建物の構造をわかりやすく:木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造と基礎の違い

建物の構造は、「何でできているか(材料)」「どんな形の骨組みか」「地面とどうつなぐか(基礎)」の3つで整理できます。宅建試験の出題範囲では、宅建業法施行規則8条1号の「建物の形質、構造及び種別」にあたり、登録講習修了者が免除される範囲です。

ひとことで言うと、材料にはそれぞれ弱点があります。木は腐りやすくシロアリに食われやすい。鉄骨は火の熱で弱り、さびる。鉄筋コンクリートは、中の鉄筋がさびないようにコンクリートで包む必要がある。建築基準法施行令は、その弱点を補うルールを置いています。弱点とルールをセットで覚えると、選択肢の正誤が読めます。

この記事では、材料ごとの構造、骨組みの形(ラーメン構造・壁式構造)、基礎の種類を比べます。地形と災害、施行令の数字の一覧は土地と建物の基礎知識で扱っているので、ここでは「比べる」ことに絞ります。法令は令和8年4月1日時点で確かめました。

身近な例で考えると

登場人物は2人です。家とアパートを建てたい会社員=かなさんと、工務店の設計担当=りょうさんです。

かなさんは、自分の家と、貸すためのアパートを建てようとしています。りょうさんは、3つの場面で構造の説明をしました。

  1. 自分の家(木造2階建て):木は軽くて加工しやすい。ただし、地面に近い柱や土台は腐りやすく、シロアリにも食われやすい。だから、地面から1メートル以内の柱・筋かい・土台には防腐の措置をし、必要に応じてシロアリの対策をする(施行令49条2項)。
  2. アパート(鉄骨造3階建て):鉄骨は粘り強く、柱の少ない広い空間を作りやすい。ただし、火事の熱で強さが落ちる。3階以上の建物で、1本の柱が熱で弱るだけで全体が倒れやすい場合は、その柱を、火の熱が加わってから30分間は大きな損傷を受けないつくりにする(施行令70条)。
  3. 地盤:アパートの予定地は、地盤の強さを調べると、べた基礎か杭基礎しか使えない地盤だった。家の半分をべた基礎、残りを杭基礎にする案は、原則として使えない(施行令38条2項)。

たとえるなら、材料の弱点は「人の持病」で、施行令のルールは「持病に合わせた決まった手当て」です。ただし本物のルールでは、手当ての方法は国土交通大臣が定めた方法や認定を受けた方法に限られ、自由に選べるわけではありません。

法令ではこう決まっている:材料ごとの構造

構造強み弱点法令の手当て(施行令)
木造軽い・加工しやすい腐る・シロアリ・燃える土台を基礎に緊結(42条)、筋かい(45条)、地面から1m以内の防腐(49条)
鉄骨造(S造)粘り強い・広い空間火熱で弱る・さびる3階以上の建物の柱を火熱から守るつくり(70条)
鉄筋コンクリート造(RC造)燃えない材料でできている中の鉄筋がさびると弱るかぶり厚さ(79条)、柱の主筋4本以上(77条)

表の「法令の手当て」の中身は、次のとおりです。

  • 木造の土台(42条1項):最下階の柱の下には、原則として土台を設ける。ただし、柱を基礎に緊結した場合などは例外。
  • 木造の筋かい(45条):引っ張る力を受ける筋かいは厚さ1.5センチメートル以上・幅9センチメートル以上の木材など、押す力を受ける筋かいは厚さ3センチメートル以上・幅9センチメートル以上の木材など。筋かいの両端は金物で緊結する。筋かいに欠込み(切り欠き)をしてはならない。ただし、たすき掛けにするためにやむを得ない場合で、必要な補強をしたときは別。
  • 鉄骨造の柱(70条):地階を除く階数3以上の建物で、1本の柱だけが火の熱で弱って全体が倒れるおそれがある場合として大臣が定める場合は、その柱を、加熱開始後30分間、構造耐力上支障のある変形・溶融・破壊などを生じないつくりにする。
  • RC造の柱(77条):主筋(柱の縦の鉄筋)は4本以上、帯筋(主筋を巻く鉄筋)と緊結する、柱の小径は主要な支点の間の距離の15分の1以上、など。
  • RC造のかぶり厚さ(79条):鉄筋を包むコンクリートの厚さ。耐力壁以外の壁・床は2センチメートル以上、耐力壁・柱・はりは3センチメートル以上、土に接する部分と布基礎の立上りは4センチメートル以上、基礎は捨コンクリートを除いて6センチメートル以上。

かぶり厚さがなぜ要るかは、コンクリートの「中性化(ちゅうせいか)」で説明できます。国土交通省中部地方整備局のサイトにある資料は、コンクリートは本来強いアルカリ性で、二酸化炭素がしみこむと中性に変わり、中の鉄筋などがさびやすくなる、と説明しています。中性化は表面から進むので、鉄筋を包むコンクリートが厚いほど、鉄筋に届くまでに時間がかかります。数字は、壁・床(2センチメートル)→柱・はり・耐力壁(3センチメートル)→土に接する部分(4センチメートル)→基礎(6センチメートル)と、下の部分ほど厚くなる順に並べると覚えやすくなります。

