宅建の抵当権の問題:順位・法定地上権・物上代位・配当の計算を解く○✕20問

この記事は、宅建試験の抵当権(根抵当権を含む)を○✕20問で確かめる一問一答です。問題はすべてこのサイトのオリジナルで、正誤は令和8年4月1日に施行されている民法・民事執行法の条文と、裁判所のウェブサイトで確かめた最高裁判所の判例で確かめています。

当サイトが、不動産適正取引推進機構が公開している過去の試験(昭和63年度〜令和7年度の40回、2,000問)を1問ずつ読んで数えたところ、抵当権が主な論点の問題は29問、根抵当権は6問で、合わせて35問でした。直近10回(令和7年度〜平成30年度。令和2・3年度は10月・12月の2回ずつ)では5問です(分け方は当サイトの判断で、公式の分類ではありません)。

配当の計算の問題は、費用や利息を考えない前提を置き、答えが一つに決まる数字にしています。解説には式と検算を書きました。20問は、①配当の計算、②法定地上権、③物上代位と効力の及ぶ範囲、④第三取得者と賃借人、⑤抵当権の目的と根抵当権、の5つに分けました。抵当権の基本は抵当権の記事で確かめられます。

この20問の解き方

  1. 配当の計算は、まず処分がないときの配当を出し、そのあと処分をした人と受けた人の分だけを動かす。最後に合計が競売代金と一致するか検算する。
  2. 法定地上権は、「抵当権を設定した時」の土地と建物の持ち主を書き出してから判断する。
  3. ✕と決めたら、正しい金額か結論を一言で言ってから答えを見る。

配当の計算:順位と抵当権の処分・利息・共同抵当(問1〜6)

順位の譲渡・放棄、抵当権の譲渡・放棄、順位の変更の5通りの計算の手順は抵当権の処分の記事で、別の数字で解いています。ここでは数字を変えて、取り違えやすい組み合わせを当てはめます。

問1(このサイトのオリジナル問題)
競売代金4,600万円の甲土地に、Aの1番抵当権(債権1,000万円)、Bの2番(2,000万円)、Cの3番(3,000万円)があった(費用・利息は考えない)。AがCのために順位を放棄していたとき、Aの配当は650万円である。

答え:○ 分かれ目は、順位を放棄したAに配当が残るかです。処分がなければA1,000万円・B2,000万円・C1,600万円です。順位の放棄(376条1項)では、AとCの取り分の合計2,600万円を、債権額の割合1対3で分けるので、A650万円・C1,950万円になり、Bは2,000万円のままです(検算:650+2,000+1,950=4,600)。放棄したAは何も受けない(順位の譲渡の計算)、またはAは1,000万円のまま、と考えると✕にしてしまいます。

問2(このサイトのオリジナル問題)
問1と同じ競売(代金4,600万円、1番A1,000万円・2番B2,000万円・3番C3,000万円)で、AがCに抵当権の順位を譲渡していた。この場合、Cが1番の位置で3,000万円を受け、Bの配当は1,600万円に減る。

答え:✕ 分かれ目は、順位の譲渡で間にいるBの配当が変わるかです。順位の譲渡では、AとCの取り分の合計2,600万円からCが先に取るので、C2,600万円・A0円で、Bは2,000万円のままです(検算:0+2,000+2,600=4,600)。正しくは、Bの配当は減りません。各抵当権者の合意と登記で順位そのものを入れ替える順位の変更(374条)なら、C3,000万円・B1,600万円・A0円となり、これと取り違えた形です。

問3(このサイトのオリジナル問題)
問1と同じ競売(代金4,600万円、1番A1,000万円・2番B2,000万円・3番C3,000万円)で、Aは、抵当権を持たない債権者D(債権3,000万円)のために抵当権を放棄していた。この場合、Dの配当は1,000万円である。

答え:✕ 分かれ目は、抵当権の放棄と譲渡の違いです。抵当権の放棄(376条1項)では、Aの取り分1,000万円を、AとDの債権額の割合1対3で分けます。正しくは、A250万円・D750万円で、B・Cは変わりません(検算:250+750+2,000+1,600=4,600)。Dが1,000万円を全部取るのは、Aの取り分からDが先に取る抵当権の譲渡の場合で、これと取り違えた形です。

問4(このサイトのオリジナル問題)
Aは甲土地に1番抵当権(元本1,000万円、年10%の利息)を持ち、利息を3年分滞納されている(特別の登記はない)。2番抵当権者Bがいる場合、Aが競売代金から抵当権によって受けられるのは1,300万円である。

