この記事は、宅建業法35条の重要事項説明を、取引の場面で解く○✕20問です。問題はすべてこのサイトのオリジナルで、過去問の文は使っていません。正誤は令和8年4月1日に施行されている法令(宅建業法と同法施行規則)で確かめています。
当サイトが不動産適正取引推進機構の公開問題(昭和63年度〜令和7年度の40回、2,000問)を1問ずつ読んで数えたところ、35条書面(重要事項説明)を主な論点とする問題は81問で、40回すべてに出ていました。直近10回では29問です。40回全体でも直近10回でも、宅建業法の論点の中で主な論点としての数が最も多い論点でした(分け方は当サイトの判断で、公式の分類ではありません)。20問は、①だれが・だれに・いつ、②売買と貸借で変わる事項、③マンションで増える事項、④物件と取引条件の事項、⑤説明がいらない場面、の5つに分けています。
この20問の使い方
- 問題文の最初で、取引の形(売買か貸借か、宅地か建物か、業者が売主か媒介か、相手が業者か)に印をつける。重要事項説明は、この前提で答えが変わります。
- ○か✕かを決め、✕なら「どの語を何に直せば正しくなるか」を一言で言う。
- 答えの解説の1文目(分かれ目)と、自分の直し方が合っているかを確かめる。正解でも理由が違ったら、まちがえた問題として数える。
場面1:だれが・だれに・いつ説明するか(問1〜5)
35条1項は、宅建業者が「宅地建物取引業者の相手方等」に対し、その者が取得し、または借りようとしている物件について、契約が成立するまでの間に、宅建士に書面を交付して説明させる、と定めています。主語・相手・時期の基本は重要事項説明の記事にまとめています。
問1(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aが自ら売主となり、宅建業者でない買主Bに中古住宅を売る契約を、宅建業者Cが媒介する。この場合、Cだけでなく、Aも、Bに対して重要事項の説明をさせる義務を負う。
答え:○ 分かれ目は、説明の義務を負う業者がだれかです。35条1項の相手方等には、業者が自ら売主となる売買の「相手方」と、業者が行う媒介に係る売買の「各当事者」の両方が入ります。BはAにとって売買の相手方で、Cにとって媒介に係る当事者なので、AとCのどちらも義務を負います。仲介の業者がいれば売主の業者は外れる、と考えると✕にしてしまいます。
問2(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aが、宅建業者でないXとYの間の、Xの土地とYの建物の交換を媒介する。Aは、Xの土地を取得するYにだけ、重要事項の説明をさせればよい。
答え:✕ 分かれ目は、交換ではだれが「取得する人」かです。35条1項は、相手方等に、その者が取得しようとしている物件について説明させます。交換では、XはYの建物を、YはXの土地を取得するので、正しくは、XとYの両方に、それぞれが取得する物件について説明します。売買の媒介なら説明は買主だけなので、その形を交換に当てはめた取り違えです。
問3(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aが自ら貸主となる賃貸マンションの一室を、宅建業者Cの媒介で、宅建業者でないBに貸す。この場合、Cは、Bに重要事項の説明をさせなければならないが、Aは、その義務を負わない。
答え:○ 分かれ目は、貸主の業者Aがこの取引で宅建業をしているかです。宅建業は、自ら行う売買・交換と、売買・交換・貸借の代理・媒介で(2条2号)、自ら貸主となることは入っていません。そのためAには35条の義務がかからず、媒介をするCだけが、媒介に係る貸借の当事者であるBに説明させます(35条1項)。業者が自ら売主となる売買を別の業者が媒介するときは、売主の業者も説明の義務を負うので(問1)、その形を貸借にも当てはめると✕にしてしまいます。
問4(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aの媒介で、Bは中古マンションの売買契約を結んだ。Aは、契約の翌日、マンションの引渡しの前に、宅建士に重要事項の説明をさせた。この説明の時期は、35条に違反しない。
答え:✕ 分かれ目は、説明の期限が何を基準にしているかです。35条1項は「その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に」説明させるとしています。正しくは、契約を結ぶ前に説明しなければならず、引渡しの前でも契約の後なら違反です。契約の後に遅滞なく交付する37条書面の時期と入れ替えた形です。
問5(このサイトのオリジナル問題)
Dは宅建士の登録を受けているが、宅建士証の有効期間が先月満了し、まだ更新していない。宅建業者Aは、Dに重要事項の説明をさせることができる。
