登録実務講習とは:実務経験2年がない合格者が登録するための講習の中身・修了試験・受けられる時期

登録実務講習(とうろくじつむこうしゅう)は、宅建試験に合格したが、宅建業の実務経験が2年に足りない人が、宅建士の登録の条件を満たすための講習です。修了すると、実務経験2年と同等以上の能力がある人として扱われ、登録を申請できます(宅建業法18条1項、施行規則13条の16第1号)。

講習は講義・演習・修了試験でできていて、講義と演習の総時間はおおむね50時間です(施行規則13条の21)。修了試験は、筆記と記述の両方で80パーセント以上の成績が修了の基準です(国土交通省の告示)。この記事では、規則と告示の言葉で、講習の中身・修了試験・受けられる時期を確かめます。講習を行う機関の名前・費用・選び方は扱いません。

だれが受けるのか

宅建士の登録を受けられるのは、試験に合格し、実務経験が2年以上ある人(施行規則13条の15)か、国土交通大臣がそれと同等以上の能力があると認めた人です(宅建業法18条1項)。同等以上の能力があるとされるのは、施行規則13条の16の次の人です。

  • 1号:「宅地又は建物の取引に関する実務についての講習であつて、次条から第十三条の十九までの規定により国土交通大臣の登録を受けたもの(以下「登録実務講習」という。)を修了した者」
  • 2号:国・地方公共団体やその出資で設立された法人で、宅地・建物の取得や処分の業務に通算2年以上ついた人
  • 3号:国土交通大臣が、1号・2号の人と同等以上の能力があると認めた人

講習を行う機関の義務を決めた施行規則13条の21第1号は、講習の相手を「試験に合格した者で、第十三条の十五に定める期間以上の実務の経験を有しない者」としています。機構(一般財団法人 不動産適正取引推進機構)の案内も、受講できるのは試験の合格者だけとしています。つまり、合格発表の前には受けられず、実務経験が2年以上ある人は受ける必要がありません。

講習・実務経験・公的機関での業務:3つの道を比べると

登録の条件を満たす道中身登録申請書に付ける書面
実務経験(規則13条の15)宅建業の実務経験2年以上(機構の案内では一般管理部門を除く)実務経験を証する書面
登録実務講習(規則13条の16第1号)講習を修了する能力が認められたことを証する書面(講習の修了を証するもの)
公的機関での業務(同2号)国・地方公共団体などで、宅地・建物の取得や処分の業務に通算2年以上能力が認められたことを証する書面

付ける書面は施行規則14条の3第3項2号が決めています。実務経験をどの期間で数えるかは都道府県の扱いで違うことがあり、たとえば愛知県の案内は「登録申請の前10年以内に2年以上」としています。昔の実務経験で登録しようとする人は、登録先の都道府県の案内を先に見てください。

講習で何を学ぶか:科目と時間

施行規則13条の21第4号は「講義及び演習の総時間数はおおむね五十時間」とし、科目ごとの内容と最低の時間を表で決めています。

科目主な内容方法と時間
一 宅建士制度宅建士制度の概要、宅建士の役割と義務講義 1時間以上
二 取引実務受付・物件調査・価格査定、媒介契約、広告、取引条件の交渉、35条書面の作成、契約の締結・履行、資金計画・税務、紛争の防止講義 37時間以上
三 取引実務の演習物件の調査の手法、重要事項の説明の実施、標準的な契約書の作成演習 12時間以上

講師は、宅建業に7年以上従事した宅建士で実務を適切に指導できる人、弁護士・不動産鑑定士・税理士で宅地・建物の取引の実務の知識がある人などです(施行規則13条の19第1項2号)。

1時間+37時間+12時間で50時間です。科目の並びを見ると、試験で学んだ35条などの知識を、書類を作る・説明する形で使う内容です。とくに三の演習は、35条の重要事項の説明と契約書の作成を手を動かして練習する科目です。

演習と通信のやり方(国土交通省の告示)

講習のやり方の細かい点は、国土交通省告示第702号(平成18年6月21日「宅地建物取引業法施行規則第十三条の十六第一号の規定に基づく登録実務講習の演習方法等を定める件」)が決めています。国土交通省のサイトに載っている告示の文(2026年10月確認)では、次のとおりです。

  • 演習は「同時に受講する者の数が講師一人につき二十人以下」で、事例研究などの方法で実践的に指導する(第一)。
  • 講習の一部は通信の方法でもよい(施行規則13条の21第4号ただし書)。その場合は、講義に代えて同程度の効果のある通信講座を行ったあとに、演習を12時間以上行う(告示第二)。

