行政書士試験で覚える期間・数字の一覧:行政法と民法を条文で整理

行政書士試験でまず押さえる期間は、次の3つです。審査請求が「知った日の翌日から起算して3月・あった日の翌日から1年」(行政不服審査法18条)。取消訴訟が「知った日から6箇月・処分の日から1年」(行政事件訴訟法14条)。債権の消滅時効が「知った時から5年・行使できる時から10年」(民法166条1項)。

ここに挙げる期間の多くは、2本立てになっています。「知った時から短い期間」と、「出来事があった時から長い期間」です。前者を主観(本人がどう知ったか)、後者を客観(実際に何があったか)と呼びます。この記事では、法律ごとに期間と数字を表にしました。どれも、令和8年度試験の基準日である令和8年4月1日時点の条文を、e-Gov法令検索で確かめています。確かめられなかったものは載せていません。

期間は「いつから数えるか」の言い回しで覚える

期間を問う選択肢では、数字だけでなく起算点(きさんてん。数え始める日)もずらされます。条文の言い回しは、法律ごとに次のように違います。

  • 行政不服審査法:「処分があったことを知った日の翌日から起算して」。「翌日から起算」と書き込まれています。
  • 行政事件訴訟法:「処分又は裁決があつたことを知つた日から」。「翌日」の文字はありません。
  • 地方自治法:「当該行為のあつた日又は終わつた日から」(住民監査請求)、「通知があつた日から」(住民訴訟)。
  • 民法:「知った時から」「行使することができる時から」「相続開始の時から」。「日」ではなく「時」です。

実際の数え方は、民法の「期間」の章が基本です。民法138条は、法令に特別の定めがある場合などを除き、期間の計算はこの章に従うとしています。そして140条は「日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。」と定めています。つまり、最初の日は数に入れません。月や年で決めた期間は、カレンダーどおりに数えます。そして最後の月の、数え始めた日と同じ日付の前の日に終わります(143条)。

行政事件訴訟法14条には「翌日」の文字がありません。でも、知った日を1日目に数えるわけではありません。行政事件訴訟法7条は、定めがないことは「民事訴訟の例による」としています。そして民事訴訟法95条1項は「期間の計算については、民法の期間に関する規定に従う。」と定めています。このため取消訴訟の6箇月も、民法140条により最初の日は数に入りません。言い回しの違いは、条文を見分ける目印として覚えます。数え方そのものは同じ、と押さえておきます。

(このサイトのオリジナル問題)処分があったことを5月10日に知った人の審査請求期間(3月)は、いつ満了するか。答え:翌日の5月11日から数え始めます。3か月後の同じ日付は8月11日なので、その前の日の8月10日に満了します(行政不服審査法18条1項、民法143条2項)。

行政不服審査法・行政事件訴訟法の期間

審査請求は、役所の決定(処分)に不満があるとき、役所にもう一度見直しを求める手続きです。取消訴訟は、同じ不満を裁判所に訴えて、処分を取り消してもらう手続きです。表の「行審法」は行政不服審査法、「行訴法」は行政事件訴訟法の略です。

分野内容期間・数字条文
行審法処分についての審査請求知った日の翌日から3月/処分があった日の翌日から1年18条1項・2項
行審法再調査の請求をした後の審査請求決定を知った日の翌日から1月/決定があった日の翌日から1年18条1項・2項
行審法再調査の請求知った日の翌日から3月/処分があった日の翌日から1年54条1項・2項
行審法再調査の決定を待たずに審査請求できる場合再調査の請求をした日の翌日から3月たっても決定がない5条2項1号
行審法再審査請求原裁決を知った日の翌日から1月/原裁決があった日の翌日から1年62条1項・2項
行訴法取消訴訟知った日から6箇月/処分・裁決の日から1年14条1項・2項
行訴法審査請求をした場合の取消訴訟裁決を知った日から6箇月/裁決の日から1年14条3項

覚え方のポイントは次のとおりです。

  • 「1年」は、客観の上限としてどれにも付いている。行審法の審査請求・再調査の請求・再審査請求も、行訴法の取消訴訟も、出来事があった時からは1年です。違うのは主観の側だけです。
  • 主観の側は「3月→1月」と「6箇月」。最初の不服申立て(審査請求・再調査の請求)は3月です。一度判断を受けた後の申立ては、1月と短くなります(再調査の決定後の審査請求、裁決後の再審査請求)。裁判所への訴えは6箇月です。
  • どれにも「正当な理由があるときは、この限りでない」が付く。期間を過ぎても、正当な理由があればできる余地が条文に残されています。「いかなる場合も」とする選択肢は、条文と合いません。
  • 「月」と「箇月」の書き方の違い。行審法は「三月」、行訴法は「六箇月」と書きます。意味は同じですが、条文を引くときの目印になります。