骨組みの形:ラーメン構造と壁式構造

同じ鉄筋コンクリート造でも、骨組みの形で2つに分かれます。

形どう支えるか向いている建物
ラーメン構造柱とはりをがっちり固めた枠(告示では「剛節架構」)で支える大きな窓や広い部屋、高い建物
壁式構造柱を使わず、壁(耐力壁)と床の板で支える中低層の共同住宅など
  • ラーメン構造:「ラーメン」は、ドイツ語で「枠」を意味する言葉から来ています。柱とはりの接合部を固めるので、壁を減らして間取りを自由にしやすい反面、部屋の隅に柱やはりの出っ張りが出やすくなります。
  • 壁式構造:部屋の隅に柱の出っ張りが出ないので、家具を置きやすい部屋になります。そのかわり、壁を抜いて間取りを変えるのは難しくなります。国土交通省の告示(平成13年国土交通省告示第1026号)は、壁式鉄筋コンクリート造の構造方法について「地階を除く階数が五以下で、かつ、軒の高さは二十メートル以下とすること。」としています。

鉄骨造にも、柱とはりで組むラーメン構造があります。木造の在来の工法(柱とはりに筋かいを入れる軸組の工法)は、ラーメン構造とは別の考え方で、筋かいや壁で横からの力に耐えます。

基礎の種類:地盤の強さで選ぶ

基礎は、建物の重さや地震の力を地盤に伝える部分です。主な種類は3つです。

  • 布基礎(ぬのきそ):壁の下に沿って、帯のように連続して設ける基礎。
  • べた基礎:建物の下の全体を、1枚のコンクリートの板で支える基礎。
  • 杭基礎(くいきそ):杭を打って、深いところの固い地盤に重さを伝える基礎。

どれを使えるかは、地盤の強さ(地盤が長い間に支えられる力=長期許容応力度)で決まります。国土交通省の告示(平成12年建設省告示第1347号)は、次のように定めています。

地盤の強さ(1㎡あたり)使える基礎
20kN(キロニュートン)未満杭基礎(基礎ぐいを用いた構造)
20kN以上30kN未満杭基礎か、べた基礎
30kN以上杭基礎・べた基礎・布基礎のどれでも

覚え方は「弱い地盤ほど選べる基礎が減る」です。布基礎は、強い地盤でしか使えません。弱い地盤では、面で支えるべた基礎か、固い層まで届く杭基礎になります。

施行令38条は、基礎そのものの決まりを置いています。

  • 基礎は、建物の重さや外からの力を安全に地盤に伝え、地盤の沈下や変形に対して安全なものにする(1項)。
  • 1つの建物に、異なる構造方法の基礎を併用してはならない(2項)。
  • 高さ13メートルか延べ面積3,000平方メートルを超え、最下階の床1平方メートルあたりの重さが100kNを超える建物は、基礎の底(杭なら杭の先)を良好な地盤に届かせる(3項)。
  • 2項・3項は、大臣が定める基準の構造計算で安全が確かめられたときは適用しない(4項)。

当てはまる例・当てはまらない例

  1. 当てはまる(弱い地盤のべた基礎):地盤の強さが1平方メートルあたり25kNの土地に、かなさんの家をべた基礎で建てる。20kN以上30kN未満なので、べた基礎を使える。
  2. 当てはまらない(弱い地盤の布基礎):同じ25kNの土地で、布基礎にする。布基礎は30kN以上の地盤でしか使えない。
  3. 当てはまらない(基礎の併用):建物の半分をべた基礎、半分を杭基礎にする。構造計算で安全を確かめない限り、異なる構造方法の基礎は併用できない(38条2項・4項)。
  4. ひっかけやすい(筋かいの欠込み):筋かいをたすき掛けにするため、交わる部分を欠き込んだ。やむを得ない場合で、必要な補強をしていれば認められる(45条4項ただし書)。「欠込みは一切だめ」ではない。
  5. ひっかけやすい(鉄骨は燃えないから安心):鉄骨そのものは燃えないが、火の熱で強さが落ちる。だから3階以上の建物では、柱を火熱から守るつくりが求められる場合がある(70条)。

似ているルールとの違い

「火に強い建物」のルールは、2つの分野にあります。混ぜないようにします。

ルール何を決めるか分野
防火地域・準防火地域の建物の性能場所に応じて、建物全体に求める火への強さ法令上の制限(建築基準法61条)
鉄骨造の柱を火熱から守るつくり材料の弱点(火熱で弱る)を補う柱のつくり建物の構造(施行令70条)

防火地域の性能は、場所で決まるルールです。防火地域・準防火地域をわかりやすくで扱っています。建築基準法のルールを「場所で決まるか・建物で決まるか」で整理した地図は、宅建の建築基準法の覚え方にあります。この記事の内容は、地図の「建物で決まる」側(単体規定)のうち、構造の部分にあたります。