答え:✕ 分かれ目は、利息を抵当権で受けられる範囲です。抵当権者が利息などの定期金について抵当権を行使できるのは、満期となった最後の2年分です(375条1項)。正しくは、元本1,000万円と2年分の利息200万円で1,200万円です。それより前の利息も、満期後に特別の登記をすればその登記の時から行使できますが(同項ただし書)、この問では登記がありません。債務不履行の損害賠償も、利息と通算して2年分が上限です(同条2項)。

問5(このサイトのオリジナル問題)
Aは、債務者Eが所有する甲土地(6,000万円で売却)と乙建物(4,000万円で売却)に債権5,000万円の1番共同抵当権を、Bは甲土地だけに2番抵当権(債権4,000万円)を持つ。甲・乙の代金を同時に配当するとき、Bの配当は3,000万円である。

答え:○ 分かれ目は、同時配当の負担の分け方です。同時に配当するときは、各不動産の価額に応じて債権の負担を按分します(392条1項)。Aの5,000万円を6対4で分けると、甲土地から3,000万円、乙建物から2,000万円です。Bは甲土地の残り6,000万円−3,000万円=3,000万円を受けます。Aが甲土地から5,000万円を全部取ると考えると、Bは1,000万円となり✕にしてしまいます。

問6(このサイトのオリジナル問題)
問5と同じ関係(どちらも債務者Eの所有。甲土地6,000万円・乙建物4,000万円にAの1番共同抵当権5,000万円、甲土地にBの2番抵当権4,000万円)で、甲土地だけが先に競売され、Aが5,000万円を受けた。この場合、Bは、乙建物についてAに代位できない。

答え:✕ 分かれ目は、異時配当のときの次順位者の代位です。一つの不動産の代価だけを先に配当するときは、先順位のAはその代価から全額を受けられますが、次順位のBは、Aが他の不動産の代価から受けるべきであった額を限度として、Aに代位して抵当権を行使できます(392条2項)。正しくは、Bは乙建物について2,000万円まで代位でき、甲土地の残り1,000万円と合わせ、同時配当と同じ3,000万円になります。

法定地上権:抵当権を設定した時で決める(問7〜9)

法定地上権の成立と不成立を分けた判例の一覧は法定地上権の記事にまとめています。

問7(このサイトのオリジナル問題)
Aは、自分の土地と、その上の自分の建物の両方に、Bのための抵当権を設定した。抵当権が実行され、土地はC、建物はDが買い受けた場合、建物のために法定地上権が成立する。

答え:○ 分かれ目は、土地と建物の両方に抵当権を設定した場合も388条に入るかです。388条は、土地と建物が同一の所有者に属する場合に「その土地又は建物につき」抵当権が設定され、その実行で所有者が別々になったときに、地上権が設定されたものとみなします。両方に抵当権があっても、競売で持ち主が分かれれば要件を満たします。法定地上権は土地か建物の一方だけに抵当権がある場合の制度、と考えると✕に見えます。

問8(このサイトのオリジナル問題)
Aの土地に1番抵当権が設定された当時、地上の建物はAの父Eのもので、その後Aが建物を相続してから、土地に2番抵当権が設定された。1番抵当権が残ったまま実行されFが土地を買い受けた場合、法定地上権は成立する。

答え:✕ 分かれ目は、どの抵当権を設定した時で判断するかです。最高裁判所第二小法廷平成2年1月22日判決は、土地の1番抵当権を設定した当時、土地と建物の所有者が異なっていた場合は、その後に同一人の所有になって後順位抵当権が設定されても、抵当権の実行で1番抵当権が消滅するときは法定地上権は成立しない、としました。正しくは、成立しません。2番抵当権を設定した時に同じ持ち主だったことだけで判断した取り違えです。

問9(このサイトのオリジナル問題)
AとEが共有する土地の上に、A一人が所有する建物がある。Aが土地の自分の持分にCの抵当権を設定し、これが実行されてDがその持分を買い受けた場合、建物のために法定地上権が成立する。

答え:✕ 分かれ目は、共有なのが土地か建物かです。最高裁判所第一小法廷昭和29年12月23日判決は、土地の共有者の一人だけについて388条本文の事由が生じても、他の共有者の意思にかかわらずその持分まで無視されるいわれはなく、その共有の土地には地上権は発生しないとしました。正しくは、Eの持分に地上権の負担を負わせることはできないので、法定地上権は成立しません。建物が共有で、その敷地を共有者の一人が持つ場合は、建物の共有者全員のために成立するとされていて(法定地上権の記事の問3)、土地と建物のどちらが共有かを取り違えると結論が逆になります。

物上代位と、抵当権の効力が及ぶ範囲(問10〜12)

