土地と建物の基礎知識をわかりやすく:地形と災害、建物の構造(宅建の5問免除の範囲)

宅建試験の出題範囲(宅建業法施行規則8条)の1号は、「土地の形質、地積、地目及び種別並びに建物の形質、構造及び種別に関すること。」です。この記事では、この「土地と建物」の分野の基礎を扱います。

ひとことで言うと、土地は「どうやってできた地形か」で、水につかりやすいか、地震のときに液状化(地面が液体のようになること)しやすいかの手がかりがつかめます。建物は、木造・鉄筋コンクリート造・鉄骨造それぞれに、建築基準法施行令が求める基本があります。

1号は、5号(宅地・建物の需給に関する法令と実務)とあわせて、登録講習修了者が免除される範囲です(宅建試験の5問免除)。5号に関係する分野は、住宅金融支援機構と景品表示法と不動産の表示のルールで扱っています。この記事では、国土交通省の資料と法令で確かめられる一般的な知識だけを書きます。

身近な例で考えると

登場人物は2人です。家を建てる土地を探している会社員=ゆいさんと、工務店の担当者=たけるさんです。

ゆいさんは、同じ市の中で4つの土地を見比べています。たけるさんは、国土交通省の資料にある地形の説明を使って、次のように話しました。

  1. A:台地の上の土地。表面が平らで、まわりを崖で区切られた台のような土地です。集中豪雨で水につかる可能性は少ないとされます。ただし、低地と高さの差がない低い台地や、台地の上でまわりより低い所は、水が集まることがあります。台地のふちの崖や急な斜面は、地震で崩れる可能性があります。
  2. B:川沿いで、まわりより少し高い土地(自然堤防)。まわりの低地より高いので、水につかっても浅く、水はけもよいとされます。一方で、それほど高くない新しい自然堤防や、まわりの低地との境目のあたりは、地震のときに揺れが大きく、液状化が起きやすいとされます。
  3. C:Bの裏にある、帯のように細長い低い土地(旧河道)。昔の川の流れのあとで、まわりより低い土地です。水につかると、長い時間水がとどまることがあります。新しい旧河道ほど液状化が起きやすいとされます。
  4. D:海沿いの埋立地。海や湖を埋め立てて造った土地です。海抜の低い所は高潮の被害を受けやすく、地震では液状化が起きやすく、津波でも水につかりやすいとされます。

ゆいさんは、Aの台地の上で、崖から離れた場所に木造の家を建てることにしました。たけるさんは、法令が木造の家に求める基本として、土台を基礎にしっかり固定すること、筋かい(すじかい=柱の間にななめに入れる材)などを各階にバランスよく入れること、地面に近い木材に腐れやシロアリを防ぐ処理をすることを説明しました。

たとえるなら、地形は「土地の履歴書」です。どこで生まれ、どう育ったかを見ると、弱点の見当がつきます。ただし本物の土地では、同じ地形の名前でも場所ごとに状態がちがいます。国土交通省の資料自身も、説明は地図の読み方の例であって、実際の判断には地元の専門家の助言を得るよう注意しています。

法令と公式資料ではこう決まっている

試験の範囲(宅建業法施行規則)

  • 8条1号:土地の形質(地形や地盤の性質)、地積(面積)、地目(宅地・田・畑などの使いみち)、種別。建物の形質、構造、種別。
  • 10条の14:登録講習修了者は、修了試験に合格した日から3年以内に行われる試験で、8条1号と5号の事項が免除される。

地形と災害の手がかり(国土交通省の土地履歴調査の資料)

国土交通省 国土政策局の「土地履歴調査」の資料は、「元の地形は自然災害に対する脆弱性やリスクなどの手掛かりとなるもの」としています。主な地形の説明は次のとおりです。

地形どんな土地か水害地震
台地平らで、ふちを崖で区切られた台状の土地つかる可能性は少ない(低い台地は例外)揺れは大きくなりにくい。ふちの崖は崩れるおそれ
扇状地山のふもとの、砂や礫(れき)が扇形に積もった土地豪雨でつかることはあるが水はけはよい(傾斜のゆるい扇状地の説明)末端で液状化しやすい
自然堤防川沿いの、まわりよりわずかに高い土地水深は浅く水はけもよい新しいものや低地との境目は液状化しやすい
旧河道昔の川の流れのあと。まわりより低い帯状の土地水が長くとどまることがある新しいものほど液状化しやすい
氾濫原低地川が運んだ土砂でできた広い平地氾濫や大雨でつかりやすい揺れが大きい。自然堤防のまわりや旧河道は液状化しやすい
三角州河口付近の、細かい砂や粘土が積もった平地高潮の被害が多い液状化しやすく、津波でつかることがある
埋立地・干拓地海などを埋め立てた土地、堤防で囲み水を抜いた低い土地高潮の被害を受けやすい液状化しやすく、津波の被害を受けやすい
  • 盛土地(もりどち):低地などに0.5メートル以上土を盛って造った土地。締め固まっておらず地下水位が高い所では、宅地の地盤の液状化や地すべりが起きることがある。
  • 切土地(きりどち):山地や台地の斜面を人工的に削ってできた平らな土地と、急な人工の斜面。
  • 人工の斜面:大雨などで、人工的に造った平地のまわりの斜面や盛土の斜面が崩れることがある。
  • 崖錐(がいすい):斜面の下のほうにたまった岩のかけら。
  • 谷底低地:山地・丘陵地・台地を刻む川の土砂が積もってできた、細長い平地。
  • 砂州:水の流れや波でできた、砂や小石からなる、まわりよりわずかに高い土地。水はけはよいが、砂州と砂州の間の低地は液状化しやすい。

