親族の範囲と親等の数え方:6親等内の血族・配偶者・3親等内の姻族(民法725条〜730条)

ひとことで言うと、民法の「親族」は、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族の3つです(725条)。親等(しんとう)は世代の数で数え、兄弟姉妹・おじ・いとこなどの傍系(ぼうけい=枝分かれした先の親族)は、共通の祖先までさかのぼってから、相手まで下る世代の数で数えます(726条)。

血族(けつぞく)は血のつながった人と、養子縁組でつながった人です(727条)。姻族(いんぞく)は、配偶者の血族と、自分の血族の配偶者をいいます。民法には姻族そのものを定めた条文はなく、これは一般的な説明です。条文で決まっているのは、姻族の親等を本人か配偶者から数えること(726条2項)と、親族になるのは3親等内の姻族までであること(725条3号)です。この記事では、725条〜730条を自作の家系図で確かめ、「親族」「親等」が使われるほかの条文をつなぎます。扶養の生活上の話は扱いません。条文は、令和8年4月1日時点の民法を e-Gov 法令検索で確かめています。

身近な例で考えると

はるかさんを中心にした家系図です(架空の家族です)。かっこの中は、はるかさんから見た親等です。夫のけんたさんの側の人は、はるかさんから見ると姻族になります。

世代はるかさんの直系はるかさんの傍系夫けんたさんの側
祖父母の世代祖父・祖母(2)祖父の弟(4)—
親の世代父・母(1)父の妹みかさん(3)けんたさんの父・母(姻族1)
本人の世代はるかさん/夫けんたさん(配偶者)兄だいきさん(2)、兄の妻えりさん(姻族2)、いとこゆいさん(4)けんたさんの兄しょうたさん(姻族2)
子の世代子ひなたさん(1)兄の子そらさん(3)—
  1. 直系(ちょっけい)は、親・祖父母・子・孫のように、上下にまっすぐつながる人です。父は1世代上なので1親等、祖父は2親等、子は1親等です。
  2. 兄のだいきさんは、はるかさんから父母に上がって(1)、だいきさんに下りる(2)ので2親等です。
  3. 父の妹のみかさんは、父(1)、祖父母(2)と上がって、みかさんに下りる(3)ので3親等です。その子のゆいさん(いとこ)は4親等です。
  4. けんたさんの兄のしょうたさんは、配偶者のけんたさんから数えます(726条2項の「又はその配偶者から」)。けんたさんの父母(1)に上がって、しょうたさんに下りる(2)ので、姻族2親等です。

夫のけんたさんは配偶者として親族です(725条2号)。配偶者どうしには世代の差がないので、親等では数えません。兄の妻のえりさんは「血族の配偶者」なので、兄と同じ2親等の姻族です。

条文ではこう決まっている

  • 親族の範囲(725条):「六親等内の血族」「配偶者」「三親等内の姻族」を親族とする。
  • 親等の計算(726条):親等は「親族間の世代数を数えて」定める(1項)。傍系は、その一人またはその配偶者から同一の祖先にさかのぼり、その祖先から他の一人に下るまでの世代数による(2項)。
  • 縁組による親族関係(727条):養子と、養親およびその血族との間には、養子縁組の日から、血族と同じ親族関係が生じる。
  • 姻族関係の終了(728条):離婚によって終わる(1項)。夫婦の一方が死亡した場合は、生存配偶者が姻族関係を終わらせる意思を表示したときに終わる(2項)。
  • 離縁(729条):養子とその配偶者、養子の直系卑属とその配偶者と、養親およびその血族との親族関係は、離縁によって終わる。
  • 助け合い(730条):「直系血族及び同居の親族は、互いに扶け合わなければならない。」

727条は「縁組の日から」です。縁組より前に生まれていた養子の子が養親の血族になるかは、この「日から」で決まります。相続でこの点が効く場面は相続分の計算の記事で扱っています。縁組と離縁の要件は親子の記事にあります。

当てはまる例・当てはまらない例

当てはまる例:祖父の弟の孫(はとこ)

祖父の弟は、はるかさんから父(1)、祖父(2)、曽祖父(3)と上がり、祖父の弟に下りて4親等です。その子は5親等、その孫は6親等です。6親等内の血族なので、親族に当たります。

当てはまらない例:夫の兄の妻

しょうたさんの妻は、はるかさんから見ると「配偶者の血族の配偶者」です。姻族は配偶者の血族と血族の配偶者で、この人はどちらにも当たりません。姻族に当たらないので、親等を数えるまでもなく、はるかさんの親族ではありません。726条2項も、本人か配偶者から数える作りで、配偶者の血族の配偶者まで数える定めはありません。

当てはまらない例:兄の妻の親

えりさんの親は、はるかさんから見ると「血族の配偶者の血族」です。これも姻族に当たらないので、親族ではありません。

ひっかけやすい例:4親等の姻族

けんたさんのいとこは、けんたさんから数えて4親等なので、はるかさんから見て姻族4親等です。血族なら6親等まで親族ですが、姻族は3親等までなので、親族には当たりません。「4親等なら親族」と血族の範囲で考えると誤ります。

ひっかけやすい例:離婚した後の婚姻

はるかさんとけんたさんが離婚すれば、けんたさんの父母との姻族関係は終わります(728条1項)。それでも、直系姻族の間では、姻族関係が終わった後も婚姻できません(735条)。一方、けんたさんの兄のような傍系の姻族との婚姻を禁じる条文はありません。

