行政書士試験の得点戦略:科目ごとの目標点と、記述に頼らない180点の組み立て

行政書士試験の目標点は、令和7年度の合否判定基準でいう全体180点・法令等122点・基礎知識24点の3つを全部越えるように、科目ごとに割りふって決めます。当サイトの目安では、記述式を0点と見ても、5肢択一式28問(112点)・多肢選択式の空欄10個(20点)・基礎知識12問(48点)で、ちょうど180点に届きます。

この「記述に頼らない安定型」を土台に、記述式で上乗せする型、行政法で稼ぐ型、全科目で余裕をとる型の4つを、科目ごとの問数・点・基準との差まで表にしました。自分の残り期間と得意な形式に近い型を1つ選び、過去問を解くたびに表の行ごとに照らしてください。

合格基準の仕組み(足切り・補正)は合格点と足切りの記事、配点の全体像は科目と配点の記事で扱っています。この記事は、その数字を「自分は何問取るか」に落とすためのページです。

4つの型を比べると:合計点と基準との差

先に、4つの型の合計を並べます。かっこの中は、令和7年度の基準点との差です。どの型も、3つの基準をすべて越えるように組み、計算で確かめています。

型法令等(基準122点)基礎知識(基準24点)全体(基準180点)
A 記述に頼らない安定型132点(+10)48点(+24)180点(±0)
B 記述で上乗せする型152点(+30)36点(+12)188点(+8)
C 行政法で稼ぐ型152点(+30)32点(+8)184点(+4)
D 全科目で余裕をとる型166点(+44)36点(+12)202点(+22)

見てほしいのは、どの基準がいちばん先に割れるかです。型Aは全体の余裕が0点なので、記述式で取れた点がそのまま余裕になります。型Cは基礎知識の余裕が8点(2問分)しかありません。型によって、気をつける基準が違います。

計算の前提は次のとおりです。配点は令和7年度の合否判定基準によります(5肢択一式1問4点、多肢選択式は空欄1つ2点、記述式1問20点、基礎知識1問4点)。配点は前もって公表されず、令和8年度の数字は合格発表のときに公表されます。合格基準が補正(問題の難しさに応じた見直し)されることもあります。

科目ごとの問数は、公式の内訳がありません。ここでは、当サイトが令和2年度と令和3年度の問題で数えたものを使います(両年度とも同じでした)。5肢択一式は基礎法学2問・憲法5問・行政法19問・民法9問・商法会社法5問。多肢選択式は憲法1問(空欄4つ)・行政法2問(空欄8つ)。記述式は行政法1問・民法2問です。年度によって変わることがあります。

科目ごとの目標点は何で決めているか

型の中の数字は、次の3つの物差しで決めています。①配点の大きさ(点の大きい科目で落とすと、ほかで取り返しにくい)。②条文で答えが固まる度合い(条文の言葉や数字で正誤が決まる問題は、覚えた分が点になりやすい)。③範囲の広さ(同じ時間でどこまで覆えるか)。科目が難しい・やさしいという判断は入れていません。

科目問数(当サイト調べ)目標の幅主な決め手
行政法択一19・多肢2・記述1択一15〜17問点がいちばん大きい
民法択一9・記述2択一6〜7問範囲が広い。記述にもつながる
憲法択一5・多肢1択一3問条文は短い。人権は判例を読む
商法・会社法択一51〜2問条文が多く、点は20点
基礎法学択一21問条文で決まらない話題がある
基礎知識14問(内訳なし)8〜12問足切りあり。分野で準備のしやすさが違う

行政法は、5肢択一式40問のほぼ半分を占めます。中心とされる6つの法律のうち、行政手続法・行政不服審査法・行政事件訴訟法は、期間や手続の順番が条文に書かれています。覚えた分が点になりやすいので、目標を15〜17問と高めに置いています。

民法は条文の数が多く、範囲が広い科目です。択一の目標は6〜7問にとどめます。そのかわり、当サイトの数え方では記述式3問のうち2問が民法でした。民法の要件(ルールが当てはまる条件)を言葉で言える力は、記述の点にもつながります。

