行政書士試験は、「法令等」と「基礎知識」の2つの区分から出題されます。令和7年度の配点では、法令等が46問で244点、基礎知識が14問で56点でした。合わせて60問300点です。
法令等の科目は、憲法・行政法・民法・商法・基礎法学です。形式は、5肢択一式・多肢選択式・記述式(40字程度)の3種類です。基礎知識は5肢択一式だけです。点の約8割は法令等にあり、その中でも行政法と民法に点が集まっています。この記事では、次の3つを説明します。公式に示されている範囲と配点。当サイトが過去の問題で数えた科目ごとの問数。そこから決まる勉強の順番です。
どんな科目が出るか:法令等と基礎知識の範囲
行政書士試験研究センター(試験を実施している機関。以下「センター」)の「試験の概要」では、出題の範囲が次のように書かれています。
法令等(46題)
憲法、行政法、民法、商法、基礎法学から出題されます。行政法は、次の6つを中心とする、とされています。行政法の一般的な法理論(どの法律にも共通する基本の考え方)、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法です。「行政法」という名前の法律はありません。この6つが行政法の中身だと考えてください。
基礎知識(14題)
次の4つから出題されます。一般知識。行政書士法等の行政書士業務と密接に関連する諸法令(行政書士の仕事に深く関わる法律)。情報通信・個人情報保護。文章理解です。この区分は、令和6年度試験から使われています。令和5年度以前の教材や解説は、区分の名前や範囲が今と違うことがあります。令和6年度以降の4つの分野に合わせて読んでください。基礎知識の範囲と対策は「基礎知識」とはで詳しく扱っています。
どの時点の法令が出るか
令和8年度試験は、令和8年4月1日の時点で施行されている法令から出題されます。施行(しこう)とは、法律が実際に効き始めることです。たとえば、令和8年1月1日に施行された行政書士法の改正は、範囲に入ります。4月1日より後に施行される改正は、範囲に入りません。
出題形式ごとに、1問は何点か
令和7年度の合否判定基準に書かれた配点は次のとおりです。
| 区分・形式 | 問数 | 1問の点 | 満点 |
|---|---|---|---|
| 法令等・5肢択一式 | 40問 | 4点 | 160点 |
| 法令等・多肢選択式 | 3問 | 8点 | 24点 |
| 法令等・記述式 | 3問 | 20点 | 60点 |
| 基礎知識・5肢択一式 | 14問 | 4点 | 56点 |
| 合計 | 60問 | ― | 300点 |
- 5肢択一式:5つの選択肢から答えを選ぶ形式。1問4点。
- 多肢選択式:文章の空欄ア〜エに入る語句を選ぶ形式。空欄1つにつき2点で、1問8点。全部そろわなくても、合った空欄の分だけ点になります。たとえば4つの空欄のうち3つが合えば6点です。
- 記述式:40字程度で書く形式。1問20点で、5肢択一式5問分の重さがあります。
なお、配点は前もって公表されません。合否発表のときに「合否判定基準」として公表されます。上の表は令和7年度のものです。令和8年度の数字は、令和9年1月27日の合格発表で決まります。
科目ごとに何問出るか:令和2・3年度の問題で数えた場合
センターは、科目ごとの問数(憲法◯問、民法◯問など)を表にして公表していません。そこで、当サイトが令和2年度と令和3年度の試験問題を数えた結果を示します。2つの年度とも、科目ごとの問数は同じでした。次の点に注意して読んでください。
- 問題には科目名が書かれていません。そのため、問題の並びと内容から、当サイトが区切りました。区切り方には判断が入ります。
- 公開PDFには、著作権の関係で載っていない問題が、法令等に各年度2問あります(法令等の最初の1問と、憲法の並びのあたりの1問)。前後の並びから、基礎法学と憲法の枠として数えています。
- 公式の内訳ではありません。年度によって変わることもあります。表の点は、令和7年度の配点(5肢択一式1問4点、記述式1問20点)をあてはめて計算しています。
| 科目 | 5肢択一式 | 記述式 | 点(多肢選択式を除く) |
|---|---|---|---|
| 基礎法学 | 2問 | ― | 8点 |
| 憲法 | 5問 | ― | 20点 |
| 行政法 | 19問 | 1問 | 96点 |
| 民法 | 9問 | 2問 | 76点 |
| 商法・会社法 | 5問 | ― | 20点 |
多肢選択式の3問(24点)は、両年度とも、憲法の分野から1問、行政法の分野から2問でした(表には入れていません)。表の点と多肢選択式の24点を合わせると、法令等の244点になります。
過去の問題そのものは、センターの過去の試験問題と正解のページで公開されています(令和2年度〜令和7年度)。一部の問題は、著作権の関係で載っていません。
点はどこに集まっているか
上の数え方を令和7年度の配点にあてはめて、300点のどこに点があるかを整理します。
- 法令等が300点中244点(約81%)。基礎知識は56点です。
- 行政法(96点)と民法(76点)で172点。法令等244点の約7割です。さらに、多肢選択式の行政法分野も加わります。