答え:✕ 分かれ目は、登録と宅建士証の違いです。宅建士証の有効期間は5年で(22条の2第3項)、期間が過ぎた宅建士証は効力を失い、返納しなければなりません(同条6項)。説明のときは宅建士証を提示しなければならないので(35条4項)、正しくは、登録が残っていても、有効な宅建士証を持たないDには説明をさせられません。宅建士は宅建士証の交付を受けた者で(2条4号)、登録(18条)だけで宅建士として働けると考えた取り違えです。
場面2:売買と貸借で説明する事項が変わる(問6〜10)
35条1項14号の事項は、施行規則16条の4の3が、宅地の売買、建物の売買、宅地の貸借、建物の貸借の4つに分けて定めています。設備や契約期間、敷金の精算など、貸借だけの事項はここに入っています。貸借の事項の全体は貸借の重要事項説明の記事で表にしています。
問6(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aが、中古の一戸建て住宅の売買を媒介する。Aは、台所・浴室・便所その他の建物の設備の整備の状況を、重要事項として説明する必要はない。
答え:○ 分かれ目は、設備の整備の状況がどの契約の事項かです。台所・浴室・便所などの設備は施行規則16条の4の3第7号の事項で、柱書により建物の貸借だけで説明します(建物の売買は1号〜6号)。飲用水・電気・ガス・排水の施設の整備の状況(35条1項4号)は売買でも説明するので、それと混ぜると✕にしてしまいます。
問7(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aが、貸主Gと借主H(どちらも宅建業者ではない)の、期間2年の定期建物賃貸借を媒介する。Gが借地借家法38条の書面を交付して事前に説明することになっているので、Aは、定期建物賃貸借である旨を、重要事項として説明する必要はない。
答え:✕ 分かれ目は、だれの義務の説明かです。施行規則16条の4の3第9号は、借地借家法38条1項の定期建物賃貸借をしようとするときは「その旨」を説明する事項とし、柱書で建物の貸借の事項に入れています。借地借家法38条3項の書面による事前の説明は、賃貸人GがHに対して負う義務で、宅建業者Aの35条の義務とは別のものです。正しくは、Gが説明するかどうかにかかわらず、Aは宅建士に定期建物賃貸借である旨を説明させます。貸主の説明があれば業者の説明はいらない、と二つの説明を取り違えた形です。38条3項の説明をしなかったときの効果は定期借家の記事で扱っています。
問8(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aが、土地の売買を媒介する。買主Bは自分で銀行と住宅ローンの手続を進めており、Aはローンのあっせんをしない。この場合、Aは、ローンのあっせんの内容と、あっせんしたローンが成立しないときの措置を、重要事項として説明する必要はない。
答え:○ 分かれ目は、12号が何を対象にしているかです。35条1項12号は「代金又は交換差金に関する金銭の貸借のあつせんの内容及び当該あつせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置」で、業者があっせんするときの事項です。あっせんがなければ、この号の説明はいりません。ローンを使う取引ならいつでも説明する、と覚えていると✕にしやすい肢です。なお、ローンが通らないときに契約を解除できる定めを置くなら、それは8号の「契約の解除に関する事項」として説明します。
問9(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aが、一戸建て住宅の賃貸借を媒介する。貸主がこの住宅の管理を管理会社Fに委託しているときは、Aは、Fの商号と主たる事務所の所在地を、重要事項として説明しなければならない。
答え:○ 分かれ目は、管理の委託先の説明がマンションだけの事項かです。施行規則16条の4の3第12号は、区分所有建物以外の宅地・建物の管理が委託されているとき、委託を受けている者の氏名(法人は商号または名称)と住所(法人は主たる事務所の所在地)を、貸借で説明する事項としています。マンションの管理の委託先(16条の2第8号)だけを覚えていると✕にしてしまいます。
問10(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aが、中古アパートの一室の賃貸借を媒介する。この建物について、石綿の使用の有無の調査の結果が記録されている。Aは、借主に対し、その記録の内容を重要事項として説明しなければならない。
答え:○ 分かれ目は、建物の調査に関する事項のうち、どれが貸借でも要るかです。施行規則16条の4の3の柱書は、建物の貸借で説明する事項を1号〜5号と7号〜12号としていて、石綿の調査結果(4号)と耐震診断(5号)は貸借でも説明します。貸借で外れるのは、住宅性能評価を受けた新築住宅である旨(6号)です。「建物の調査の結果は、買う人のための事項」とまとめて覚えると✕にしてしまいます。
場面3:マンションで増える事項(問11〜13)
区分所有建物(マンション)では、35条1項6号の事項として、施行規則16条の2の1号〜10号の事項が加わります。建物の貸借で説明するのは、そのうち3号(専有部分の用途などの利用の制限に関する規約)と8号(管理の委託先)だけです。売買と貸借の表はマンションの重要事項説明の記事にあります。
