中央省庁再編(中央省庁等改革):2001年に1府22省庁が1府12省庁になった改革と、内閣府・内閣の機能の強化

ひとことで言うと、中央省庁再編は、2001年(平成13年)1月6日に、国の府省を「1府22省庁」から「1府12省庁」に大きくまとめ直した改革です(国土交通省『国土交通白書』、総務省行政管理局の資料)。あわせて基本法は、内閣に内閣府を置くこと、内閣総理大臣が閣議で国政の基本方針を発議できることを法制上明らかにすることなど、内閣の機能の強化を方針にしました(今の内閣府設置法2条・内閣法4条2項)。

「中央省庁再編」は一般に使われる呼び方で、法律の題名や定義の言葉ではありません。法律の言葉は「中央省庁等改革」で、その方針を定めたのが中央省庁等改革基本法(平成10年法律第103号。平成10年6月12日公布)です。この記事では、法律と公的機関の説明に書いてあることだけを扱い、改革の評価は書きません。

この記事の位置づけ:行政書士試験の基礎知識の4分野(一般知識・行政書士法等の業務関連法令・情報通信と個人情報保護・文章理解)のうち、一般知識の記事です。足切り(令和7年度の合否判定基準では基礎知識24点以上。6問分)を越えるには、文章理解と、条文で答えが決まる法令から先に固めるのが、基礎知識の記事で書いた当サイトの方針です。この記事は、そのうえで、一般知識のうち条文で決まっている国の組織の仕組みだけを扱います。条文は令和8年4月1日時点のものを e-Gov 法令検索で確かめました(2026年10月17日確認)。

身近な例で考えると

大学生のそうたさんが、祖父の家で1990年代の新聞を見つけた場面です。

  1. 新聞には「建設省」「運輸省」「国土庁」「北海道開発庁」という役所の名前が出てくる。今は聞かない名前だ。
  2. 調べると、この4つの省庁は2001年1月6日に一つにまとまり、国土交通省になっていた(『国土交通白書』)。
  3. 同じ日に、ほかの府省もまとめ直され、国の府省の数は「1府22省庁」から「1府12省庁」になった。
  4. そうたさんは、「数が減っただけでなく、内閣のはたらきを強める仕組みも入った」と知る。

たとえるなら、会社が細かく分かれていた部署をいくつかの大きな本部にまとめ、社長を支える企画室を新しく置いたようなものです。ただし本物の改革では、まとめ方の方針は基本法が定め、実際の府省は府省ごとの設置法(せっちほう=その役所を置き、仕事の範囲を定める法律)で置かれました。会社の組織図を社長が一枚で書き換えるのとは違います。

条文ではこう決まっている

中央省庁等改革基本法の目的と基本理念

  • 1条(目的):中央省庁等改革の基本的な理念と方針などを定め、中央省庁等改革推進本部を置くことなどにより、改革を進めることを目的とする。
  • 2条(基本理念):国が「本来果たすべき役割を重点的に担い、かつ、有効に遂行するにふさわしく」、国の行政組織と事務・事業の運営を簡素で効率的なものにし、総合性・機動性・透明性を高める、という考え方。
  • 3条(国の責務):国は、基本理念にのっとり、中央省庁等改革を進める責務を持つ。
  • 4条(基本方針):その1号で、内閣の機能を強化し、内閣総理大臣の国政運営上の指導性をより明確にし、内閣と内閣総理大臣を補佐・支援する体制を整える、とする。2号以下は、府省の編成のし直し、政策の企画と実施の分離、透明性の向上などの方針。

「なぜ再編したのか」と聞かれたら、この2条と4条に書いてあることが答えになります。基本法の5条は、新しい体制への移行を「できれば平成十三年一月一日を目標として」始めるとしていました。実際に新しい体制が発足したのは、平成13年1月6日です(首相官邸『時の動き』2001年1月号)。