- 記述式60点は、行政法20点と民法40点。民法は、5肢択一式より記述式のほうが点が大きい計算です。
- 憲法・商法会社法・基礎法学は合わせて48点(多肢選択式の憲法分野を除く)。
一方で、行政法と民法だけでは足りないことも、数字で分かります。172点の7割を取っても約120点です。法令等の足切り(令和7年度は122点)に、わずかに届きません。行政法・民法を中心にしながら、憲法や多肢選択式でも点を積む必要があります。
合格基準は、令和7年度で全体180点・法令等122点・基礎知識24点でした。行政法と民法で大きく点を落とすと、ほかの科目で取り返すのは難しい配点です。逆に、商法・会社法の20点は、取れればありがたいものの、それだけで合否が決まる大きさではありません。基準の仕組みは合格点と足切りの仕組みで説明しています。
記述式で点が取れないと、何%が必要になるか
記述式の60点は、300点の5分の1にあたります。記述式の点によって、残りの240点(5肢択一式と多肢選択式)でどれだけ取る必要があるかが変わります。計算すると次のとおりです(令和7年度の配点で、全体180点を基準に計算)。
| 記述式の点 | 残りで必要な点 | 残り240点に対する割合 |
|---|---|---|
| 0点 | 180点 | 75% |
| 20点 | 160点 | 約67% |
| 40点 | 140点 | 約58% |
| 60点 | 120点 | 50% |
記述式がほぼ0点だと、択一式と多肢選択式で75%を取らなければなりません。記述式を「最後に余裕があればやる」と後回しにすると、ほかの形式に重い負担がかかります。当サイトが数えた令和2・3年度の問題では、記述式は行政法1問・民法2問でした。この2科目は、択一式で学ぶときから要件(ルールが当てはまる条件)を言葉で書けるようにしておきましょう。択一式と記述式の両方の点につながります。
基礎知識14問はどう扱えばよいか
基礎知識は56点と小さい区分です。それでも足切りがあるので、軽くは扱えません。令和7年度の基準では24点以上、つまり14問中6問の正解が必要でした。5問(20点)だと、法令等が満点でも不合格です。
また、基礎知識の点は全体の180点にも入ります。基礎知識で1問多く取れば、法令等で必要な点が4点下がります。足切りを越えるだけでなく、何問取る計画にするかも決めておきましょう。法令等の目標点も決めやすくなります。4つの分野のうち「行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令」は、令和6年度試験から出題の範囲としてはっきり書かれた分野です。令和8年度は、令和8年1月1日に施行された行政書士法の改正後の条文が、出題の範囲に入ります(くわしくは行政書士法の改正)。4つの分野のどこで点を取るかは、「基礎知識」とはで扱っています。
形式ごとに、何を準備すればよいか
同じ科目でも、形式によって求められる力が違います。
| 形式 | 問われる力 | 準備の中心 |
|---|---|---|
| 5肢択一式 | 正しい・誤りを見分ける | 条文の要件と例外の区別 |
| 多肢選択式 | 文章の流れから語句を選ぶ | 重要な用語を正確に覚える |
| 記述式 | 答えを自分で書く | 要件・効果を40字で言う練習 |
5肢択一式で「なんとなく正解を選べる」だけだと、記述式で同じテーマを書くのは難しくなります。記述式の20点は、択一式の知識を「自分の言葉で書ける」ところまで仕上げた先にあります。書き方の型は記述式の書き方で説明しています。
配点から決める勉強の優先順位
働きながら独学する場合、時間には限りがあります。配点から考えると、手をつける順番は次のとおりです。
- 行政法:点がいちばん大きい科目です。範囲は上の6つの柱に分かれています。法律ごとに進めます。→行政法の勉強法
- 民法:択一式と記述式の両方で点が大きい科目です。範囲が広いので、優先する範囲を決めて進めます。→民法の勉強法
- 基礎知識:足切りを越える分(6問)と、その上に何問積むかを決めます。行政法・民法と並行して、少しずつ進めます。
- 憲法:択一式に加えて多肢選択式にも出る科目です。
- 商法・会社法、基礎法学:点が小さいので、どこまでやるかを先に決めておきます。商法・会社法の扱いは商法・会社法は捨てていいかで考えています。
この順番は、配点から見た目安です。得意な科目がある人も、行政法と民法に大きな穴が残っていないかを先に確かめてください。
3時間で60問をどう配分するか
試験時間は、午後1時から4時までの3時間(180分)です。60問をすべてこの時間で解きます。単純に割ると1問3分です。ただ、記述式は書く時間が要りますし、読む量の多い問題もあります。全問を同じ時間で解くのではなく、形式ごとに時間を割りふりましょう。本番前に、時間を計って練習しておくのが安全です。解く順番と時間の割り振りは試験当日の持ち物・時間配分・解く順番で扱っています。
配点の全体像が分かったら、何点取れば合格かを確かめてください。合格点と足切りの仕組みで説明しています。
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