行政書士試験の合格率の推移と読み方:直近10年の数字と合格者の平均点

行政書士試験の合格率は、令和7年度が14.54%(受験者50,163人のうち合格者7,292人)でした。直近5年では11.18%〜14.54%、直近10年では9.95%〜15.72%の間で上下しています。

ただし、この試験は「上位の何割を合格にする」方式ではありません。合格基準(令和7年度は全体180点など)を満たした人が、全員合格する方式です。だから合格率は、結果としてその割合になった数字にすぎません。受験生にとって大事なのは、合格率よりも、自分が基準点に届くかどうかです。以下、数字の出どころと読み方を順に説明します。

直近10年の合格率はどう推移しているか

行政書士試験研究センター(試験を実施している機関。以下「センター」)は、「最近10年間における行政書士試験結果の推移」という表を公表しています。そこから、受験者数・合格者数・合格率を抜き出しました。

年度受験者数合格者数合格率
令和7年度50,163人7,292人14.54%
令和6年度47,785人6,165人12.90%
令和5年度46,991人6,571人13.98%
令和4年度47,850人5,802人12.13%
令和3年度47,870人5,353人11.18%
令和2年度41,681人4,470人10.72%
令和元年度39,821人4,571人11.48%
平成30年度39,105人4,968人12.70%
平成29年度40,449人6,360人15.72%
平成28年度41,053人4,084人9.95%

この10年でいちばん低いのは、平成28年度の9.95%です。いちばん高いのは、その翌年の平成29年度の15.72%です。直近5年に限ると、令和7年度の14.54%が最も高い数字です。

受験者数は、令和2年度の41,681人から令和7年度の50,163人まで増えています。合格者数も4,470人から7,292人に増えました。なぜ増えたのか、センターは理由を示していません。そのため、当サイトでも推測は書きません。

合格率の分母は「申込者」か「受験者」か

分母(ぶんぼ)とは、割り算で「何で割るか」の数です。公表されている合格率は、実際に受験した人(受験者数)を分母にしています。令和7年度なら、7,292÷50,163=14.54%です。

一方、申込をした人は63,845人でした。そのうち実際に受験したのは78.57%です(これを受験率といいます)。申込者のおよそ2割、13,682人は試験を受けていません。申込者を分母にして当サイトで計算し直すと、7,292÷63,845=約11.4%になります。

ほかの資料で「行政書士試験の合格率は◯%」という数字を見たら、どちらを分母にしているか確かめてください。令和7年度では、分母が違うだけで約3ポイント(パーセントの数字で約3の差)になります。

合格率が年によって上下するのはなぜか

理由は、合格の決め方にあります。センターの合格基準は、次の3つを「いずれも」満たした人を合格とする、というものです。

  • 法令等科目が満点の50%以上(令和7年度は122点以上)
  • 基礎知識科目が満点の40%以上(令和7年度は24点以上)
  • 試験全体が満点の60%以上(令和7年度は180点以上)

合格者の人数枠はありません。学校のテストで「60点以上なら全員合格」と決めるのと同じ考え方です。そのため、基準を満たした人の割合が、そのままその年の合格率になります。平成28年度の9.95%から平成29年度の15.72%へと、1年で5ポイント以上動いた年もあります。なぜその年に上下したのか、センターは示していません。

ただし、問題の難しさが過去と比べて大きく変わったと認められた年は、例外があります。合格基準点を見直す「補正的措置(ほせいてきそち)」がとられることがあるのです。補正の仕組みと、基準点の細かい計算は、合格点と足切りの仕組みで説明しています。

ここから言えるのは、「今年は合格率が高そうだから受かりやすい」と考えても意味がないということです。合格率は、試験が終わってから決まる数字です。受験生が動かせるのは、自分の点だけです。

合格者の平均点197点は何を示しているか

センターが公表している令和7年度の「結果概要」には、合格者の平均得点が197点(前年度は198点)と書かれています。合格基準の180点より17点高い数字です。

読むときの注意が2つあります。

  1. 合格した人だけの平均です。受験者全体の平均点は、結果概要には載っていません。
  2. 点のばらつきは分かりません。平均197点の中には、180点台の人も、200点を大きく超える人もいるはずです。ただ、何点の人が何人いるかは公表されていません。

