宅建試験の受験資格:日本国内に住んでいれば受けられる、年齢・学歴・実務経験・前科の扱い

宅建試験(宅地建物取引士資格試験)は、日本国内に住んでいれば、年齢や学歴に関係なく、だれでも受けられます。試験を行う不動産適正取引推進機構(以下「機構」)の案内は、「日本国内に居住する方であれば、年齢、学歴等に関係なく、誰でも受験できます。」です。宅建の仕事の経験(実務経験)も、受験には要りません。

迷いやすいのは、受験の話と、合格したあとの「宅建士の登録」の話が混ざることです。実務経験2年や、刑を受けたことがある人の扱い(欠格事由)は、登録の条件です(宅地建物取引業法18条1項)。受験そのものの条件ではありません。この記事では、受験資格・試験地・5問免除・不正受験の扱いを公式の案内と条文で確かめ、最後に「受験」と「登録」の違いを表にします。申込の時期と手数料は宅建試験の日程の記事で扱っています。

受験資格は、公式にどう書かれているか

受験資格について、機構の「試験概要」に書かれているのは、上の一文です。条件は「日本国内に居住する方」であることで、そのうえで「年齢、学歴等に関係なく」とされています。

法律の側も見ておきます。宅建業法16条1項は、都道府県知事が宅建試験を行うこと、2項は、試験は宅建業に関して必要な知識について行うことを定めています。施行規則7条〜10条は、試験の基準(実用的な知識を持っているか)、試験の内容(7つの事項)、筆記試験であること、毎年少なくとも1回行うことを決めています。当サイトが確かめた範囲では、これらの条文に、受ける人の年齢・学歴・経験で受験を制限する定めはありません。

なお、試験は都道府県知事が行うものですが、機構が国土交通大臣の指定を受け、すべての都道府県知事の委任を受けて実施しています。申込や問い合わせの窓口は、機構と各都道府県の協力機関です。申込みのしかた(インターネットと郵送の違い、顔写真の決まり)は宅建試験の申込みの記事で扱っています。

年齢・学歴・国籍・実務経験は関係あるか

年齢と学歴

関係ありません。中学生や高校生でも、70代でも受けられます。機構の発表によると、令和6年度の合格者のうち20歳未満は739人、60歳以上は1,625人でした(年代別の数字は宅建の受験者数と合格者数の推移の記事で並べています)。

国籍

受験資格の文に、国籍の条件は書かれていません。機構のよくある質問(Q2-7)には、外国籍の人が申込書に氏名を書くときは、住民票に載っているローマ字・漢字・通称名のどれかで書くこと、という案内があります。住民票に載っていない氏名で書くと、合格しても資格の登録で支障がある、とも書かれています。

実務経験

受験には要りません。実務経験が出てくるのは、合格したあとです。宅建士の登録を受けるには、宅地・建物の取引の実務経験が2年以上あるか(施行規則13条の15)、国土交通大臣がそれと同じかそれ以上の能力があると認めた人(登録実務講習の修了者など。施行規則13条の16)であることが必要です(宅建業法18条1項)。経験がなくても受けて合格し、合格後に登録実務講習で登録の条件を満たす、という順番もとれます。

海外に住んでいる人

機構の文は「日本国内に居住する方であれば」です。海外に住んでいる人が受けられるかを直接書いた案内は、当サイトでは見つけられませんでした。海外に住んでいる人や、申込のあとに海外へ移る予定がある人は、申し込む前に機構に確かめてください。

前科があると受けられないか

受験資格の文にも、試験の条文にも、刑を受けたことによる受験の制限は書かれていません。前科が問題になるのは、合格したあとの宅建士の登録です。

宅建業法18条1項は、登録を受けられない人(欠格事由)を1号〜12号で並べています。刑に関係するものは次のとおりです。

  • 拘禁刑以上の刑に処せられ、刑の執行を終わるなどしてから5年を経過しない人(6号)。
  • 宅建業法の違反や、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の違反、傷害・暴行・脅迫・背任などの一定の罪で罰金の刑に処せられ、刑の執行を終わるなどしてから5年を経過しない人(7号)。

ほかに、宅建業の営業について成年者と同じ行為能力を持たない未成年者(1号)、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない人(2号)、暴力団員等(8号)なども登録を受けられません。欠格事由の中身と5年の数え方は宅建の欠格事由の記事でくわしく扱っています。

自分の事情が登録で問題になるかどうかは、人によって違います。個別の事情は、機構や、登録先になる都道府県の宅建業法の担当課に確かめてください。ここでは、受験そのものは制限されていない、という点だけを押さえます。

