宅建試験の得点戦略:目標38点を分野ごとにどう取るか(4つの型)

宅建試験の目標点は、50問中38点に置くのが当サイトの目安です。直近5年(令和3〜7年度)の合格基準点は33〜37点でした。いちばん高かった37点の年でも1問の余裕が残る点、と考えて38点にしています。

38点を取るとは、50問のうち12問までは落としてよいということです。宅建試験には分野ごとの最低点(足切り)がないので、この12問をどの分野で落とすかは自分で決められます。この記事では、その割り振り方を「宅建業法で稼ぐ型」「権利関係も取る型」「権利関係を基本にとどめる型」「5問免除の人の型」の4つの表で示します。

読み終えたら、自分の型を1つ選び、分野ごとに「何問まで落としてよいか」を書き出してください。それが、これからの勉強時間の配り方と、過去問を解いたあとの見直しの物差しになります。

宅建試験は何点を目標にすればよいか

宅建試験の合格基準点は、試験の前には決まっていません。合格発表の日に「50問中◯問以上正解」という形で公表されます。1問が1点の計算で、合計の点数だけで合否が決まります。基準点の決まり方と年ごとの数字は宅建試験の合格点と合格率にまとめています。ここでは、目標を立てるのに必要な数字だけを使います。

下の表は、機構(一般財団法人 不動産適正取引推進機構)の「試験実施概況」にある合格基準点と、目標を38点にしたときに何点の余裕があるかを当サイトで計算したものです。「修了者」は5問免除を受ける登録講習修了者のことで、目標は45問中33点で計算しています(理由はあとで説明します)。

年度一般の基準点38点なら修了者が33点なら
令和7年度33点5点上5点上(基準28点)
令和6年度37点1点上1点上(基準32点)
令和5年度36点2点上2点上(基準31点)
令和4年度36点2点上2点上(基準31点)
令和3年度(10月)34点4点上4点上(基準29点)
令和3年度(12月)34点4点上表では「-」

38点にした理由は3つあります。

  1. 基準点は1年で4点動いたことがある:令和6年度は37点、令和7年度は33点でした。いちばん低い33点を目標にすると、37点の年には4問足りません。
  2. 37点ちょうどでは余裕がない:本番では、分かっていたはずの問題を読みちがえて落とすこともあります。1問の余裕を足して38点にしました。
  3. 5年より前に38点の年がある:令和2年度10月の試験は38点でした。38点なら、この年の基準にも届きます。

ただし、38点を取れば受かると決まっているわけではありません。その年の基準点がもっと高ければ届きません。38点は「過去の数字から見て、ここを目指しておけば計画が立てやすい」という当サイトの目安です。

分野ごとの点数は、どう組み立てればよいか

得点の計画というと「宅建業法で◯点、権利関係で◯点」と書きたくなります。でも、分野ごとの問題数は機構から公式に発表されていません。機構は、宅地建物取引業法施行規則8条の「7つの事項」を挙げるだけです。本や受験サイトで見かける「この分野は何問」は、過去の問題を数えた集計です。このサイトでは、宅建試験の科目と出題範囲と同じく、問題数を前提にした計画は立てません。

そこで、「何点取るか」ではなく「何問まで落としてよいか」で組み立てます。合計が38点なら、落としてよいのは50−38=12問です。この12問を分野に割り振れば、分野ごとの問題数が分からなくても、合計がちょうど38点になることを足し算で確かめられます。

分野の分け方は、施行規則8条の号にそろえます。呼び名は科目と出題範囲の記事と同じです。

  • 宅建業法(七号):不動産の仕事のルール
  • 権利関係(二号):民法・借地借家法など、土地と建物の権利のルール
  • 法令上の制限(三号):都市計画法・建築基準法など、土地の使い方の制限
  • 税・価格(四号・六号):不動産の税金と、土地の値段の決め方
  • 免除科目(一号・五号):土地・建物の性質と、需要・供給。問46〜問50の5問で、登録講習修了者は解かなくてよい問題です

このうち問題数がはっきりしているのは、免除科目の5問だけです。それ以外の分野は、割り振った失点がその分野の問題数をこえないかを、自分の使う問題冊子で数えて確かめます(数え方はあとの見出しで説明します)。

目標点の型:12問をどこで落とすか

一般の受験者向けの3つの型です。数字は「その分野で落としてよい問数」で、どの型も合計12問、得点は38点になります(当サイトの目安。Pythonで足し算を確かめています)。

分野業法で稼ぐ型権利も取る型権利は基本型
宅建業法(七号)2問3問2問
権利関係(二号)6問3問7問
法令上の制限(三号)2問3問1問
税・価格(四号・六号)1問2問1問
免除科目(一号・五号)1問1問1問
落とす問数の合計12問12問12問
得点38点38点38点

