復習の間隔の決め方:一気に覚えるより「間をあけて繰り返す」

復習は、読んだその日に何回も繰り返すより、日をあけて繰り返すほうが後まで残ります。これを分散学習(ぶんさんがくしゅう=間をあけて繰り返す勉強)といいます。当サイトがすすめる目安は、最初の復習を2〜3日後、次を約1週間後、その次を3〜4週間後に置くことです。思い出せた所は間を広げ、まちがえた所は間を戻します。

回数は、学んだ日のあとに3回の復習を目安にします。試験日がまだ先なら間を広く、試験日が近ければ間を狭くします。この記事では、この目安のもとになった研究を紹介し、行政書士試験と宅建試験の勉強での組み方を示します。

間をあけて繰り返すと、本当に忘れにくいのか

この点は、学習の研究の中でも特によく調べられてきました。間をあけた学習の実験を集めた分析(Cepedaら、2006年)は、184本の論文にある317の実験を調べています。単語の組み合わせや事実、文章などを覚える実験が中心です。まとめると、同じ内容を続けて学ぶより、間をあけて学ぶほうがよく残るという結果が多く出ていました。また、どれくらい間をあけるとよいかは、テストまでの期間によって変わることも分かりました。

「同じ日にたくさん繰り返せば、それで固まるのでは」と考える人もいるでしょう。これを確かめた実験があります(Rohrer & Taylor、2006年)。大学生にある種類の数学の問題を学ばせ、次のように練習させました。

  • 練習問題10問を、1回にまとめて解く組と、5問ずつ1週間あけて2回に分けて解く組を比べた。1週間後のテストでは差がなかったが、4週間後のテストでは分けて解いた組がはるかによくできた。
  • 1回の練習で3問解く組と9問解く組を比べた。余分に解いた6問は、1週間後にも4週間後にも、成績を上げなかった。

試験勉強に置きかえると、こうなります。民法の代理を読んだ日に、同じ問題を何周もしても、その日の分の上乗せは小さい。それより、数日あけてもう一度解くほうが、1か月後に残りやすい。しかも「1週間後にはまだ差が出ない」ので、短い期間で比べると、まとめて繰り返すやり方でも効いているように見えてしまいます。

間はどれくらいあければいいのか

答えは「次のテストまでの長さによって変わる」です。これを大規模に調べたのが、Cepedaら(2008年)の実験です。インターネットで集めた大人1,354人が、あまり知られていない雑学の事実32個を覚えました。1回目に学んだあと、0日から105日の間をあけて2回目を学び、2回目から7日、35日、70日、350日後にテストを受けました。思い出すテストで、最もよかった間隔は次のとおりです(論文の推定値)。

次のテストまで最もよかった間隔テストまでの長さに対する割合
7日後約3日約43%
35日後約8日約23%
70日後約12日約17%
350日後約27日約8%

テストが先になるほど、よい間隔は長くなりました。ただし、テストまでの長さに対する割合は小さくなっていきます。論文は、よい間隔は1週間後のテストならその20〜40%、1年後のテストなら5〜10%くらいだとまとめています。効果も小さくありません。70日後のテストでは、最もよい間隔で学んだ組は、間をあけずに続けて2回学んだ組の約2倍思い出せました。

これを試験勉強に当てはめると、目安はこうなります。試験まで半年〜1年あるなら、復習の間は数週間まで広げてかまいません。試験まで1か月なら、間は数日から1週間です。試験まで1週間なら、間は1〜3日です。もちろん、この実験は雑学の事実を2回学んだだけです。法律の勉強とは同じではありません。それでも「試験が先なら間を広く、近ければ狭く」という向きは、計画の土台にできます。

一気に繰り返すほうが「効いている」と感じるのはなぜか

間をあけるやり方は、やっている最中には効いている感じがしにくいものです。大学生120人に、12人の画家の風景画を見せ、画家ごとの描き方の特徴を覚えてもらった実験があります(Kornell & Bjork、2008年)。同じ画家の絵を6枚続けて見る「まとめる」見せ方と、ほかの画家の絵と混ぜて間をあけて見る見せ方を比べました。

初めて見る絵の画家を当てるテストでは、間をあけて見たほうが61%、まとめて見たほうが35%の正解でした。ところが、テストのあとに「どちらの見せ方のほうがよく学べたと思うか」をたずねると、78%の人が「まとめて見るほうが同じか、よかった」と答えました。実際には、78%の人が間をあけたほうでよい成績を取っていたのにです。