どこで受けるか:試験地は住んでいる都道府県

宅建試験は都道府県ごとに行われます。行政書士試験のように、全国の会場から選べるわけではありません。

  • 原則として、申込の時点で住んでいる都道府県で受けます。基本は住民票のある都道府県です。
  • 学生や単身赴任などで、住民票とは別の場所に住んでいる人は、いま住んでいる都道府県で受けられます。
  • 住んでいない人の申込も受け付ける道県があります(機構のよくある質問 Q2-3)。
  • 試験会場は自分では選べず、指定された会場で受けます。申し込んだ試験地や会場を、自分の都合で変えることはできません(Q3-1)。転勤で住所が変わっても同じです。

試験地は、合格後の登録先にもつながります。宅建士の登録は、その試験を行った都道府県知事に申請します(宅建業法18条1項)。働いている場所や、登録のときの住所で決まるわけではありません。

障害のある人は、受験の申込のときに申し出れば、一定の配慮を受けられます。申し出の時期や障害の内容によっては配慮できない場合があり、手続をせずに当日会場へ来ても対応できない、とされています(Q2-6)。

受ける問題の数が変わる人:5問免除

受験資格は同じでも、受ける問題の数が変わる人がいます。宅建業で働いている人が登録講習を受け、その修了試験に合格すると、合格した日から3年以内に行われる試験で、50問のうち5問(問46〜50)が免除されます(宅建業法16条3項、施行規則10条の14)。

  • 登録講習は、宅建業に従事している人(従業者証明書を持つ人)だけが受けられます。一般の人は受けられません。
  • 講習の受講中は、修了者として申し込めません。修了試験に合格してから申し込みます。

くわしくは宅建試験の5問免除の記事で説明しています。合格後に受ける「登録実務講習」とは別の講習です。

不正をした人はどうなるか(17条)

試験を受けられなくなる場合として、法律に定めがあるのは不正受験です。

  • 都道府県知事は、不正の手段によって試験を受け、または受けようとした人に対し、合格の決定を取り消し、またはその試験を受けることを禁止することができます(17条1項)。この権限は、指定試験機関である機構も行うことができます(同条2項)。
  • さらに知事は、こうした処分を受けた人に対し、情状により、3年以内の期間を定めて試験を受けられないものとすることができます(17条3項)。

つまり、受験を制限されるのは、年齢や前科ではなく、試験で不正をした場合です。

受験資格で勘違いしやすいこと

  • 「宅建業者に勤めていないと受けられない」→ 誤りです。勤め先は受験の条件ではありません。宅建業で働く人だけが関係するのは、5問免除の登録講習のほうです。
  • 「実務経験が2年ないと受けられない」→ 誤りです。2年は合格後の登録の条件で(施行規則13条の15)、しかも登録実務講習で代えられます。
  • 「前科があると申し込めない」→ 受験資格に、そうした定めはありません。問題になりうるのは登録の欠格事由(18条1項6号・7号など)です。
  • 「好きな県の会場で受けられる」→ 原則として住んでいる都道府県で受け、会場は指定されます。住んでいない人を受け付ける道県もありますが、選べる会場の一覧から選ぶ仕組みではありません。
  • 「合格すれば宅建士になれる」→ 合格のあとに、試験を行った都道府県知事の登録を受け、宅建士証の交付を受けて宅建士になります(18条1項・22条の2第1項)。

受験の条件と、合格後の登録の条件はどう違うか

比べる点受験(機構の案内)合格後の登録(18条1項)
年齢関係ない営業について成年者と同じ行為能力のない未成年者は欠格
学歴関係ない関係ない
実務経験要らない2年以上、または登録実務講習の修了など
刑を受けたこと制限の定めなし拘禁刑以上・一定の罪の罰金で5年は欠格
破産制限の定めなし復権を得ない人は欠格
どこで住んでいる都道府県試験を行った都道府県知事

表の右の列は、合格したあとに初めて問われることです。登録の手続と、宅建士証の交付・法定講習の流れは宅建士の登録と宅建士証の記事で確かめてください。合格した日から1年以内に宅建士証の交付を受けるなら、法定講習は要りません(宅建業法22条の2第2項ただし書)。

申し込む前に確かめておくこと

  • 申込の時点で住んでいる都道府県(試験地)。住民票と違う所に住んでいるなら、現住所の都道府県で受けられるか。
  • 外国籍の人は、申込書に書く氏名が住民票の表記(ローマ字・漢字・通称名)と同じか。
  • 宅建業で働いている人は、登録講習の修了試験に合格した日と、受ける試験がその日から3年以内か。
  • 障害などで配慮が必要なら、申込のときに申し出る。
  • 合格後すぐ宅建士として働きたい人は、登録の条件(実務経験2年か登録実務講習)と、自分に欠格事由がないか。迷うときは、機構や都道府県の担当課に確かめる。

参考にした公式の情報(2026年10月確認)

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