通勤・昼休みの15分でやること:スマホでできる3つの勉強(行政書士・宅建)

通勤や昼休みの15分は、新しい所を読む時間ではなく、「思い出す・確かめる」時間に使います。スマホでやることは、次の3つのどれか1つに決めておきます。①○✕問題を10問だけ解く。②前の日に間違えた肢(し=選択肢の一つ一つ)を見直す。③条文の数字を確かめる。どれをやるかは前の晩に決め、スマホを開いたらすぐ始められるようにしておきます。

行政書士試験を受ける人は、このサイトの5分○✕ドリルがそのまま使えます。1回10問で、間違えた肢や自信のなかった肢は、間をあけて自動でもう一度出ます。

この3つは、学習の研究で効果が高いと評価されている「思い出す練習」と「間をあけた復習」を、15分の大きさに切ったものです。この記事では、それぞれのやり方を、行政書士試験と宅建試験の例で説明します。15分の組み立て方と、前の晩の準備も書きます。

すき間の15分に向くこと・向かないことは何か

15分のすき間に向くのは、途中で止めても損が出ず、1回で区切れることです。電車が駅に着いた、昼休みが終わった、というところで止まっても困らないものです。

逆に、新しい単元を読むことは向きません。読み始めは、話の流れをつかむのに時間がかかります。15分で切れると、次は少し前から読み直すことになります。15分の多くが、読み直しで終わってしまいます。

15分に向くこと15分に向かないこと
○✕を数問ずつ解く新しい単元を最初から読む
間違えた肢の見直し記述式の答案を組み立てる
条文の数字・期間の確認まとめノートを作る・書き写す

研究でも、この分け方には裏づけがあります。Dunloskyら(2013年)は、10種類の勉強のしかたを、たくさんの実験の結果から比べました。効果が高いと評価したのは2つです。「練習テスト」(問題を解いて、自分で思い出すこと)と、「分散学習」(間をあけて繰り返すこと)でした。一方で、読み返す・線を引く・要約する、は効果が低いと評価しています。

すき間の15分は、ちょうど「解く」と「間をあけて見直す」に向いた長さです。スマホでテキストの画面をながめるだけの使い方は、読み返しと同じになりやすく、時間のわりに残りにくいと考えてください。効果の薄いやり方は、時間のわりに効果が薄い勉強のしかたでまとめています。

○✕を10問だけ解くには、どうすればいいか

1つ目のメニューです。問題集の肢を、1つずつ○か✕かで判断していきます。行政書士試験の5肢択一式なら1問で5つ、宅建試験の四肢択一式なら1問で4つの○✕になります。一問一答の形の問題集でもかまいません。やり方は次のとおりです。

  1. 分野を1つにしぼる。前の日に決まった時間で進めた単元か、その前の週の単元にする。
  2. 答えを見る前に、「○か✕か」と「理由を一言」を頭の中で言う。理由が言えないまま当たった肢は、正解でも「△」として数える。
  3. 10問終わったら、△と✕の肢だけ解説を読む。根拠になる条文の番号をメモする。
  4. 最後に、△と✕の数と肢の場所を記録する(例:「行政手続法 問題集p.42 肢3・肢5」)。これが次の日の見直しの材料になる。

時間の目安は、1問1分ほどで10分、解説と記録で5分です。乗り換えまでが短い日は、5問でかまいません。大事なのは数ではありません。答えを見る前に、自分で決めることです。

先に自分で決めることが大事なのは、次の実験で分かっています。Roediger & Karpicke(2006年)の実験では、学生が説明文を読んだあと、次のどちらかをしました。もう一度読む、または、何も見ずに思い出して書く、です。そのあとテストをしました。

5分後のテストでは、もう一度読んだほうが成績がよい結果でした。ところが2日後と1週間後のテストでは、思い出して書いたほうがよく覚えていました。同じ論文の別の実験では、4回読んだ人が「1週間後も覚えていそうだ」という自信はいちばん高かったのに、実際の1週間後の成績はいちばん低くなりました。

