宅建業法の一問一答:よく出る形の○✕20問と、まちがえる理由の見分け方

この記事は、宅建業法の○✕を20問、ひっかけの型ごとに並べた一問一答です。問題はすべて、このサイトのオリジナルです(過去問の文は使っていません)。正誤は令和8年4月1日に施行されている法令で確かめています。

宅建業法の肢は、知識そのものより「どこを入れ替えたか」で落とすことが多い分野です。そこで20問を、①主語・相手方のすり替え、②数字・期間、③「業者どうしなら」の前提、④例外の創作・消去、⑤似た制度の入れ替え、の5つの型に分けました。各問の解説は、1文目に「分かれ目」(正誤を決める一語)を書き、最後に取り違えやすい相手を示しています。まちがえた問題がどの型に集まっているかを見ると、次に何を復習すればよいかが決まります。

この20問の使い方

  1. 答えを見る前に、○か✕かを決める。✕なら「どの言葉を何に直せば正しくなるか」を一言で言ってみる。
  2. 答えを見て、正誤だけでなく、自分の言った「直し方」が解説の分かれ目と合っているかを確かめる。正解でも、理由が違ったらまちがえた問題として数える。
  3. まちがえた問題の型に印をつける。同じ型に2問以上あれば、その型の復習を先にする。

○✕だけで正解しても、本番の4肢択一では、肢を読み比べて判断する力も要ります。一問一答の効き目と限界は宅建の一問一答の使い方の記事にまとめています。

型1:主語・相手方のすり替え(問1〜4)

だれが・だれに・どこへ、の一語を入れ替える型です。条文の主語と行き先を正確に覚えていないと、内容を理解していても落とします。重要事項説明と37条書面の相手の違いは重要事項説明の記事で確かめられます。

問1(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aが、宅建業者でない売主Bと買主Cの土地の売買を媒介し、契約が成立した。Aが宅建士に重要事項を説明させる相手はCだけだが、37条書面はBとCの両方に交付しなければならない。

答え:○ 分かれ目は、35条と37条の相手の違いです。35条1項は、相手方等に対し「その者が取得し、又は借りようとしている」物件について説明させるので、説明を受けるのは取得する側のCです。37条1項は、媒介のときは「当該契約の各当事者」に交付します。両方とも同じ相手だと考えると✕にしてしまいます。復習先:重要事項説明の記事・37条書面の記事。

問2(このサイトのオリジナル問題)
甲県知事の登録を受けている宅建士Aが、勤務先は甲県内のまま、乙県に引っ越した。この場合、Aは乙県知事に登録の移転を申請することができる。

答え:✕ 分かれ目は、登録の移転のきっかけです。19条の2は、登録している知事の都道府県以外にある宅建業者の事務所の業務に従事し、または従事しようとするときに申請できるとしています。正しくは、引っ越しだけでは移転はできず、住所の変更は変更の登録(20条)で届けます。住所が登録の行き先を決めると考えた取り違えです。復習先:変更の登録・登録の移転の記事。

問3(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者は、売買の媒介契約を結んだときに依頼者に交付する書面について、宅建士に記名押印させなければならない。

答え:✕ 分かれ目は、記名押印する人です。34条の2第1項は、宅建業者が書面を作成して「記名押印し」、依頼者に交付すると定めています。正しくは「業者が記名押印する」です。宅建士の記名が必要なのは、35条書面(35条5項)と37条書面(37条3項)のほうです。復習先:媒介契約の記事。

問4(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aが保証協会の社員である場合、Aと宅地の売買をした宅建業者Bは、その取引で生じた債権について、弁済業務保証金から還付を受けることができる。

答え:✕ 分かれ目は、還付を受けられる人の範囲です。64条の8第1項のかっこ書きは、還付を受ける権利を持つ人から「宅地建物取引業者に該当する者」を除いています。正しくは、Bは還付を受けられません。営業保証金でも同じです(27条1項)。同じかっこ書きの前半にある「社員となる前に取引をした者を含み」と混ぜて、範囲を広げないようにします。復習先:営業保証金と保証協会の記事。