基本法と設置法の役割の違い

基本法は改革の方針を定めた法律で、府省そのものを置いた法律ではありません。基本法の本則の見出しには「労働福祉省」「教育科学技術省」のような名前が出てきますが、実際に置かれたのは厚生労働省・文部科学省などで、内閣府と総務省など十の省の設置法が新しく作られました(『時の動き』2001年1月号)。試験で府省の名前を答えるときは、今の設置法の名前で覚えます。

内閣の機能の強化を定めた条文

仕組み今の条文中身
内閣総理大臣の発議内閣法4条2項閣議は内閣総理大臣が主宰し、内閣の重要政策に関する基本的な方針その他の案件を発議できる
内閣府の設置内閣府設置法2条「内閣に、内閣府を置く。」
内閣府の任務内閣府設置法3条1項・3項内閣の重要政策に関する内閣の事務を助ける。その際、内閣官房を助ける
内閣府の位置国家行政組織法1条この法律の「国の行政機関」から、内閣府(とデジタル庁)を除く

内閣総理大臣の発議は、基本法6条(内閣総理大臣の発議権)が、国政に関する基本方針を閣議にかけられることを「法制上明らかにするものとする」と求めていたものです。今の内閣法4条2項がその形です。内閣法4条3項は、各大臣も、案件を問わず内閣総理大臣に出して閣議を求められるとしています。

内閣府は、基本法10条で「内閣に、内閣総理大臣を長とする行政機関として置かれるもの」とされ、内閣府設置法で置かれました。省・委員会・庁は国家行政組織法3条2項の「国の行政機関」で、その設置と廃止は法律で定めます。内閣府はその外にあります。国家行政組織法の省・委員会・庁の区別は行政組織法の記事、内閣総理大臣の権限は内閣の記事で扱っています。

再編の前と後を1枚で

くらべる点再編の前再編の後(2001年1月6日〜)
数(公的資料の表記)1府22省庁1府12省庁
まとまった例北海道開発庁・国土庁・運輸省・建設省国土交通省
内閣を支える組織内閣官房など内閣官房に加えて内閣府
府省を置いた法律―内閣府設置法と各省の設置法

再編の後の府省は、首相官邸『時の動き』2001年1月号の組織図で、内閣府のほか、総務省・法務省・外務省・財務省・文部科学省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省・環境省の10の省が並んでいます。同じ号の「新府省の英語の名称」の欄には、内閣府・国家公安委員会・防衛庁と、この10の省の、あわせて13の名前が挙がっています。内閣府を除くと12で、「1府12省庁」の数と合います。

副大臣・大臣政務官を置くことと政務次官をなくすことは、国会審議の活性化及び政治主導の政策決定システムの確立に関する法律(平成11年法律第116号)が定め、今は国家行政組織法16条・17条が「各省に副大臣を置く」「各省に大臣政務官を置く」としています。2001年より後にも、デジタル庁やこども家庭庁など新しい組織ができています。

当てはまる例・当てはまらない例

  1. 当てはまる例:「建設省・運輸省・国土庁・北海道開発庁が統合して国土交通省になった」。2001年1月6日の再編の一部です。
  2. 当てはまる例:「内閣総理大臣は、閣議で内閣の重要政策の基本方針を自ら案件として出せる」。今の内閣法4条2項です。
  3. 当てはまらない例:「内閣府は国家行政組織法で置かれた省の一つ」。内閣府は内閣府設置法で内閣に置かれ、国家行政組織法1条は「国の行政機関」から内閣府を除いています。
  4. ひっかけやすい例:「新しい府省は基本法の名前のとおり置かれた」。基本法は方針の法律で、実際の府省とその名前は各設置法によります。