たとえば、ゆうとさんが市から処分を受け、そのことを知ったとします。市に見直しを求めるなら、知った日の翌日から3月以内です。裁判所に訴えるなら、知った日から6箇月以内です。どちらにも、処分があった時を基準にした「1年」の上限もあります(正当な理由があるときを除く)。審査請求の流れは審査請求の記事、取消訴訟の条件は取消訴訟の要件の記事でくわしく扱っています。審査請求と取消訴訟の関係(どちらを先にするか、執行停止など)は行政法の勉強法で扱っています。

行政手続法の期間:日数が書かれた規定は少ない

内容期間・数字条文
意見公募手続の意見提出期間公示の日から起算して30日以上39条3項
30日以上を定められないときやむを得ない理由があれば30日未満も可(公示の際に理由を示す)40条1項
聴聞の通知「相当な期間をおいて」書面で(日数の定めなし)15条1項
所在不明の人への聴聞の通知(掲示)掲示を始めた日から2週間で到達とみなす15条3項

行政手続法で、日数が条文に書かれている代表は、意見公募手続の「三十日以上」です。意見公募手続は、役所が決まりを作る前に、広く国民の意見を聞く手続きです。ほかに「二週間」があります(15条3項)。これは、処分を受ける人の居場所が分からないとき、聴聞の通知を事務所の掲示場に貼り出す場合の期間です。聴聞(ちょうもん)とは、重い処分の前に、本人の言い分を聞く場のことです。

一方、聴聞の通知そのものは「相当な期間をおいて」とあるだけです。具体的な日数は決められていません。「聴聞の期日の◯日前までに通知」と日数を入れた選択肢は、条文と合わない形です。数字が「ある」規定と「ない」規定を分けて覚えるのも、期間の対策のうちです。聴聞の仕組みは聴聞と弁明の機会の付与の記事にまとめています。

地方自治法の数字:直接請求の署名数と請求先

直接請求は、住民が署名を集めて、条例づくりや議会の解散などを求める仕組みです。表の「長」は、都道府県知事や市町村長のことです。「選挙権者」は、その自治体で選挙権を持つ人です。

内容(請求先)期間・数字条文
条例の制定・改廃(長)選挙権者の50分の1以上74条1項
上の請求を受けた長の議会招集受理した日から20日以内74条3項
事務の監査(監査委員)選挙権者の50分の1以上75条1項
議会の解散(選挙管理委員会)選挙権者の3分の1以上76条1項
議員の解職(選挙管理委員会)選挙区の選挙権者の3分の1以上80条1項
長の解職(選挙管理委員会)選挙権者の3分の1以上81条1項
副知事・副市町村長などの解職(長)選挙権者の3分の1以上86条1項
解散・解職の投票過半数の同意で解散・失職78条、83条
副知事などの解職(議会の議決)議員の3分の2以上が出席し、その4分の3以上の同意87条1項

3分の1の請求には、選挙権者の総数が40万を超える場合の特例があります。40万を超え80万以下なら「40万を超える数×6分の1+40万×3分の1」です。80万を超えるなら「80万を超える数×8分の1+40万×6分の1+40万×3分の1」です(76条1項。80条・81条・86条も同じ形)。人口の多い都市で、必要な署名が多くなりすぎないようにするための計算です。

覚え方は、請求の「重さ」と「誰が決めるか」に結びつけます。

  • 50分の1は、何かを「してもらう」請求。条例の制定・改廃と事務の監査です。請求しても、決めるのは議会や監査委員です。
  • 3分の1は、人の地位や議会の存続を「失わせる」請求。解散・解職(やめさせること)は重いので、署名のハードルが高くなっています。
  • 請求先は、その後に「誰が決めるか」で決まる。住民の投票にかけるもの(議会の解散、議員・長の解職)は選挙管理委員会です。議会にかけるもの(条例、副知事などの解職)は長です。監査は監査委員です。

たとえば、ある市の住民のさくらさんが、新しい条例を作ってほしいと考えたとします。必要な署名は選挙権者の50分の1以上で、出す先は市長です。市長の解職を求めるなら、3分の1以上の署名を集めて、選挙管理委員会に出します。直接請求のくわしい流れは直接請求と住民監査請求・住民訴訟の記事にあります。