型2:数字・期間(問5〜8)

数字・期限・起算日を入れ替える型です。宅建業法の数字は、似た数字が別の場面にあるので、「何の数字か」とセットで覚えます。数字をまとめて見直すなら宅建で覚える数字の一覧の記事が使えます。

問5(このサイトのオリジナル問題)
甲県知事の免許を受けた宅建業者Aが、事務所の所在地は変えずに、事務所の名称だけを変えた。この場合も、Aは30日以内に甲県知事に変更の届出をしなければならない。

答え:○ 分かれ目は、届出の対象になる事項です。9条は4条1項1号〜5号の事項に変更があったら30日以内に届け出るとし、4号は「事務所の名称及び所在地」です。所在地が同じなので届出は不要に見えますが、名称だけの変更も対象です。なお、免許換え(7条)が問題になるのは、事務所が別の都道府県に移るなど免許権者が変わるときです。復習先:変更の登録・登録の移転の記事。

問6(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aが自ら売主となり、宅建業者でない買主Bに、完成済みの建物を代金3,500万円で売る。Aは、保全措置を講じずに手付金350万円を受け取ることができる。

答え:○ 分かれ目は「以下」の扱いと、完成済みかどうかです。工事完了後の物件は、手付金等が代金の10分の1以下で、かつ1,000万円以下なら保全措置はいりません(41条の2第1項ただし書、施行令3条の5)。350万円はちょうど10%なので「以下」に入ります。工事完了前の5%(175万円)を当てはめると✕にしてしまいます。手付の上限の2割(700万円)にもかかりません。復習先:未完成物件の記事。

問7(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aの事務所で業務に従事する者が12人いる。この事務所に、成年者である専任の宅建士を2人置いていれば足りる。

答え:✕ 分かれ目は人数の割合です。事務所に置く専任の宅建士は、業務に従事する者に対する割合が5分の1以上となる数です(31条の3第1項、施行規則15条の5の3)。12人の5分の1は2.4人なので、正しくは3人以上が必要です。「1以上」で足りるのは、事務所以外の案内所などの場所(同条の後半)です。復習先:事務所と案内所のルールの記事。

問8(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aが自ら売主となる建物の売買で、宅建業者でない買主Bが喫茶店で申込みをし、10月1日にクーリング・オフについて書面で告げられた。引渡しも代金の支払もない場合、Bは10月9日に撤回の書面を発しても撤回できる。

答え:✕ 分かれ目は起算日です。37条の2第1項1号は、告げられた「日から起算して八日」を経過したときはできないとしているので、10月1日を1日目に数え、8日目は10月8日です。正しくは、10月8日までに書面を発すれば撤回でき(効力は書面を発した時に生じる。同条2項)、9日では間に合いません。初日を数えない数え方と取り違えた形です。復習先:クーリング・オフの記事。

型3:「業者どうしなら」の前提(問9〜12)

買主が業者か、業者が媒介しているだけか、という前提を読み落とさせる型です。業者どうしで外れるのは8種制限(33条の2・37条の2〜43条)で、それ以外は残ります。表で見分けるなら業者間取引の記事へ。

問9(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aが、宅建業者Bに自社の土地を売った。Aは、Bに交付する37条書面に、宅建士をして記名させなければならない。

答え:○ 分かれ目は、業者どうしで外れるルールの範囲です。78条2項で外れるのは33条の2と37条の2〜43条で、37条は入っていません。だから37条書面の交付と宅建士の記名(37条3項)は、相手が業者でも必要です。業者どうしなら手続が軽くなると考えると✕に見えます。相手が業者のときに外れるのは、35条の「説明」のほう(35条6項)です。

問10(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aが自ら売主となり、宅建業者Bに中古住宅を売る契約で、「契約不適合の通知は引渡しから6か月以内に限る」と特約した。この特約は宅建業法に違反しない。

