この記事は、宅建試験の相続(相続人・相続分・承認と放棄・遺言・遺留分・配偶者居住権)を○✕20問で確かめる一問一答です。問題はすべてこのサイトのオリジナルで、正誤は令和8年4月1日に施行されている民法と、法務局における遺言書の保管等に関する法律の条文で確かめています。
当サイトが、不動産適正取引推進機構が公開している過去の試験(昭和63年度〜令和7年度の40回、2,000問)を1問ずつ読んで数えたところ、相続・遺言・遺留分・配偶者居住権が主な論点の問題は合わせて38問でした。直近10回(令和7年度〜平成30年度。令和2・3年度は10月・12月の2回ずつ)では11問です(分け方は当サイトの判断で、公式の分類ではありません)。
相続の問題は、まず家族の図を描き、だれが相続人になるかを決めるところから始まります。20問は、①相続人と相続分、②承認と放棄、③遺言、④遺留分と配偶者、の4つに分けました。相続分の計算の手順は法定相続分の計算の記事、相続の全体は相続の記事で確かめられます。
この20問の解き方
- 問題文の家族を、被相続人を真ん中にした図に書き出す。亡くなった人・放棄した人・欠格や廃除の人に印をつける。
- 相続人の順位(子→直系尊属→兄弟姉妹)を決め、配偶者の相続分を先に置いてから、残りを同じ順位の人で分ける。
- ✕と決めたら、正しい相続人か割合を一言で言ってから答えを見る。
相続人と相続分:家族の図で決める(問1〜9)
問1(このサイトのオリジナル問題)
子のいないAが死亡し、妻Bと、Aの両親である父C・母Dが残された。この場合、Dが受ける法定相続分は6分の1である。
答え:○ 分かれ目は、直系尊属が2人いるときの分け方です。配偶者と直系尊属が相続人のときは、配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1で(900条2号)、直系尊属が数人あれば等しく分けます(同条4号)。Dは3分の1の半分で6分の1です。母は1人で3分の1を受ける、と考えると✕にしてしまいます。
問2(このサイトのオリジナル問題)
Aが死亡し、妻Bと子C・Dがいたが、C・Dはともに相続を放棄した(Aの母Eは存命)。この場合、Bの法定相続分は3分の2である。
答え:○ 分かれ目は、子が全員放棄したあとの相続人です。放棄をした人は、初めから相続人とならなかったものとみなされるので(939条)、子がいない場合と同じになり、直系尊属のEが相続人に加わります。BとEなので、Bは3分の2です(900条2号)。子が放棄したら配偶者が全部を受ける、と考えると✕に見えます。
問3(このサイトのオリジナル問題)
Aが死亡し、相続人は妻Bと、Bとの間の子Cと、婚姻していない女性との間に生まれAが認知した子Dである。この場合、Dの法定相続分は、Cと同じ4分の1である。
答え:○ 分かれ目は、嫡出でない子の相続分です。子と配偶者が相続人のときは各2分の1で(900条1号)、子が数人あれば等しく分けます(同条4号)。今の900条4号には、嫡出でない子の相続分を嫡出子の2分の1とする定めはありません。その定めがあったころの知識で8分の1と答えると、✕にしてしまいます。
問4(このサイトのオリジナル問題)
子も直系尊属もいないAが死亡し、妻Bと、Aより先に死亡した兄Cの子Dが残された。この場合、DはCを代襲してAの相続人となり、その法定相続分は4分の1である。
答え:○ 分かれ目は、兄弟姉妹の子の代襲です。兄弟姉妹が相続人となる場合にも887条2項が準用され(889条2項)、Aより先に死亡した兄Cの子Dが代襲します。配偶者と兄弟姉妹が相続人のときは4分の3と4分の1なので(900条3号)、Dは4分の1です。代襲は被相続人の子の系統だけ、と考えると✕に見えます。兄弟姉妹の系統では、Dの子による再代襲(887条3項)は準用されていない点と区別します。
問5(このサイトのオリジナル問題)
Aの子Bは、Aの遺言書を偽造したため、相続人となることができない。この場合、相続の放棄と同じく、Bの子CもAの相続人とならない。
