開発行為と特定工作物:第一種(コンクリートプラントなど)・第二種(ゴルフコース・1ha以上の運動施設・墓園)と開発許可

ひとことで言うと、特定工作物は、建物ではないのに、それを造るための土地の造成が「開発行為」になる工作物です(都市計画法4条11項・12項)。第一種は、コンクリートプラントのようにまわりの環境を悪くするおそれがあるもの、第二種は、ゴルフコースのような大規模なものです。第二種のうち、野球場や遊園地などの運動・レジャー施設と墓園は1ヘクタール以上のものに限られますが、ゴルフコースは広さを問いません。

第一種と第二種の違いが効くのは、市街化調整区域です。第二種のための開発行為には34条の立地基準がかからず、開発区域の外で新設するときに43条の許可が要るのは第一種だけです。この記事では、この2点を中心に整理します。区域ごとの面積の線と許可の例外は開発許可の記事、申請から工事完了公告までの手続は開発許可の手続の記事に任せます。条文は、令和8年4月1日時点の都市計画法・同施行令を e-Gov 法令検索で確かめています。

身近な例で考えると

登場人物は、生コンクリートの会社を経営するけんたさんと、ゴルフ場を造るみどり社です。場所は、どれも市街化調整区域(市街化を抑える区域)とします(架空の話です)。

人物立場したいこと
けんたさん生コン会社の社長コンクリートプラントを造る
みどり社ゴルフ場の会社ゴルフコースを造る
県知事開発許可をする人許可の基準に合うかを見る
  1. けんたさんは、ずっと使うコンクリートプラントを置くため、4,000平方メートルの土地を造成したい。コンクリートプラントは第一種特定工作物なので、この造成は開発行為になる。開発許可の申請では、33条の技術的な基準のほかに、34条各号のどれかに当たることが求められる。
  2. みどり社は、ゴルフコースを造るため、土地を造成したい。ゴルフコースは第二種特定工作物なので、これも開発行為になる。ただし、34条の立地基準はかからない。
  3. けんたさんは、別の場所で、道路工事の間だけ使うアスファルトプラントを置くために土地を造成する。工事に一時的に使う第一種特定工作物のための開発行為は、開発許可が要らない。
  4. けんたさんは、さらに、開発許可を受けた開発区域ではない、もとから平らな土地に、石を砕くクラッシャープラントを新しく置きたい。造成はしないが、43条の知事の許可が要る。

たとえると、特定工作物は「建物ではないが、建物と同じように土地の使い方を変えてしまう大きな設備」です。ただし本物のルールでは、第一種と第二種で扱いが分かれる場面があり、大きさだけで決まるわけではありません。コンクリートプラントは小さくても第一種で、ゴルフコースは小さくても第二種です。

条文ではこう決まっている

特定工作物とは(4条11項、施行令1条)

  • 第一種特定工作物:「コンクリートプラントその他周辺の地域の環境の悪化をもたらすおそれがある工作物で政令で定めるもの」(4条11項)。施行令1条1項は、アスファルトプラント、クラッシャープラント、危険物の貯蔵または処理に使う工作物(除かれるものがある)を挙げている。
  • 第二種特定工作物:「ゴルフコースその他大規模な工作物で政令で定めるもの」(4条11項)。施行令1条2項は、その規模が1ヘクタール以上の、①野球場・庭球場・陸上競技場・遊園地・動物園その他の運動・レジャー施設である工作物、②墓園を挙げている。
  • 運動・レジャー施設からは、学校(大学を除く)の施設や都市公園に当たるものなどが除かれている(施行令1条2項1号のかっこ書き)。

開発行為とは(4条12項・13項)

  • 開発行為:「主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行なう土地の区画形質の変更」(4条12項)。
  • 開発区域:開発行為をする土地の区域(4条13項)。

特定工作物を造る目的の造成は、建物を建てなくても開発行為です。反対に、造成をしなければ開発行為ではありません。それでも許可が要る場面があるのが、後で見る43条です。

許可が要るか(29条1項)

  • 開発行為をするには、原則として知事の許可が要る。区域ごとの面積の線などの例外は29条1項各号にある(市街化区域なら1,000平方メートル未満は要らない。29条1項1号、施行令19条1項)。
  • 例外の一つが、「通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの」(29条1項11号)。施行令22条1号は、仮設建築物の建築と、「土木事業その他の事業に一時的に使用するための第一種特定工作物の建設」のための開発行為を挙げている。

市街化調整区域の立地基準(34条)

