行政書士試験の文章理解:要旨・空欄・並べ替えを落とさない解き方

文章理解は、行政書士試験の基礎知識の4分野の一つです。法律の知識がいらないので、解き方の型を決めて練習すれば点が安定します。当サイトでは、問い方を3つの型に分けます。「要旨把握」「空欄補充」「並べ替え」です。要旨(文章でいちばん言いたいこと)は、「本文に書いてあるか」で答えを決めます。空欄は「前後で話の向きが変わるか」で決めます。並べ替えは「指示語と接続語が何を受けるか」で決めます。

基礎知識には足切り(この点に届かないと、合計点が高くても不合格になる基準)があります。令和7年度の合否判定基準では、14問中6問(24点)以上が必要でした。文章理解は、その6問の土台にしやすい分野です。この記事では、3つの型の手順を自作の短い例文で通します。過去の試験の文章は使っていません。

文章理解は試験のどこに入っていて、何点にかかわるか

総務省の「行政書士試験の施行に関する定め」は、基礎知識について「一般知識、行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令、情報通信・個人情報保護及び文章理解の中からそれぞれ出題すること」としています。出題は14題です。総務省はこの定めを改正したとき、考え方を示しました。そこでは、4つの分野から「毎年一題以上出題する」とされています。

文章理解が何問出るかは、公式には示されていません。分かっているのは、毎年1題以上出ることと、基礎知識の問題はすべて5肢択一式(令和7年度は1問4点)だということです。

足切りとの関係で大事なのは、6問のうち何問を「読めば取れる問題」で確保できるかです。一般知識の分野は範囲が広く、勉強しても当たるとは限りません。文章理解は、準備したぶんが点になりやすい分野です。だから、6問の計算に入れやすいのです。また、基礎知識の点は、全体の合格点180点(令和7年度)にも数えられます。ここで1問多く取れれば、法令等の負担も軽くなります。基礎知識全体の作戦は基礎知識の記事に、合格点と足切りの仕組みは合格点と足切りの記事にまとめています。

3つの型に共通する読み方

型が違っても、最初の手順は同じです。

  1. 設問を先に読む。要旨を選ぶのか、空欄を埋めるのか、並べ替えるのかで、本文の読み方が変わります。
  2. 話の向きが変わる語に印をつける。「しかし」「だが」「つまり」「したがって」「むしろ」などです。文章の書き手の言いたいことは、向きが変わった後に来ることが多いからです。
  3. 指示語(これ・その・こうした)が何を指すかを確かめる。指示語の中身を自分の言葉で言い換えられれば、文と文のつながりが見えます。
  4. 選択肢は「本文に書いてあるか」で判断する。自分の意見として正しいかどうかでは判断しません。

4つ目がいちばん大事です。文章理解の誤りの選択肢には、内容としてはもっともらしいものがよくあります。たとえば、本文が「記録をつけよう」という話なのに、「同僚に相談するとよい」という選択肢が出たとします。正しそうに聞こえても、本文に書いていなければ選びません。それでも本文にない内容なら誤りです。ここを割り切れるかどうかで、正答率が変わります。

要旨把握の型:本文にない・言い過ぎ・一部だけを外す

次の文章の要旨として最も適当なものを選ぶ問題です(このサイトのオリジナル問題)。

【本文】仕事の効率を上げたいとき、私たちはつい新しい道具や方法を探しがちだ。だが、道具を替えても成果が変わらないことは少なくない。問題の多くは、何に時間を使っているかを本人がつかんでいない点にあるからだ。まず一週間、自分の時間の使い方を記録してみるとよい。記録を見れば、減らすべき作業は自然と見えてくる。効率化は、新しいものを足すことからではなく、今していることを知ることから始まるのである。

  1. 仕事の効率を上げるには、新しい道具を取り入れることが欠かせない。
  2. 効率化の出発点は、自分が今何に時間を使っているかを知ることにある。
  3. 時間の使い方を記録すれば、どんな仕事でも成果は倍になる。
  4. 道具を替えても成果が変わらないのは、道具の性能が低いからである。
  5. 一週間の記録をつければ、減らすべき作業を同僚に指摘してもらえる。

解き方:本文には「だが」と「ではなく」があります。「だが」の後で、道具を替えても変わらない、と最初の考えを否定しています。最後の文の「AではなくB」は、書き手がBを言いたいときの形です。だから要旨は「今していることを知ることから始まる」で、正解は2です。

ほかの選択肢は、誤りの型の見本になっています。

  • 1は本文と逆。「だが」の前の、否定された考えです。
  • 3は言い過ぎ。「どんな仕事でも」「倍になる」は本文にありません。「すべて」「常に」「どんな〜でも」が出たら疑います。
  • 4は理由のすり替え。本文の理由は「本人がつかんでいない点」で、道具の性能ではありません。
  • 5は本文にない内容。同僚は出てきません。

もう一つ、例文には入れていませんが「一部だけ」の型もあります。本文に書いてあることでも、具体例や途中の話だけを取り出した選択肢は、要旨としては足りません。正しい内容の選択肢が2つ残ったら、「文章全体の結論を言っているのはどちらか」で決めます。

空欄補充の型:空欄の前後で話の向きを決める

次の文章の空欄A・Bに入る語の組み合わせを選ぶ問題です(このサイトのオリジナル問題)。

【本文】地図アプリは、目的地までの道を正確に示してくれる。( A )、道順を覚える力は、使わなければ衰えていく。便利な道具は、私たちの代わりに考えてくれる。( B )、考える機会そのものを減らしもするのだ。

