宅建の不動産登記法の問題:申請する人・期限・仮登記を見分ける○✕20問

この記事は、宅建試験の不動産登記法を○✕20問で確かめる一問一答です。問題はすべてこのサイトのオリジナルで、正誤は令和8年4月1日に施行されている条文で確かめています。相続登記の申請義務(令和6年4月1日施行)と、住所等の変更登記の申請義務(令和8年4月1日施行)は、どちらも令和8年度の試験の基準日に施行されている規定です。

当サイトが、不動産適正取引推進機構が公開している過去の試験(昭和63年度〜令和7年度の40回、2,000問)を1問ずつ読んで数えたところ、不動産登記法が主な論点の問題は53問で、40回すべてに出ていました。直近10回(令和7年度〜平成30年度。令和2・3年度は10月・12月の2回ずつ)では10問です(分け方は当サイトの判断で、公式の分類ではありません)。

不動産登記法の肢は、「だれが申請するか(共同か単独か)」「いつまでに申請するか(義務があるか)」「どの登記の話か(表示か権利か、本登記か仮登記か)」の入れ替えで作られます。20問を、①表示の登記と申請の義務、②申請のしかた、③仮登記、④相続登記と住所等の変更登記の義務、に分けました。

この20問の解き方

  1. まず「表示の登記か、権利の登記か」を決める。表示の登記には1か月の申請義務があるものが多く、権利の登記は相続と住所等の変更を除いて期限がありません。
  2. 権利の登記なら、共同申請(60条)が原則で、単独でできるのは条文に定めがある場合だけ、と考えて例外の条文を探す。
  3. ✕と決めたら、どの一語を直すかを言ってから答えを見る。

登記の種類と、相続登記・住所変更の義務の全体は不動産登記法の記事で確かめられます。

表示の登記と申請の義務(問1〜5)

表題登記・分筆と合筆・区分建物の細かい規定は表示に関する登記の記事にまとめています。

問1(このサイトのオリジナル問題)
Aは区分建物ではない建物を新築したが、表題登記をしないうちに、その建物をBに売った。Bは、この建物の表題登記を申請する義務を負わない。

答え:✕ 分かれ目は、表題登記の義務を負う人に、表題登記の前に建物を買った人が入るかです。47条1項は「新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者」に、取得の日から1か月以内の表題登記の申請を義務づけています。正しくは、区分建物ではない建物を表題登記の前に買ったBは、所有権を取得した日から1か月以内に申請しなければなりません。区分建物では、表題登記がない一室を買った人はこの義務を負わず、新築した人が一棟の建物の他の区分建物と併せて申請します(47条1項・48条1項)。その扱いと取り違えた形です。

問2(このサイトのオリジナル問題)
Aは、自分名義で所有権の登記がされている建物に増築をし、床面積が変わった。Aは、増築による変更があった日から1か月以内に、建物の表題部の変更の登記を申請しなければならない。

答え:○ 分かれ目は、所有権の登記がある建物にも表示の登記の義務がかかるかです。床面積は建物の表示の登記事項で(44条1項3号)、変更があったときは、表題部所有者または所有権の登記名義人が、1か月以内に変更の登記を申請します(51条1項)。所有権の登記を済ませた建物なら表示の登記の義務はもうない、と考えると✕にしてしまいます。売買による所有権の移転の登記のような権利の登記には申請の期限がありませんが(民法177条の対抗の問題になるだけです)、床面積の変更は表示の登記の話です。

問3(このサイトのオリジナル問題)
Aは、隣り合い、地目と地番区域が同じで、所有権以外の権利の登記もない甲土地と乙土地を持つ。甲土地には所有権の登記があり乙土地は表題登記だけであるが、Aは、この2筆の合筆の登記を申請することができる。

答え:✕ 分かれ目は、所有権の登記の有無がそろっているかです。「所有権の登記がない土地と所有権の登記がある土地」の合筆の登記はできません(41条5号)。正しくは、Aは、このままでは合筆できません。持ち主が同じなら合筆できる、と考えた取り違えで、持ち主(表題部所有者・所有権の登記名義人)が同じことは、合筆の条件の一つにすぎません(41条3号)。

