行政書士試験にかかる費用:受験料10,400円と、合格後の登録までの出費

行政書士試験の受験手数料(受験料)は10,400円です(令和8年度試験案内)。インターネットで申し込むと、これとは別にシステム手数料370円がかかります。郵送で申し込むときは、郵便局の窓口で払うときの手数料と、郵送料が自分の負担です。一度払った受験手数料は、原則として戻りません。戻るのは、地震や台風などで試験そのものが行われなかった場合などです。

受験料のほかにかかるのは、教材費と、合格したあとの登録費用です。教材費は、何を買うかで大きく変わります。そのため、この記事では「だいたいいくら」という金額は書きません。かわりに、無料で使える公式の資料と、どこにお金を使うべきかの考え方を書きます。登録費用は、登録する都道府県の行政書士会の案内で確かめます。

受験そのものにかかるお金はいくらか

令和8年度の試験案内では、申込みの方法によって、払い方と上乗せの費用が違います。

項目インターネット申込み郵送申込み
受験手数料10,400円10,400円
払い方本人名義のクレジットカード、またはコンビニ専用の振替払込用紙で郵便局の窓口
上乗せの費用システム手数料370円払込みの費用、郵送料

試験案内には、インターネット申込みについて「その他、システム手数料(370円)は、受験申込者の負担となります。」とあります。たとえば、ゆいさんがインターネットで申し込んだとします。この場合、受験手数料10,400円とシステム手数料370円の両方を払います。

郵送申込みでは、払込み(お金を振り込むこと)にかかる費用も、郵送料も、申し込む人の負担です。郵送のときの払込みの費用がいくらかは、試験案内には書かれていません。

この金額は、令和8年度の試験案内によるものです。次の年度から先に受ける人は、その年度の試験案内でもう一度確かめてください。申込みの期間と締切は、インターネットと郵送で違います(試験日程の記事)。

払込みの方法ごとに、何に気をつけるか

インターネット申込み:カードは本人名義だけ

クレジットカードは、申し込む本人の名前のものに限られます。使えるカードとして、VISA、Mastercard、JCB、アメリカン・エキスプレス、Dinersが挙がっています。家族の名前のカードでは払えません。本人名義のカードがない人は、コンビニで払う方法を選びます。

コンビニは、セブン-イレブン、ローソン、ローソン・スリーエフ、ファミリーマート、セイコーマート、ミニストップ、デイリーヤマザキなどが挙がっています。

インターネット申込みでは、センターは領収書を出しません。試験案内によると、令和7年度まで出していた「受験手数料払込証明書」はなくなりました。クレジットカードの明細が、払ったことの証明になると案内されています。よくある質問にも、インターネット申込みの領収書は出していないとあります。カード会社の明細書などで確かめるよう書かれています。

郵送申込み:窓口で払い、受付証明書を願書に貼る

郵送申込みでは、専用の振替払込用紙を使います。これは、郵送用の試験案内にとじ込まれています。この用紙で、郵便局(ゆうちょ銀行)の窓口で払います。試験案内には「ATMからの払い込みは禁止です。」と書かれています。ATMでは「振替払込受付証明書(お客さま用)」が出ないからです。払込みは、受験願書(申込みの書類)の受付期間のうちに済ませます。

窓口で払うと、次の2枚を受け取ります。「振替払込請求書兼受領証」と「振替払込受付証明書(お客さま用)」です。

  • 受付証明書:郵便局の日附印(ひづけいん=日付のはんこ)があるものを、受験願書の決められた欄に貼ります。貼っていない願書は受け付けられません。
  • 受領証:試験案内では、受験手数料を払った証拠の書類とされています。手元にしまっておきます。

受付証明書をなくしたときの扱いも、試験案内に書かれています。センターは責任を負いません。もう一度払い込んで、新しい受付証明書を願書に貼ることになります。

なくした受付証明書があとで見つかったら、センターに出せます。そうすると、二度目に払った受験手数料は返してもらえます。ただし、返してもらうときの手数料は自分の負担です。つまり、なくすと一時的に二重払いになり、戻るときにも費用がかかります。受け取ったら、その場で願書に貼ってしまうと安心です。

払った受験手数料が戻るのはどんなときか

令和8年度の試験案内には、次のように書かれています(試験概要にも、ほぼ同じ文があります)。

「一旦払い込まれた受験手数料は、地震や台風等により、試験自体を実施しなかった場合等を除き、返還しません。」

例外として挙がっているのは、試験そのものが行われなかった場合です。仕事の都合や体調で受けられなくなった場合に戻るとは、書かれていません。戻らないものとして計画しておくのが安全です。

もう一つ、お金に関わる決まりがあります。受験する試験地(都道府県)は、住所と関係なく全国どこでも選べます。でも申し込んだあとは、転勤や引っ越しを理由に試験場を変えられません。遠い試験地を選ぶと、交通費や宿泊費がかかります。あとから近くに変えることもできません。

だから申込みのときに、11月の第2日曜日に自分がどこにいそうかを考えて選びます。当日の持ち物や時間の流れは試験当日の記事にまとめています。

教材費はどう考えればよいか

教材にいくらかかるかは、何をどれだけ買うかで決まります。よりどころのある「だいたいの金額」はありません。そこでここでは、「無料で手に入るもの」と「お金を払って補うもの」に分けて考えます。

無料で使える公式の資料

  • 過去の試験問題と正解:行政書士試験研究センターのサイトで公開されています。令和2年度から令和7年度までの6年分の問題(PDF)と正解です。解説はありません。著作権の関係で載っていない問題もあります(過去の試験問題と正解)。
  • 条文:e-Gov法令検索で、行政手続法・行政不服審査法・民法などの条文を無料で読めます。過去の時点の条文も確かめられます。
  • 試験案内・試験概要:出題の範囲、基準日、合格基準の考え方が書かれています。

