主要構造部と構造耐力上主要な部分の違い:大規模の修繕・模様替え、耐火建築物との関係(建築基準法2条5号)

ひとことで言うと、主要構造部(しゅようこうぞうぶ)は「壁・柱・床・はり・屋根・階段」で、耐火建築物かどうかなどの防火の決まりや、大規模の修繕・模様替えの判断に使う言葉です(建築基準法2条5号)。基礎は入りません。これに対して、構造耐力上主要な部分は、基礎・基礎ぐい・土台・筋かいなど、建物の重さや地震を支える部分です(施行令1条3号)。こちらには階段が入りません。

主要構造部は、「大規模の修繕・大規模の模様替(もようがえ)」に当たるかを決めるときに使います。主要構造部の一種以上について過半を直す工事がそれで、木造2階建ての住宅などでは建築確認が要ります(2条14号・15号、6条1項)。この記事では、2つの言葉を部位ごとに比べ、大規模の修繕・模様替えと耐火建築物とのつながりを整理します。確認が要る建物の全体は建築確認の記事、防火地域の規模の決まりは防火地域・準防火地域の記事に任せます。条文は、令和8年4月1日時点の建築基準法・同施行令を e-Gov 法令検索で確かめています。

身近な例で考えると

登場人物は、木造2階建ての家(延べ面積120平方メートル)に住むあかりさんと、工務店のだいちさんです(架空の話です)。

人物立場したいこと
あかりさん家の持ち主(建築主)古くなった家を直したい
だいちさん工務店工事の中身を決める
  1. あかりさんは、基礎にひびが入っているので、基礎の7割を補修したい。だいちさん「基礎は、建物を支える大事な部分(構造耐力上主要な部分)ですが、主要構造部には入りません。基礎だけの補修なら、大規模の修繕には当たりません」。
  2. 次に、2階へ上がる階段を、新しいものに架け替えたい。家の階段は1か所だけ。だいちさん「階段は主要構造部です。過半の架け替えになるので、大規模の修繕・模様替えに当たり、2階建てのこの家では建築確認が要ります」。
  3. 1階の、構造上重要でない間仕切壁(部屋を区切るだけの壁)を何枚も取り払いたい。だいちさん「構造上重要でない間仕切壁は、主要構造部から除かれています」。
  4. 最後に、傷んだ柱の4割と、重さを支える壁の4割を、それぞれ取り替える案が出た。だいちさん「過半かどうかは、柱なら柱、壁なら壁と、種類ごとに見ます。どちらも半分を超えないので、大規模の修繕・模様替えには当たりません」。

たとえると、構造耐力上主要な部分は「建物の骨組みと足もと」で、主要構造部は「火事や改修のルールで数える、建物の主な部材の一覧」です。ただし本物のルールでは、壁と柱はどちらにも入り、境目は条文の並びで決まります。たとえで覚えたあとは、表で部位ごとに確かめてください。

条文ではこう決まっている

主要構造部(2条5号)

  • 「壁、柱、床、はり、屋根又は階段」をいう。
  • ただし、「建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、付け柱、揚げ床、最下階の床、回り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段」その他これらに類する部分を除く。

6つの部位の中に基礎はありません。また、最下階の床と屋外階段は、名前が床・階段でも除かれます。

構造耐力上主要な部分(施行令1条3号)

  • 「基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するもの)、床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するもの)」で、
  • 建築物の自重(じじゅう=建物自身の重さ)、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧、水圧、地震などの震動や衝撃を「支えるもの」をいう。

一覧に入っていても、重さや揺れを支えていなければ構造耐力上主要な部分ではありません。階段は一覧にありません。

大規模の修繕・大規模の模様替(2条14号・15号)と建築確認(6条1項)

  • 大規模の修繕:「建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕」(14号)。
  • 大規模の模様替:「建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の模様替」(15号)。
  • 6条1項:1号(特殊建築物で、その用途の床面積の合計が200平方メートルを超えるもの)と2号(2以上の階数があるか、延べ面積が200平方メートルを超える建物)は、建築のほか、大規模の修繕・大規模の模様替をするときも確認が要る。3号(都市計画区域内などの、1号・2号以外の建物)は、建築のときだけ。

国土交通省の「リフォームにおける建築確認要否の解説事例集(木造一戸建て住宅)」も、過半の判断は主要構造部ごとに行うとし、階段の過半を架け替える場合は確認が必要、構造上重要でない間仕切壁だけの改修は確認不要、という例を示しています。

耐火建築物・準耐火建築物(2条9号の2・9号の3)