地方自治法の期間:住民監査請求・住民訴訟・条例の罰則

住民監査請求は、自治体のお金の使い方がおかしいとき、住民が監査委員にチェックを求める仕組みです。住民訴訟は、その結果に納得できないとき、裁判所に訴える仕組みです。

分野内容期間・数字条文
住民監査請求請求できる期間行為のあった日又は終わった日から1年(正当な理由があれば例外)242条2項
住民監査請求監査委員の監査・勧告請求があった日から60日以内242条6項
住民訴訟監査結果・勧告に不服通知があった日から30日以内242条の2第2項1号
住民訴訟勧告を受けた機関の措置に不服通知があった日から30日以内同項2号
住民訴訟60日たっても監査・勧告がない60日を経過した日から30日以内同項3号
住民訴訟勧告を受けた機関が措置を講じない勧告に示された期間を経過した日から30日以内同項4号
条例条例で定められる罰則2年以下の拘禁刑、100万円以下の罰金、拘留、科料、没収、5万円以下の過料14条3項

住民訴訟の出訴期間(裁判所に訴えられる期間)は、4つの場合どれも「30日以内」です。違うのは数え始めの日だけです。3号の「60日」は、242条6項とつながっています。監査委員が監査・勧告をしなければならない期間が60日だからです。流れで読むと、こうなります。60日以内に監査・勧告がなければ、その60日を過ぎた日から30日以内に訴えられる。こう読めば、数字が二つあっても混ざりません。

民法の期間・数字①:総則と物権

総則は民法全体に共通するルール、物権は物を持つ権利(所有権など)のルールです。表の言葉を少し補います。催告(さいこく)は「〇日までに返事をしてください」と求めることです。失踪(しっそう)は、行方が分からず生きているかも分からない状態です。危難(きなん)は、戦争や船の沈没など命にかかわる出来事です。

分野内容期間・数字条文
総則制限行為能力者の相手方の催告1箇月以上の期間を定めて催告20条1項
総則普通失踪生死が7年間明らかでない30条1項
総則危難失踪(特別失踪)危難が去った後1年間明らかでない30条2項
総則取消権の期間追認できる時から5年/行為の時から20年126条
総則債権の消滅時効知った時から5年/行使できる時から10年166条1項
総則債権・所有権以外の財産権行使できる時から20年166条2項
総則人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権166条1項2号の10年を20年とする167条
総則所有権の取得時効20年(占有の開始時に善意・無過失なら10年)162条1項・2項
物権盗品・遺失物の回復請求盗難・遺失の時から2年193条
物権遺失物の拾得公告をした後3箇月以内に所有者が判明しない240条
物権埋蔵物の発見公告をした後6箇月以内に所有者が判明しない241条
物権共有物を分割しない契約5年を超えない期間256条1項

債権の消滅時効は、たとえばこう働きます。けんたさんが友だちにお金を貸し、返してもらう日を決めていたとします。けんたさんはその日を知っているので、その日から5年で時効になります。時効の仕組み全体は時効の記事で説明しています。

取得時効は、他人の物でも長く使い続けると自分の物になる、というルールです。162条は、20年と10年の違いを「占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったとき」で分けています。占有(せんゆう)は、物を自分のものとして持っていることです。善意は「他人の物だと知らないこと」、過失がないは「注意していても気づけなかったこと」です。これを判断するのは「占有の開始の時」です。だから、途中で他人の物だと知っても、10年の側から外れません。時点をずらした選択肢に注意します。

民法の期間・数字②:契約・不法行為(国家賠償も)・親族・相続

国家賠償法は、公務員の違法な行為や、道路などの欠陥で損害を受けた人が、国や自治体に賠償を求めるための法律です。本則が6条までの短い法律で、請求できる期間や時効の定めはありません。4条が「国又は公共団体の損害賠償の責任については、前三条の規定によるの外、民法の規定による。」と定めています。そのため、国家賠償の期間も、下の表の不法行為の規定(724条・724条の2)を見ます。国家賠償の中身は国家賠償法の記事で扱っています。

表の言葉を補います。不法行為は、わざと、または不注意で他人に損害を与えることです(交通事故など)。嫡出(ちゃくしゅつ)の推定は、結婚している夫婦から生まれた子を夫の子と考えるルールです。懐胎(かいたい)は妊娠のことです。熟慮(じゅくりょ)期間は、相続するか、やめるかを考える期間です。遺留分(いりゅうぶん)は、遺言があっても一定の家族に最低限残される取り分です。直系尊属(ちょっけいそんぞく)は、父母や祖父母のことです。