演習の12時間は、通信の方法を使う場合でも残る、ということです。講義の部分を通信でどう行うかと、演習の日程は、実施機関ごとに違います。

修了試験と、修了の基準

施行規則13条の21第8号は、修了試験は講義と演習の終了後に行い、受講者が講習の内容全体を十分に理解しているかを的確に把握できるものであること、としています。修了の認定は、国土交通大臣の定めるところで作った「修了認定基準」によります(同11号)。中身は告示が決めています。

修了試験方法修了の基準
科目一・二(講義)択一式・正誤式などの筆記試験80パーセント以上(告示第五)
科目三(演習)記述式の筆記試験。35条の書面や標準的な契約書の作成など80パーセント以上(告示第五)

告示第五は「第四第一号及び第二号の修了試験のいずれについても八十パーセント以上の成績であるものとする」としています。筆記と記述の片方だけが80パーセント以上でも、修了にはなりません。告示第四は、どちらの試験も「標準的な内容の問題を出題する」こととしています。

試験の時間・問題数、修了試験の合格率は、告示には書かれていません。当サイトが見た国土交通省と機構のページ(2026年10月確認)にも、合格率の数字はありませんでした。終わった講習の教材と修了認定基準は、実施機関が公表することになっています(施行規則13条の21第12号)。

いつ受けられるか

  • 受けられるのは合格者だけなので、早くても合格発表(令和8年度は11月25日)のあとです。
  • 実施機関は、講習を毎年1回以上行い(施行規則13条の21第2号)、日時・場所などをあらかじめ公示します(同9号)。
  • 実施機関の一覧は国土交通省のページにあります(令和7年12月4日現在の一覧で20機関。2026年10月確認)。国土交通省は、講習の日時や申込方法は各実施機関に問い合わせるよう案内しています。

時期を決めるときは、宅建士証の法定講習とのかね合いも見ます。試験に合格した日から1年以内に宅建士証の交付を受ける人は、法定講習が要りません(宅建業法22条の2第2項ただし書)。登録実務講習の修了から、登録の審査、宅建士証の交付までの日数を足して、1年に収まるかを先に見積もります。合格から交付までの順番は宅建に合格したらの記事にまとめました。

修了したあと:修了証と登録の申請

修了した人には、実施機関から修了証が交付されます(施行規則13条の21第13号)。登録申請書には、実務経験がある人であること、または同等以上の能力があると認められた人であることを証する書面を付けます(施行規則14条の3第3項2号)。登録は、受験した都道府県の知事に申請します(宅建業法18条1項・19条1項)。登録の要件と欠格は宅建士の登録の記事で確かめられます。

修了の効力に期限があるかは、規則の登録実務講習の条のうち、2026年10月に読んだ13条の16〜13条の19・13条の21・13条の23には、定めがありませんでした。ただし機構の案内は、実務経験・講習修了の有効期限は都道府県によって異なる場合があるとして、試験に合格した都道府県の宅建業法の担当課に問い合わせるよう案内しています。修了から間をあけて登録するつもりの人は、登録先の都道府県に確かめてください。

講習を申し込む前に確かめること

  1. 受ける必要があるか。宅建業の実務経験が2年以上あれば要りません。国・地方公共団体などでの業務が通算2年以上なら、施行規則13条の16第2号に当たるかを確かめます。
  2. 日程が1年以内の交付に間に合うか。講習・修了試験・登録・交付の日数を足して見積もります。
  3. 料金・申込・受講のしかた。料金の額や申込のしかたは、実施機関が定めて国土交通大臣に届け出る事務規程に書くことになっています(施行規則13条の23)。実施機関の案内で確かめます。

取り違えやすい点

  • 試験の前に宅建業の従業者が受ける「登録講習」(5問免除)とは別の講習。登録講習・登録実務講習・法定講習の違いは5問免除の記事の表にあります。
  • 登録実務講習を修了しても、それだけで宅建士にはならない。登録を受け、宅建士証の交付を受けて宅建士になる。
  • 修了の基準は、筆記と記述の「いずれについても」80パーセント以上。合計点で80パーセントではない。
  • 講義と演習は「おおむね五十時間」。通信を使っても、演習12時間以上は残る。

次に読むなら、宅建士証の手続きの記事です。登録のあとに受け取る宅建士証の交付・更新と、法定講習が要る場面を表で確かめられます。

参考にした公式の情報(2026年10月確認)

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