国土利用計画法の届出をわかりやすく:事後届出の面積(2,000・5,000・10,000㎡)と2週間の期限

広い土地を、お金などの対価を払って買ったり借りたりしたら、買った人(権利取得者)は、契約を結んだ日から数えて2週間以内に、土地のある市町村の長を経由して都道府県知事に届け出ます(国土利用計画法23条1項)。これを事後届出(じごとどけで)といいます。

届出がいるのは、市街化区域で2,000平方メートル以上、それ以外の都市計画区域で5,000平方メートル以上、都市計画区域の外で10,000平方メートル以上のときです(23条2項1号)。知事は、土地の使い道(利用目的)について変更を勧告できますが、従わなくても契約がなくなるわけではありません。

この記事では、事後届出を中心に扱います。注視区域・監視区域の事前届出と、規制区域の許可は、違いが分かる範囲でふれます。条文は、宅建試験の基準日である令和8年4月1日時点のものを e-Gov 法令検索で確かめました(同日時点の最後の改正は、令和7年6月1日施行のものです)。

身近な例で考えると

倉庫を建てる土地を探している、物流会社の社長りょうさんの話です。

人物立場したこと
りょうさんの会社買う人(権利取得者)となり合う2つの土地を買う
さちこさん売る人1,200平方メートルを売る
ゆきおさん売る人となりの900平方メートルを売る
愛知県知事届出を受ける人利用目的を確かめる
  1. 土地は、愛知県内の市街化区域にある。りょうさんの会社は、さちこさんから1,200平方メートルを買う売買契約を結んだ。
  2. 10日後、となりのゆきおさんからも900平方メートルを買う契約を結んだ。2つを合わせて倉庫を建てる計画で、合計は2,100平方メートル。
  3. 1つずつ見ると2,000平方メートル未満だが、買う側が合わせて2,000平方メートル以上のひとまとまりの土地(一団の土地)を手に入れる。この場合は、どちらの契約も届出がいる。
  4. りょうさんの会社は、それぞれの契約を結んだ日から数えて2週間以内に、土地のある市の市長を経由して、愛知県知事に届け出た。利用目的は「倉庫」、対価の額も書いた。
  5. 知事は、利用目的が土地利用の計画に合うかを確かめる。合わず、まわりの土地利用に著しい支障があると認めるときは、届出から3週間以内に、利用目的を変えるよう勧告できる。

反対に、さちこさんが3,000平方メートルの土地を半分ずつ、2人の別々の買い手に売った場合はどうでしょう。売る側から見れば合計3,000平方メートルですが、買い手はそれぞれ1,500平方メートルしか手に入れません。一団の土地かどうかは買う側で見るので、どちらの買い手も届出はいりません。

たとえると、事後届出は「広い土地を手に入れたら、あとから県に『この土地をこう使います』と報告する」仕組みです。ただし本物のルールでは、報告するのは買った側だけで、売った側は届け出ません。また、県が勧告できるのは使い道についてだけで、値段を下げろとは言えません(24条1項)。

条文ではこう決まっている

対象になる契約(14条1項・施行令5条)

  • 「土地に関する権利」=所有権、地上権・賃借権(施行令5条)、それらを手に入れることを目的とする権利。
  • その権利を移す・設定する契約で、「対価を得て行われる」ものに限る。予約もふくむ。これを「土地売買等の契約」と呼ぶ(14条1項。23条1項もこの言葉を使う)。
  • 対価はお金に限らない。お金以外のときは、時価を基準にお金に見積もった額を届け出る(23条1項6号)。

だれが・いつ・どこへ・何を(23条1項)

  • だれが:権利の移転・設定を受ける側(権利取得者)。売主や貸主ではない。
  • いつ:契約を締結した日から起算して2週間以内。
  • どこへ:土地のある市町村の長を経由して、都道府県知事へ。
  • 何を:当事者の氏名・住所、契約の年月日、土地の所在と面積、権利の種類と内容、取得後の利用目的、対価の額など。

届出がいらない場合(23条2項)