続けて繰り返すと、さっき見たばかりなのでスラスラ分かります。そのスラスラ感を「覚えた」と取り違えやすいのです。Bjork & Bjork(2011年)は、練習中のでき具合は、学んだことが身についたかどうかの目安としてあてにならないことがあると書いています。日をあけて解き直したときに「思ったより忘れている」と感じても、それは失敗ではありません。間をあけた復習が働いている途中だと考えます。

何回繰り返せばいいのか

回数の目安を出した研究に、Rawson & Dunlosky(2011年)があります。大学生533人が、3つの実験で、概念の説明のような内容を「思い出す→答えを見る」の形で学びました。学んだ日に正しく思い出せた回数(1〜4回)と、その後の復習の回(1〜5回。毎回、正しく1回思い出せるまで練習)を変え、1〜4か月後にどれだけ残っているかを調べています。

分かったことは2つです。1つ目は、学んだ日にたくさん正解しておく効果は、その後の復習の回が増えるほど小さくなったこと。2つ目は、日をあけた復習が、少ない手間で長く残すのに大きく効いたことです。著者たちは、学んだ日に3回正しく思い出せるまで練習し、そのあと十分に間をあけて3回復習することをすすめています。

働く人にとっての意味は、「学んだ日に完ぺきを目指さなくてよい。そのかわり、あとの復習の回を確保する」ということです。机の時間が30分しかない日に、同じ単元を何周もする必要はありません。その時間を、数日前や1週間前に学んだ単元の復習に回すほうが、長い目で見て得になります。

間は少しずつ広げたほうがいいのか

「1日後、3日後、1週間後…」と、間をだんだん広げる方法がよく紹介されます。これを等しい間隔と比べた実験があります(Karpicke & Roediger、2007年)。大学生が英単語とその意味の組み合わせを覚えました。この実験の「間隔」は日数ではなく、思い出すまでに間にはさむ別の問題の数です。

結果は、10分後のテストでは広げていく方法がよく、2日後のテストでは等しい間隔のほうがよいというものでした。さらに調べると、効いていたのは「最初に思い出すまでの間を少しあけること」でした。そのあとの間を広げるか等しくするかは、長く残すことにはあまり関係がありませんでした。

ここから当サイトは、次のように考えます。大事なのは、最初の復習を読んだ直後にしないことです。少し忘れかけたころに思い出すほうが効きます。その後の間を広げるのは、効果を上げるためというより、手間を減らすためです。思い出せた所は次の間を広げ、時間を、まちがえた所に回します。この「できたら広げ、まちがえたら戻す」の決まり自体は、特定の研究で他の方法より優れていると示されたものではなく、当サイトの段取りの工夫です。

行政書士・宅建の勉強では、復習の予定をどう組むか

ここまでの研究をもとに、当サイトがすすめる組み方を示します。試験まで数か月以上ある人向けの例です。

回いつやること
学んだ日机の時間読んで、分野別過去問。言えなかった点に印をつける
復習12〜3日後印の点を○✕や一問一答で思い出す
復習2約1週間後その単元の過去問を解き直す
復習33〜4週間後単元の過去問を通して解く。復習2と続けて○なら、次は試験前の総まとめ
まちがえたら2〜3日後に戻すまちがえた点だけ、復習1からやり直す

たとえば、月曜に宅建業法の媒介契約(一般・専任・専属専任の違い)を学んだとします。木曜の通勤で、印をつけた違いを○✕で思い出します。翌週の月曜に、その単元の過去問を解き直します。翌月の初めに、もう一度通して解きます。この3回のうちにまちがえた点だけを、2〜3日後の復習に戻します。最後の3〜4週間の間隔は、試験まで1年近くある場合のCepedaらの結果(約27日)とも近い幅です。

○は「根拠まで言えた」、✕は「まちがえた・分からなかった」の意味で使います。当サイトでは、日をあけて2回続けて○になった問題は、試験前の総まとめまで外してよいことにしています(判定のしかたは「できたつもり」を防ぐ記事)。また、寝る前に解いた所を翌朝にもう一度思い出す、のような短い確認は、この3回の復習とは別に入れてかまいません。