答え:✕ 分かれ目は、代襲相続が起こる原因です。代襲相続は、子が相続開始以前に死亡したとき、欠格(891条)にあたったとき、廃除によって相続権を失ったときに起こります(887条2項)。遺言書の偽造は欠格事由なので(891条5号)、正しくは、CがBを代襲してAの相続人となります。代襲の原因に入っていない相続の放棄と取り違えた形です。
問6(このサイトのオリジナル問題)
Aが死亡し、相続人は妻B、子C、Aより先に死亡した子Dの子E・Fの4人である。この場合、Eの法定相続分は6分の1である。
答え:✕ 分かれ目は、代襲相続人の相続分の出し方です。代襲相続人は、親が受けるべきであった相続分を受け、数人いればそれを900条に従って分けます(901条1項)。子の2分の1をCとDの系統で4分の1ずつに分け、Dの4分の1をE・Fで分けるので、正しくは、Eは8分の1です。子の2分の1をC・E・Fの3人の頭数で割った取り違えです。
問7(このサイトのオリジナル問題)
Bは、Cと普通養子縁組をしてCの養子となった。その後、Bの実父Aが死亡した場合でも、Bは、Aの相続人となる。
答え:○ 分かれ目は、普通養子と特別養子の違いです。養子は縁組の日から養親の嫡出子の身分を取得しますが(809条)、実方の父母との親族関係が終わるのは特別養子縁組の場合です(817条の9)。普通養子のBは、実父Aと養親Cの両方の相続人になれます。養子に出たら実親を相続しない、と考えると✕に見えます。
問8(このサイトのオリジナル問題)
Aには子も直系尊属もなく、相続人となるのは兄Bだけである。Aは、Bから重大な侮辱を受けたので、家庭裁判所にBの廃除を請求することができる。
答え:✕ 分かれ目は、廃除できる相続人の範囲です。廃除の対象は「遺留分を有する推定相続人」に限られます(892条)。兄弟姉妹には遺留分がないので(1042条1項)、正しくは、Bの廃除は請求できません。Aは、全財産を他の人に遺贈する遺言をすれば、Bに財産が渡らないようにできます。重大な侮辱という廃除の事由だけを見て、対象の限定を落とした取り違えです。
問9(このサイトのオリジナル問題)
Aが死亡した時、妻Bは子Cを妊娠しており、ほかの家族はAの母Dだけだった。その後Cが生きて生まれた場合、Cの法定相続分は2分の1である。
答え:○ 分かれ目は、胎児の扱いです。胎児は、相続については既に生まれたものとみなされ(886条1項)、死体で生まれたときはこの扱いをしません(同条2項)。Cが生きて生まれたので、Aの子として相続人になり、BとCが2分の1ずつで、母Dは相続人になりません。相続開始の時に生まれていないので相続人ではない、と考えると✕に見えます。
承認と放棄、包括遺贈(問10〜12)
問10(このサイトのオリジナル問題)
Aの子Bは、Aの死亡を知った後、遺産であるAの自動車を売却した。その後、Aに多額の借金があると分かった。Aの死亡を知った時から3か月以内であれば、Bは相続を放棄できる。
答え:✕ 分かれ目は、処分による単純承認です。相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは、単純承認をしたものとみなされます(921条1号)。保存行為と短期の賃貸は除かれますが、売却は処分です。正しくは、3か月以内でも、Bはもう放棄できません。熟慮期間(915条1項)を過ぎたときの単純承認(921条2号)だけを考えた取り違えです。
問11(このサイトのオリジナル問題)
Aの子Bは、Aの生前に、Aの借金を引き継がないよう、家庭裁判所に相続の放棄を申述した。この放棄は、Aが死亡した時に効力を生じる。
答え:✕ 分かれ目は、相続開始前に放棄できるかです。相続の放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に(915条1項)、家庭裁判所に申述してするもので(938条)、相続の開始前にはできません。正しくは、生前の申述で放棄の効力は生じません。相続開始前でも家庭裁判所の許可を受ければできる「遺留分の放棄」(1049条1項)と取り違えた形です。