問4(このサイトのオリジナル問題)
分譲業者Aは、新築したマンション(区分建物)のうち、売れた1室についてだけ、先に表題登記を申請することができる。

答え:✕ 分かれ目は、区分建物の表題登記の申請のしかたです。区分建物が属する一棟の建物が新築された場合の表題登記の申請は、その一棟の建物に属する他の区分建物の表題登記の申請と「併せてしなければならない」とされています(48条1項)。正しくは、1室だけを先に申請することはできません。区分建物以外の建物の表題登記(47条1項)には、このような「併せて」申請する定めはなく、その扱いと取り違えた形です。

問5(このサイトのオリジナル問題)
Bは、取引の予定はないが、近所のAの土地について、登記事項証明書の交付を登記官に請求した。Bは、その土地に利害関係があることを明らかにしなければ、交付を受けることができない。

答え:✕ 分かれ目は、請求できる人の範囲です。登記事項証明書は「何人も」手数料を納めて交付を請求できます(119条1項)。正しくは、利害関係がなくても交付を受けられます。請求する人に「正当な理由」が求められるのは、登記簿の附属書類のうち政令で定める図面以外のものの閲覧です(121条3項)。証明書と附属書類の扱いを取り違えた形です。

申請のしかた:共同申請と単独申請(問6〜10)

権利の登記は、登記権利者と登記義務者が共同で申請するのが原則です(60条)。単独でできる場合の一覧は登記の申請の記事で確かめられます。

問6(このサイトのオリジナル問題)
表題登記だけがある建物(表題部所有者はA)について、Bが、Aを相手に、Bが所有権を持つことを確認する確定判決を得た。Bは、この判決によって、直接B名義の所有権の保存の登記を申請できる。

答え:○ 分かれ目は、保存の登記と移転の登記で、使える判決が違うことです。所有権の保存の登記を申請できる人は限られていて、その一つが「所有権を有することが確定判決によって確認された者」です(74条1項2号)。確認の判決では登記はできない、と考えると✕に見えます。所有権の移転の登記を一方が単独で申請するには、他方に「登記手続をすべきことを命ずる確定判決」が要ります(63条1項)。

問7(このサイトのオリジナル問題)
表題登記だけがある建物の表題部所有者Aが死亡し、子Bが相続した。Bは、A名義の保存の登記をしなくても、直接B名義の所有権の保存の登記を申請できる。

答え:○ 分かれ目は、保存の登記を申請できる人に相続人が入るかです。74条1項1号は「表題部所有者又はその相続人その他の一般承継人」としています。まずA名義で保存の登記をし、それから相続の登記をする、と考えると✕に見えます。これに対し、表題部所有者から建物を買った人は、区分建物の場合(74条2項)を除いて74条1項に入っていないので、直接自分名義の保存の登記はできません。

問8(このサイトのオリジナル問題)
Aは、新築した建物について自分名義の所有権の保存の登記をしたが、その後に所有権の移転の登記はされていない。この保存の登記の抹消は、Aが単独で申請することができる。

答え:○ 分かれ目は、所有権の登記の抹消の例外です。所有権の登記の抹消は、「所有権の移転の登記がない場合に限り」、所有権の登記名義人が単独で申請できます(77条)。権利の登記の抹消も共同申請(60条)と考えると✕に見えます。移転の登記がされた後なら、この例外は使えません。

問9(このサイトのオリジナル問題)
Aは、土地を売った後の所有権の移転の登記の申請を、司法書士Cに頼んだ。Cが申請する前にAが死亡した場合、CはAの代理人として申請することができない。

答え:✕ 分かれ目は、登記の申請の代理権の特則です。登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、本人の死亡によっては消滅しません(17条1号)。正しくは、CはAの代理人として申請を続けられます。民法では本人の死亡で代理権が消滅するので(民法111条1項1号)、その一般の規定を登記の申請に当てはめた取り違えです。

問10(このサイトのオリジナル問題)
甲土地に、1番抵当権者Aと2番抵当権者Bがいる。AとBが順位を入れ替える合意をし、利害関係を持つ人もいないときは、その登記をしなくても、順位の変更の効力が生じる。