  • 34条の柱書は、市街化調整区域の開発行為について、33条の基準に合うほか、34条各号のどれかに当たると認めるときでなければ、知事は開発許可をしてはならない、としている。
  • ただし、柱書のかっこ書きで、「主として第二種特定工作物の建設の用に供する目的で行う開発行為」が除かれている。
  • 第一種特定工作物は除かれていない。34条の各号には、第一種特定工作物のための開発行為を名指しした号がいくつもある。

開発区域の中と外の制限(42条・43条)

  • 42条1項(開発区域の中・公告の後):工事完了の公告の後は、予定建築物等以外の「建築物又は特定工作物」を新築・新設してはならない。知事が許可したときは別。用途地域等が定められているときの例外は、建築物と、建築基準法88条2項の政令で指定する工作物に当たる第一種特定工作物に限られる。
  • 43条1項(市街化調整区域の開発区域の外):何人も、知事の許可を受けなければ、29条1項2号・3号の建築物以外の建築物を新築し、または「第一種特定工作物を新設」してはならない。第二種特定工作物は挙がっていない。

第一種と第二種を1枚で比べる

種類例造成は開発行為か市街化調整区域での扱い
第一種コンクリートプラント、アスファルトプラント、クラッシャープラント、危険物の貯蔵・処理の工作物なる(規模を問わない)34条の立地基準がかかる。開発区域の外の新設は43条の許可
第二種(ゴルフコース)ゴルフコースなる(広さを問わない)34条の立地基準はかからない。43条の対象でない
第二種(1ha以上)野球場・庭球場・陸上競技場・遊園地・動物園など、墓園1ha以上ならなる同上
特定工作物でないもの1ha未満の野球場・墓園、青空駐車場ならない開発許可の問題にならない

当てはまる例・当てはまらない例

例1:調整区域のコンクリートプラント(当てはまる例)

けんたさんが、市街化調整区域で、ずっと使うコンクリートプラントのために4,000平方メートルを造成する。第一種特定工作物の建設のための開発行為なので、開発許可が要り、34条各号のどれかに当たることも求められます。

例2:調整区域のゴルフコース(ひっかけやすい例)

みどり社が、市街化調整区域でゴルフコースを造る。開発許可は要りますが、34条の柱書で第二種特定工作物のための開発行為が除かれているので、34条各号に当たる必要はありません。33条の技術的な基準は満たさなければなりません。

例3:工事の間だけ使うアスファルトプラント(当てはまらない例)

けんたさんが、道路工事に一時的に使うアスファルトプラントを置くため、市街化区域で3,000平方メートルを造成する。面積だけを見ると許可が要りそうですが、施行令22条1号に当たるので、開発許可は要りません(29条1項11号)。ずっと使うプラントなら、この例外には当たりません。

例4:造成しないで置くクラッシャープラント(当てはまる例)

けんたさんが、市街化調整区域の、開発許可を受けた開発区域ではない平らな土地に、造成をしないでクラッシャープラントを新設する。開発行為ではありませんが、第一種特定工作物の新設なので、43条1項の知事の許可が要ります。

例5:造成しないで設ける陸上競技場(当てはまらない例)

同じような平らな土地(2ヘクタール)に、造成をせず、観客席などの建物も建てないで、陸上競技場を設ける。第二種特定工作物ですが、43条1項に挙がっているのは建築物と第一種特定工作物だけなので、43条の許可は要りません。

1ヘクタール未満の野球場や、青空駐車場のための造成は、そもそも開発行為に当たりません。この見分けは開発許可の問題の記事で場面ごとに解けます。

似ているルールとの違い

市街化調整区域の規定は、建築物・第一種・第二種で、かかるものとかからないものが分かれます。

規定建築物第一種第二種
34条(立地基準)かかるかかるかからない
43条(開発区域の外)新築・改築・用途変更に許可新設に許可挙がっていない
42条(公告の後の予定外)知事の許可が要る。用途地域等があれば除く知事の許可が要る。政令の工作物は用途地域等で除く知事の許可が要る(用途地域等の例外なし)

第二種を「ゴルフ場のように、市街地から離れた広い土地で造ることの多いもの」と結びつけておくと、34条から外れていることを思い出しやすくなります。ただし、これは覚えるための手がかりで、条文が理由を書いているわけではありません。覚えるのは「34条の柱書は第二種を除く」「43条は第一種だけ」という条文の形です。

試験ではここをまちがえやすい

当サイトが数えた宅建試験の全40回(不動産適正取引推進機構が公開している昭和63年度〜令和7年度の問題、2,000問)では、開発許可が主な論点の問題は56問、直近10回(令和7年度〜平成30年度。令和2・3年度は10月・12月の2回ずつ)では10問でした。ほかの論点が主な問題に副の論点として含むものが4問あります。特定工作物だけの問数は数えていません(分け方は当サイトの判断で、公式の分類ではありません。数え方は宅建の出題論点ランキング)。取り違えやすい形は次のとおりです。