問11(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aが、マンションの一室の賃貸借を媒介する。Aは、借主に対し、そのマンションの敷地に関する権利の種類と内容を説明しなければならない。
答え:✕ 分かれ目は、建物の貸借で残る事項です。施行規則16条の2の柱書は、建物の貸借では3号と8号だけを説明するとしています。敷地に関する権利の種類と内容(1号)は売買・交換の事項なので、正しくは、賃貸借では説明はいりません。マンションの売買で説明する事項を、貸借にそのまま広げた取り違えです。
問12(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aが、中古マンションの一室の売買を媒介する。管理組合から委託を受けて管理事務を行うマンション管理業者が、そのマンションの管理者等になっている。Aは、買主に対し、その旨を説明しなければならない。
答え:○ 分かれ目は、管理業者が管理者等になっている場合の事項があるかです。施行規則16条の2第9号は、管理者等が、管理組合から委託を受けて管理事務を行うマンション管理業者である場合には「その旨」を説明する事項としています。令和8年4月1日時点の施行規則にある事項です。管理の委託先(8号)を説明すれば足りると考えると✕にしてしまいます。
問13(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aが、中古マンションの一室の売買を媒介する。管理規約には、計画的な維持修繕のための費用を積み立てる定めがある。Aは、その規約の内容は説明しなければならないが、すでに積み立てられている額は説明する必要はない。
答え:✕ 分かれ目は、積立ての事項に何が入るかです。施行規則16条の2第6号は、積立てを行う旨の規約の定めがあるときは「その内容及び既に積み立てられている額」を説明するとしています。正しくは、積み立てられている額も説明します。規約の定めがなければ6号の説明はいりませんが、通常の管理費用の額(7号)は規約の有無にかかわらず説明する事項で、この二つの条件の違いも取り違えやすい所です。
場面4:物件と取引条件の事項(問14〜17)
35条1項の1号〜5号は物件の状態、7号〜13号はお金と契約の条件の事項です。これに14号(施行規則16条の4の3)の災害の区域などが加わります。物件の状態の号は重要事項説明の「物件の状態」の記事で、売買と貸借に分けた表にしています。
問14(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aが媒介する中古住宅の売買で、その建物には売主の借入れのための抵当権が登記されている。売主が引渡しまでに抵当権を抹消すると約束しているときは、Aは、この抵当権を重要事項として説明する必要はない。
答え:✕ 分かれ目は、説明する時点で登記されているかです。35条1項1号は「当該宅地又は建物の上に存する登記された権利の種類及び内容」を説明させます。正しくは、引渡しまでに抹消する約束があっても、契約前に登記されている抵当権は説明します。「消える予定の権利は説明しなくてよい」という、条文にない例外を足した形です。
問15(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aが媒介する中古住宅の売買で、売主は、建物が契約の内容に適合しないときの責任の履行を確保するための措置を、何も講じない。この場合、Aは、措置を講じないことを、重要事項として説明しなければならない。
答え:○ 分かれ目は、13号が「講ずるかどうか」を説明させていることです。35条1項13号は、契約不適合責任(契約の内容に合わないときの責任)の履行に関する措置を「講ずるかどうか」と、講ずる場合の措置の概要を説明させます。講じないときも「講じない」と説明します。措置がなければ書くことがないので説明もいらない、と考えると✕にしてしまいます。
問16(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aが媒介する土地の売買で、買主Bは売主に手付として200万円を支払う予定である。Aは、手付の額は説明しなければならないが、手付を授受する目的は、重要事項として説明する必要はない。
答え:✕ 分かれ目は、7号が額と目的の両方を求めていることです。35条1項7号は「代金、交換差金及び借賃以外に授受される金銭の額及び当該金銭の授受の目的」を説明させます。手付は代金以外に授受される金銭なので、正しくは、額と目的の両方を説明します。7号を「額」だけと覚えた取り違えです。代金の額そのものは35条の事項ではなく、37条書面の事項です。
問17(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aが、建物のない土地(更地)の売買を媒介する。Aは、その土地が津波災害警戒区域内にあることを、重要事項として説明する必要はない。