お金を払って補うもの

有料の教材は、無料の資料で足りない部分を補うもの、と考えます。そうすると、買うものを絞れます。

種類補うもの買う前に確かめること
基本書全体の説明対応する法令の時点
過去問集解説と分野別の並び解説に根拠条文があるか
六法(紙)書き込み・一覧性収録法令の時点
模試本番形式の練習本番と同じ形式・時間か

公式の過去問PDFには解説がありません。解説の中身を自分で条文から確かめる時間が取れない人は、解説つきの過去問集にお金を使う意味があります。

逆に、紙の六法(ろっぽう=法律の条文を集めた本)は急がなくてかまいません。条文はe-Govで読めるからです。「書き込みたい」「一覧で引きたい」という理由がはっきりしてからでも遅くありません(六法の記事)。教材の選び方と組み合わせは独学の記事でくわしく書いています。

古い教材で節約するときの落とし穴

令和8年度試験は、令和8年4月1日現在に施行されている(効き目のある)法律から出題されます。その少し前に、次の2つの改正がありました。

  • 行政書士法の改正(2026年1月1日施行):業務の条文が、1条の2から1条の3に移りました。
  • 民法の改正(2026年4月1日施行分):財産分与(離婚のとき夫婦の財産を分けること)を求められる期間が変わりました。離婚の時から2年だったのが、5年になりました。

前の年の教材を安く手に入れても、こうした所は自分で直す必要があります。直す手間をかけられるかどうかで、新しい版を買うかを決めます。範囲と改正の全体は出題範囲の記事にまとめています。

合格した後、登録までに何の費用がかかるか

試験に合格しただけでは、まだ行政書士ではありません。日本行政書士会連合会の行政書士名簿に登録されて、はじめて行政書士になります。登録されると、事務所を置く都道府県の行政書士会の会員になります(行政書士法16条の5第1項)。登録の流れは合格後の登録の記事で書いています。

登録のときにかかる費用で、公式の案内で確かめられたのは次のとおりです。

  • 登録免許税(登録のときに国に納める税):愛知県行政書士会の「新規登録申請のご案内」では、申請の日に持っていくものとして挙がっています。収入印紙で納めます。
  • 行政書士会が決める費用:登録と同時に行政書士会の会員になります。そのため、会が決める費用がかかることがあります。項目と金額は、会ごとの案内で確かめます。
  • 書類をそろえる費用:日本行政書士会連合会の案内では、本籍地が書かれた住民票の写しや、身分証明書などをそろえます。どれも、出す日の前3か月以内に取ったものです。発行手数料は、発行する役所の決まりによります。

それぞれの金額は、登録する都道府県の行政書士会の案内で確かめてください。会ごとに違うことがあり、変わることもあります。そのため、この記事では金額を書いていません。愛知県行政書士会は「登録に必要な費用」をPDFで案内しています。日本行政書士会連合会の登録のページには、金額は載っていません。手続きのくわしいことは、事務所を置く都道府県の行政書士会に聞くよう案内されています。

なお、行政書士法2条の条文には、合格で得た資格の期限は書かれていません。登録の費用をいつ用意するかは、仕事を始める時期に合わせて決められます。

お金が出ていく時期を並べると、どうなるか

令和8年度の日程に当てはめると、お金が出ていく時期は次のようになります。予定を立てるときの目安にしてください。

  1. 勉強を始めたとき:基本書など、最初に使う教材。公式の過去問と条文は無料です。
  2. 申込みのとき(令和8年度は7月21日から):受験手数料10,400円。インターネットならシステム手数料370円、郵送なら払込みの費用と郵送料も。ここで払ったお金は、原則として戻りません。
  3. 試験の日(令和8年度は11月8日):試験地までの交通費。遠い試験地を選んだ場合は、宿泊費も。
  4. 合格発表(令和9年1月27日)のあと、登録を申請するとき:登録免許税、行政書士会が決める費用、書類の発行手数料。愛知県行政書士会の案内では、書類の申請から登録完了まで約2か月です。

受験の段階でどうしてもかかるのは、受験手数料と、試験の日の交通費です。教材費は、何をどれだけ買うかを自分で選べます。登録の費用は、合格が分かってから用意しても間に合います。

出費を抑えるとき、どこを削りどこを削らないか

当サイトの考え方はこうです。「やり直しがきかない出費」と「点に直接つながる出費」は削りません。「重なっている出費」から削ります。

  • 削らない:受験地の選び方。申込みのあとは変えられず、受験手数料も戻りません。当日に無理なく行ける試験地を選びます。
  • 削らない:基準日に合った基本書1冊。条文が変わった所を古い説明のまま覚えると、本番で点を落とします。
  • 削れる:2冊目からの基本書。1冊を通して読み、足りない所は条文と過去問で補えます。
  • 削れる:年度別の過去問集。年度ごとに時間を計って解く練習は、公式の6年分のPDFで代わりになります。解説は、条文で自分で確かめます。
  • 人によって決める:模試。本番と同じ3時間の形式を、一度は体験したい人には意味があります。公式の過去問を時間どおりに解くことでも、時間配分の練習はできます(模試の記事)。

このサイトで次に読むなら、教材を何から買うかを決めるために独学の記事をどうぞ。合格後の費用の時期まで見通したい人は、合格後の登録の記事をどうぞ。

参考にした公式の情報(2026年10月確認)