宅建試験の5問免除(登録講習)をわかりやすく:受けられる人・範囲・3年の期限

宅建試験の「5問免除」は、不動産の仕事(宅建業)をしている人だけが使える制度です。登録講習という講習を受け、最後の修了試験に合格すると、宅建試験の50問のうち5問(問46〜問50)が免除されます。残りの45問で受けることになります。

使える期間は、修了試験に合格した日から3年以内に行われる試験です。講習を受けた日や申し込んだ日から数えるのではありません。宅建業で働いていない一般の人は、この講習を受けられません。

名前が似ている「登録実務講習」は、宅建試験に合格したあとに受ける別の講習です。5問免除とは関係ありません。この記事では、条文と機構(試験を実施する一般財団法人 不動産適正取引推進機構)の案内をもとに、この制度を順に説明します。

5問免除とはどんな制度か

2人の人で考えてみます。はるとさんは、不動産会社で賃貸の部屋探しを担当しています。みおさんは、食品メーカーで事務をしています。2人とも、令和9年度の宅建試験を受けようと考えています。

はるとさんは、不動産会社で働いているので登録講習を受けられます。講習を受けて修了試験に合格すれば、宅建試験で5問が免除されます。みおさんは、宅建業で働いていないので講習を受けられません。ふつうに50問で受けます。

試験当日の違いは次のとおりです(機構の試験概要より)。

くらべることふつうの受験者登録講習修了者
問題数50問45問(問1〜問45)
試験時間13:00〜15:00(2時間)13:10〜15:00(1時間50分)
着席の時刻12:30まで12:40まで

問題が5問少ない分、試験時間も10分短くなります。終わる時刻は同じ午後3時です。

法律ではどう決まっているか

根拠は2段になっています。法律(宅地建物取引業法)が「免除する」と決め、細かい中身を省令(国土交通省が決めるルール。ここでは施行規則)にまかせる形です。

  1. 宅建業法16条3項:国土交通大臣の登録を受けた機関(登録講習機関)が行う講習(登録講習)の課程を修了した人は、省令の定めにより、試験の一部を免除する。
  2. 施行規則10条の14(見出しは「試験の一部免除」):「登録講習修了者については、登録講習修了試験に合格した日から三年以内に行われる試験について、第八条に掲げる試験すべき事項のうち同条第一号及び第五号に掲げるものを免除する。」

10条の14の一文に、制度の中身がほぼ全部入っています。分けて読むと、次の3つです。

  • 誰が:登録講習修了者(講習を受け、修了試験に合格した人)
  • いつまで:修了試験に合格した日から3年以内に行われる試験
  • 何を:施行規則8条の一号と五号の事項

講習のやり方は、施行規則10条の5が基準を決めています。対象は宅建業に従事する人です。講義時間の合計はおおむね50時間で、一部は通信の方法でもかまいません。最後に修了試験を行います。講習の日程・会場・費用は登録講習機関ごとに違うので、各機関の案内で確かめます。機関の一覧は国土交通省のサイトにあります。

誰が受けられるか:宅建業の従業者だけ

機構のよくある質問は、登録講習を「宅地建物取引業に従事している者(従業者証明書をお持ちの方)が受講できる講習です。」と説明し、一般の人は受講できないとしています。

従業者証明書とは、不動産会社が社員などに持たせる「この会社の従業者です」という証明書です。宅建業法48条1項は、宅建業者は従業者にこの証明書を持たせなければ、その人を業務につかせてはならないと決めています。つまり、宅建業者のもとで実際に働いている人が持っている証明書です。

ここで、よくある思いちがいを整理します。

  • 「講習にお金を払えば誰でも受けられる」は誤りです。みおさんのように宅建業で働いていない人は受けられません。
  • 「宅建試験に一度落ちた人向けの制度」でもありません。受験の回数は関係なく、宅建業で働いているかどうかで決まります。
  • 勤め先の会社が宅建業者かどうかがポイントです。不動産に関係する仕事でも、宅建業者の従業者でなければ対象外です。迷ったら、会社に従業者証明書が出ているかを確かめます。

何が免除されるか:問46〜問50の5問

免除されるのは、施行規則8条の7つの事項のうち、次の2つです。

  • 一号:「土地の形質、地積、地目及び種別並びに建物の形質、構造及び種別に関すること。」(土地や建物の性質。地積=面積、地目=宅地・田・畑などの使いみちの種類)
  • 五号:「宅地及び建物の需給に関する法令及び実務に関すること。」(住宅を求める側と供給する側の関係)

機構のよくある質問では「50問中5問が免除され45問になります。」とされています。機構の過去問ページの注記では、修了者の問題は問1〜問45です。令和7年度の問題冊子でも、修了者は問46〜問50の解答が免除されています。ですから、一号と五号は問46〜問50にあたります。

免除されない残りの5つの事項(権利関係・法令上の制限・税・価格・宅建業法)は、ふつうの受験者と同じ範囲です。7つの事項それぞれの中身は宅建試験の科目と出題範囲の記事で説明しています。

合格基準点はどう違うか

合格に必要な点は、ふつうの受験者と修了者で別に発表されます。機構の試験実施概況では、直近5年は次のとおりです。

年度ふつうの受験者登録講習修了者
令和7年度50問中33点45問中28点
令和6年度50問中37点45問中32点
令和5年度50問中36点45問中31点
令和4年度50問中36点45問中31点
令和3年度(10月)50問中34点45問中29点