  • 耐火建築物:主要構造部のうち、防火上・避難上支障がないものとして政令で定める部分以外の部分(「特定主要構造部」)が、耐火構造であるか、火災が終わるまで火熱に耐える政令の基準に適合し、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火戸などの防火設備を持つもの(9号の2)。
  • 準耐火建築物:耐火建築物以外の建物で、主要構造部を準耐火構造としたものなどで、外壁の開口部の延焼のおそれのある部分に防火設備を持つもの(9号の3)。
  • 耐火構造の性能の基準(施行令107条)は、壁・柱・床・はり・屋根・階段ごとに、火熱に耐える時間を決めている(屋根と階段は30分間)。部位の並びは主要構造部と同じ。

「特定主要構造部」という言葉は、令和6年4月1日に施行された改正で、2条9号の2イに入りました(e-Gov 法令検索で、令和6年3月31日時点と4月1日時点の条文を比べて確かめました)。改正前は「その主要構造部が」耐火構造などであることを求めていました。いまは、政令で定める部分を除いた特定主要構造部が対象です。準耐火建築物の9号の3は、いまも「主要構造部」のままです。

部位ごとに比べる

部位主要構造部(2条5号)構造耐力上主要な部分(施行令1条3号)
基礎・基礎ぐい入らない入る
土台入らない入る
柱入る(間柱・付け柱は除く)入る(重さなどを支えるもの)
壁入る(構造上重要でない間仕切壁は除く)入る(同上)
床入る(最下階の床・揚げ床などは除く)床版として入る
はり入る(小ばりは除く)横架材(はり・けた)として入る
屋根入る屋根版・小屋組として入る
階段入る(局部的な小階段・屋外階段は除く)一覧にない
斜材(筋かいなど)一覧にない入る
ひさし入らない一覧にない

見分けの順番は、①その部位が主要構造部の6つに入るか、②入るなら、除かれる部分(間仕切壁・最下階の床・屋外階段など)ではないか、です。大規模の修繕・模様替えを考えるときは、構造耐力上主要な部分の一覧は使いません。

当てはまる例・当てはまらない例

どれも、あかりさんの木造2階建ての家(6条1項2号の建物)とします。

例1:基礎の補修(当てはまらない例)

基礎の7割を補修する。基礎は主要構造部ではないので、基礎だけの工事は大規模の修繕に当たりません。建物を支える大事な部分なので当たりそうに思えますが、基礎は構造耐力上主要な部分の言葉です。

例2:階段の架け替え(当てはまる例)

ただ1か所の階段を架け替える。階段は主要構造部で、過半になるので、大規模の修繕・模様替えに当たり、建築確認が要ります。

例3:間仕切壁の撤去(当てはまらない例)

構造上重要でない間仕切壁だけを取り払う。主要構造部から除かれているので、大規模の模様替えに当たりません。重さを支える壁なら話が変わります。

例4:柱4割と壁4割(ひっかけやすい例)

柱の4割と、重さを支える壁の4割をそれぞれ取り替える。合わせると8割に見えますが、過半かどうかは種類ごとに見ます。どの種類も過半に届かないので、大規模の修繕・模様替えに当たりません。

例5:屋外階段(当てはまらない例)

庭から2階のベランダへ上がる屋外階段を取り替える。屋外階段は主要構造部から除かれているので、主要構造部の「階段」の過半には数えません。

似ているルールとの違い

同じ「主要構造部」という言葉でも、使われる場面で見る点が違います。

場面使う言葉見る点
大規模の修繕・模様替え(2条14号・15号)主要構造部一種以上の過半か
耐火建築物(2条9号の2)特定主要構造部政令で定める部分を除いて耐火構造などか
準耐火建築物(2条9号の3)主要構造部準耐火構造か
構造の安全の規定(施行令の構造強度の章)構造耐力上主要な部分重さや揺れを支えるか

宅建業法の建物状況調査(インスペクション)にも「構造耐力上主要な部分」という言葉が出てきます。主要構造部とは別の言葉なので、建物状況調査の記事で見る部分を確かめてください。単体規定のほかのルールは単体規定の記事にあります。

試験ではここをまちがえやすい

当サイトが数えた宅建試験の全40回(不動産適正取引推進機構が公開している昭和63年度〜令和7年度の問題、2,000問)では、建築基準法の「総合」(1問に複数の論点が入る問)が主な論点の問題は50問、直近10回(令和7年度〜平成30年度。令和2・3年度は10月・12月の2回ずつ)では20問でした。建築確認が主な論点の問題は12問(直近10回は0問)で、副の論点として含むものが6問(同2問)あります。主要構造部だけの問数は数えていません(分け方は当サイトの判断で、公式の分類ではありません。数え方は宅建の出題論点ランキング)。取り違えやすい形は次のとおりです。