答え:✕ 分かれ目は、登記が効力の要件か、対抗の要件かです。抵当権の順位は抵当権者の合意で変更でき(民法374条1項)、その変更は「登記をしなければ、その効力を生じない」とされています(同条2項)。正しくは、登記をして初めて順位が入れ替わります。登記がなくても当事者の間では効力があり、第三者に対抗できないだけ、という一般の物権変動の考え方(民法177条)と取り違えた形です。

仮登記(問11〜13)

問11(このサイトのオリジナル問題)
AはBに土地を売る予約をし、Bは所有権の移転請求権の仮登記をしようとしている。Aの承諾があるときは、Bは、Aと共同しなくても、単独で仮登記を申請することができる。

答え:○ 分かれ目は、仮登記の申請の例外です。仮登記は、仮登記の登記義務者の承諾があるとき、または仮登記を命ずる処分があるときは、60条にかかわらず、仮登記の登記権利者が単独で申請できます(107条1項)。権利の登記はすべて共同申請と考えると✕に見えます。承諾が得られないときに仮登記を命ずる処分をするのは、登記官ではなく裁判所です(108条1項)。

問12(このサイトのオリジナル問題)
AはBに土地を売って所有権は移転したが、Aが登記識別情報を提供することができない。この場合、Bは、所有権の移転の仮登記をすることができる。

答え:○ 分かれ目は、仮登記ができる二つの場面の区別です。105条1号は、権利の変動はすでにあったのに、申請に必要な情報のうち法務省令で定めるもの(登記識別情報、第三者の許可・同意・承諾を証する情報:不動産登記規則178条)を提供できないときに、仮登記を認めています。仮登記は売買の予約など将来の権利を守るためのもの、と105条2号の場面だけを覚えていると✕に見えます。

問13(このサイトのオリジナル問題)
Bは、Aの土地について所有権の移転請求権の仮登記をしていたが、売買をやめることになった。この仮登記の抹消は、BとAが共同で申請しなければならない。

答え:✕ 分かれ目は、仮登記の抹消の申請人です。仮登記の抹消は、60条にかかわらず、仮登記の登記名義人が単独で申請できます(110条前段)。正しくは、Bが単独で申請できます。登記上の利害関係人も、仮登記の登記名義人の承諾があれば単独で申請できます(同条後段)。権利の登記の共同申請の原則(60条)を、例外のある仮登記の抹消に当てはめた取り違えです。

相続登記と住所等の変更登記の義務(問14〜20)

相続登記の申請義務は令和6年4月1日、住所等の変更登記の申請義務は令和8年4月1日から施行されています(法務省の案内による)。ここでは、義務がかかる人・期限の数え始め・義務を果たしたことになる場合を問います。

問14(このサイトのオリジナル問題)
甲土地の所有権の登記名義人Aが死亡し、子Bは、期間内に相続人である旨の申出をした。その後の遺産分割でBが甲土地を取得したときは、Bは、遺産分割の日から3年以内に所有権の移転の登記を申請しなければならない。

答え:○ 分かれ目は、申出で果たしたことになる義務の範囲です。期間内に相続人である旨の申出をした人は、相続による登記の申請義務を履行したものとみなされますが(76条の3第2項)、申出の後の遺産分割で所有権を取得したときは、分割の日から3年以内に登記を申請しなければなりません(同条4項)。申出をすれば義務はすべて終わる、と考えると✕にしてしまいます。

問15(このサイトのオリジナル問題)
甲土地の所有権の登記名義人Aが死亡し、子BとCが甲土地を相続した。Bが申請して、B・C全員の法定相続分による相続の登記がされたときは、Cも、相続登記の申請義務を負わなくなる。

答え:○ 分かれ目は、ほかの人の申請で登記がされた場合の扱いです。76条の2第3項は、相続登記の申請義務の規定は「代位者その他の者の申請又は嘱託により」その登記がされた場合には適用しない、としています。義務は相続人一人ひとりにあるので、C自身が申請しなければならない、と考えると✕に見えます。これに対し、相続人である旨の申出で義務を果たしたものとみなされるのは、申出をした本人だけです(76条の3第2項)。

問16(このサイトのオリジナル問題)
甲土地の所有権の登記名義人Aは、相続人である子Bに甲土地を遺贈する遺言をして死亡した。Bは、相続の開始と遺贈による甲土地の取得を知った日から3年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。