  1. A しかし B つまり
  2. A しかし B 同時に
  3. A だから B 同時に
  4. A つまり B しかし
  5. A だから B つまり

解き方:Aの前は道具の良い面(正確に示す)、後ろは悪い面(覚える力が衰える)です。向きが逆なので、逆接(ぎゃくせつ。前と反対の話につなぐこと)の「しかし」が入ります。これで3・4・5が外れます。Bの後ろの「減らしもする」の「も」は、前の内容に別の面を付け加える合図です。「代わりに考えてくれる」の言い換えではないので「つまり」は合いません。正解は2です。

空欄補充は、はっきり決まる空欄から先に埋めて、選択肢を減らすのが基本です。両方を最初から考えると時間がかかります。語群(選ぶ言葉の一覧)から言葉を選ぶ形は、法令等の多肢選択式と同じ考え方で解けます。手順は多肢選択式の解き方の記事でも説明しています。

並べ替えの型:指示語と接続語で前後を決める

最初の文に続けて、ア〜エを正しい順に並べる問題です(このサイトのオリジナル問題)。

【最初の文】図書館の役割は、本を貸すことだけではない。

  • ア それは、本を借りない人にとっても、図書館が意味をもつということだ。
  • イ 調べものの相談に応じたり、地域の資料を残したりする仕事も、図書館の大切な役割である。
  • ウ たとえば、町の古い地図や写真は、図書館が集めておかなければ散らばって失われてしまう。
  • エ こうした資料は、いつか誰かが町の歴史を調べるときの手がかりになる。
  1. イ→ウ→エ→ア
  2. イ→エ→ウ→ア
  3. ウ→イ→エ→ア
  4. ア→イ→ウ→エ
  5. イ→ア→ウ→エ

解き方:つながりが一つに決まる文から押さえます。

  • エの「こうした資料」は、資料の具体例を受けています。具体例はウ(古い地図や写真)なので、ウ→エが決まります。ウとエが続いていない2と3が外れます。
  • ウの「たとえば」は、前に一般的な話が必要です。地域の資料の話をしているのはイなので、イ→ウ。イの次にアが来る5が外れます。
  • アの「それは」は、前の内容をまとめて意味づける文です。最初の文のすぐ後では、「それ」が指すものが足りません。最後に置くのが自然なので、アが最初に来る4が外れます。

正解は1です。並べ替えでは、すべての文を最初から順に試すと時間が足りなくなります。まず「たとえば」「こうした」「それは」のように、前に来るものが決まっている語を探します。そして2つずつの組を作ってから、選択肢と照らすと速くなります。選択肢を使って消していくのは、ずるい方法ではなく正しい解き方です。

本番で時間をかけすぎないためにどうするか

試験時間は午後1時から4時までの3時間で、令和7年度は60問でした。文章理解は本文を読む分、1問にかかる時間がほかの問題より長くなりがちです。当サイトでは、次の2つを決めておくことをすすめます。

  1. 1問の上限時間。練習のときに、自分が1問にかかる時間を測っておきます。本番は、それより少し長めの上限を決めます。たとえば、みさきさんが練習で測ったら、1問に6分かかったとします。それなら本番の上限は8分、のように決めます(数字は説明のための例です)。上限を超えたら、2つまで絞った選択肢のどちらかに印をつけて次へ進みます。
  2. 解く順番。基礎知識を先に解くか後に解くかを、模試や過去の問題で一度試して決めておきます。当日の流れと時間配分は試験当日の記事にまとめています。

練習の材料と頻度はどうするか

行政書士試験研究センターのサイトでは、過去の試験問題のPDFが公開されています(過去の試験問題と正解)。ただし、公開されている令和2年度〜令和7年度のどの年度も、問題1と問題58〜60などが著作権の関係で載っていません。文章理解は他人の文章を題材にするので、公開PDFだけでは練習の数が足りないことがあります。公開されている過去問の範囲と使い方は過去問の記事で確かめてください。

足りない分は、身近な文章で次の練習ができます。

  • 要旨を1〜2行で書く。新聞の社説(新聞社の意見を書いた記事)や新書の1節を読みます。そして、書き手がいちばん言いたいことを1〜2行にまとめます。「しかし」「つまり」の後に注目すると、まとめやすくなります。
  • 接続語を消して入れ直す。読んだ文章の接続語を隠し、何が入るかを考えてから元の文と比べます。空欄補充の練習になります。
  • 段落をばらして並べ直す。短い文章の文を切って順番を混ぜ、指示語と接続語だけを手がかりに戻します。並べ替えの練習になります。

回数は、週に2〜3問がよいと当サイトは考えます。勉強を始めた時期から試験まで、切らさずに続けます。まとめてやるより、間を空けずに続けるほうが、読み方の型が崩れません。通勤などのすき間時間に向いた勉強です。1日の時間の組み方は勉強時間の考え方の記事を参考にしてください。

文章理解で落としやすい場面と、その直し方

  • 自分の意見で選んでしまう。→ 選んだ選択肢の言葉が本文のどこに書いてあるか、指で押さえてから答える習慣をつけます。
  • 2つまで絞って迷う。→ 片方が「一部だけ」か「言い過ぎ」になっていないかを確かめます。迷ったら、文章全体の結論に近いほうを選びます。
  • 本文を最初から丁寧に読みすぎる。→ 設問を先に読みます。要旨なら結論の位置(「つまり」「のである」など)を、並べ替えなら指示語を探す読み方に切り替えます。
  • 間違えた理由を残さない。→ 間違えたら、「本文と逆」「言い過ぎ」「理由のすり替え」「本文にない」「一部だけ」のどの型だったかを一言メモします。自分が引っかかりやすい型が見えてきます。

次に読むなら、個人情報保護法の記事がおすすめです。文章理解と同じく、基礎知識の6問の土台にしやすい分野です。言葉の定義と、第三者に渡すときの条文を押さえれば、点になりやすいからです。

参考にした公式の情報(2026年10月確認)