都市計画区域と区域区分をわかりやすく:市街化区域と市街化調整区域の違い

都市計画区域(としけいかくくいき)は、都道府県が指定する「まちづくりのルールを使う範囲」です(都市計画法5条)。その中を市街化区域(街にしていく所)と市街化調整区域(街が広がるのをおさえる所)に分けることを、区域区分(くいきくぶん。俗に「線引き」)といいます(7条)。市街化区域には少なくとも用途地域を定め、市街化調整区域には原則として用途地域を定めません(13条1項7号)。

都市計画区域の外でも、放っておくと困る所は「準都市計画区域」に指定できます(5条の2)。この記事では、区域の指定のしかた、区域区分、それぞれの区域に何を定めるかを扱います。区域ごとの開発許可の面積は開発許可の記事、用途地域の中身は用途地域の記事で扱います。条文は令和8年4月1日時点のものです。

身近な例で考えると

登場人物は2人です。マイホームの土地を探す会社員=ひなたさんと、相談を受けた不動産会社の担当=そうたさんです。ひなたさんは、愛知県のある市で候補の土地を3つ見つけました。

  1. 駅に近い土地:市街化区域にある。用途地域は第一種住居地域。道路も下水道も整っている。そうたさんは「家を建てる前提の区域です」と説明した。
  2. 田んぼの中の安い土地:市街化調整区域にある。用途地域は定められていない。そうたさんは「街を広げない区域なので、家を建てられるかを先に役所で確かめましょう」と伝えた。
  3. となり町の山すその土地:都市計画区域の外にある。ただし、近くで建物がどんどん増えていて、県が準都市計画区域に指定していた。

たとえると、都市計画区域は「まちづくりのルールが及ぶ地図の枠」です。区域区分は、その枠の中に「にぎやかにする所」と「静かなまま残す所」の線を引くことです。ただし本物のルールでは、線を引くかどうかは原則として都道府県が選べます。線を引かない都市計画区域(非線引き区域)もあります。

条文ではこう決まっている

都市計画区域(5条)

  • だれが:都道府県が指定する(1項)。
  • どこを:市(または政令の条件に合う町村)の中心の市街地をふくみ、一体の都市として整備・開発・保全する必要がある区域(1項)。
  • 市町村の境をこえて:必要なら、市町村の区域の外にまたがって指定できる(1項)。
  • 手続き:あらかじめ関係市町村と都道府県都市計画審議会の意見を聴き、国土交通大臣に協議して同意を得る(3項)。
  • 2つ以上の都府県にまたがるとき:国土交通大臣が、関係都府県の意見を聴いて指定する(4項)。
  • 指定は公告(こうこく=広く知らせること)で行う(5項)。

準都市計画区域(5条の2)

  • だれが:都道府県が指定する(1項)。
  • どこを:都市計画区域の外で、建物の建築や土地の造成がたくさん行われている(行われると見込まれる)区域。そのまま放っておくと、将来のまちづくりに支障が出るおそれがある所(1項)。
  • 手続き:あらかじめ関係市町村と都道府県都市計画審議会の意見を聴く(2項)。条文上、国土交通大臣の同意は求められていない。
  • あとから都市計画区域がその場所に指定されたら、重なった部分の準都市計画区域はなくなったものとみなされる(5項)。

区域区分(7条)

  • 原則:都市計画区域で、無秩序な市街化(むちつじょなしがいか=ばらばらに家や店が建つこと)を防ぐために必要なら、区域区分を定めることが「できる」(1項本文)。
  • 例外:首都圏・近畿圏・中部圏の一定の区域をふくむ都市計画区域と、大都市の都市計画区域として政令で定めるもの(政令指定都市の区域をふくむものなど。施行令3条)では、区域区分を「定める」(1項ただし書)。
  • 市街化区域:すでに市街地になっている区域と、おおむね10年以内に優先的・計画的に市街化を図るべき区域(2項)。
  • 市街化調整区域:市街化を抑制(よくせい=おさえる)すべき区域(3項)。
  • 区域区分を定める都市計画は、都道府県が決める(15条1項2号)。一方、用途地域は市町村が決める(15条1項に用途地域は入っていない)。

区域ごとに定めること(8条・11条・13条)

  • 用途地域:市街化区域には少なくとも定める。市街化調整区域には原則として定めない(13条1項7号)。
  • 都市施設(とししせつ=道路・公園・下水道など、みんなで使う施設):市街化区域と非線引き区域には、少なくとも道路・公園・下水道を定める。住居系の8つの用途地域には、義務教育施設(小中学校など)も定める(13条1項11号)。
  • 都市施設は、特に必要があれば都市計画区域の外にも定められる(11条1項)。
  • 市街地開発事業(しがいちかいはつじぎょう=土地区画整理事業など、面で街をつくる事業):市街化区域か非線引き区域で定める(13条1項13号)。市街化調整区域には定めない。
  • 準都市計画区域では、決められた地域地区だけを定められる(8条2項)。用途地域・特別用途地区・特定用途制限地域・高度地区・景観地区・風致地区・緑地保全地域・伝統的建造物群保存地区など。