  • 基礎を主要構造部に入れる形:基礎・土台・筋かいは構造耐力上主要な部分で、主要構造部ではありません。
  • 階段を構造耐力上主要な部分に入れる形:階段は主要構造部にだけ入ります。屋外階段・局部的な小階段は主要構造部からも除かれます。
  • 過半を全体で数える形:大規模の修繕・模様替えは、主要構造部の一種以上について、その種類の過半です。
  • 3号の建物にも確認を求める形:大規模の修繕・模様替えで確認が要るのは、6条1項1号・2号の建物です。
  • 改正前の言葉で答える形:令和6年4月からの耐火建築物の基準は、「特定主要構造部」を対象にしています。

○✕でたしかめよう

問1(このサイトのオリジナル問題)
あかりさんは、木造2階建ての自宅(延べ面積120平方メートル)で、基礎の過半を補修する工事だけを行う。この工事は、建築基準法の「大規模の修繕」に当たらない。

答え:○ 分かれ目は、基礎が主要構造部に入るかです。大規模の修繕は「主要構造部の一種以上について行う過半の修繕」で(建築基準法2条14号)、主要構造部は壁・柱・床・はり・屋根・階段です(2条5号)。基礎は入っていないので、基礎だけの補修は大規模の修繕に当たりません。基礎は建物を支える大事な部分なので、✕に見えます。基礎が入るのは、施行令1条3号の構造耐力上主要な部分で、それと取り違えないようにします。

問2(このサイトのオリジナル問題)
あかりさんの自宅で、傷んだ柱の4割と、構造上重要な壁の4割を、それぞれ同じような材料で取り替える。柱と壁を合わせた量が主要構造部の半分を超えれば、この工事は大規模の修繕に当たる。

答え:✕ 分かれ目は、過半を何について数えるかです。2条14号は「主要構造部の一種以上について行う過半の修繕」としていて、柱なら柱、壁なら壁と、種類ごとに過半かを見ます(国土交通省の解説事例集も、過半の判断は主要構造部ごとに行うとしています)。正しくは、柱も壁も4割で過半に届かないので、大規模の修繕に当たりません。主要構造部をまとめた全体の量で過半を数える、という取り違えです。

問3(このサイトのオリジナル問題)
令和8年4月1日に施行されている建築基準法では、耐火建築物とされるには、主要構造部のうち防火上・避難上支障がないものとして政令で定める部分もふくめた主要構造部が、耐火構造であることなどの2条9号の2イの基準に当てはまらなければならない。

答え:✕ 分かれ目は、令和6年4月1日施行の改正で入った「特定主要構造部」です。いまの2条9号の2イは、主要構造部のうち、防火上・避難上支障がないものとして政令で定める部分以外の部分(特定主要構造部)が、耐火構造などの基準に当てはまることを求めています。正しくは、政令で定める部分は、イの基準の対象から外れます。改正前の「その主要構造部が」耐火構造などであること、という形で答えた取り違えです。準耐火建築物(9号の3)は、いまも主要構造部を準耐火構造にするなどの形です。

この分野の○✕は、宅建の5分○✕ドリルの「法令上の制限」で続けて解けます。

まとめ

  • 主要構造部=壁・柱・床・はり・屋根・階段。構造上重要でない間仕切壁・最下階の床・小ばり・ひさし・屋外階段などは除く(2条5号)。基礎は入らない。
  • 構造耐力上主要な部分=基礎・基礎ぐい・壁・柱・小屋組・土台・斜材・床版・屋根版・横架材で、重さや揺れを支えるもの(施行令1条3号)。階段は入らない。
  • 大規模の修繕・模様替え=主要構造部の一種以上について、その種類の過半(2条14号・15号)。6条1項1号・2号の建物は確認が要る。
  • 耐火建築物は、令和6年4月から「特定主要構造部」(政令で定める部分を除いた主要構造部)が基準の対象。準耐火建築物は主要構造部のまま。

参考にした公式の情報(2026年10月確認)

条文は、e-Gov法令検索で令和8年4月1日時点の建築基準法と建築基準法施行令を確かめ、2条9号の2は令和6年3月31日時点と4月1日時点も比べました。出題数は、不動産適正取引推進機構が公開している過去の試験問題を当サイトが数えたものです。

このサイトで次に読むなら、建築確認の記事です。6条1項の1号・2号・3号の分け方と、大規模の修繕・模様替えで確認が要る建物を、表で確かめ直せます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です