試験ではここをまちがえやすい

  • 日付:新体制の発足は2001年(平成13年)1月6日。基本法の公布は平成10年6月12日。基本法5条の「平成十三年一月一日を目標」と取り違えない。
  • 数:前が1府22省庁、後が1府12省庁(公的資料の表記)。再編の後の「1府」は内閣府。
  • 内閣府の位置:内閣府は内閣に置かれる(内閣府設置法2条)。国家行政組織法の省・委員会・庁ではない(同法1条)。
  • 発議できる人:重要政策の基本方針などを閣議で発議できるのは内閣総理大臣(内閣法4条2項)。各大臣は、案件を内閣総理大臣に出して閣議を求められる(4条3項)。
  • 通称と法律の言葉:「中央省庁再編」は通称。法律の言葉は「中央省庁等改革」。

○✕でたしかめよう

問1(このサイトのオリジナル問題)
2001年の中央省庁等改革で置かれた内閣府は、総務省や財務省と同じく、国家行政組織法にもとづく「省」の一つとして、内閣の統轄の下に置かれている。

答え:✕ 分かれ目は、内閣府を置いた法律と置かれた場所です。内閣府設置法2条は「内閣に、内閣府を置く」と定め、国家行政組織法1条は、同法の「国の行政機関」から内閣府を除いています。正しくは、内閣府は内閣に置かれる機関で、省ではありません。総務省・財務省などの省は、国家行政組織法3条2項の「国の行政機関」として置かれる機関で、こちらと取り違えています。

問2(このサイトのオリジナル問題)
内閣総理大臣Aは、ある重要政策の基本的な方針を閣議にかけたい。内閣法によれば、閣議の案件は各大臣が内閣総理大臣に提出するものに限られ、Aは閣議を主宰するものの、自らこの方針を発議することはできない。

答え:✕ 分かれ目は、閣議に案件を出す方法が大臣からの提出だけかどうかです。内閣法4条2項は、閣議は内閣総理大臣が主宰し、この場合に内閣総理大臣は「内閣の重要政策に関する基本的な方針その他の案件を発議することができる」としています。正しくは、Aは自らこの方針を発議できます。各大臣が案件を内閣総理大臣に提出して閣議を求める4条3項の仕組みだけだと取り違えた肢です。この発議は、中央省庁等改革基本法6条が「法制上明らかにする」よう求めていたものです。

問3(このサイトのオリジナル問題)
内閣府は、内閣官房の下に置かれる組織ではなく、内閣の重要政策に関する内閣の事務を助けることを任務とし、その任務を行うにあたっては内閣官房を助けるものとされている。

答え:○ 分かれ目は、内閣府と内閣官房の関係の向きです。内閣府設置法3条1項は内閣府の任務を「内閣の重要政策に関する内閣の事務を助けること」とし、3項は、その任務を行うにあたり「内閣官房を助けるものとする」としています。内閣府が内閣官房を指揮する、または内閣官房の一部だと考えると✕に見えます。内閣府は内閣に置かれる機関で(2条)、内閣官房とは別の組織です。

基礎知識の○✕は、行政書士の5分○✕ドリルの「基礎知識」で続けて解けます。

まとめ

  • 「中央省庁再編」は通称。法律の言葉は「中央省庁等改革」。中央省庁等改革基本法(平成10年法律第103号)が方針を定めた。
  • 2001年1月6日に新体制が発足。1府22省庁→1府12省庁。例:4つの省庁が国土交通省に。
  • 内閣の機能の強化:内閣総理大臣の発議(内閣法4条2項)、内閣に内閣府(内閣府設置法2条)。内閣府は内閣官房を助ける(3条3項)。
  • 内閣府は国家行政組織法の「国の行政機関」ではない(同法1条)。副大臣・大臣政務官は各省に置く(16条・17条)。

参考にした公式の情報(2026年10月確認)

条文は、e-Gov 法令検索で令和8年4月1日時点のものを確かめました。発足の日と府省の数は、首相官邸・国土交通省・総務省の資料で確かめました(いずれも2026年10月17日確認)。

このサイトで次に読むなら、行政主体と行政機関の記事です。内閣府や省がどんな「行政機関」に当たるかを、行政法の言葉で整理し直せます。

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