物上代位の差押えの時期と、賃料・転貸賃料・相殺の扱いは物上代位の記事で確かめられます。

問10(このサイトのオリジナル問題)
Bは、Aの賃貸ビルに抵当権を持ち、物上代位として、賃借人Cに対するAの賃料債権を差し押さえた。その後、賃貸借が終わってCが明け渡したとき、未払の賃料債権は、Cが預けた敷金の充当によりその限度で消滅する。

答え:○ 分かれ目は、物上代位の差押えと敷金の充当の関係です。最高裁判所第一小法廷平成14年3月28日判決は、敷金が授受された賃貸借の賃料債権を抵当権者が物上代位で差し押さえた場合でも、賃貸借が終了し目的物が明け渡されたときは、賃料債権は敷金の充当によりその限度で消滅するとしました。差押えが先なので、Bは敷金の分も取り立てられる、と考えると✕に見えます。

問11(このサイトのオリジナル問題)
Aが更地にBの抵当権を設定して登記した後、Aから土地を借りたCがその上に建物を建てた(Cの賃借権はBに対抗できない)。この場合、Bは、土地とともにCの建物を競売することができる。

答え:○ 分かれ目は、一括競売が抵当権の設定者が建てた建物に限られるかです。389条1項は、抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は土地とともにその建物を競売できるとし、建てた人を限っていません。除かれるのは、建物の所有者が抵当地を占有することについて抵当権者に対抗できる権利を持つ場合です(同条2項)。Cの賃借権はBに対抗できないので、2項には当たりません。建物はAのものではないので一括して競売できない、と考えると✕に見えます。優先して弁済を受けられるのは、土地の代価についてだけです(1項ただし書)。

問12(このサイトのオリジナル問題)
Aは、自分の建物にBの抵当権を設定した後、その建物に浴室を増築した(増築部分は独立した建物ではない)。抵当権が実行されたとき、Bの抵当権の効力は、この増築部分にも及ぶ。

答え:○ 分かれ目は、設定の後に付け加わった物にも効力が及ぶかです。抵当権は、抵当地の上の建物を除き、抵当不動産に付加して一体となっている物に及びます(370条本文)。設定の時になかった物には及ばない、と考えると✕に見えます。設定行為に別段の定めがある場合などは除かれます(同条ただし書)。土地の抵当権が、その上の建物には及ばない点と区別します。

第三取得者と賃借人(問13〜16)

抵当権の付いた土地を買った人が取れる手段(代価弁済と抵当権消滅請求)は抵当権消滅請求と代価弁済の記事で比べています。

問13(このサイトのオリジナル問題)
Aの抵当権が付いた建物をBが買い受け、雨漏りを直すための必要費を支出した。その後、抵当権が実行された場合、Bは、建物の代価から、他の債権者より先に必要費の償還を受けることができる。

答え:○ 分かれ目は、第三取得者が支出した費用の扱いです。抵当不動産の第三取得者が必要費や有益費を支出したときは、196条の区別に従い、抵当不動産の代価から他の債権者より先に償還を受けられます(391条)。抵当権者が最も優先される、と考えると✕に見えます。建物の価値を保つための費用は、抵当権者にとっても利益になるので、先に返されるしくみです。

問14(このサイトのオリジナル問題)
Aは、Bから借りたお金の担保として、自分の土地にBの抵当権を設定した。返済が滞って抵当権が実行された場合、土地の所有者であるAも、その競売で買受人となることができる。

答え:✕ 分かれ目は、競売で買受人になれない人です。担保不動産競売には不動産の強制競売の規定が準用され(民事執行法188条)、その中の68条は「債務者は、買受けの申出をすることができない」としています。正しくは、債務者でもあるAは買い受けられません。抵当権の付いた土地を買った第三取得者は、その競売で買受人となることができ(民法390条)、これと取り違えた形です。他人の借金のために自分の土地に抵当権を付けた物上保証人は債務者ではないので、68条の制限は受けません。

問15(このサイトのオリジナル問題)
抵当権の付いた土地を買ったBが、抵当権者Aに、代価を払うので抵当権を消してほしいと書面で求めた(抵当権消滅請求)。Aが書面の送付を受けた後2か月以内に競売を申し立てないときは、Bの提供した額を承諾したものとみなされる。

答え:○ 分かれ目は、抵当権消滅請求を受けた抵当権者が何もしないときの扱いです。書面の送付を受けた債権者が、送付を受けた後2か月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないときは、第三取得者が提供した代価や金額を承諾したものとみなされます(384条1号)。抵当権者が承諾すると答えない限り抵当権は残る、と考えると✕に見えます。断りたい抵当権者は、2か月以内に競売を申し立てます。