分野内容期間・数字条文
契約種類・品質の契約不適合知った時から1年以内に売主へ通知(売主に悪意・重過失なら例外)566条
契約賃貸借の存続期間50年を超えられない(更新後も50年まで)604条
不法行為損害賠償請求権の消滅時効損害及び加害者を知った時から3年/不法行為の時から20年724条
不法行為人の生命・身体を害する不法行為724条1号の3年を5年とする724条の2
親族財産分与の請求(家庭裁判所)離婚の時から5年(2026年4月1日施行。前は2年)768条2項
親族嫡出の推定婚姻成立から200日経過後、または解消・取消しから300日以内の出生は婚姻中の懐胎と推定772条2項
相続相続回復請求権侵害を知った時から5年/相続開始の時から20年884条
相続相続の承認・放棄(熟慮期間)自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内(伸長可)915条1項
相続遺留分の割合直系尊属のみが相続人なら3分の1、ほかは2分の1(兄弟姉妹にはない)1042条1項
相続遺留分侵害額請求権相続開始と侵害を知った時から1年/相続開始の時から10年1048条

この表の制度は、それぞれ論点の記事でくわしく扱っています。契約不適合(買った物の欠陥)は契約不適合責任の記事、不法行為は不法行為の記事、熟慮期間と遺留分は相続の記事です。

772条2項は、婚姻の成立の日から200日以内に生まれた子は「婚姻前に懐胎したもの」と推定するとも定めています。そのうえで1項後段は、結婚前に妊娠して結婚後に生まれた子も、夫の子と推定します。つまり、二段の構造です。200日と300日は「いつ妊娠したか」の推定です。「夫の子」の推定は、1項が定めます。

768条2項の5年は、令和6年の民法改正(2026年4月1日施行)で2年から延びたものです。令和8年度試験の範囲に入ります。古い教材では2年のままのことがあるので注意します(民法の勉強法、範囲の考え方は出題範囲の記事)。

混同しやすい数字は、どう覚え分けるか

生命・身体の侵害は、どちらの道でも「5年・20年」にそろう

167条は、契約が守られない場合などの債権について、客観の側(166条1項2号の10年)を20年に延ばします。724条の2は、不法行為について、主観の側(724条1号の3年)を5年に延ばします。延ばす側は逆です。でも結果は、どちらも「知った時から5年・客観的な時点から20年」にそろいます。「命や体のけがなら5年と20年」とまとめ、どちらの条文がどちらを延ばしたかを添えて覚えます。

同じ数字が違う制度に出てくるもの

  • 3か月:審査請求(知った日の翌日から3月)、熟慮期間(知った時から3箇月)、遺失物(公告後3箇月)。数え始めはすべて違います。
  • 1年:行審法・行訴法の客観の上限、住民監査請求、契約不適合の通知、遺留分侵害額請求の主観の側、危難失踪。
  • 5年:債権の消滅時効の主観の側、取消権の短い方、相続回復請求権の短い方、財産分与、共有物の不分割の上限、生命・身体を害する不法行為の主観の側。
  • 20年:取消権・相続回復請求権・不法行為の長い方、取得時効の原則(162条1項)、債権・所有権以外の財産権。

数字だけを並べて暗記すると、入れ替えに弱くなります。表を見るときは「誰が・何を・いつから」の3つをいっしょに口に出します。そうすると、選択肢のどこがずらされたかに気づけます。

確かめの問題

(このサイトのオリジナル問題)次の文は正しいか。

  1. 再審査請求は、原裁決があったことを知った日の翌日から起算して3月を経過したときは、することができない。
  2. 議会の解散の請求は、選挙権を有する者の総数の50分の1以上の連署をもって、長に対して行う。
  3. 遺留分侵害額の請求権は、相続開始の時から10年を経過したときも、行使できなくなる。

答え:1は誤り(1月。62条1項)。2は誤り(3分の1以上で、請求先は選挙管理委員会。76条1項)。3は正しい(1048条)。

このサイトで次に読むなら、表の数字が出てくる制度の全体を順番に押さえたい人は行政法の勉強法をどうぞ。記述式で期間や要件を40字で書く練習をしたい人は記述式の書き方が合います。

参考にした公式の情報(2026年10月確認)

条文は、e-Gov法令検索で令和8年4月1日時点の版を指定して確かめました。いまe-Govで開く「現在」の条文には、4月1日より後の改正が入っていることがあります。