答え:○ 分かれ目は、買主が業者という前提です。契約不適合責任の特約を制限する40条は8種制限の一つで、業者どうしの取引には適用されません(78条2項)。買主が業者でなければ問題になる特約なので✕に見えます。ただし民法572条により、売主が知りながら告げなかった不適合については、特約があっても責任を免れません。

問11(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者でない売主Aと、宅建業者でない買主Bの土地の売買を、宅建業者Cが媒介した。宅建業者がかかわる取引なので、AがBから受け取る手付は代金の2割までに限られる。

答え:✕ 分かれ目は、8種制限がかかる売買の形です。手付の2割の上限(39条1項)は、宅建業者が「自ら売主となる」売買のルールです。正しくは、売主Aが業者でないので2割の上限はかからず、手付は民法557条で考えます。媒介した業者Cにかかるのは、35条の説明、37条書面、報酬の上限などです。

問12(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aが、宅建業者Bと宅建業者Cの間の建物の売買を媒介した。依頼者がどちらも宅建業者なので、Aは報酬の上限にしばられない。

答え:✕ 分かれ目は、報酬の上限に業者どうしの例外があるかです。46条は、代理・媒介の報酬は大臣の定める額によるとし、その額を超えて受けてはならないと定めていて、依頼者が業者の場合を除く定めはありません。正しくは、上限の範囲でしか受け取れません。78条2項で外れる8種制限と取り違えた形です。

型4:例外の創作・消去(問13〜16)

「依頼者が同意すれば」「特約があれば」のような、ありそうな例外を足す型と、条文にある例外を消す型です。8種制限の特約のルールは8種制限の記事にまとめています。

問13(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aが、宅建業者でないBと専任媒介契約を結ぶ際、Bの希望で、業務の処理状況の報告を「1か月に1回」とする特約をした。この特約は有効である。

答え:✕ 分かれ目は、依頼者の希望で外せるかです。専任媒介契約では2週間に1回以上の報告が必要で(34条の2第9項)、これに反する特約は無効です(同条10項)。正しくは、Bが希望しても特約は無効で、2週間に1回以上の報告が要ります。定期報告の義務がない一般媒介と取り違えた形です。

問14(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aは、土地区画整理事業の施行者Cが管理する保留地予定地について、換地処分の公告の日の翌日にCから取得する契約を結んでいる。この場合、Aは、宅建業者でないBとその土地を自ら売主として売る契約を結ぶことができる。

答え:○ 分かれ目は、33条の2の例外の中身です。自分のものでない物件を自ら売主として売る契約は原則禁止ですが、取得できることが明らかな場合として省令が定めるときは例外です(33条の2第1号、施行規則15条の6第3号)。保留地予定地で、公告の翌日に取得する契約を結んでいる場合がこれにあたります。まだAのものではないので✕に見えます。復習先:他人物売買の記事。

問15(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aが自ら売主となる売買の契約書に、「買主がクーリング・オフで解除したときは、Aは受け取った手付金を返さない」と定め、宅建業者でない買主Bも署名した。Bがクーリング・オフをしたとき、Aは手付金を返さなくてよい。

答え:✕ 分かれ目は、特約で外せるかです。クーリング・オフがあったときは、業者は受け取った手付金その他の金銭を速やかに返さなければならず(37条の2第3項)、これに反する特約で申込者等に不利なものは無効です(同条4項)。正しくは、Bが署名していても手付金は返します。買主が手付を放棄して解除する手付解除(39条2項)と取り違えた形です。

問16(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aから37条書面を電磁的方法で受け取ることを書面で承諾した買主Bが、その後、書面で「紙で受け取りたい」と申し出た。その後Bが改めて書面で承諾すれば、Aは37条書面を電磁的方法で提供できる。