建物の構造(建築基準法施行令)

  • 耐久性(37条):構造上大事な部分のうち、腐ったりさびたりしやすい所には、腐食・腐朽・摩損しにくい材料か、さび止め・防腐などの措置をした材料を使う。
  • 基礎(38条):基礎は、建物の重さなどを安全に地盤に伝え、地盤の沈下や変形に対して安全なものにする。1つの建物で、異なる構造方法の基礎を併用してはならない。
  • 木造の土台(42条):最下階の柱の下には原則として土台を設ける。「土台は、基礎に緊結しなければならない。」(平家建てで延べ面積50平方メートル以内の建物は例外)
  • 筋かい(45条):引っ張る力を受ける筋かいは、厚さ1.5センチメートル以上・幅9センチメートル以上の木材など。押す力を受ける筋かいは、厚さ3センチメートル以上・幅9センチメートル以上の木材など。
  • 壁や筋かいの配置(46条):横からの力(地震や風)に耐えるよう、壁や筋かいを入れた軸組を、各階の縦・横の2つの方向に「釣合い良く配置」する。
  • 防腐・シロアリ対策(49条):柱・筋かい・土台のうち地面から1メートル以内の部分には、有効な防腐措置をし、必要に応じてシロアリなどの虫の害を防ぐ措置をする。
  • コンクリートの材料(72条):骨材・水・混和材料は、鉄筋をさびさせたり固まるのを妨げたりする酸・塩・有機物・泥土を含まないこと。
  • コンクリートの強度(74条):4週圧縮強度は1平方ミリメートルにつき12ニュートン以上(軽量骨材を使う場合は9ニュートン以上)。
  • 鉄筋のかぶり厚さ(79条):鉄筋を包むコンクリートの厚さ。下の表のとおり。
  • 鉄骨造の柱の防火被覆(70条):地階を除く階数が3以上の建物で、1本の柱が火の熱で弱るだけで建物全体が倒れやすい場合として国土交通大臣が定める場合は、柱を、加熱が始まってから30分間、構造上支障のある変形・溶融・破壊などを起こさないものにする。
  • 鉄骨造の材料(64条):構造上大事な部分には炭素鋼・ステンレス鋼(鋼材)か鋳鉄を使う。鋳鉄は、圧縮の力や接触の力以外の力がかかる部分には使えない。
部分(鉄筋コンクリート造)かぶり厚さ
耐力壁以外の壁・床2センチメートル以上
耐力壁・柱・はり3センチメートル以上
直接土に接する壁・柱・床・はり、布基礎の立上り部分4センチメートル以上
基礎(布基礎の立上り部分を除く)6センチメートル以上(捨コンクリートを除いて)

当てはまる例・当てはまらない例

  1. 当てはまる(扇状地の末端):ゆいさんが山のふもとの扇状地で、扇の先のほう(末端)の土地を見ている。資料は、扇状地の末端で液状化が起きやすいとしています。
  2. 当てはまらない(台地なら安心とは限らない):台地の上でも、ふちの崖のすぐそばの土地。台地は地震の揺れが大きくなりにくいとされる一方、ふちの崖や急な斜面は地震で崩れる可能性があります。
  3. ひっかけやすい(自然堤防の高さ):自然堤防は「まわりよりわずかに高い」土地です。「まわりより低く、水がたまりやすい」のは旧河道や後ろ側の低地のほうです。
  4. ひっかけやすい(盛土):谷を埋めて平らにした造成地。締め固まっておらず地下水位が高い盛土では、液状化や地すべりが起きることがあります。「造成地はどこも平らで安全」とはいえません。宅地造成の規制は宅地造成及び特定盛土等規制法で扱っています。
  5. 当てはまらない(基礎の併用):たけるさんが、家の半分を地面に広く据える基礎(ベタ基礎)、残り半分を杭(くい)で支える基礎にする案を出した。異なる構造方法の基礎の併用は、施行令38条2項で禁止されています(国土交通大臣が定める基準の構造計算で安全が確かめられた場合は例外。同条4項)。
  6. ひっかけやすい(筋かいの寸法):厚いほう(3センチメートル以上)が押す力(圧縮)を受ける筋かい、薄いほう(1.5センチメートル以上)が引っ張る力(引張)を受ける筋かいです。逆にした選択肢に注意します。

