宅建・行政書士に受かる気がしないとき:点が伸びない4つの型と立て直し方

宅建や行政書士に「受かる気がしない」と感じたら、まず疑うのは才能ではなく、勉強のやり方です。このサイトでは、点が伸びない状態を4つの型に分けて点検します。①テキストを読むだけ、②問題を解きっぱなし、③範囲を広げすぎ、④本番の形で解いていない、の4つです。30分で自分の型を見分け、当てはまった型だけ2週間やり方を変えます。そのあと、同じ物差しで測り直します。

気持ちを立て直す話は、この記事では短くします。点が動けば、受かる気がするかどうかは後からついてきます。

「受かる気がしない」は、何で判断すればよいか

「受かる気」は測れません。かわりに、次の2つの物差しを使います。

  1. 解き直しの正答:1週間前に間違えた問題を、答えを見ずにもう一度解いて、何問正解できるか。
  2. 本番の形での点数:本番と同じ問題数・時間で通して解いたときの点数。宅建は50問を2時間、行政書士は60問を3時間です。

比べる相手は、満点ではなく合格の基準です。宅建の合格基準点は、令和3年度から令和7年度まで50問中33〜37点でした。行政書士は、令和7年度の基準で300点中180点以上、そのうえで法令等122点以上・基礎知識24点以上です。どちらも、合格に満点はいりません。どの分野で何点とるかの組み立ては、宅建試験の得点戦略と行政書士試験の得点戦略に任せます。

「難しすぎる」と感じるときも、この2つで分けて考えます。解き直しの正答が低いなら、覚えたことが残っていません。解き直しはできるのに通しの点が低いなら、本番の形に慣れていません。どちらも、試験の難しさではなく、やり方で変えられる部分です。

点が伸びない4つの型を、30分で見分ける

この1週間の勉強を、紙に書き出します。「読んだ時間」「問題を解いた時間」「解き直した時間」「通しで解いた時間」の4つに分けて、だいたいの分数を書きます。そのうえで、次の問いに答えます。目安の数字は、このサイトが点検用に決めたもので、研究で決まった線ではありません。

型確かめる問い当てはまる目安
①読むだけ問題を解いた時間は全体の何割か半分に届かない
②解きっぱなし先週間違えた10問を解き直すと3問以上また間違える
③広げすぎ同時に使っている教材と、一周の進み2系統以上、どれも一周していない
④本番の形がない通しで解いた回数と、分野別との差0回、または大きく下がる

②は、その場でやります。問題集で先週✕を付けた問題から10問選び、答えを隠して解きます。正解でも、選んだ理由を条文の言葉で言えなかったものは✕に数えます。理由を言えない正解は、次に同じ形で出たときに当たるとは限らないからです。この判定のしかたは「できたつもり」を防ぐで詳しく説明しています。

型は重なることがあります。2つ以上当てはまったら、表の上にある型から手をつけます。①が直らないうちに通しで解いても、点数の下がった理由が分からないからです。

①「読むだけ」になっているときの立て直し方

テキストを何度も読み返すのは、時間のわりに点につながりにくいやり方です。Dunlosky ら(2013年)は10の学習法を比べた総説で、読み返しと線を引くことを「有用性が低い」と評価しました。高い評価は、練習テスト(思い出す練習)と、間をあけてくり返す分散学習でした。読み返すと「分かった気」にはなりますが、試験で問われる「思い出す」練習にはなっていません(くわしくは読むより「思い出す」ほうが覚える)。

変えるのは、1回の勉強の中の順番です。平日30分なら、次のようにします。

  1. テキストを10分読む(新しい範囲は2〜3ページまで)。
  2. 本を閉じ、見出しごとに要点を1つずつ、紙に書くか口で言う(5分)。
  3. 同じ範囲の問題を15分解く。読んだばかりで解けない問題は、どこを読み落としたかに印を付ける。

宅建業法の重要事項説明を読んだ日なら、本を閉じて「説明するのはだれ・いつまで・何を見せる」を言ってから、問題に入ります。行政手続法の聴聞なら「どんな処分のときに行うか・だれに何を知らせるか」を言ってから解きます。言えなかった所だけを読み直します。

②「解きっぱなし」になっているときの立て直し方

問題をたくさん解いているのに点が動かないときは、解き直しの予定が入っていないことが考えられます。○✕を付けて解説を読み、次の問題に進む。これをくり返すと、同じ肢(し=選択肢の一つひとつ)で何度も間違えます。

  • 解き直す日を先に決める:間違えた問題は、翌日か翌々日と、1週間後にもう一度解きます。平日60分なら、最初の15分を「先週間違えた問題」にあてます。
  • 問題ではなく肢で記録する:4肢(行政書士の択一は5肢)のうち、どの肢をどう取り違えたかを1行で書きます。「宅建士証の提示:請求があったときだけ→35条の説明では請求がなくても」のように、取り違えと正しい根拠を並べます。
  • 2回続けて正解したら外す:日をあけて2回、理由つきで正解できた問題は、解き直しの束から外します。束が増えすぎないようにするためです。