試験ではここをまちがえやすい

  • 弱点を入れ替える型:木造の弱点(腐朽・シロアリ)を鉄骨造に、鉄骨造の弱点(火熱・さび)を鉄筋コンクリート造に付けかえる。表の「弱点」の列を材料と一緒に覚えます。
  • 「燃えない=火に強い」型:鉄骨は燃えないが、熱で強さが落ちる。燃えるかどうかと、熱で弱るかどうかは別の話です。
  • 基礎の順番の型:布基礎を、弱い地盤でも使える基礎として書く。弱い地盤ほど、べた基礎・杭基礎に限られます。
  • 例外を消す型:「異なる基礎は一切併用できない」「筋かいの欠込みは一切できない」。どちらも、構造計算や補強による例外があります。言い切りの選択肢は、例外の有無を確かめます。
  • 数字の型:筋かいの1.5センチメートルと3センチメートル、かぶり厚さの2・3・4・6センチメートル、壁式鉄筋コンクリート造の5階以下・軒の高さ20メートル以下。
  • 骨組みの型:壁式構造を「柱とはりで支える」、ラーメン構造を「壁で支える」と入れ替える。

宅建試験では、この分野は5問免除の範囲(問46〜50の中)に入ります。登録講習修了者は解きません。免除がない人にとっては、一般的な知識を4肢択一で判断できるようにしておきます。範囲が広いので、この記事の3つの表(材料・骨組み・基礎)を先に固め、施行令の数字はそのあとに足す順番をすすめます。免除の仕組みは宅建試験の5問免除で説明しています。

○✕でたしかめよう

問1(このサイトのオリジナル問題)
地盤の長期に生ずる力に対する許容応力度が1平方メートルあたり25キロニュートンの土地に、かなさんが木造2階建ての家を建てる。国土交通大臣が定めた構造方法(告示)による場合、この家の基礎は、べた基礎とすることはできるが、布基礎とすることはできない(構造計算による例外はないものとする)。

答え:○ ○です。分かれ目は、地盤の強さの境目(20kNと30kN)です。平成12年建設省告示第1347号は、20kN以上30kN未満の地盤では基礎ぐいを用いた構造かべた基礎とし、布基礎は30kN以上の地盤で使えるとしています。25kNなので、べた基礎は使えて、布基礎は使えません。布基礎をいちばん一般的な基礎と考えると、どの地盤でも使えると誤って✕を選びます。

問2(このサイトのオリジナル問題)
木造の建物の筋かいには、たすき掛けにするためにやむを得ない場合で、必要な補強を行ったときであっても、欠込みをすることはできない。

答え:✕ ✕です。分かれ目は、ただし書の例外です。施行令45条4項は、筋かいに欠込みをしてはならないとしたうえで、正しくは、たすき掛けにするためにやむを得ない場合で必要な補強を行ったときは例外としています。原則(欠込みの禁止)だけを覚えて、ただし書を消した肢です。基礎の併用の禁止(38条2項)にも、構造計算による例外(同条4項)がある点を一緒に押さえます。

問3(このサイトのオリジナル問題)
鉄筋コンクリート造の柱の鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、耐力壁以外の壁や床と同じく、2センチメートル以上あればよい(直接土に接する部分ではないものとする)。

答え:✕ ✕です。分かれ目は部位ごとの数字です。正しくは、耐力壁・柱・はりは3センチメートル以上です(施行令79条1項)。2センチメートル以上でよいのは、耐力壁以外の壁と床です。直接土に接する部分と布基礎の立上りは4センチメートル以上、基礎は6センチメートル以上です。壁・床→柱・はり→土に接する部分→基礎と、下の部分ほど厚くなる順に並べて覚えると、入れ替えに気づけます。

まとめ

  • 木造は腐朽・シロアリ・火、鉄骨造は火熱とさび、鉄筋コンクリート造は鉄筋のさび(中性化)が弱点。施行令は防腐(49条)、柱を火熱から守るつくり(70条)、かぶり厚さ(79条)などで補う。
  • ラーメン構造は柱とはりの枠で、壁式構造は壁と床で支える。壁式鉄筋コンクリート造は、告示の構造方法では5階以下・軒の高さ20メートル以下。
  • 基礎は地盤の強さで選ぶ。20kN未満は杭基礎、20〜30kN未満は杭基礎かべた基礎、30kN以上は布基礎も使える。
  • 異なる構造方法の基礎の併用と、筋かいの欠込みは原則禁止。どちらにも例外がある。
  • かぶり厚さは2・3・4・6センチメートル。

この分野の○✕は、このサイトの宅建の5分○✕ドリルの「税・その他」(土地・建物)で続けて解けます。肢を読んだら、まず「材料・骨組み・基礎のどの表の話か」を決めてから○✕を付けると、この記事の整理がそのまま練習になります。

次に読むなら、土地と建物の基礎知識がおすすめです。同じ免除の範囲の「土地」の側(台地・旧河道・埋立地など)と、施行令の数字の一覧がまとまっていて、この記事と合わせると問50前後の分野をひと通り押さえられます。

参考にした公式の情報(2026年10月確認)

法令は、e-Gov法令API(v2)で令和8年4月1日時点(asof=2026-04-01)の版を指定して確かめました。告示は国土交通省の告示のページに掲載された版で確かめています。

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