試験勉強に当てはめると、こうなります。解説をスマホで読んで「分かった」と感じるより、先に自分で○✕を決めるほうが、試験の日まで残りやすいということです。ただし、この実験で使ったのは説明文で、法律の○✕問題ではありません。思い出す練習のくわしい使い方は、読むより「思い出す」ほうが覚えるの記事で書いています。

前の日に間違えた肢は、どう見直すか

2つ目のメニューです。前の日に間違えた肢を、次の日のすき間で見直します。前の日のうちに、間違えた肢をスマホで撮るか、問題集のページと肢の番号をメモに書いておきます。見直しは次の順にします。

  1. 肢の文だけを見て、どこが間違いかを言う。答えと解説は隠しておく。
  2. 言えたら、解説で合っているか確かめる。言えなかったら、根拠の条文を開いて、要件(そのルールが当てはまる条件)を一つずつ読む。
  3. 日をあけて2回続けて言えた肢は、リストから外す。言えなかった肢は、2〜3日後と約1週間後にもう一度出す。

例で見てみます。次の文は○でしょうか、✕でしょうか。(このサイトのオリジナル問題)「行政不服審査法では、処分についての審査請求は、処分があった日の翌日から起算して3か月を過ぎると、することができない。」

答えは✕です。行政不服審査法18条1項は、「処分があったことを知った日の翌日から起算して三月」としています。数え始めるのは「処分があった日」ではなく、「知った日」の翌日です。「処分があった日の翌日から起算して」と書いてあるのは、1年の期間を決めた2項のほうです。見直しでは、このように「どの言葉が入れ替わっているか」を一言で言えるようにします。

前の日の間違いを次の日に見るのは、間をあけた復習の一番手軽な形です。Cepedaら(2006年)は、言葉や事実を覚える実験317件の結果をまとめて分析しました。一度にまとめて繰り返すより、間をあけて繰り返したほうが、あとまでよく覚えていました。また、どれくらい間をあけるとよいかは、どれくらい先まで覚えておきたいかで変わります。先が長いほど、間隔も長いほうがよい、という関係が出ています。

試験勉強では、「2〜3日後→約1週間後→3〜4週間後」のように、言えなかった肢だけ少しずつ間を広げて出すと、この考え方を手軽に使えます。間隔の決め方は間をあけて繰り返す復習の記事でくわしく書いています。見直しのリストは、紙のノートにきれいに書き直さなくてかまいません。撮った写真とメモで足ります。

条文の数字は、スマホでどう確かめるか

3つ目のメニューです。期間や年数などの数字は、問題集の解説で見るより、条文そのものを開いて確かめます。国の法令は、e-Gov法令検索(国がのせている法令のサイト)で読めます。スマホのブラウザでも開けます。

数字は1つずつ覚えるより、似たものと並べて確かめます。似た制度の数字は、取り違えやすいからです。次の表は、並べて確かめる組み合わせの例です(どれも2026年10月にe-Govで条文を確かめました)。

試験確かめる数字条文
行政書士審査請求:知った日の翌日から3か月行政不服審査法18条1項
行政書士取消訴訟:知った日から6か月行政事件訴訟法14条1項
宅建宅建士証の有効期間:5年宅建業法22条の2第3項
宅建講習:交付の申請前6か月以内宅建業法22条の2第2項

行政書士試験の2つは、どちらも「処分を知ったとき」から数えますが、審査請求は3か月で、取消訴訟は6か月です。数え始めの書き方も、審査請求は「翌日から起算して」と書かれています。どちらも、知らなくても処分(または裁決)の日から1年たつとできなくなり、正当な理由があるときは例外になります(行政不服審査法18条2項、行政事件訴訟法14条2項)。

宅建試験の2つは、「5年」と「6か月」が同じ条文に並びます。さらに同じ2項のただし書きで、試験に合格した日から1年以内に宅建士証の交付を受ける人は、この講習を受けなくてよいとされています。5年・6か月・1年の3つを、1つの条文の中で区別できるかを確かめます。