どの年も、修了者の基準点はふつうの受験者よりちょうど5点低くなっています。免除された5問の分だけ低い形です。ただし、決め方について公式の説明はありません。また、修了者だけの合格率は公表されていません。「免除を使うと受かりやすい」と言える公式の数字はない、ということです。合格点の全体は合格点と合格率の記事を見てください。

いつまで使えるか:修了試験に合格した日から3年以内

免除が使えるのは、「登録講習修了試験に合格した日から三年以内に行われる試験」です(施行規則10条の14)。数え始めは「修了試験に合格した日」です。講習を申し込んだ日、講義を受けた日ではありません。

宅建試験は年1回、10月の第3日曜日です。ですから、3年の間に何回チャンスがあるかは、修了試験に合格した時期で変わります。2つの例で見てみます(日付は説明のための例です)。

  1. はるとさんが2027年6月に修了試験に合格した場合:7月の申込に間に合えば、2027年10月・2028年10月・2029年10月の試験が3年以内です。3回使えます。
  2. 同じ人が2027年8月に合格した場合:2027年度の申込(7月)はすでに終わっています。使えるのは2028年10月と2029年10月の試験です。2030年10月の試験は、合格日から3年をこえるので使えません。

機構のよくある質問も、申し込む前に、修了試験の合格年月日が試験の実施日の前3年以内かどうかを、まず確かめるよう案内しています。修了試験の合格通知に書かれた合格年月日を見て、受けたい年の試験日と照らし合わせます。

申し込むときに気をつけること

機構の登録講習のページと、よくある質問には、次の注意があります。

  • 講習を受けている途中では、修了者として申し込めません。修了試験に合格してから宅建試験に申し込みます。
  • 受講の申込から修了まで2か月以上かかります。宅建試験の申込は7月です(令和8年度はインターネットが7月1日〜31日、郵送が7月1日〜15日でした)。その年の試験で免除を使いたいなら、7月から2か月以上さかのぼって講習を申し込む必要があります。
  • インターネットで申し込むときは、修了者のデータが登録講習機関から機構に届いている必要があります。いつ送られるかは、各登録講習機関に確かめます。
  • 郵送で申し込むときは、申込書に書く修了の情報が、機関から届くデータと一致している必要があります。一致しないと、5問免除での申込は受け付けてもらえません。

令和8年度の試験(10月18日)の申込はすでに終わっています。いまから講習を考える人は、令和9年度以降の試験が対象です。令和9年度の日程は、原則として6月の第1金曜日に、官報(国が出す公式の広報紙)と機構のサイトで公告(おおやけに発表)されます。日程の流れは宅建試験の日程の記事にまとめています。

「登録実務講習」「法定講習」とどう違うか

宅建の試験と登録のまわりには、名前の似た講習が3つあります。受ける時期と目的で区別します。

講習受ける時期受けられる人何のためか
登録講習宅建試験の前宅建業の従業者試験の5問免除
登録実務講習宅建試験の合格後試験の合格者実務経験2年の代わり(登録のため)
法定講習宅建士証の交付・更新の前登録を受けた人宅建士証をもらうため

登録実務講習は、試験に受かったあとの話です。宅建士として登録するには、宅建業法18条1項により、実務経験(施行規則13条の15で2年)か、それと同等以上の能力が必要です。実務経験が2年に足りない合格者は、施行規則13条の16の登録実務講習を修了することで、この条件を満たせます。機構の案内では、受講できるのは試験の合格者だけです。

法定講習は、宅建士証(宅建士として仕事をするためのカード)をもらうときの講習です(宅建業法22条の2第2項)。試験に合格した日から1年以内に交付を受ける人は不要です。

まちがえやすいのは次の2点です。

  • 「登録講習を終えたから、合格後の登録実務講習はいらない」は誤りです。登録講習は試験の免除のための講習で、登録の条件(実務経験2年など)とは別です。
  • 「登録実務講習を受ければ5問免除になる」も誤りです。登録実務講習は合格者しか受けられず、試験の免除とは関係ありません。

合格後の登録の流れは宅建士の登録と宅建士証の記事でくわしく説明しています。

免除を使うかどうか、何で決めるか

宅建業で働いている人なら、免除を使うかどうかは自分で選べます。決めるときは、次の3つを確かめます。

  1. 時期が間に合うか:受けたい年の7月の申込までに、修了試験に合格できるか。講習は修了まで2か月以上かかります。
  2. 講習にかける時間と費用:講義はおおむね50時間です(一部は通信でもよい)。費用と日程は登録講習機関ごとに違うので、各機関の案内を見比べます。
  3. 免除で減る勉強の量:免除されるのは一号・五号の5問分です。残りの45問の範囲(権利関係・法令上の制限・税・価格・宅建業法)は変わりません。

免除を使っても、勉強の中心は変わりません。45問分の範囲をどう進めるかが合否を分けます。みおさんのように免除が使えない人も、一号・五号は5問分なので、範囲を区切って最後に仕上げる進め方ができます。

次に読むなら、宅建試験の科目と出題範囲の記事がおすすめです。免除される一号・五号と、免除されない5つの事項がそれぞれ何を学ぶ分野かが分かります。勉強の進め方を決めたい人は、宅建の独学の記事で教材の選び方と半年の計画の例を見てください。

参考にした公式の情報(2026年10月確認)