行政書士試験は、3つの条件を全部満たすと合格です。令和7年度の合否判定基準(合格かどうかを決める基準)では、次の3つでした。①法令等科目が122点以上(満点244点の50%)。②基礎知識科目が24点以上(満点56点の40%)。③試験全体が180点以上(満点300点の60%)。
どれか1つでも届かなければ、ほかの点がどれだけ高くても不合格です。これがいわゆる「足切り」です。また、問題の難しさによって、合格の線が見直されることがあります。これを「補正的措置(ほせいてきそち)」といいます。令和8年度の配点と基準点は、合格発表のときに公表されます。
この記事では、次の順に説明します。数字の出どころ、足切りの計算、「122点を取っても180点に届かない」という落とし穴、補正の意味、目標点の決め方です。
合格の条件は何か:割合で決まる3つの基準
行政書士試験研究センター(試験を実施している機関。以下「センター」)は、合格の基準を「点数」ではなく「満点に対する割合」で示しています。次の3つを「いずれも」、つまり全部満たした人が合格です。
- 法令等科目の得点が、満点の50%以上
- 基礎知識科目の得点が、満点の40%以上
- 試験全体の得点が、満点の60%以上
この割合を令和7年度の満点にあてはめると、合否判定基準に書かれた具体的な点数になります。
| 区分 | 満点 | 割合 | 令和7年度の基準 |
|---|---|---|---|
| 法令等 | 244点 | 50% | 122点以上 |
| 基礎知識 | 56点 | 40% | 24点以上 |
| 全体 | 300点 | 60% | 180点以上 |
ここで押さえておきたいことがあります。「受験者の上位◯%を合格にする」という仕組みではない、という点です。基準を満たした人は全員合格になります。そのため、合格者の人数や合格率は年によって上下します(数字は合格率の推移と読み方にまとめています)。
配点はどうなっているか:令和7年度の内訳
基準点を計算するもとになる配点(問題ごとの点の割りふり)は、次のとおりです(令和7年度の合否判定基準による)。5肢択一式(ごしたくいつしき)は、5つの選択肢から1つを選ぶ形式です。
| 区分・形式 | 問数 | 1問の点 | 満点 |
|---|---|---|---|
| 法令等・5肢択一式 | 40問 | 4点 | 160点 |
| 法令等・多肢選択式 | 3問 | 8点 | 24点 |
| 法令等・記述式 | 3問 | 20点 | 60点 |
| 基礎知識・5肢択一式 | 14問 | 4点 | 56点 |
多肢選択式(たしせんたくしき)は、文章の空欄ア〜エに入る語句を選ぶ形式です。空欄1つにつき2点です。記述式は、40字程度で答えを書く形式です。1問20点あります。法令等の合計は244点で、基礎知識と合わせて300点です。
注意したいのは、配点は前もって公表されないことです。センターは、合否の発表のときに「合否判定基準」として満点などを公表しています。上の数字は令和7年度のものです。令和8年度の数字は、令和9年1月27日の合格発表で分かります。科目ごとにどこに点があるかは、科目と配点の全体像で詳しく見ています。
足切りにかかるのはどんなときか
足切りとは、科目ごとの最低点に届かないことです。最低点は、法令等が122点、基礎知識が24点です。どちらかに届かないと、全体の点に関係なく不合格になります。令和7年度の基準で、具体的に見てみます。
| 法令等 | 基礎知識 | 全体 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 164点 | 20点 | 184点 | 不合格(基礎知識が足りない) |
| 120点 | 56点 | 176点 | 不合格(法令等も全体も足りない) |
| 156点 | 24点 | 180点 | 合格 |
1行目を見てください。全体では180点を超えています。それでも、基礎知識が20点(5問正解)なので不合格です。法令等の点だけで計画を立てていると、見落としやすいところです。
基礎知識が「22.4点」ではなく「24点」になる理由
基礎知識の満点56点の40%は、56×0.4=22.4点です。ところが、令和7年度の基礎知識は14問すべてが5肢択一式で、1問4点でした。取れる点は0点、4点、8点……と4点きざみです。だから、22.4点以上でいちばん低い点は24点です。つまり14問中6問の正解が必要です。5問(20点)では届きません。
この「24点」は、公表された満点と割合から当サイトが計算した数字です。令和7年度の合否判定基準にも「24点以上」と書かれていて、計算と一致しています。
法令等の122点はちょうど半分
法令等は244×0.5=122点で、割り切れます。ただし、122点を取れば安心かというと、そうではありません。次の見出しで説明します。
122点を超えても180点に届かないのはなぜか
ここが合格点の仕組みでいちばん大事なところです。たとえば、さくらさんが法令等でちょうど122点を取ったとします。基礎知識で満点の56点を取っても、合計は178点です。180点に2点足りず、不合格になります。
つまり、法令等の122点は「最低限の線」にすぎません。実際に合格するには、全体の180点から逆算(ぎゃくさん。ゴールから引き算して考えること)した点が要ります。基礎知識の点ごとに、法令等で何点要るかを計算しました(令和7年度の配点と基準で計算)。
