地域地区の種類をわかりやすく:用途地域の中だけに定めるもの・外にも定められるもの

地域地区(ちいきちく)は、都市計画で、場所ごとに土地の使い方のルールを決めるものです(都市計画法8条)。いちばん土台になるのが13種類の用途地域で、その上に、目的に合わせたさまざまな地区を重ねます。

ひとことで言うと、地域地区は「どこに定めるか」で3つに分かれます。①用途地域の中だけに定めるもの(特別用途地区・高度地区・高度利用地区など)。②用途地域が定められていない区域に定めるもの(特定用途制限地域)。③条文に用途地域内という限定がないもの(特定街区・風致地区など)。準都市計画区域で定められる地域地区は、さらに限られます。

当サイトが、不動産適正取引推進機構が公開している過去の試験(昭和63年度〜令和7年度の40回、2,000問)を1問ずつ読んで数えたところ、都市計画法の「地域地区・都市計画の内容」が主な論点の問題は24問(24回)で、直近10回では9問でした。都市計画の決定の手続が主な論点の問題は3問でした(分け方は当サイトの判断で、公式の分類ではありません)。

この記事では、地域地区の種類と、定める場所、決める者を扱います。用途地域ごとに建てられる建物は用途地域の記事、高さの制限の中身は高さ制限の記事、建蔽率・容積率の計算は建蔽率と容積率の記事にあります。

身近な例で考えると

舞台は「こはる市」です。登場人物は、家を建てる土地を探しているひなたさんと、不動産会社の宅建士しんごさんです。2人は、こはる市の都市計画図を見ています。

  1. 駅前の商業地域に「高度利用地区」がある。しんごさん「ここは、容積率の最低限度などが決まっていて、小さな低い建物ばかりにならないよう、土地を高度に使うことをうながす地区です」。
  2. 住宅地の第一種低層住居専用地域に「高度地区」がある。「ここは、建物の高さの最高限度が決まっています。高度地区は高さ、高度利用地区は容積率など、と覚えます」。
  3. 郊外の、都市計画区域だが用途地域が定められていない区域に「特定用途制限地域」がある。「用途地域がない場所で、特定の用途の建物だけを制限する地域です。制限の中身は市の条例で決めます」。
  4. 用途地域の中には「特別用途地区」もある。「用途地域のルールを、その地区の目的に合わせて補う地区です。こちらも中身は条例で決めます」。
  5. 隣町の高速道路のインター周辺は準都市計画区域。「ここで定められる地域地区は限られます。高度地区は定められますが、決められるのは高さの最高限度だけです」。

たとえるなら、用途地域は「土地の基本の色分け」で、ほかの地区はその上に貼る「付せん」です。ただし本物のルールでは、付せんの中には、色分けのない場所(用途地域の外)にだけ貼るもの(特定用途制限地域)もあります。

条文ではこう決まっている

  • 地域地区の種類(8条1項):用途地域、特別用途地区、特定用途制限地域、特例容積率適用地区、高層住居誘導地区、高度地区または高度利用地区、特定街区、都市再生特別地区など、防火地域または準防火地域、特定防災街区整備地区、景観地区、風致地区、駐車場整備地区、臨港地区、緑地保全地域など、生産緑地地区、伝統的建造物群保存地区などがある。
  • 用途地域を定める場所(13条1項7号):市街化区域には少なくとも用途地域を定め、市街化調整区域には原則として用途地域を定めない。
  • 定める場所と目的(9条14項〜20項):下の表のとおり。
  • 何を定めるか(8条3項):各地域地区の種類・位置・区域のほか、地区ごとに決めること(下の表の右の列)を定める。
  • 準都市計画区域(8条2項):定められるのは、用途地域、特別用途地区、特定用途制限地域、高度地区、景観地区、風致地区、緑地保全地域、伝統的建造物群保存地区だけ。準都市計画区域の高度地区で定めるのは、高さの最高限度だけ(8条3項)。
  • 建築基準法とのつながり:特別用途地区の中の建築の制限・禁止は地方公共団体の条例で定め、用途の制限を緩和するには国土交通大臣の承認を得て条例で定める(建築基準法49条)。特定用途制限地域の用途の制限も条例で定める(49条の2)。高度地区の建物の高さは、都市計画で定められた内容に適合しなければならない(58条)。