宅建業法で稼ぐ型

中心になる型です。失点の半分を権利関係に回し、そのぶん宅建業法の失点を2問に抑えます。宅建業法は一つの法律にまとまっていて、「何日以内」「だれが」「書面で」といった条文の言葉が、そのまま正誤の決め手になります。宅建業法16条2項が「試験は、宅地建物取引業に関して、必要な知識について行う。」と定めているとおり、試験の中心の分野でもあります。覚えた分だけ点に結びつきやすいので、時間を集めます。

権利関係で6問落としてよいとしても、権利関係を捨てるわけではありません。売り買い・貸し借り・相続など、土地と建物の場面の基本は押さえたうえで、細かい所に時間をかけすぎない、という意味です。

権利関係も取る型

失点を分野に均等に近い形で散らす型です。民法を勉強したことがある人(行政書士試験の勉強をした人など)に向きます。民法の論点は行政書士試験と共通なので、その知識があれば、権利関係の失点を3問まで縮める計画が立てられます。そのかわり、宅建業法・法令上の制限には3問ずつの失点を見込み、宅建に特有の分野に時間を使いすぎないようにします。

この型でも、宅建業法の失点を2問に縮められれば、1問ぶんの余裕が生まれます。民法が得意だからといって、宅建業法を後回しにしないことが大事です。

権利関係を基本にとどめる型

試験までの期間が短い人、または民法がどうしても進まない人の型です。権利関係の失点を7問まで認め、そのかわり法令上の制限と税・価格の失点を1問ずつに抑えます。法令上の制限は数字が多い分野ですが、「何のための制限か」と数字をセットにして覚えれば、条文の言葉で答えを決めやすい中身です。

ただし、この型は勉強の量を減らす型ではありません。権利関係の深追いをやめるぶん、ほかの分野でほとんど落とせなくなるので、宅建業法・法令上の制限・税の条文と数字を、何度も解き直して固める時間が要ります。

注意点は、ほかの分野に余裕がほとんどないことです。権利関係以外で落としてよいのは合わせて5問です。どこか1つの分野で計画より2問多く落とすと、もう38点に届きません。期間に余裕があるなら、上の2つの型のほうが崩れにくい作りです。

自分に合う型はどう選ぶか

選ぶ材料は、法律の勉強の経験と、試験までの期間の2つです。

  • はじめて法律を勉強する:宅建業法で稼ぐ型から始めます。宅建業法を先に固めると、重要事項説明(35条)を通じて法令上の制限ともつながり、全体が見えやすくなります。
  • 民法を勉強したことがある:権利関係も取る型にします。浮いた時間は宅建業法と、借地借家法など宅建で特に関係の深い土地・建物のルールに回します。
  • 残りの期間が短い:権利関係を基本にとどめる型にします。新しい教材は増やさず、宅建業法と法令上の制限の条文と数字の確認に時間を集めます。
  • 宅建業で働いていて、登録講習を終えている:次の見出しの「5問免除の人の型」を使います。

どの型を選んでも、勉強の量が大きく減ることはありません。型は「どこで落とすか」を決めるもので、時間の代わりにはならないからです。38点に届くには、基本書で範囲を一通り読み、問題集を何度も解き直すための、まとまった時間がどうしても要ります。1日30分ほどでは、宅建の範囲を回しきれないと当サイトは考えています。週に使える時間が少なく、試験までの期間も短いなら、型を選ぶ前に、目標の年度を見直すか、週の時間を増やすかを先に考えてください。自分に要る時間の見積もり方は、勉強時間の考え方の記事で説明しています(行政書士試験の記事ですが、単元ごとにかかる時間を測って見積もる手順は宅建でも同じです)。

型は途中で変えてかまいません。過去問を解いてみて、ある分野の失点が計画よりずっと少ないなら、そこを得点源にした型へ移ります。どの分野を深追いしないかの判断は、宅建試験で捨ててもいい所・捨てないほうがいい所で、出題範囲の条文から整理しています。型の表は「どの分野で何問落とすか」、捨てる・捨てないの記事は「その分野の中で何を後回しにするか」と考えると、2つを組み合わせて使えます。期間・時間・予算から進め方全体を決めたい人は、宅建試験:自分に合う進め方を選ぶも参考にしてください。

5問免除の人は、目標と型がどう変わるか

登録講習を終え、その修了試験に合格した日から3年以内の試験では、免除科目(一号・五号)の5問が免除され、45問で受けます。制度の条件は5問免除(登録講習)の記事にまとめています。

修了者の合格基準点は「45問中◯点」で別に示され、数字のある年はどの年も、一般の受験者より5点低くなっています(令和2〜7年度。当サイトが機構の表から計算)。直近5年の修了者の基準点は28〜32点でした。そこで、一般の38点と同じ考え方で、目標を45問中33点(32点+1問の余裕)にします。

ここで気づいてほしいのは、落としてよい問数は変わらないことです。一般は50−38=12問、修了者も45−33=12問です。免除で減るのは勉強の範囲で、失点の枠ではありません。一般の型で免除科目に割り振っていた1問は、ほかの分野へ移すことになります。

