働く人の1日の勉強の流れ(例):朝・昼・夜・寝る前と休日の組み立て方

働きながらの勉強は、1日の時間帯ごとに役割を決めてつなぐと回りやすくなります。まとまった30〜60分で新しい所を「読んですぐ解く」。通勤や昼休みのすき間で、前に間違えた問題を「思い出す」。夜か寝る前に、その日の✕(間違えた問題)を答えを隠して解き直し、翌日やる分を決める。休日は、平日にできない通し演習と弱点の分野に使います。

この記事では、平日の例を2つ(朝に進める人・夜に進める人)と、休日の例を示します。それぞれの時間帯でやることのくわしいやり方は、このサイトの「勉強のしかた」の記事で扱っているので、記事の最後にまとめて案内します。

1日の時間帯に、どんな役割を持たせるか

まず、時間帯ごとの役割です。大事なのは、ある時間帯でやったことが、次の時間帯の材料になるようにつなぐことです。

時間役割やることの例
まとまった30〜60分新しく進める1単元を読み、すぐその単元の問題を解く
すき間の5〜15分思い出す前に✕だった問題を○✕で解き直す
夜の短い時間整理する✕の理由を一行で書き、翌日の分を決める
寝る前の5分思い出すその日の✕を、答えを隠して言えるか試す。新しいことはしない

この組み立ては、学習の研究で効果が高いとされる2つのやり方に合わせています。学習法を比べた Dunlosky ら(2013年)は、練習テスト(問題を解いて思い出す)と分散学習(間をあけてくり返す)を「効果が高い」と評価しました。読み返しや線を引くことは「効果が低い」としています。Roediger と Karpicke(2006年)の実験でも、文章を何度も読むより、読んだあと思い出すテストをくり返したほうが、1週間後によく覚えていました。ただし、これらは主に学生が文章や事実を覚える実験です。法律の試験勉強にそのまま数字を当てはめることはできません。

もう一つの考え方は、時間帯と中身を前もって決めておくことです。「いつ・どこで・何をするか」を先に決める方法(実行意図)について、Gollwitzer と Sheeran(2006年)は94の検証をまとめ、目標の達成に中くらい〜大きめの効果があったと報告しています。毎日「今日は何をやろう」と考えずに始められるのが、この形のよいところです。

平日の例①:朝に進める人(合計約60分)

夜は残業や家のことで時間が読めない人向けの例です。いちばん頭を使う「新しく進める」を朝に置きます。

時間帯時間やること
朝(出勤前)30分1単元を10分読み、その単元の問題を20分解く。✕と△に印
通勤10分2〜3日前に✕だった問題を○✕で解き直す
昼休み10分1週間前に解いた分野の○✕。行政書士試験なら文章理解1問でもよい
夜5〜10分朝の✕の理由(どの条文のどの要件か)を一行で書く
寝る前5分今日の✕を答えを隠して言ってみる。明日の朝の単元を決める

行政書士試験の人なら、たとえば朝に行政手続法の「不利益処分」を読んで問題を解き、通勤では2〜3日前の「申請に対する処分」の✕を解き直します。宅建の人なら、朝に宅建業法の媒介契約、通勤では前の週の重要事項説明の✕、という具合です。朝の✕は、2〜3日後の通勤と1週間後の昼休みで、もう一度出てきます。こうして、同じ問題に間をあけて何度か出会うように組みます。

朝の30分を続けるこつは、前の晩(寝る前の5分)に「明日の朝はどの単元の何ページから」まで決めておくことです。朝に考える時間がいらなくなります。

平日の例②:夜に進める人(合計約75分)

朝は準備で手いっぱいで、夜なら時間がとれる人向けの例です。

時間帯時間やること
朝(通勤)5〜10分昨日の夜に✕だった問題を5問だけ思い出す
昼休み10分1週間前に解いた分野の○✕
夜(帰宅後)25分+5分休み+25分前半は新しい単元を読んで解く。後半は2〜3日前の✕の解き直し
寝る前5〜10分今日の✕を答えを隠して言ってみる。明日の通勤で解く5問を選ぶ

夜の時間は、帰宅してすぐ始めるか、夕食のあとの決まった時刻に始めるかを決めておきます。「落ち着いたらやろう」と思っていると、そのまま寝る時刻になりがちです。25分ごとに区切るのは一つの例で、区切り方は集中できる環境の作り方で説明しています。