問12(このサイトのオリジナル問題)
Aは、友人Cに「全財産の3分の1を遺贈する」と遺言して死亡した。Cは、Aの死亡後であれば、いつでも、この遺贈を放棄することができる。
答え:✕ 分かれ目は、包括遺贈と特定遺贈の違いです。財産の割合で贈る包括遺贈の受遺者は、相続人と同一の権利義務を持つので(990条)、放棄も相続人と同じく、知った時から3か月以内に家庭裁判所に申述してします(915条1項・938条)。正しくは、いつでも放棄できるわけではありません。「いつでも」放棄できるのは特定遺贈の受遺者(986条1項)で、これと取り違えた形です。
遺言:検認・撤回・遺言執行者(問13〜16)
遺言の方式(自筆証書・公正証書)と撤回のしかたは遺言の記事にまとめています。
問13(このサイトのオリジナル問題)
Aは、自筆証書遺言を作り、法務局(遺言書保管所)に保管してもらった。Aの死亡後、この遺言書については、家庭裁判所の検認を受ける必要はない。
答え:○ 分かれ目は、検認がいらない遺言書の範囲です。遺言書の保管者や見つけた相続人は家庭裁判所に検認を請求しなければなりませんが(1004条1項)、公正証書遺言にはこれを適用せず(同条2項)、遺言書保管所に保管されている遺言書にも適用しません(遺言書保管法11条)。自筆証書遺言はいつも検認が要る、と考えると✕に見えます。
問14(このサイトのオリジナル問題)
Aは、公正証書遺言で甲土地をBに遺贈するとしたが、その後、方式を満たした自筆証書遺言で、甲土地をCに遺贈するとした。この場合、甲土地のBへの遺贈は撤回したものとみなされる。
答え:○ 分かれ目は、撤回に同じ方式が要るかです。遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って遺言の全部または一部を撤回でき(1022条)、前の遺言と後の遺言が抵触するときは、抵触する部分について後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされます(1023条1項)。撤回の遺言は、前の遺言と同じ方式である必要はありません。公証人が関わる公正証書遺言は自筆証書遺言では覆せない、と考えると✕に見えます。
問15(このサイトのオリジナル問題)
Aは、遺言書に「この遺言は撤回しない」と書き、受遺者Bにもそう約束した。この場合、Aは、その後この遺言を撤回することはできない。
答え:✕ 分かれ目は、撤回する権利を放棄できるかです。遺言者は、その遺言を撤回する権利を放棄することができません(1026条)。正しくは、Aは、遺言の方式に従って、いつでも撤回できます。契約なら約束に縛られる、という考え方を遺言に当てはめた取り違えです。遺言は死亡の時まで、遺言者の最終の意思を尊重するしくみです。
問16(このサイトのオリジナル問題)
Aは、甲土地をBに遺贈し、Cを遺言執行者に指定して死亡した。相続人Dが、甲土地を、遺言執行者がいることを知らないEに売った場合、Bは、Dの売却の無効をEに主張できる。
答え:✕ 分かれ目は、遺言執行者がいるときの相続人の処分の効力です。遺言執行者がいる場合、相続人は遺言の執行を妨げる行為をすることができず、これに反した行為は無効ですが、その無効は善意の第三者に対抗できません(1013条1項・2項)。正しくは、BはEに無効を主張できません。2項本文の「無効」だけを覚え、ただし書の善意の第三者の保護を落とした取り違えです。
遺留分と配偶者居住権(問17〜20)
配偶者居住権の成立と消滅は配偶者居住権の記事で扱っています。
問17(このサイトのオリジナル問題)
配偶者も子もいないAが、全財産を友人Dに遺贈して死亡し、相続人は父Bと母Cである。Bは、遺留分を算定するための財産の価額の6分の1を遺留分として主張できる。