  • 第一種と第二種の入れ替え:コンクリートプラントは第一種、ゴルフコースは第二種です。「大きいから第二種」とは決まりません。
  • ゴルフコースに1ヘクタールの線を当てる形:1ヘクタール以上という線は、施行令の運動・レジャー施設と墓園のものです。ゴルフコースは法律で名指しされ、広さを問いません。
  • 34条の除外を第一種にも広げる形:柱書で除かれるのは、主として第二種特定工作物のための開発行為だけです。
  • 43条を第二種にも当てる形:43条1項は、建築物と第一種特定工作物の新設だけです。
  • 一時的に使うプラントにも許可が要るとする形:土木事業などに一時的に使う第一種特定工作物のための開発行為は、軽易な行為として許可が要りません(施行令22条1号)。

○✕でたしかめよう

問1(このサイトのオリジナル問題)
市街化区域で、けんたさんは、道路工事に一時的に使うアスファルトプラントを設けるため、3,000平方メートルの土地の区画形質の変更をする。この場合、けんたさんは、開発許可を受けなくてよい。

答え:○ 分かれ目は、軽易な行為の例外に当たるかです。都市計画法29条1項11号の政令で定める開発行為として、施行令22条1号は「土木事業その他の事業に一時的に使用するための第一種特定工作物の建設」のための開発行為を挙げています。アスファルトプラントは第一種特定工作物(施行令1条1項)で、工事の間だけ使うものなので、面積が1,000平方メートル以上でも許可は要りません。市街化区域の面積の線(施行令19条)だけで判断すると✕に見えます。ずっと使うプラントなら、この例外に当たりません。

問2(このサイトのオリジナル問題)
市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域で、みどり社が、もとから平らな2ヘクタールの土地に、区画形質の変更をせず、建築物も建てないで陸上競技場を設ける。この場合でも、みどり社は、43条1項の知事の許可を受けなければならない。

答え:✕ 分かれ目は、43条1項の対象に第二種特定工作物が入るかです。43条1項が許可を求めるのは、29条1項2号・3号以外の建築物の新築・改築・用途の変更と、第一種特定工作物の新設です。1ヘクタール以上の陸上競技場は第二種特定工作物(施行令1条2項1号)で、43条1項には挙がっていません。正しくは、43条の許可は要りません。クラッシャープラントなど第一種特定工作物の新設なら、造成をしなくても許可が要り、それと取り違えた文です。

問3(このサイトのオリジナル問題)
市街化調整区域で、けんたさんが、ずっと使うコンクリートプラントを設けるための開発許可を申請した。この場合、知事は、33条の基準に適合するだけでなく、34条各号のいずれかに当たると認めるときでなければ、開発許可をしてはならない。

答え:○ 分かれ目は、34条の柱書のかっこ書きで除かれるのはどちらの特定工作物かです。34条は、市街化調整区域の開発行為に、33条の基準に加えて各号のどれかに当たることを求め、「主として第二種特定工作物の建設の用に供する目的で行う開発行為」だけを除いています。コンクリートプラントは第一種特定工作物(4条11項)なので、除かれません。ゴルフコースのような第二種と同じく、特定工作物なら34条は関係ない、と考えると✕に見えます。

この分野の○✕は、宅建の5分○✕ドリルの「法令上の制限」で続けて解けます。

まとめ

  • 特定工作物を造るための造成は、建物を建てなくても開発行為(4条12項)。
  • 第一種=コンクリートプラント・アスファルトプラント・クラッシャープラント・危険物の貯蔵や処理の工作物。規模を問わない。
  • 第二種=ゴルフコース(広さを問わない)と、1ヘクタール以上の野球場・遊園地などの運動・レジャー施設と墓園。
  • 市街化調整区域では、34条の立地基準は第二種にかからず、43条の許可は第一種にだけかかる。
  • 工事などに一時的に使う第一種特定工作物のための開発行為は、許可が要らない(施行令22条1号)。

参考にした公式の情報(2026年10月確認)

条文は、e-Gov法令検索で令和8年4月1日時点の都市計画法と都市計画法施行令を確かめました。出題数は、不動産適正取引推進機構が公開している過去の試験問題を当サイトが数えたものです。

このサイトで次に読むなら、市街化調整区域で何ができるかの記事です。農家の住宅の例外や43条の建築の許可と並べて、特定工作物の扱いを区域から確かめ直せます。

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