憲法は条文が第103条までと短い一方、人権の分野は判例(裁判所の過去の判断)を読む必要があります。択一3問と、多肢選択式の空欄2〜3個を目安にします。商法・会社法の1問は、5問を勘で選んだときの平均です。2問は、設立・株式・機関の最低限の条文をやった場合の控えめな目安です。どこまでやるかは商法・会社法は捨てていいかで決められます。

基礎知識は、型によって8問から12問まで幅を持たせました。文章理解と、行政書士法などの業務関連法令、個人情報保護法の定義は、準備した分が点になりやすい分野です。一般知識は、公式に細かい範囲が示されていません。6問をどの分野で取るかは「基礎知識」とはで扱っています。

型A 記述に頼らない安定型:記述0点でも180点に届く組み立て

記述式の採点のしかた(部分点の付け方)は公表されていません。記述の点を大きく当てにした計画は、外れたときに立て直せません。型Aは、記述式を0点と見積もっても180点に届くように組んだ型です。

区分目標点
行政法(択一)19問中16問64点
民法(択一)9問中6問24点
憲法(択一)5問中3問12点
商法・会社法(択一)5問中2問8点
基礎法学(択一)2問中1問4点
多肢選択式(憲法)空欄4つ中3つ6点
多肢選択式(行政法)空欄8つ中7つ14点
記述式0点と見積もる0点
法令等の計択一28問・空欄10132点(+10)
基礎知識14問中12問48点(+24)
全体―180点(±0)

全体の余裕は0点です。本番で記述式に点が入れば、その分がそのまま余裕になります。これは「記述式を捨てる」という意味ではありません。択一の勉強で要件を言えるようにしておけば、記述の点は計画の外の上乗せとして入ってきます。書き方の型は記述式の書き方で説明しています。

型Aで気をつけること:法令等の余裕は択一2問分

法令等は132点で、基準の122点との差は10点です。択一が計画より3問少ないと120点になり、基礎知識が満点でも足切りにかかります。記述式を0点と見ている間は、法令等の余裕は択一2問分しかありません。多肢選択式の空欄を1つでも多く取ることが、この余裕を広げます。解き方は多肢選択式の解き方にまとめています。

基礎知識12問が重いときは、択一と入れ替える

択一1問も基礎知識1問も、同じ4点です。記述式0点・多肢選択式20点のままなら、択一と基礎知識の正解数の合計が40問になれば180点に届きます。

択一基礎知識法令等(基準との差)全体
28問12問132点(+10)180点
29問11問136点(+14)180点
30問10問140点(+18)180点
31問9問144点(+22)180点

基礎知識12問は、14問のうち2問しか落とせない計算です。範囲の読みにくい一般知識まで取る前提になります。一般知識に時間をかけたくない人は、表の下の行に移り、択一30問を目指すほうが組みやすくなります。下の行ほど法令等の余裕も広がります。

型B 記述で上乗せする型:記述30点で全体に8点の余裕

記述式3問で合わせて30点(満点60点の半分)を見込む型です。そのぶん、択一は26問、基礎知識は9問に下げています。

区分目標点
行政法(択一)19問中15問60点
民法(択一)9問中6問24点
憲法(択一)5問中3問12点
商法・会社法(択一)5問中1問4点
基礎法学(択一)2問中1問4点
多肢選択式(憲法)空欄4つ中2つ4点
多肢選択式(行政法)空欄8つ中7つ14点
記述式3問の合計30点
法令等の計択一26問・空欄9・記述30点152点(+30)
基礎知識14問中9問36点(+12)
全体―188点(+8)

型Bの弱みは、記述の30点が自己採点でも読みにくい点にあることです。記述が見込みより8点少ないところまでは180点に届きます。それより下にずれると、択一か基礎知識で埋めることになります。型Aと比べると、記述以外の点は22点少なく、それを記述の30点で埋めている形です。