| 基礎知識 | 正解数 | 法令等で必要な点 | 法令等の満点に対する割合 |
|---|---|---|---|
| 24点 | 6問 | 156点 | 約64% |
| 32点 | 8問 | 148点 | 約61% |
| 40点 | 10問 | 140点 | 約57% |
| 48点 | 12問 | 132点 | 約54% |
| 56点 | 14問 | 124点 | 約51% |
この表から分かることは2つです。
- 基礎知識を足切りぎりぎり(24点)で終えると、法令等で156点が要る。これは満点の約64%にあたる。
- 基礎知識で1問(4点)多く取るごとに、法令等で必要な点が4点下がる。
法令等と基礎知識のどちらで点を積むかは、得意・不得意で変わります。大切なのは、自分の点の配分を数字で決めておくことです。
補正的措置とは何か:基準点が見直されることがある
センターは試験案内などで、「試験問題の難易度を評価し、補正的措置を加えることがあります」と書いています。かみくだくと、こういう意味です。その年の問題が、過去と比べて大きくやさしく、または難しくなったと認められたとき。そのときは合格の基準点を見直して、過去の試験と比べて不公平にならないようにする、ということです。
受験生として知っておきたい点は次の3つです。
- 補正があるかは前もって分からない。合否発表のときの合否判定基準で、初めて分かります。
- 令和7年度の基準は割合どおりの値だった。令和7年度の合否判定基準は122点・24点・180点でした。50%・40%・60%をあてはめた値と一致します。ただし、「令和7年度は補正なし」とはっきり書いた公式の文は、当サイトでは確認できていません。
- 補正を当てにした計画は立てない。補正があるかどうかも、その幅も予想できません。計画は割合どおりの基準(全体60%、法令等50%、基礎知識40%)で立てるのが筋です。
このため、当サイトは合格点を「180点で合格」と言い切りません。「令和7年度の合否判定基準では180点」のように、年度をつけて書いています。
自己採点で合否を見積もるときに気をつけること
試験が終わると、自分が基準に届いたかが気になります。見積もる前に、公式の公表の時期を知っておいてください。令和8年度の試験案内では、試験問題(著作権に関係するものを除く)は令和8年11月16日(月)以降に公表されます。正解は、令和9年1月27日(水)の合格発表日以降の公表です。つまり、発表前の自己採点は、公式の正解なしで行うことになります。
- 択一式と多肢選択式は、点を数えやすい部分です。自分の答えを問題用紙に書き残しておきましょう。
- 記述式(60点分)は、見積もりがいちばんぶれる部分です。部分点の付け方は、当サイトが確認した公式の案内には書かれていません。記述式を高めに見積もると、判断を誤りやすくなります。
- 3つの基準を別々に確かめます。全体の点だけを見て、基礎知識の24点を見落とさないようにします。
結果は、合格発表日に送られる合否通知書で確かめます。センターの案内では、合否通知書に得点・配点・合格基準点が書かれます。一方で、合否や得点についての問い合わせには応じないとしています。自己採点の手順は自己採点のしかたと合格発表までにやることで、記述式の書き方は記述式の書き方で扱っています。
目標点はどう決めるか:基準点ちょうどを狙わない
基準点は、あくまで「これ未満なら不合格」という線です。本番では、迷った問題を落としたり、記述式で思ったほど点が入らなかったりします。目標は、基準より上に余裕を持たせて決めます。決め方の例を示します(数字は計算の例です。ここまで取れるという目安ではありません)。
- 基礎知識の目標を決める。例として、足切りの6問より2問多い8問(32点)とします。
- 法令等で必要な点を出す。180−32=148点。これが最低線です。
- 余裕を足して、形式ごとに割りふる。例として、法令等の目標を160点にします。内訳は5肢択一式28問(112点)、多肢選択式16点、記述式32点のように分けます。
- どの科目で取るかを決める。5肢択一式の点の多くは、行政法と民法にあります。科目ごとの進め方は行政法の勉強法と民法の勉強法を参考にしてください。
基礎知識の足切りが心配な人は、先に基礎知識の範囲と24点の取り方を読んでください。どの分野で6問以上を取るかを決めておくと、計画が立てやすくなります。
合格点についての思い違い
「足切りは基礎知識だけ」
法令等にも基準(満点の50%)があります。基礎知識の足切りが話題になりやすいだけです。3つの条件は、どれも同じ重さです。
「180点を取れば合格」
180点は、全体の条件にすぎません。科目ごとの基準を満たしていなければ不合格です。また、補正的措置で基準点が見直される年もありえます。
「配点は毎年決まっている」
配点は前もって公表されません。この記事の配点は、令和7年度の合否判定基準によるものです。計画を立てるときの目安には使えます。ただ、令和8年度の正式な数字は、合格発表で確かめてください。
合格点の仕組みが分かったら、次は「その点がどの科目・形式にあるか」を確かめましょう。科目と配点の全体像を読むと、勉強の優先順位が決まります。
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