答え:○ 分かれ目は、承諾を取り消した後の扱いです。申出があったら電磁的方法で提供してはいけませんが、その後に改めて承諾を得たときは提供できます(施行令3条の4第2項ただし書)。一度断られたらもう使えない、と考えると✕にしてしまいます。承諾は書面か電磁的方法で受け、口頭では足りない点(同条1項)もあわせて押さえます。復習先:電磁的方法の記事。

型5:似た制度の入れ替え(問17〜20)

似た番号・似た名前の制度の効果や範囲を入れ替える型です。ここでは、33条と36条、35条と37条、宅建業法とほかの法律の組み合わせを取り上げます。

問17(このサイトのオリジナル問題)
工事完了前の賃貸マンションについて、宅建業者Aは、建築確認を受ける前でも貸借の媒介をすることはできるが、入居者募集の広告をすることはできない。

答え:○ 分かれ目は、33条と36条の範囲の違いです。36条が工事完了前に制限するのは売買・交換の契約と媒介で、貸借は入っていません。一方、33条の広告の制限は「売買その他の業務に関する広告」なので、貸借の広告も入ります。どちらか一方を基準に考えると✕にしてしまいます。復習先:宅建業の広告のルールの記事・未完成物件の記事。

問18(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者は、重要事項の説明を、宅建士でない従業者に、宅建士が記名した書面を読み上げさせる方法で行うことができる。

答え:✕ 分かれ目は、説明をする人です。35条1項は、業者が「宅地建物取引士をして」書面を交付して説明をさせなければならないとしています。正しくは、説明は宅建士がします(説明のときは宅建士証の提示も要ります。35条4項)。37条書面には宅建士の記名が要るだけで、説明の定めはないので、二つの書面の役割を取り違えないようにします。

問19(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aが既存住宅の売買を媒介した。Aは、建物状況調査の結果の概要を37条書面に記載しなければならない。

答え:✕ 分かれ目は、35条と37条の言葉の違いです。37条1項2号の2で書くのは、建物の構造耐力上主要な部分等の状況について「当事者の双方が確認した事項」です。正しくは、結果の概要は37条ではなく、契約前の重要事項説明(35条1項6号の2イ)で説明します。復習先:建物状況調査の記事。

問20(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aが、新築住宅を自ら売主として宅建業者Bに売った。Aは、この住宅について、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律による資力確保の措置(保証金の供託など)を講じる必要はない。

答え:○ 分かれ目は、資力確保の対象になる買主です。この法律は、2条7項2号ロのかっこ書きで、新築住宅の買主から宅建業者を除いています。買主が業者なので、Aに資力確保の義務はかかりません。新築住宅を売る業者には常に義務がある、と覚えていると✕にしてしまいます。宅建業法78条2項の8種制限と同じく、「買主が業者なら外れる」組に入れて覚えます。

まちがえた問題の見分け方:型ごとの直し方

答え合わせをしたら、まちがえた問題の番号を型ごとに数えます。直し方は型によって違います。

型まちがえる理由直し方
1 主語・相手方だれが・だれにを流し読み条文の主語と行き先を声に出して確かめる
2 数字・期間似た数字を別の場面で覚えた数字を「何の数字か」とセットで書き出す
3 業者どうし前提の読み落とし肢の最初の「AはBに」に印をつけて読む
4 例外ありそうな例外を信じた条文にある例外だけを書き出して比べる
5 似た制度番号・名前が近い制度の混同二つを表で並べ、違う一語に線を引く

型1と型3は、知識はあるのに読み方で落としている可能性が高い型です。本番の4肢択一でも、問題文の前提(業者が自ら売主か、相手が業者か、媒介か)を先に確かめる習慣で減らせます。型2と型5は、覚え方そのものを直す型です。同じ型を続けて解いて、分かれ目を言えるようになるまで戻ります。

この20問のあとは、宅建の5分○✕ドリルの宅建業法で、同じ型の問題を続けて解けます。1回10問で、自分で○・△・✕を付けると、✕と△が間をあけて戻ってくる仕組みです。

参考にした公式の情報(2026年10月確認)

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