答え:✕ 分かれ目は、宅地の売買で説明する14号の事項の範囲です。施行規則16条の4の3の柱書は、宅地の売買で1号〜3号の2を説明するとしていて、3号が津波災害警戒区域内にあるときはその旨です。正しくは、更地でも説明します。建物がないと外れるのは、石綿の調査結果(4号)や耐震診断(5号)など建物の事項のほうです。
場面5:説明がいらない場面を見分ける(問18〜20)
説明が外れるのは、説明を受ける相手方等が宅建業者のときです(35条6項)。このときは説明が「書面の交付」に置き換わり、宅建士証の提示(4項)と交付時の記名(5項)の規定は使わず、書面への記名は7項で求められます。だれが業者なのかを読み違えないことが分かれ目です。
問18(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aが、宅建業者である法人Cが社員寮として使う建物の賃貸借を媒介する。Cは宅建業の取引としてではなく、自社で使うために借りる。この場合、Aは、Cに対し、宅建士に重要事項の説明をさせなければならない。
答え:✕ 分かれ目は、6項が何で「宅建業者」かを決めているかです。35条6項は、説明を受ける相手方等が宅建業者であるときに、1項の「説明をさせなければならない」を書面を「交付しなければならない」に読み替えています。借りる目的で分ける定めはないので、正しくは、Cには宅建士が記名した重要事項説明書を交付すれば足り(記名は7項)、説明と宅建士証の提示(4項)はいりません。自分で使うために借りるなら一般の借主と同じ扱いになる、と考えた取り違えです。
問19(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Sが自ら売主となり、宅建業者でない買主Bに建物を売る契約を、宅建業者Aが媒介する。この場合、Aは、Bに説明をせず、宅建士が記名した重要事項説明書を交付するだけでよい。
答え:✕ 分かれ目は、6項の「宅建業者」がだれを指すかです。説明が書面の交付に置き換わるのは、説明を受ける相手方等(ここでは買主B)が宅建業者のときです。正しくは、Bは業者ではないので、AはBに宅建士の説明をさせなければなりません。売主のSも、Bに対して同じ義務を負います(問1)。売主が業者かどうかで決まる、と前提を読み違えた形です。
問20(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aの媒介で、宅建業者でないBが中古住宅の購入を申し込んだ。Aは、申込みの3日後、売買契約を結ぶ前に、宅建士に重要事項の説明をさせた。この説明の時期は、35条に違反しない。
答え:○ 分かれ目は、期限の基準が申込みか契約かです。35条1項は「契約が成立するまでの間に」説明させるとしているので、申込みの後でも、契約の前なら時期の点で違反ではありません。「申込みを受ける前に説明する」という定めは35条にありません。申込みの場所や時期が問題になるのは、37条の2のクーリング・オフのほうです。
まちがえた問題の見分け方:場面ごとの直し方
答え合わせのあと、まちがえた問題の番号を場面ごとに数えます。直し方は場面によって違います。
| 場面 | まちがえる理由 | 直し方 |
|---|---|---|
| 1 だれが・だれに・いつ | 35条と37条の混同 | 相手・時期・する人を2列の表で比べる |
| 2 売買と貸借 | 号と契約の対応があいまい | 規則16条の4の3の柱書を4つの契約で書き出す |
| 3 マンション | 売買の事項を貸借に広げる | 貸借で残る3号・8号だけを先に覚える |
| 4 物件と取引条件 | 条文にない例外を信じた | 「〜のときは」の条件がある号だけ印をつける |
| 5 説明がいらない場面 | だれが業者かの読み落とし | 説明を受ける人が業者かだけを見る |
場面1と5は、知識より読み方で落としている可能性が高い場面です。本番の4肢択一でも、肢の最初の「AはBに」の前提を先に確かめると減らせます。場面2〜4は、号と契約の組み合わせを表で覚え直す場面です。
この20問のあとは、宅建の5分○✕ドリルの「宅建業法」で、重要事項説明を含む宅建業法の問題を続けて解けます。ひっかけの型ごとに解く練習は、宅建業法の一問一答にもあります。
参考にした公式の情報(2026年10月確認)
条文は、e-Gov法令検索で令和8年4月1日時点の版を指定して確かめました。
- e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(第2条第2号・第4号、第22条の2第3項、第35条第1項・第4項〜第7項)
- e-Gov法令検索「宅地建物取引業法施行規則」(第16条の2、第16条の4の3)
- e-Gov法令検索「借地借家法」(第38条第1項・第3項)
- 不動産適正取引推進機構「試験概要」(出題の根拠となる法令は、試験を行う年度の4月1日現在施行のもの)
働く人の法律試験ノート