「親族」「親等」が使われる条文

親族の範囲は、それだけで問われるより、ほかの条文の要件として使われます。範囲が725条と違う条文が多いので、だれが対象かを条文ごとに確かめます。

条対象になる人決まること
730条直系血族・同居の親族互いに扶け合う
734条直系血族・3親等内の傍系血族婚姻できない(養子と養方の傍系血族は除く)
735条直系姻族婚姻できない(姻族関係が終わった後も)
736条養子側と養親・その直系尊属離縁の後も婚姻できない
877条直系血族・兄弟姉妹扶養の義務(特別の事情で家庭裁判所が3親等内の親族にも)
889条直系尊属親等の近い人が先に相続人になる
1050条相続人でない親族(相続を放棄した人などは除く)特別寄与料を請求できる

婚姻の条件の全体は婚姻と離婚の記事、相続人の順位は相続の記事、1050条は特別の寄与の記事で扱っています。1050条は「親族」を要件にしているので、725条の範囲に入るかどうかが、請求できるかの入口になります。

試験ではここをまちがえやすい

  • 血族と姻族の範囲の入れ替え:姻族を6親等まで、血族を3親等までとする形。血族は6親等内、姻族は3親等内です。
  • 姻族の広げすぎ:配偶者の血族の配偶者(夫の兄の妻など)を姻族とする形。姻族は、配偶者の血族と血族の配偶者です。
  • 傍系の数え方:おじ・おばを2親等、いとこを3親等とする形。共通の祖先までさかのぼってから下るので、おじ・おばは3親等、いとこは4親等です。
  • 婚姻の禁止の範囲:734条の「3親等内の傍系血族」を、725条の親族の範囲と取り違える形。いとこ(4親等)は734条の禁止に入りません。
  • 姻族関係が終わった後の扱い:直系姻族との婚姻の禁止は、姻族関係が終わった後も続きます(735条)。

○✕でたしかめよう

問1(このサイトのオリジナル問題)
はるかさんの祖父には弟がいて、その弟の孫がゆうまさんである。ゆうまさんは、民法上、はるかさんの親族に当たる。

答え:○ 分かれ目は、傍系の親等の数え方です。726条2項により、はるかさんから共通の祖先である曽祖父まで3世代さかのぼり、祖父の弟、その子、その孫と3世代下るので、ゆうまさんは6親等の血族です。725条1号は6親等内の血族を親族とするので、親族に当たります。遠い親せきなので親族ではない、と考えると✕にしてしまいます。取り違えの相手は3親等という数字で、これは姻族の範囲(725条3号)と、婚姻を禁じる傍系血族の範囲(734条)の数字です。

問2(このサイトのオリジナル問題)
はるかさんの夫けんたさんには、いとこのりくさん(けんたさんの父の弟の子)がいる。りくさんは、民法上、はるかさんの親族に当たる。

答え:✕ 分かれ目は、姻族の親等をどこから数えるかと、親族になる姻族の範囲です。726条2項は、傍系の親等を「その一人又はその配偶者から」同一の祖先にさかのぼって数えるとしています。はるかさんの配偶者けんたさんから父母(1)、祖父母(2)とさかのぼり、おじ(3)、りくさん(4)と下るので、りくさんは4親等の姻族です。正しくは、725条3号が親族とするのは3親等内の姻族までなので、りくさんは親族に当たりません。取り違えの相手は725条1号の血族の範囲(6親等内)で、はるかさん自身のいとこ(4親等の血族)なら親族です。

問3(このサイトのオリジナル問題)
はるかさんとけんたさんが離婚した場合、はるかさんとけんたさんの父との姻族関係は終わるが、その後も、はるかさんはけんたさんの父と婚姻をすることができない。

答え:○ 分かれ目は、姻族関係が終わった後の婚姻の禁止です。姻族関係は離婚によって終わります(728条1項)が、735条は、直系姻族の間では婚姻できず、728条により姻族関係が終わった後も同様だとしています。関係が終わったのだから婚姻できる、と考えると✕にしてしまいます。取り違えの相手は傍系の姻族(けんたさんの兄など)で、こちらとの婚姻を禁じる条文はありません。

この分野の○✕は、行政書士の5分○✕ドリルの「民法」で続けて解けます。

まとめ

  • 親族=6親等内の血族・配偶者・3親等内の姻族(725条)。
  • 親等は世代の数。傍系は共通の祖先までさかのぼって下る。姻族は配偶者から数える(726条)。
  • 姻族は、配偶者の血族と血族の配偶者。配偶者の血族の配偶者は入らない。
  • 養子は縁組の日から養親の血族と親族関係(727条)。離縁で終わる(729条)。
  • 姻族関係は離婚で終わる(728条)。直系姻族との婚姻は、終わった後もできない(735条)。

参考にした公式の情報(2026年10月確認)

条文は、e-Gov法令検索で令和8年4月1日時点の民法を確かめました。家系図と例の家族は、説明のために作ったものです。

  • e-Gov法令検索「民法」(725条、726条、727条、728条、729条、730条、734条、735条、736条、877条、887条、889条、1050条)

このサイトで次に読むなら、相続分の計算の記事です。直系尊属は親等の近い人が先になること、養子の縁組の日の意味を、10の家族の例で確かめられます。

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