1号は面積の線です。次の面積未満の土地の契約なら、届出はいりません。

区域届出がいる面積
市街化区域2,000㎡以上
市街化区域以外の都市計画区域(市街化調整区域、区域区分のない区域)5,000㎡以上
都市計画区域の外(準都市計画区域をふくむ)10,000㎡以上
  • 面積未満でも、権利取得者が、その土地をふくむ一団の土地で上の面積以上のものを手に入れるときは、届出がいる(1号のかっこ書き)。
  • 準都市計画区域は、都市計画区域の外の区域から指定される(都市計画法5条の2第1項)。そのため、線は10,000平方メートルになる。
  • 2号:規制区域・注視区域・監視区域の中の土地なら、事後届出はいらない。かわりに許可か事前届出のルールを使う。
  • 3号:民事調停法による調停にもとづく場合、当事者の一方か双方が国等(国・地方公共団体など。18条1項)の場合、そのほか政令で定める場合。
  • 政令で定める場合の例:農地法3条1項の許可を受ける必要がある場合、民事訴訟法による和解、家事調停、滞納処分・強制執行・担保権の実行としての競売で売る場合など(施行令17条1号・6条)。

届出のあと(24条・26条・27条の2)

  • 勧告:利用目的にしたがった土地利用が、公表されている土地利用基本計画などに合わず、まわりの土地利用に著しい支障があると認めるとき。知事は土地利用審査会の意見を聴いて、利用目的について必要な変更をするよう勧告できる(24条1項)。
  • 勧告の期限:届出があった日から起算して3週間以内(24条2項)。実地の調査が必要なときなど合理的な理由があれば、3週間の範囲で延ばせる。そのときは期限内に、延ばす期間と理由を届出をした人に知らせる(24条3項)。
  • 公表:勧告を受けた人が従わないときは、そのことと勧告の内容を公表できる(26条)。
  • 助言:届出があったとき、知事は利用目的について必要な助言ができる(27条の2)。

届出をしなかったら(47条)

23条1項の届出をしなかった人や、うその届出をした人は、6か月以下の拘禁刑(こうきんけい)か100万円以下の罰金です(47条1号・3号)。一方で、届出をしなかったことや勧告に従わなかったことで、契約の効力がなくなると定めた条文はありません。規制区域で許可を受けずに結んだ契約が「その効力を生じない」とされている(14条3項)のとは、ここが違います。

当てはまる例・当てはまらない例

  1. 当てはまる例:市街化区域の2,500平方メートルの土地を、お金を払って買う。2,000平方メートル以上なので、買った人が2週間以内に届け出ます。
  2. ひっかけやすい例:市街化調整区域の4,000平方メートルの土地を買う。市街化調整区域も都市計画区域の中なので、線は5,000平方メートルです。届出はいりません。「市街化区域ではないから10,000平方メートル」とするのもまちがいです。
  3. 当てはまらない例:親から12,000平方メートルの山林をただでもらう(贈与)。対価がないので「土地売買等の契約」にあたらず、届出はいりません。相続も契約ではないので同じです。
  4. 当てはまる例:市街化区域で、りょうさんの会社が持つ3,000平方メートルと、相手の3,000平方メートルを交換する。対価がお金でなくても、相手の土地という対価があります。それぞれの取得者が届け出ます(対価の額は時価で見積もる)。
  5. 当てはまらない例:銀行のために、5,000平方メートルの土地に抵当権を設定する。抵当権は、土地を使ったり収益を得たりする権利ではないので、「土地に関する権利」に入りません。
  6. 当てはまらない例:市街化区域の3,000平方メートルを、市から買う。当事者の一方が国等(地方公共団体)なので、届出はいりません(23条2項3号)。
  7. ひっかけやすい例:都市計画区域の外の農地15,000平方メートルを、農地のまま買う。面積は10,000平方メートル以上ですが、農地法3条1項の許可がいる場合なので、事後届出はいりません(施行令17条1号・6条7号)。