分野一般(業法で稼ぐ型)5問免除の人の型
宅建業法(七号)2問2問
権利関係(二号)6問7問
法令上の制限(三号)2問2問
税・価格(四号・六号)1問1問
免除科目(一号・五号)1問免除
落とす問数の合計12問12問
得点50問中38点45問中33点

移した1問は、権利関係に回しています。失点の枠を1問足すなら、条文の言葉で答えが決まりやすい宅建業法や法令上の制限ではなく、範囲がいちばん広く、場面ごとの考え方まで問われる権利関係に足す、というのが「宅建業法で稼ぐ型」と同じ考え方だからです。反対に、宅建業で働いていて、重要事項説明などで法令上の制限や宅建業法にふれている人は、その分野の失点を計画より少なくできるかもしれません。そうなれば、それはそのまま本番の余裕になります。ただし、仕事で見覚えがあることと、試験で問われる条文の数字や要件を正確に言えることは別です。過去問で失点が実際に減ったのを確かめてから、余裕として数えてください。

また、免除があるから45問の勉強を減らしてよい、とは考えないことです。45問の範囲は一般の受験者と同じです。その45問で落としてよい問数は、一般の受験者(この型では免除科目で1問落とすので、45問では11問)より1問多いだけです。

分野ごとの問題数は、どうやって確かめるか

型の表は、分野ごとの問題数が分からなくても合計を確かめられる作りです。それでも、割り振った失点がその分野の問題数より多くなっていないかは見ておく必要があります。たとえば「税・価格で2問落とす」と決めても、その分野の問題が少なければ、ほとんど点を取らない計画になってしまうからです。

確かめ方は、自分で数えることです。機構のサイトには、昭和63年度から令和7年度までの問題と正解番号表が載っています(宅建試験の問題及び正解番号表)。

  1. 練習に使う年度の問題冊子を1冊用意します。
  2. 問1から順に、問題の書き出しにある法律の名前を見て、上の5つの分野のどれに入るかを決めます。問46〜問50は免除科目です。
  3. 分野ごとに何問あったかを数え、型の表の「落としてよい問数」と並べて書きます。どの分野に入るか迷う法律は、施行規則8条の号の言葉で決め、決めたら毎回同じ分け方で数えます。

数えた問題数は、その年度の問題で数えたものです。公式の配分ではないので、年度によって変わることもありえます。機構は過去問のページで「法改正により、現在の法律と一致しない場合があります」とも注意しています。問題数の確認は参考にとどめ、答えの理由は今の条文で確かめてください。

型が合っているかは、どう確かめるか

型は、立てたら終わりではありません。過去問や模試を時間を計って解いたら、次の順で見直します。

  1. 合計を見る:点数を、その年度の合格基準点と、目標の38点の両方と比べます。基準点は年ごとに違うので、その年度の数字と比べるほうが実際に近い比べ方になります。
  2. 分野ごとの失点を数える:まちがえた問題を5つの分野に分けて、型の表の「落としてよい問数」と並べます。
  3. はみ出した分野を決める:計画より多く落とした分野が、次の1〜2週間に時間を回す所です。全部の分野を同時に直そうとせず、はみ出しがいちばん大きい分野から手をつけます。
  4. まぐれの正解も数える:たまたま当たった問題は、点数には入っても、本番で取れるとはかぎりません。答えを選んだときの自信を○・△・✕で記録し、△と✕の正解は「落とした問題」に近いものとして見直します。やり方は「できたつもり」を防ぐ記事で説明しています。

何回か続けて、ある分野が毎回計画からはみ出すなら、それは勉強が足りないというより、型が合っていない合図かもしれません。たとえば宅建業法で稼ぐ型を選んだのに権利関係の失点が毎回6問をこえるなら、権利関係の失点を7問まで認め、法令上の制限と税・価格を固める「権利関係を基本にとどめる型」に移ることを考えます。どちらの型でも、合計12問の枠は変えません。

なお、行政書士試験には科目ごとの足切りがあるので、この「失点の枠を自由に割り振る」考え方はそのままでは使えません。両方を受ける人は、行政書士試験の合格点と足切りで仕組みの違いを確かめてください。

今日からやること

  • 目標を「50問中38点=落としてよいのは12問」(5問免除の人は「45問中33点=12問」)と紙に書く。
  • 4つの型から1つ選び、5つの分野ごとに「落としてよい問数」を書き写す。
  • 練習に使う年度の問題冊子で、分野ごとの問題数を数え、割り振った失点がこえていないかを確かめる。
  • 次に過去問を解いたら、分野ごとの失点を数え、計画からはみ出した分野を1つだけ選んで、次の1週間の勉強をそこに回す。

このサイトで次に読むなら、宅建試験で捨ててもいい所・捨てないほうがいい所がおすすめです。型の表で決めた「何問落としてよいか」を、分野の中の「どこを深追いしないか」に落とし込めます。これから教材をそろえる人は、宅建を独学で受けるにはで、教材の選び方と半年の計画の例を見てください。

参考にした公式の情報(2026年10月確認)

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