どこに定めるか・何を定めるか

地域地区どこに定めるか何を定めるか
特別用途地区用途地域内用途地域を補う特別の目的(中身は条例)
特定用途制限地域用途地域が定められていない区域(市街化調整区域を除く)制限する建物の用途の概要(中身は条例)
特例容積率適用地区低層住居専用(2種類)・田園住居・工業専用を除く用途地域内で、公共施設が整った区域必要なら高さの最高限度
高層住居誘導地区第一種・第二種住居、準住居、近隣商業、準工業の地域で、容積率40/10か50/10の区域容積率の最高限度、必要なら建蔽率の最高限度・敷地面積の最低限度
高度地区用途地域内高さの最高限度または最低限度
高度利用地区用途地域内の市街地容積率の最高・最低限度、建蔽率の最高限度、建築面積の最低限度、壁面の位置
特定街区街区の整備・造成が行われる地区(用途地域内という限定はない)容積率、高さの最高限度、壁面の位置

準都市計画区域で定められるか

準都市計画区域に地域地区
定められる用途地域、特別用途地区、特定用途制限地域、高度地区(最高限度だけ)、景観地区、風致地区、緑地保全地域、伝統的建造物群保存地区
定められない(例)高度利用地区、特例容積率適用地区、高層住居誘導地区、特定街区、防火地域・準防火地域

定められない側には、高度利用地区のように市街地の土地を高度に使うための地区や、容積率を移したり上乗せしたりする地区が並んでいます。そうまとめておくと、表を覚え直すときの手がかりになります。区域そのものの違いは都市計画区域と準都市計画区域の記事にあります。準都市計画区域に、地域地区のほか開発許可や建築確認がどうかかるかは準都市計画区域の記事で扱っています。

決めるのは都道府県か市町村か

都市計画は、15条1項に挙がったものを都道府県が、それ以外を市町村が決めます。地域地区のうち、都道府県が決めるのは、広い範囲にかかわる一部だけです。

決める者主なもの
都道府県区域区分(市街化区域と市街化調整区域の線引き)、都市計画区域の整備・開発・保全の方針、都市再生特別地区、重要港湾などの臨港地区、2以上の市町村にまたがる10ha以上の風致地区 など
市町村上に挙がっていないもの:用途地域、特別用途地区、特定用途制限地域、高度地区、高度利用地区、特定街区、防火地域・準防火地域、景観地区 など

市町村が決める都市計画は、都道府県が決めた都市計画に適合していなければなりません(15条3項)。両者が食い違うときは、その限りで都道府県の都市計画が優先します(15条4項)。

当てはまる例・当てはまらない例

  1. 当てはまる(高度地区で高さを抑える):第一種低層住居専用地域に高度地区を重ね、高さの最高限度を定める。高度地区は用途地域内に定めるので、問題ない。
  2. 当てはまらない(調整区域の特定用途制限地域):市街化調整区域に特定用途制限地域を定める。9条15項は市街化調整区域を除いているので、定められない。
  3. 当てはまらない(準都市計画区域の高度利用地区):準都市計画区域に高度利用地区を定める。8条2項に挙がっていないので、定められない。
  4. ひっかけやすい(特別用途地区で緩和):特別用途地区では、用途の制限を厳しくするだけでなく、国土交通大臣の承認を得て条例で緩和することもできる(建築基準法49条2項)。
  5. ひっかけやすい(用途地域を決める者):用途地域は、15条1項に挙がっていないので、市町村が決める。