③「範囲を広げすぎ」ているときの立て直し方

不安になると、教材を足したくなります。けれども、基本の問題を落としているうちに細かい論点へ進むと、どの教材も途中のまま試験日が来ます。点検で③に当てはまったら、次の順で絞ります。

  1. テキストと問題集を1系統に戻す。いちばん進んでいるものを残し、ほかは試験が終わるまで開かない。
  2. 分野ごとの目標点を決め、目標に届いていない分野の基本問題に時間を回す。宅建なら宅建業法、行政書士なら行政法が、まず点を積む分野です。
  3. 解けない問題は、1回の問題セットの1割までにする。難しすぎる問題ばかりだと、正答が増えず、手も止まります。

問題の難しさをどう混ぜるかは簡単すぎず難しすぎない問題を混ぜるで、6・3・1の割合として説明しています。この記事では、その割合に戻すことを立て直しの一歩とします。

④「本番の形で解いていない」ときの立て直し方

分野別の問題では解けるのに、本番の形だと点が下がる。原因は、知識の量ではなく、「どの分野のどのルールを使う問題か」を見分ける練習と、時間の配り方にあることがあります。

  • 週に1回、通しで解く:休日に、宅建は2時間、行政書士は3時間をとり、本番と同じ時刻(午後1時から)に解きます。年度別の過去問か模試を使います。
  • 分野ごとに点と時間を書く:終わったら、分野ごとの正解数と、だいたいかかった時間を書きます。分野別の問題集での正答と比べて、大きく下がった分野が、見分けの練習が足りない所です。
  • 後半の崩れを見る:最後の10問の正答が前半より目立って低いなら、時間か集中が足りていません。解く順番を決め直します。行政書士なら、記述式にかける時間の上限も決めておきます。

平日も、分野別の問題を3分野ほど混ぜて解く日を作ると、本番の形に近づきます。

「落ちた」「模試が悪かった」ときは、何から見直すか

本試験に落ちたあとなら、まず自分の得点を分野ごとに分けます。落とした問題を「知らなかった」「知っていたが間違えた」「時間が足りなかった」に分け、次の1年を組み直す手順は、得点がどこで分かるかも含めて試験に落ちたあと、次の1年をどう組み直すかにまとめています。この記事の4つの型は、その組み直しの中で「やり方」を決めるときに使えます。

模試の点が悪かったときは、点数そのものより、上の4つの型のどれで落としたかを見ます。解き直しで取れる問題を落としていれば②、知らなかった問題が基本の範囲に多ければ①か③、時間切れや後半の崩れなら④です。模試1回の点数だけで、受けるのをやめるかどうかを決めないでください。

試験まで日がないとき、変えてよいこと・変えないこと

令和8年度の宅建試験は10月18日(日)、行政書士試験は11月8日(日)です。残りが数週間なら、変えるのは②と④だけにします。新しい教材は買わず、新しい範囲にも手を広げません。

  • 変えてよいこと:間違えた問題の解き直しの量を増やす。通しで1回解いて、解く順番と時間の配り方を決める。
  • 変えないこと:教材、勉強する時間帯、睡眠の時間。直前に大きく変えると、点検の物差しまで変わってしまいます。

手が止まってしまうときは

受かる気がしないと、机に向かうこと自体がつらくなります。そのときは、やる量を下げて、やる日を切らさないほうを選びます。「帰りの電車に乗ったら、先週間違えた問題を3問だけ解く」のように、いつ・どこで・何をやるかを1文で決めておきます。この決め方はやる気に頼らない勉強の続け方で説明しています。

2週間やり方を変えたら、最初と同じ2つの物差し(解き直しの正答と、通しの点数)で測り直します。動いていれば、その型の直し方を続けます。動いていなければ、型の見分けをやり直します。続けるか、受験の年を変えるかは、この測り直しのあとで決めても遅くありません。

今日からやること

  • この1週間の勉強時間を「読む・解く・解き直す・通し」の4つに分けて書き出す。
  • 先週間違えた問題から10問を選び、答えを隠して解き直す。理由を言えない正解は✕に数える。
  • 表の目安で自分の型を決め、いちばん上の型から手をつける。
  • その型の直し方を、平日の勉強の最初の15分に入れる。
  • 2週間後の日付をカレンダーに書き、同じ物差しで測り直す日にする。

このサイトで次に読むなら、②の解き直しで「正解だけど理由を言えない」問題が多かった人は「できたつもり」を防ぐがおすすめです。○・△・✕の付け方を決めると、解き直しの束を作る基準がはっきりします。

参考にした研究・資料(2026年10月確認)