答え:○ 分かれ目は、直系尊属だけが相続人のときの遺留分の割合です。直系尊属のみが相続人のときは全体で3分の1、それ以外は2分の1で(1042条1項)、相続人が数人あれば法定相続分を掛けます(同条2項)。3分の1に2分の1を掛けて6分の1です。全体を2分の1として4分の1と考えると✕にしてしまいます。
問18(このサイトのオリジナル問題)
Aは、死亡の半年前に友人Cに現金を贈与し、遺言で友人Dに預金を遺贈した。子Bの遺留分が侵害されているとき、Bの遺留分侵害額は、まず贈与を受けたCが負担する。
答え:✕ 分かれ目は、受遺者と受贈者の負担の順番です。受遺者と受贈者があるときは、受遺者が先に負担します(1047条1項1号)。正しくは、まず遺贈を受けたDが負担し、足りないときにCが負担します。贈与のほうが先にされたから先に負担する、と時の順で考えた取り違えです。受贈者が複数いるときは、後の贈与を受けた者から順に負担します(同項3号)。
問19(このサイトのオリジナル問題)
Aの死亡から10年を過ぎて、子Bは、Aが全財産を遺贈していたことを初めて知った。Bは、知った時から1年以内であれば、遺留分侵害額請求をすることができる。
答え:✕ 分かれ目は、二つの期間の関係です。遺留分侵害額の請求権は、相続の開始と遺留分を侵害する遺贈などを知った時から1年間行使しないと時効で消え、相続開始の時から10年を経過したときも同様です(1048条)。正しくは、知らなくても10年を過ぎれば請求できません。知った時から1年の期間だけで考えた取り違えです。
問20(このサイトのオリジナル問題)
遺産分割で、妻Bが自宅の建物について配偶者居住権を取得し、建物の所有権は子Cが取得した。Cは、Bに対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負う。
答え:○ 分かれ目は、配偶者居住権の登記の義務を負う者です。居住建物の所有者は、配偶者居住権を取得した配偶者に対し、その設定の登記を備えさせる義務を負います(1031条1項)。登記をすれば、配偶者居住権を第三者に対抗できます(同条2項・605条)。配偶者居住権は家族の内の権利なので登記はできない、と考えると✕に見えます。
まちがえた問題から、直す所を決める
| 分かれ目の種類 | 問題 | 直し方 |
|---|---|---|
| 相続人の順位 | 問2・7・8・9 | 家族の図に印をつけ、順位を先に決める |
| 相続分の計算 | 問1・3・6 | 配偶者の分を置いてから、同じ順位で分ける |
| 代襲の範囲と原因 | 問4・5 | 兄弟姉妹の子と、代襲の原因を確かめる |
| 承認と放棄 | 問10・11・12 | 処分・時期・包括遺贈を条文で確かめる |
| 遺言の扱い | 問13〜16 | 検認・撤回・遺言執行者の条文を確かめる |
| 遺留分と配偶者居住権 | 問17〜20 | 割合・負担の順番・期間・登記の義務を確かめる |
相続は、相続人を一人まちがえると、そのあとの相続分も遺留分も全部ずれます。まちがえた問題は、答えを見る前に家族の図を描き直し、だれに×(相続人でない)を付けたかを確かめると、同じまちがいを減らせます。
この20問のあとは、宅建の5分○✕ドリルの権利関係で、相続を含む民法の問題を続けて解けます。1回10問で、✕と△を付けた問題が間をあけて戻ってきます。
参考にした公式の情報(2026年10月確認)
- e-Gov法令検索「民法」(第809条、第817条の9、第886条、第887条、第889条、第891条、第892条、第900条、第901条第1項、第915条第1項、第921条、第938条、第939条、第986条、第990条、第1004条、第1013条、第1022条、第1023条第1項、第1026条、第1031条、第1042条、第1047条第1項、第1048条、第1049条を確認。令和8年4月1日時点の条文)
- e-Gov法令検索「法務局における遺言書の保管等に関する法律」(第11条を確認)
- 一般財団法人 不動産適正取引推進機構(宅建試験の過去の問題。出題数は当サイトが公開問題から数えたもので、公式の内訳ではありません)
働く人の法律試験ノート