試験ではここをまちがえやすい

  • 高度地区と高度利用地区:高度地区は「高さ」の最高限度・最低限度。高度利用地区は「容積率・建蔽率・建築面積・壁面の位置」。高度利用地区で高さを定める、とする選択肢に注意します。
  • 特別用途地区と特定用途制限地域:特別用途地区は用途地域の「中」、特定用途制限地域は用途地域の「外」(市街化調整区域を除く)。
  • 準都市計画区域:定められる地域地区は8つの種類だけ。高度地区は最高限度だけ。高度利用地区・特定街区・防火地域は定められません。
  • 高層住居誘導地区の場所:住居系3つ・近隣商業・準工業の、容積率40/10か50/10の区域。低層住居専用地域や商業地域ではありません。
  • 決める者:用途地域を含め、多くの地域地区は市町村が決めます。区域区分(線引き)は都道府県です。

宅建試験では、都市計画法の問題の中で、地域地区の定義(どこに・何を定めるか)や、準都市計画区域で定められるかを、肢として確かめておく範囲です。法令上の制限の全体の地図は都市計画法の覚え方の記事で確かめてください。

○✕でたしかめよう

問1(このサイトのオリジナル問題)
特定用途制限地域は、用途地域内の一定の地区において、その地区の特性にふさわしい土地利用の増進などの特別の目的を実現するため、用途地域の指定を補って定める地域である。

答え:✕ 分かれ目は、定める場所です。特定用途制限地域は、用途地域が定められていない土地の区域(市街化調整区域を除く)に、特定の建築物等の用途を制限するため定める地域です(都市計画法9条15項)。正しくは、用途地域の「外」に定めます。問題文は、用途地域内に定めて用途地域を補う特別用途地区(同条14項)の定義で、名前の似た2つを取り違えた文です。

問2(このサイトのオリジナル問題)
準都市計画区域にも、都市計画に高度地区を定めることができるが、その場合に定めるのは、建築物の高さの最高限度に限られる。

答え:○ 分かれ目は、準都市計画区域で定められる地域地区と、その中身です。8条2項は、準都市計画区域に定められる地域地区に高度地区を含めています。そのうえで8条3項は、準都市計画区域の高度地区では、高さの最高限度だけを定めるとしています。「準都市計画区域には高さの地区は定められない」と考えると✕にしてしまいます。土地を高度に使うための高度利用地区は、準都市計画区域には定められません。

問3(このサイトのオリジナル問題)
高度利用地区は、用途地域内の市街地において、都市計画で建築物の高さの最高限度または最低限度を定めることにより、土地の高度利用を図る地区である。

答え:✕ 分かれ目は、地区で定める中身です。高度利用地区で定めるのは、容積率の最高限度・最低限度、建蔽率の最高限度、建築面積の最低限度、壁面の位置の制限です(9条19項・8条3項)。正しくは、高さの最高限度・最低限度を定めるのは高度地区(9条18項)です。名前の似た高度地区の中身と取り違えた文です。

まとめ

  • 用途地域の中だけに定める:特別用途地区、高度地区、高度利用地区、高層住居誘導地区、特例容積率適用地区。
  • 用途地域の外に定める:特定用途制限地域(市街化調整区域を除く)。
  • 高度地区は高さの最高・最低限度、高度利用地区は容積率・建蔽率・建築面積・壁面の位置。
  • 準都市計画区域に定められるのは8つの種類だけ。高度地区は最高限度だけ。
  • 区域区分は都道府県、用途地域を含む多くの地域地区は市町村が決める。

この分野の○✕は、宅建の5分○✕ドリルの「法令上の制限」で続けて解けます。地域地区と区域区分の肢をまぜて解くと、どの段の話かを見分ける練習になります。

参考にした公式の情報(2026年10月確認)

条文は、令和8年4月1日時点で施行されている内容を、e-Gov法令検索(法令API)で確かめています。

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