この予定を回すコツは3つです。

  1. 日付を書く:問題集の問題番号の横に、解いた日と○✕を書く。次にやる日も書いておく。
  2. 復習を先にする:机の時間の最初に、その日が予定日の復習を片づけ、残りで新しい単元を進める。
  3. たまったら新しい単元を止める:復習が1回の机の時間で終わらないほどたまったら、新しい単元を1〜2日止めて復習を片づける。

平日・すき間・休日のどこに復習を置くかは働きながらの時間の使い方の記事に、まちがえた点の記録のしかたは間違いノートの記事にまとめています。残り期間ごとの全体の計画は勉強スケジュールの記事で確かめてください。

試験が近いときは間を狭くする

令和8年度の試験は、宅建が10月18日(日)、行政書士試験が11月8日(日)です。試験まで1か月を切ったら、3〜4週間の間隔は取れません。Cepedaらの結果のとおり、テストが近いほどよい間隔は短くなります。試験まで2週間を切ったら1〜3日、1か月ほどなら数日〜1週間の間で、まちがえた所を回すのが当サイトの目安です。直前期の配分は直前1か月の復習の記事で取り上げます。

効果が出にくい場面もある

間をあける効果の研究は、単語や事実を覚える実験が中心です。解き方の手順を身につける練習では、効果が見られなかった研究もあります。大学生235人が数学の場合の数(並べ方の数)の問題を練習した実験では、間をあけても、あけなくても成績に差が出ませんでした(Ebersbach & Barzagar Nazari、2020年)。

法律の試験の中身のうち、条文の要件・期間・数字は「事実を覚える」に近いので、間をあけた復習が向いています。一方、記述式で40字にまとめる力や、本番の時間配分は「技能」に近いものです。これらは間隔の工夫だけに頼らず、書く練習・通し演習そのものの回数を確保します。

今日から何を変えるか

  • 読んだ直後に同じ単元を何周もするのをやめ、その時間を前に学んだ単元の復習に回す。
  • 今日解いた問題の横に日付と○✕を書き、2〜3日後・約1週間後・3〜4週間後の予定日も書く。
  • 机の時間は、予定日が来た復習から始める。
  • 思い出せた所は次の間を広げ、まちがえた所は2〜3日後に戻す。
  • 試験まで1か月を切ったら、間を数日〜1週間に縮める。

次に読むなら、読むより思い出す練習の記事がおすすめです。この記事の復習の回に「何をするか」、つまりテキストを読み返すのではなく、問題で思い出すやり方を具体的に説明しています。

参考にした研究・資料(2026年10月確認)

  • Cepeda, N. J., Pashler, H., Vul, E., Wixted, J. T., & Rohrer, D. (2006). Distributed practice in verbal recall tasks: A review and quantitative synthesis. Psychological Bulletin, 132(3), 354–380.(DOI/PubMed)
  • Cepeda, N. J., Vul, E., Rohrer, D., Wixted, J. T., & Pashler, H. (2008). Spacing effects in learning: A temporal ridgeline of optimal retention. Psychological Science, 19(11), 1095–1102.(DOI/PubMed)
  • Rohrer, D., & Taylor, K. M. (2006). The effects of overlearning and distributed practice on the retention of mathematics knowledge. Applied Cognitive Psychology, 20(9), 1209–1224.(DOI)
  • Kornell, N., & Bjork, R. A. (2008). Learning concepts and categories: Is spacing the “enemy of induction”? Psychological Science, 19(6), 585–592.(DOI)
  • Bjork, E. L., & Bjork, R. A. (2011). Making things hard on yourself, but in a good way: Creating desirable difficulties to enhance learning. In Psychology and the real world: Essays illustrating fundamental contributions to society.(著者の研究室のPDF)
  • Rawson, K. A., & Dunlosky, J. (2011). Optimizing schedules of retrieval practice for durable and efficient learning: How much is enough? Journal of Experimental Psychology: General, 140(3), 283–302.(DOI/PubMed)
  • Karpicke, J. D., & Roediger, H. L. (2007). Expanding retrieval practice promotes short-term retention, but equally spaced retrieval enhances long-term retention. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 33(4), 704–719.(DOI)
  • Ebersbach, M., & Barzagar Nazari, K. (2020). No robust effect of distributed practice on the short- and long-term retention of mathematical procedures. Frontiers in Psychology, 11, 811.(DOI)
  • 行政書士試験研究センター「試験案内」(令和8年度の試験日)、不動産適正取引推進機構 試験日程(令和8年度の試験日)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です