合う人は、民法・行政法の要件を40字程度で言う練習に時間を回せる人です。当サイトの数え方では記述式は民法2問・行政法1問なので、民法の要件を書く練習が中心になります。記述以外の点を少しずつ型Aに近づけておくと、記述が外れたときにも崩れにくくなります。

型C 行政法で稼ぐ型:点の大きい科目に時間を寄せる

行政法は、当サイトの数え方で択一19問・多肢選択式2問(空欄8つ)・記述式1問があり、法令等の中でいちばん点の大きい科目です。型Cは、その行政法で択一17問と多肢の空欄8つを取りにいき、商法・会社法は勘で選んだときの平均(1問)まで下げる型です。

区分目標点
行政法(択一)19問中17問68点
民法(択一)9問中6問24点
憲法(択一)5問中3問12点
商法・会社法(択一)5問中1問4点
基礎法学(択一)2問中1問4点
多肢選択式(憲法)空欄4つ中2つ4点
多肢選択式(行政法)空欄8つ中8つ16点
記述式3問の合計20点
法令等の計択一28問・空欄10・記述20点152点(+30)
基礎知識14問中8問32点(+8)
全体―184点(+4)

合う人は、残りの期間が短く、手を広げる科目を絞りたい人です。点の大きい行政法に時間を寄せると、同じ時間でも点に変えやすくなります。

ただし、型Cは勉強が少なくて済む型ではありません。行政法で19問中17問と、多肢選択式の空欄8つ全部を取りにいきます。4つの型の中で、行政法の目標がいちばん高い型です。行政法をそこまで仕上げるには、まとまった時間が要ります。

気をつける点は2つです。1つ目は、全体の余裕が4点しかないことです。行政法で目標より2問落とすと176点になり、民法か憲法で埋める必要があります。2つ目は、基礎知識の余裕が2問分しかないことです。8問のうち6問は、文章理解と業務関連法令など、準備した分が点になりやすい分野で固めておきます。なお、商法・会社法の1問は平均の話で、5問とも外れることもあります。

型D 全科目で余裕をとる型:基準の見直しや本番のぶれに備える

合格基準は補正されることがあり、本番では迷った問題を落とすこともあります。型Dは、全体で22点(択一5問分あまり)の余裕を置く型です。商法・会社法も最低限の範囲で2問を取り、民法は7問まで上げます。

区分目標点
行政法(択一)19問中16問64点
民法(択一)9問中7問28点
憲法(択一)5問中3問12点
商法・会社法(択一)5問中2問8点
基礎法学(択一)2問中1問4点
多肢選択式(憲法)空欄4つ中3つ6点
多肢選択式(行政法)空欄8つ中7つ14点
記述式3問の合計30点
法令等の計択一29問・空欄10・記述30点166点(+44)
基礎知識14問中9問36点(+12)
全体―202点(+22)

記述が見込みより22点少なくても、180点に届きます。合う人は、試験まで7か月以上あり、週に15時間以上とれる人です。1周目を終えて、全科目に手が回る状態になってから目指す型と考えてください。最初から型Dを目標にすると、商法・会社法や一般知識に時間が流れやすくなります。

自分はどの型から始めればよいか

型は、残りの期間・週に使える時間・得意な形式の3つで選びます。迷ったら、次の表で自分に近い行を選んでください。

今の状況型理由
記述の練習に時間を回せないA記述0点でも届く
要件を言葉で言えるB記述の30点を見込める
残り期間が短く、科目を絞りたいC行政法に時間を寄せる
7か月以上・週15時間以上D全体に余裕を置ける

期間と週の時間の組み合わせから型の目安を出すページも用意しています(自分に合う進め方を選ぶ)。

型を選ぶ前に:今の勉強時間で足りるか

どの型も、法令等の5肢択一式で26〜29問を取る前提です。そのためには、基本書を1周し、問題集を何度も解き直し、本番と同じ3時間の通し練習も何回か入れる必要があります。勉強時間に公式の目安はありません。それでも、まとまった時間がどうしても要る試験です。型をどれにしても、必要な勉強の量が大きく減るわけではありません。