差の17点を、5肢択一式(5つから1つを選ぶ形式。1問4点)に置きかえると、4〜5問分です。なお、結果概要には、科目ごと・形式ごとの平均点も載っていません。

それでも、目標点を考える手がかりにはなります。基準点ちょうどを目標にすると、本番で数問落としただけで届かなくなります。目標は、基準点より上に余裕を持たせて決めましょう。そのうえで、その点をどの科目・形式で取るかまで決めるのが現実的です。点の内訳は、科目と配点の全体像で確かめられます。

申し込んだ人のうち、何割が実際に受けているか

合格率と並んで見ておきたいのが、受験率(申込者のうち実際に受けた人の割合)です。センターの結果概要では、令和7年度が78.57%、令和6年度が79.87%でした。それより前の年度は、推移表の申込者数と受験者数から当サイトが計算しました。

年度受験申込者数受験者数受験率
令和7年度63,845人50,163人78.57%
令和6年度59,832人47,785人79.87%
令和5年度59,460人46,991人約79.0%
令和4年度60,479人47,850人約79.1%
令和3年度61,869人47,870人約77.4%
令和2年度54,847人41,681人約76.0%

この6年は、どの年も申込者の2割強が試験を受けていません。受けなかった理由は公表されていません。

受験生として知っておきたいのは、申し込んだあとで受けなくても、受験手数料(令和8年度は10,400円)は返ってこないことです。センターの案内では、返すのは地震や台風などで試験そのものが行われなかった場合などに限られます。来年の受験を考えている人は、申込の前に、11月までの勉強の計画が立つかを確かめておきましょう。申し込んだだけで終わってしまうのを防げます。

合格率についての読み違い

  • 「合格率が10%台だから、上位1割に入らないと受からない」:この試験に人数枠はありません。基準点を超えれば、何人でも合格です。
  • 「合格率が低い年は、基準点が上がった年」:基準点は、満点に対する割合で決まっています。合格率が低いのは、基準に届いた人が少なかったというだけです。基準点そのものが見直されるのは、補正的措置がとられたときです。
  • 「申込者数が増えると合格しにくくなる」:人数枠はありません。だから、ほかの受験者の人数は、自分の合否に直接は関係しません。

合格率1割前後という数字は「難しい」ということか

合格率が1割前後(直近10年で9.95%〜15.72%)というと、難しい試験という印象を受けます。ただ、この数字を自分に当てはめる前に、受験者がどんな人たちかを見ておきましょう。

行政書士試験には、受験資格がありません。年齢・学歴・国籍に関係なく、誰でも受けられます。センターのトップページの「令和7年度行政書士試験結果TOPICS」によると、申込者の最年長は94歳、最年少は9歳でした。合格者の最年長は77歳、最年少は13歳です。合格率は、こうした幅の広い受験者全員をまとめた数字です。

つまり、合格率は「試験全体の結果」を表す数字です。「あなたが受かる確率」ではありません。自分にとっての難しさは、次の2つで考えるほうが役に立ちます。

  • 300点中180点(全体の60%)を、本番で取れる状態にできるか
  • 法令等と基礎知識の両方で、足切りの線を下回らない状態にできるか

合格率の数字を、勉強の計画にどう生かすか

合格率から直接分かることは、多くありません。それでも、計画を立てるときに次の順で使えます。

  1. 合格率ではなく基準点を目標にする。令和7年度の基準(180点・122点・24点)を出発点にして、自分の目標点を決めます。
  2. 点の多いところから手をつける。法令等は244点、基礎知識は56点です(令和7年度)。法令等の中でも行政法と民法に点が集まっています。進め方は行政法の勉強法から読むと始めやすいです。
  3. 勉強時間を確保する方法を決める。センターの案内には、勉強時間の目安は書かれていません(当サイトが確認した範囲)。働きながらどう時間を作るかは勉強時間の考え方で扱っています。

独学で受けるかどうか迷っているなら、全体の進め方を独学で受けるにはで先に確かめておきましょう。合格率の数字にふり回されずに判断できます。

合格率の次は、合否を実際に決める基準点の仕組みを確かめてください。合格点と足切りの仕組みで説明しています。「122点を超えても180点に届かない」ケースなど、計画に直結する計算をまとめています。

参考にした公式の情報(2026年10月確認)