市街化区域と市街化調整区域の区別は都市計画区域と区域区分をわかりやすく、農地法3条の許可は農地法をわかりやすくで説明しています。

似ているルールとの違い

国土利用計画法には、区域によって3つの仕組みがあります。宅建試験では事後届出が中心ですが、入れかえ問題に備えて違いを押さえます。

比べる点事後届出事前届出許可
区域右の区域以外注視区域・監視区域規制区域
いつ契約から2週間以内契約の前(あらかじめ)契約の前
だれが権利取得者だけ当事者当事者
面積の線2,000・5,000・10,000㎡注視は同じ。監視は規則で小さく面積の線なし
守らないと罰則。契約は有効罰則契約は効力を生じない
  • 事前届出(27条の4):注視区域の土地の契約を結ぼうとする当事者が、あらかじめ、市町村長を経由して知事に届け出る。監視区域にも準用され、面積は都道府県の規則で、事後届出の面積より小さく決める(27条の7第1項)。
  • 許可(14条):規制区域の土地の契約は、面積にかかわらず、当事者が知事の許可を受ける。許可なしの契約は効力を生じない(14条3項)。

法令上の制限には、ほかにも「面積の線」が出てくるルールがあります。たとえば開発許可にも面積の線がありますが、数字も、見る対象(土地の造成か、土地の取引か)も違います。混ぜないように、開発許可をわかりやすくの数字と見比べておくと安心です。

試験ではここをまちがえやすい

  • 届け出る人:権利取得者(買う側・借りる側)だけ。「売主と買主が共同で」「売主が」とする形に注意します。
  • 期限と届出先:契約から2週間以内、市町村長を経由して知事へ。「3週間」は知事の勧告の期限で、届出の期限ではありません。
  • 面積の線:市街化区域2,000、そのほかの都市計画区域5,000、区域外10,000(平方メートル)。市街化調整区域は5,000、準都市計画区域は10,000。
  • 一団の土地:買う側が合わせて線を超えるなら、1件ずつは小さくても届出がいる。売る側が分けて売るときは、買い手ごとに見る。
  • 対価の有無:贈与・相続は対象外。交換は対象。抵当権の設定は対象外。予約もふくむ。
  • 勧告の中身と効果:勧告は利用目的についてだけ。従わなければ公表されることがあるが、契約は有効。「契約が無効になる」とする形に注意します。

○✕でたしかめよう

問1(このサイトのオリジナル問題)
市街化調整区域にある4,000平方メートルの土地を売買で取得した者は、国土利用計画法23条の事後届出をしなければならない(規制区域・注視区域・監視区域ではないものとする)。

答え:✕
市街化調整区域は、市街化区域以外の都市計画区域にあたるので、線は5,000平方メートルです(23条2項1号ロ)。4,000平方メートルなら届出はいりません。

問2(このサイトのオリジナル問題)
事後届出は、土地の売主と買主が共同して、契約を結んだ日から2週間以内に行わなければならない。

答え:✕
届け出るのは、権利の移転や設定を受ける側(権利取得者)だけです(23条1項)。売主は届け出ません。2週間以内という期限は正しい部分です。

問3(このサイトのオリジナル問題)
事後届出をした者が、利用目的の変更の勧告に従わなかったときは、その土地の売買契約は効力を失う。

答え:✕
勧告に従わないときに知事ができるのは、そのことと勧告の内容の公表です(26条)。契約の効力がなくなると定めた条文はありません。

まとめ

  • 対象は、対価のある土地の権利(所有権・地上権・賃借権など)の移転・設定の契約。予約もふくむ。
  • 権利取得者が、契約から2週間以内に、市町村長を経由して知事へ届け出る。
  • 面積の線は、市街化区域2,000、そのほかの都市計画区域5,000、区域外10,000(平方メートル)。一団の土地は買う側で見る。
  • 当事者の一方が国等、農地法3条1項の許可がいる場合などは届出不要。
  • 知事は3週間以内に利用目的の変更を勧告できる。従わなければ公表されうるが、契約は有効。

このサイトで次に読むなら、農地法をわかりやすくがおすすめです。農地法も「許可か届出か」「だれが・どこへ」を問う形が多く、国土利用計画法と並べて覚えると、届出先や面積の数字が混ざりにくくなります。

参考にした公式の情報(2026年10月確認)