問16(このサイトのオリジナル問題)
Aの土地にBの抵当権が登記された後、Cがその土地を借りて駐車場として使い始めた(賃借権はBに対抗できない)。抵当権が実行されDが土地を買い受けた場合、Cは、買受けの時から6か月間は土地を引き渡さなくてよい。

答え:✕ 分かれ目は、明渡しの猶予の対象です。抵当権者に対抗できない賃貸借で使用する者のうち、競売手続の開始前から使用する者などは、買受けの時から6か月を経過するまで引き渡さなくてよいとされていますが、その対象は抵当権の目的である「建物」です(395条1項)。正しくは、土地を借りたCに猶予はありません。建物の賃借人の猶予を、土地の賃借人に広げた取り違えです。

抵当権の目的と根抵当権(問17〜20)

問17(このサイトのオリジナル問題)
Aは、建物を所有する目的で、Bから土地を賃借している。Aは、この土地の賃借権そのものに、融資をする銀行Cのための抵当権を設定することができる。

答え:✕ 分かれ目は、抵当権の目的になる権利です。抵当権の目的は不動産で(369条1項)、権利では地上権と永小作権も目的にできます(同条2項)。正しくは、賃借権は抵当権の目的にできません。同じ土地を使う権利でも、物権の地上権と、債権の賃借権を取り違えた形です。

問18(このサイトのオリジナル問題)
元本の確定前に、根抵当権者Aと設定者Bは、根抵当権が担保する債権の範囲を変更する合意をした。その変更の登記をしないうちに元本が確定した場合でも、変更後の範囲の債権が根抵当権で担保される。

答え:✕ 分かれ目は、変更の登記がないまま元本が確定したときの扱いです。元本の確定前なら、債権の範囲は後順位の抵当権者などの承諾なしに変更できますが(398条の4第1項・2項)、元本の確定前に登記をしなかったときは、その変更をしなかったものとみなされます(同条3項)。正しくは、変更前の範囲の債権だけが担保されます。登記は第三者に対抗するためのもの(177条)なので当事者の間では変更が効いている、と考えた取り違えです。

問19(このサイトのオリジナル問題)
元本の確定前に、根抵当権者Aと設定者Bは、元本の確定期日を変更することにした。この変更に後順位の抵当権者Cの承諾は要らないが、新しい期日は、変更をした日から5年以内でなければならない。

答え:○ 分かれ目は、確定期日の変更の要件です。元本の確定期日は定めたり変更したりでき(398条の6第1項)、後順位の抵当権者などの承諾は要りません(同条2項が398条の4第2項を準用)。期日は、定めたり変更したりした日から5年以内でなければなりません(398条の6第3項)。期日を延ばすと後順位のCに不利になるので承諾が要る、または期日に上限はない、と考えると✕に見えます。承諾が要るのは極度額の変更で(398条の5)、これと区別します。

問20(このサイトのオリジナル問題)
元本の確定前に、根抵当権者Aから、根抵当権が担保する範囲に入る債権の一つを譲り受けたDは、その債権について根抵当権を行使することができる。

答え:✕ 分かれ目は、確定前の根抵当権に随伴性があるかです。元本の確定前に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することができません(398条の7第1項)。正しくは、Dは根抵当権を使えません。債権が譲渡されると抵当権も一緒に移る、という普通の抵当権の性質(随伴性)を、確定前の根抵当権に当てはめた取り違えです。

まちがえた問題から、直す所を決める

分かれ目の種類問題直し方
処分の種類の取り違え問1・2・3処分なしの配当を出し、動く人だけ動かす
上限と按分問4・5・62年分の上限と、価額の割合を式に書く
法定地上権の要件問7・8・9設定した時の持ち主と、土地・建物のどちらが共有かと、残る抵当権を確かめる
効力の及ぶ範囲問10・11・12敷金・一括競売の対象・付加一体物を確かめる
第三取得者と賃借人問13〜16費用・買受けができる人・2か月・建物だけを確かめる
目的と根抵当権問17〜20承諾・登記・期日の要件と、確定前の債権の譲渡を分ける

配当の計算でまちがえた問題は、答えの金額を見る前に、処分がないときの配当を書き、合計が競売代金と一致するかを確かめてから、処分の種類ごとに動く人を決め直します。式を一行ずつ書くと、どこで手順がずれたかが見つかります。

この20問のあとは、宅建の5分○✕ドリルの権利関係で、抵当権を含む民法の問題を続けて解けます。1回10問で、✕と△を付けた問題が間をあけて戻ってきます。

参考にした公式の情報(2026年10月確認)