似ているルールとの違い

「土地の種類」を表す言葉は、分野によって意味がちがいます。

言葉何を表すかどの分野か
地形(台地・旧河道など)土地がどうやってできたか土地の形質(この記事)
地目(宅地・田など)登記上の土地の使いみち不動産登記(不動産登記法)
用途地域(住居系など)都市計画で決めた建物の使いみち法令上の制限(都市計画法)

建物の構造も、ほかの分野とつながっています。防火地域で建てられる建物の性能は、法令上の制限の分野です。一方、この記事の施行令の内容は、木造の土台や鉄筋のかぶり厚さのような、建物そのものの基本の作り方です。

試験ではここをまちがえやすい

  • 高さの関係を逆にする型:自然堤防はまわりより高く、旧河道はまわりより低い。
  • 「災害の心配はない」と言い切る型:台地も、低い台地やふちの崖では災害のおそれがあります。地形の説明は「〜しやすい」「〜のおそれがある」という傾向です。言い切った選択肢は疑ってみます。
  • 液状化の場所の型:埋立地・干拓地・三角州・旧河道(新しいもの)・新しい自然堤防や低地との境目・扇状地の末端・砂州の間の低地などで起きやすいとされます。台地は、揺れが大きくなりにくいとされます。
  • 水はけの型:扇状地(傾斜のゆるいもの)・自然堤防・砂州は水はけがよい。旧河道は水が長くとどまることがある。
  • 数字の入れかえ型:かぶり厚さ(2・3・4・6センチメートル)、筋かい(1.5と3センチメートル)、防腐の範囲(地面から1メートル以内)。
  • 基礎の型:異なる構造方法の基礎は併用できない。土台は基礎に緊結する。

宅建試験では、この分野は免除の範囲に入るため、登録講習修了者は解きません。免除がない人にとっては、一般的な知識を4肢択一で判断させる形が考えられます。範囲は広く、法令の条文のように覚える型が決まっていない分野です。地形の名前と「高い・低い」「水はけ」「液状化」の対応から押さえると、選択肢の正誤を判断しやすくなります。

○✕でたしかめよう

問1(このサイトのオリジナル問題)
旧河道は、昔の川の流れのあとで、まわりの低地より高い帯状の土地であり、水はけがよい。

答え:✕ 国土交通省の資料では、旧河道は「周囲の低地より低い帯状の凹地」で、水につかったときは長い時間水がとどまることがあるとされています。まわりより少し高く水はけがよいのは、自然堤防です。

問2(このサイトのオリジナル問題)
建築基準法施行令では、1つの建物に異なる構造方法による基礎を併用してはならないとされている。

答え:○ 施行令38条2項は「異なる構造方法による基礎を併用してはならない。」と定めています。なお、国土交通大臣が定める基準にしたがった構造計算で安全が確かめられた場合は、この規定は適用されません(同条4項)。

問3(このサイトのオリジナル問題)
鉄筋コンクリート造の基礎(布基礎の立上り部分を除く)の鉄筋のかぶり厚さは、捨コンクリートの部分を除いて4センチメートル以上あればよい。

答え:✕ 基礎(布基礎の立上り部分を除く)は、捨コンクリートの部分を除いて6センチメートル以上です(施行令79条)。4センチメートル以上なのは、直接土に接する壁・柱・床・はりと、布基礎の立上り部分です。

まとめ

  • 地形は災害の手がかり。台地は浸水しにくいが、ふちの崖や低い台地に注意。
  • 自然堤防はまわりより高く水はけがよい(新しいものや低地との境目は液状化しやすい)。旧河道はまわりより低く水がとどまりやすい。
  • 埋立地・干拓地・三角州は、高潮・液状化・津波に弱いとされる。盛土は締め固めと地下水位しだいで液状化や地すべり。
  • 木造は、土台を基礎に緊結、筋かいなどを釣合い良く配置、地面から1メートル以内に防腐措置。基礎は異なる構造方法を併用しない。
  • 鉄筋のかぶり厚さは2・3・4・6センチメートル。コンクリートの4週圧縮強度は12ニュートン以上。

次に読むなら、宅建試験の5問免除がおすすめです。この分野を含む免除の範囲と、誰が免除を使えるかを確かめると、自分がこの分野にどれだけ時間をかけるかを決めやすくなります。

参考にした公式の情報(2026年10月確認)

法令は、令和8年4月1日時点で施行されている内容を、e-Gov法令検索で確かめています。地形の説明は、国土交通省の資料の文言にそって書いています。