答え:○ 分かれ目は、遺贈が申請義務の対象に入るかです。76条の2第1項は、相続により所有権を取得した者の申請義務を定め、後段で、相続人に対する遺贈により所有権を取得した者も同様としています。遺贈は相続ではないので義務はない、と考えると✕に見えます。相続人でない人への遺贈は、この義務の対象ではありません。

問17(このサイトのオリジナル問題)
甲土地の所有権の登記名義人Aは令和5年に死亡し、子Bはその年のうちに甲土地を相続したことを知ったが、相続登記をしていない。この場合、Bは、相続登記の申請義務を負わない。

答え:✕ 分かれ目は、施行日の前に開始した相続の扱いです。相続登記の申請義務(76条の2第1項)を定めた民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)は、附則5条6項で、施行日(令和6年4月1日)より前に開始した相続にもこの義務を及ぼしています。施行日より前に相続を知っていた人の期限は、施行日から3年の令和9年3月31日です(法務省の「相続登記の申請義務化の施行に向けたマスタープラン」も同じ説明です)。正しくは、Bにも申請義務があります。施行日の後に開始した相続だけが対象、と考えた取り違えです。正当な理由なく義務に違反したときの過料は10万円以下です(164条1項)。

問18(このサイトのオリジナル問題)
所有権の登記名義人である株式会社Aが本店を移転した。Aは、移転の日から2年以内に住所の変更の登記を申請しなければならず、この登記はAが単独で申請できる(令和8年4月1日施行の条文による)。

答え:○ 分かれ目は、住所等の変更登記の義務が法人にもかかるかです。76条の5は、所有権の登記名義人の「氏名若しくは名称又は住所」に変更があったとき、変更の日から2年以内に変更の登記を申請しなければならないとし、「名称」を挙げているので法人も対象です。登記名義人の住所の変更の登記は、登記名義人が単独で申請できます(64条1項)。個人の引っ越しだけの義務と考えると✕にしてしまいます。法務省は、施行日より前の変更も、変更の登記をしていなければ対象になると案内しています。

問19(このサイトのオリジナル問題)
甲土地に抵当権の登記をしている銀行Bが、本店を移転した。Bは、移転の日から2年以内に、抵当権の登記名義人としての住所の変更の登記を申請しなければならない(令和8年4月1日施行の条文による)。

答え:✕ 分かれ目は、義務がかかる登記名義人の種類です。2年以内の申請義務を負うのは「所有権の登記名義人」です(76条の5)。正しくは、抵当権の登記名義人であるBには、この申請義務はありません(変更の登記を単独で申請すること自体はできます:64条1項)。問18の所有権の登記名義人の義務を、ほかの権利の登記名義人に広げた取り違えです。

問20(このサイトのオリジナル問題)
個人Aが所有権の登記名義人である土地について、Aが引っ越した。登記官は、Aからの申出がなくても、職権で住所の変更の登記をすることができる。

答え:✕ 分かれ目は、職権の登記に本人の申出が要るかです。登記官は、法務省令で定める場合に、職権で氏名・名称・住所の変更の登記をすることができますが、所有権の登記名義人が自然人であるときは「その申出があるときに限る」とされています(76条の6)。正しくは、個人のAについては、Aの申出がなければ職権の登記はできません。申出が要らない法人の扱いと取り違えた形です。

まちがえた問題から、直す所を決める

分かれ目の種類問題直し方
表示の登記の義務問1・21か月の義務がかかる登記と人を、表示の登記の条文で確かめる
共同か単独か問6・7・8・11・13・18単独でできる条文を一覧にして覚える
民法・一般原則との違い問9・10登記法の特則と民法の規定を並べる
できる・できないの条件問3・4・5・12条文の号ごとの条件を一語で言う
義務の範囲・時点問14・15・16・17・19・20だれに・いつから・何で果たせるかを表にする

相続登記と住所等の変更登記の義務は、改正で加わった規定なので、古い教材や古い過去問の解説には載っていないことがあります。問14〜20で迷った場合は、条文(76条の2〜76条の6)を直接読むのが近道です。

この20問のあとは、宅建の5分○✕ドリルの権利関係で、不動産登記法を含む問題を続けて解けます。1回10問で、✕と△を付けた問題が間をあけて戻ってきます。

参考にした公式の情報(2026年10月確認)