寝る前の時間は、その日の✕の解き直しと翌日の準備だけにして、新しい単元には手を出しません。言えなかった✕は、翌朝の通勤でもう一度思い出します。眠ることと記憶の関係については、睡眠が、その日に覚えたことを長く残る形に整える働きを持つ、とする研究が積み重ねられています(Rasch と Born による2013年の総説)。だからこそ、勉強のために睡眠時間を削らないことを優先します。寝る前の過ごし方は寝る前の15分の記事にまとめています。

休日の例:まとまった時間で、平日にできないことをする

休日は、平日の短い時間ではできないことに使います。次は、休日に3〜4時間とれる人の例です。ふだんの時期と、試験前1か月の時期で中身を変えています。

時間帯ふだんの時期試験前1か月
午前(60分)平日に✕だった問題を分野をまぜて解き直す✕と△の解き直し
午後(2〜3時間)弱い分野の基本を読み、問題を解く本番と同じ13時から通し演習(行政書士3時間・宅建2時間)
夕方(15分)1週間の振り返りと翌週の予定通し演習の✕を一行メモにする

休日をまるごと勉強にあてる必要はありません。休む日や家族と過ごす時間を先に決め、残った時間に上の中身を入れます。そのほうが長く続けやすくなります。1週間全体の組み方や、自分に必要な勉強時間の見積もり方は勉強時間の考え方の記事で説明しています。

疲れた日・残業の日は、どこを残すか

毎日、例のとおりにはいきません。時間がとれない日は、上から順に削ります。

  1. 新しく進める時間(朝か夜のまとまった時間)をやめる。
  2. 昼休みの○✕をやめる。
  3. それでも寝る前の5分だけは残し、今日か昨日に✕だった肢(選択肢の一つ一つ)を3つ、どこが違うか言えるか確かめる。

新しい単元は1日進めなくても、あとで取り戻せます。けれども、間違えた問題の見返しが何日も切れると、それまでに覚えたことが抜けていきます。「ゼロの日」を作らないことを目標にします。疲れた日の最低ラインは疲れた日・残業の日の記事でくわしく書いています。

時期によって、1日の中身をどう変えるか

同じ1日の流れでも、試験までの時期によって「新しく進める」と「解き直す」の割合を変えます。次は当サイトの目安です。

  • 始めたころ:まとまった時間の大半を、新しい単元を読んですぐ解くことに使う。すき間時間は、その週に✕だった問題だけ。
  • ひととおり終えたあと:まとまった時間の半分を解き直しに回す。問題は分野をまぜて解き、見分ける力をつける。
  • 試験前1か月:新しい教材は増やさず、まとまった時間も解き直しが中心。休日に本番と同じ時間帯で通し演習をする。

令和8年度は、宅建試験が10月18日(日)、行政書士試験が11月8日(日)です。試験日の1か月前からは「試験前1か月」の配分に切り替えます。その時期の配分は、両試験の日付入りの日割りの例とあわせて直前1か月の復習の配分にまとめています。

自分の1日の流れを作る手順

ここまでの例は、あくまで一つの形です。自分の生活に合わせて作るときは、次の順で考えます。

  1. 毎日ほぼ決まってある時間を書き出す:通勤の電車、昼休み、帰宅後、寝る前など。日によってなくなる時間は、ここには入れない。
  2. いちばん長くとれる時間に「新しく進める」を置く:30分以上とれて、毎日ほぼ同じ時刻に始められる所。
  3. 短い時間に「思い出す」と「見返す」を置く:スマホか小さな問題集で、開いてすぐ始められる中身にする。
  4. 前日に翌日の中身を決める:寝る前の5分で、明日の単元と、すき間で解く問題を決める。
  5. 1週間たったら見直す:できなかった時間帯は、時刻か中身を変える。やる気のせいにせず、置き方を直す。

今日からやること

  • 明日の1日で、勉強に使える時間帯を紙に書き出す。
  • いちばん長い時間に「読んですぐ解く」、短い時間に「✕の解き直し」を当てはめる。
  • 今夜、寝る前の5分で、明日の朝(または夜)にやる単元と、すき間で解く問題を決める。
  • 疲れた日でも残す「寝る前の5分」を、今日から始める。

この流れの各部分をくわしく読むなら

このサイトの「勉強のしかた」の記事を、1日の流れのどこで役に立つかで分けて並べます。気になる所から読んでください。

時間の組み立て

覚え方・解き方

続け方・集中・範囲の絞り方

どれから読むか迷ったら、まず「思い出す」練習の記事をおすすめします。この記事の1日の流れは、ほとんどの時間帯で「思い出す」ことを中心にしているので、その理由とやり方が分かると、自分用の流れを組みやすくなります。

参考にした研究・資料(2026年10月確認)

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