15分で確かめるのは、2〜3か条で十分です。開いた条文はブックマークしておくと、次から1回で開けます。e-Govに出るのは今の条文です。令和8年度の行政書士試験は、令和8年4月1日現在で施行されている法令から出題されます。宅建試験も、試験の年度の4月1日現在で施行されている法令が出題の根拠です。最近改正された条文は、施行日も一緒に見ておきます。行政法と民法の数字をまとめて見たいときは、期間・数字の一覧が使えます。

通勤と昼休みの15分は、どう組み立てるか

1日にすき間が何回かあるなら、3つのメニューを「解く→見直す→確かめる」の順に回します。朝の○✕で出た間違いが、昼の見直しと夜の条文確認の材料になるからです。次は、当サイトが考えた組み立ての例です。

場面中身時間
行きの電車○✕10問と記録10分+5分
昼休み前日と朝の✕の見直し10分
昼休みの残り✕の根拠の条文を1つ5分
帰りの電車数字の条文を2〜3か条15分

帰りは疲れていることが多いので、答えの分かっているものを確かめる軽い中身にしています。行政書士試験を受ける人は、帰りの15分を週に2〜3回、文章理解(国語の読み取り問題)の1問に回すのも一つの手です。基礎知識には足切りがあり、令和7年度の合否判定基準では14問中6問、24点が必要でした。文章理解は1問を15分で区切りやすく、すき間に入れやすい問題です。

すき間が1日1回しかない人は、曜日でメニューを回してもかまいません。たとえば、月・水・金は○✕、火・木は見直しと条文、のようにします。

15分をすぐ始めるために、前の晩に何を用意するか

すき間時間がむだになるのは、「何をやろうか」と考えている間に終わってしまうときです。前の晩の1分で、次の4つを用意しておきます。

  • 次の日のメニューを1行で決める(例:「行き:民法の代理の○✕10問/昼:今日の✕を3つ/帰り:行審法18条と行訴法14条」)。
  • 材料を1か所にまとめる。間違えた肢の写真は1つのアルバムに、条文はブックマークに入れておく。
  • 電波の届かない所でも見られるように、写真や問題のPDFをスマホの中に保存しておく。地下鉄やトンネルで止まらずにすむ。
  • 15分の間は、SNSなどの通知を切る。一度ほかのアプリを開くと、戻るまでに時間がかかる。

メニューを決めておくのは、迷う時間をなくすためです。「行きの電車に乗ったら、○✕を開く」のように、場面とやることを結びつけておくと、考えずに始めやすくなります。この「いつ・どこで・何を」を先に決める方法は、「やる気に頼らない続け方」の記事で書いています。

すき間の15分だけで足りるのか

足りません。すき間の15分は、「覚えたものを保つ」時間です。新しい単元を理解すること、まとまった数の問題を解くことは、平日の決まった30〜60分や、休日に回します。平日に1日2回、15分ずつ使えば、1週間で2時間半になります。復習だけにこれだけの時間を回せると、決まった時間を新しい所に使いやすくなります。

すき間・平日の決まった時間・休日の役割の分け方は、働きながら受かる時間の使い方で全体を書いています。

今日からやること

  • 明日のすき間時間を書き出し、それぞれに「○✕」「見直し」「条文」のどれを入れるか決める。
  • 今日の勉強で間違えた肢を、スマホで撮って1つのアルバムに入れる。
  • ○✕を解くときは、答えを見る前に「理由を一言」言う。言えずに当たった肢は△にする。
  • 数字の出てくる条文を2つ、e-Govで開いてブックマークする。

このサイトで次に読むなら、休日のまとまった時間の使い方がおすすめです。すき間で集めた✕を、休日にどうまとめてつぶすかを書いています。残業でスマホを開く気にもなれない日のためには、疲れた日の最低ラインも用意しています。

参考にした研究・資料(2026年10月確認)

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