週に使える時間に、試験までの週の数を掛けてみてください。たとえば1日30分なら週3.5時間で、残り3か月(約13週)でも合計45時間ほどです。基本書には1,000ページを超えるものもあります。この時間では、読み通して問題を解き直すところまで届かない可能性が高いと当サイトは考えます。

足りないと分かったときの手は、2つです。1つは、目標の年度を見直すことです(たとえば令和9年度の試験に移す)。もう1つは、週の時間を増やすことです。通勤・昼休み・朝の30分・休日の午前など、生活の中のどこから時間を出すかを先に決めます。時間の見積もり方は勉強時間の考え方、平日と休日の時間の出し方は働きながら受かる時間の使い方にまとめています。

型は途中で変えてかまいません。たとえば、最初は型Cで行政法を固め、1周目が終わったら型Aか型Bに移る、という順も組めます。変えるときは、新しい型の表で、法令等・基礎知識・全体の3つの差をもう一度確かめます。

目標に届かない科目が出たら、どこで埋め合わせるか

4点は、択一1問、多肢選択式の空欄2つ、基礎知識1問のどれでも同じです。ただし、埋め合わせには決まりが1つあります。法令等と基礎知識は、それぞれに足切りがあるので、足りない分はできるだけ同じ区分の中で埋めます。

  • 行政法・民法の択一が足りない:同じ法令等の中で、憲法の択一や多肢選択式の空欄で埋める。基礎知識で埋めると、全体は戻っても法令等の余裕は減ったままになる。
  • 基礎知識が足りない:基礎知識の中だけで埋める。24点(6問)は、法令等が満点でも代わりにならない。
  • 記述式が見込みより少ない(型B・C・D):択一と多肢選択式で埋める。型Aの点の取り方に近づけるのが目安になる。
  • 商法・会社法や基礎法学が取れない:もともと小さく見込んでいるので、行政法・民法の目標を守れていれば、計画全体は崩れない。

どこを深追いせず、どこを残すかの考え方は捨ててもいい所・捨てないほうがいい所にまとめています。

型どおりに進んでいるかの確かめ方

過去問や模試を解いたら、合計点だけでなく、型の表の行ごとに正解数を書き出します。たとえば、型Aを選んだ人が行政法で19問中14問だったとします。目標の16問に2問足りません。その2問を民法・憲法で埋められるか、それとも行政法をもう一度回すかを、次の週の勉強の中心にします。

問題には科目名が書かれていないので、問題の並びと中身から自分で区切ります。区切り方に多少の判断が入るのはかまいません。毎回同じ区切り方で数えれば、目標との差の動きは追えます。公開されている過去問は、センターの「過去の試験問題と正解」のページで見られます。

今日からやること

  • 週に使える時間×試験までの週の数で、使える時間の合計を出す。足りなければ、目標の年度か週の時間を見直す。
  • 4つの型から1つ選び、表の「目標」の列を手帳かスマホに写す。
  • 手元の過去問1年分を解き、型の表の行ごとに正解数を書き出して、目標との差を見る。
  • 差がいちばん大きい行を、来週の勉強の中心にする。埋め合わせは法令等・基礎知識の同じ区分の中で考える。
  • 型Aを選んだ人も、択一の正解の根拠になった要件を40字程度で書く練習を週に2〜3回入れる。記述の点が、そのまま余裕になる。

このサイトで次に読むなら、型Bか型Dを選んだ人は記述式の書き方がおすすめです。見込んだ30点を、毎回同じ型で取りにいく準備ができます。型Aで基礎知識12問を目指す人や、型Cで基礎知識の余裕が少ない人は、「基礎知識」とはで、どの分野から固めるかを先に決めておくと計画が立てやすくなります。

参考にした公式の情報(2026年10月確認)

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