かめたいときは、宅建の5分○✕ドリルが使えます。
参考にした公式の情報(2026年10月確認)
- 一般財団法人 不動産適正取引推進機構(宅建試験の実施機関)
- 同「宅建試験の問題及び正解番号表」(昭和63年度〜令和7年度の問題と正解番号表のPDF。当サイトの集計の出典)
- 同「試験概要」(50問・四肢択一式、出題の根拠は試験を行う年度の4月1日現在施行の法令)
- 同「試験実施概況(令和7年度以前10年間)」(合格基準点)
- 同「令和元年度 試験問題と正解番号表」(この一覧の元の問題)
働く人の法律試験ノート