都市計画で決めた施設の予定地での建築(53条)

  • 都市計画施設(道路の予定地など)の区域や、市街地開発事業の施行区域の中で建物を建てるには、都道府県知事等の許可がいる(53条1項)。
  • ただし、政令で定める軽い行為、非常災害の応急措置、都市計画事業として行うものなどは許可がいらない(同項各号)。

当てはまる例・当てはまらない例

  1. 当てはまる(区域区分を定める義務がある):名古屋市のような政令指定都市の区域をふくむ都市計画区域。施行令3条の「大都市に係る都市計画区域」に当たるので、区域区分を定めます(7条1項2号)。ただし施行令3条には、人口が一定より少ない部分だけをふくむ場合の例外もあります。
  2. 当てはまらない(区域区分は任意):三大都市圏の区域や大都市の区域をふくまない地方の都市計画区域。区域区分を定めるかどうかは都道府県が判断します。定めなければ非線引き区域になります。
  3. 当てはまらない(準都市計画区域に区域区分):準都市計画区域には、区域区分を定めることはできません。7条は「都市計画区域について」の規定で、8条2項の一覧にも入っていないからです。
  4. ひっかけやすい(調整区域の用途地域):市街化調整区域は「原則として」用途地域を定めない、という書き方です。「定めることはできない」と言い切る文は、条文と合いません。
  5. ひっかけやすい(都市施設の場所):道路や公園などの都市施設は、都市計画区域の外でも、特に必要があれば定められます(11条1項)。「都市計画区域の中にしか定められない」は誤りです。
  6. ひっかけやすい(指定する人):2つの県にまたがる都市計画区域は国土交通大臣が指定します。1つの県の中なら都道府県です。市町村が指定するのではありません。

似ているルールとの違い

まず、都市計画区域と準都市計画区域の違いです。

項目都市計画区域準都市計画区域
指定する人都道府県(2以上の都府県は大臣)都道府県
大臣の同意協議して同意を得る条文上なし
区域区分定めることができる定められない
地域地区8条1項のものを定められる8条2項のものだけ

次に、都市計画区域の中の3つの区域の違いです。

項目市街化区域市街化調整区域非線引き区域
用途地域少なくとも定める原則として定めない定めることができる
道路・公園・下水道少なくとも定める定めの義務なし少なくとも定める
市街地開発事業定められる定められない定められる

準都市計画区域で定められない主なものは、防火地域・準防火地域、高度利用地区、特定街区などです。準都市計画区域で定められる一覧に入っているのは、建物の用途・高さ・景観をおさえる地区が中心です。防火地域の中身は防火地域・準防火地域の記事で扱います。

試験ではここをまちがえやすい

宅建試験の法令上の制限では、都市計画法の最初の論点として、区域の指定と区域区分が文章で問われやすい形です。

  • 「できる」と「定める」:区域区分は原則「定めることができる」。三大都市圏の一定の区域と大都市(政令指定都市など)の都市計画区域だけ「定めるものとする」。
  • 市街化区域の「10年」:「すでに市街地」と「おおむね10年以内に優先的・計画的に市街化を図るべき区域」の2つ。年数を入れかえた文に注意します。
  • 指定する人と手続き:都市計画区域は都道府県(大臣の同意あり)。2以上の都府県なら大臣。準都市計画区域は都道府県(意見を聴くだけ)。
  • 調整区域と用途地域:市街化区域は「少なくとも用途地域」、調整区域は「原則として定めない」。
  • 準都市計画区域で定められないもの:区域区分、防火地域・準防火地域、高度利用地区など。用途地域や高度地区、景観地区、風致地区は定められる。
  • 都市施設と市街地開発事業:都市施設は区域の外でも定められる。市街地開発事業は市街化区域と非線引き区域だけ。

建物の大きさの決まり(建ぺい率・容積率)は、市街化区域かどうかではなく用途地域ごとの数字で決まります。続けて学ぶなら建ぺい率と容積率の記事が便利です。

○✕でたしかめよう

問1(このサイトのオリジナル問題)
都市計画区域は、2以上の都府県にまたがって指定する場合を除き、都道府県が指定する。

答え:○
都市計画区域は都道府県が指定します(5条1項)。2以上の都府県にまたがる場合は、国土交通大臣が関係都府県の意見を聴いて指定します(5条4項)。

問2(このサイトのオリジナル問題)
準都市計画区域については、都市計画に市街化区域と市街化調整区域との区分を定めることができる。

答え:✕
区域区分は「都市計画区域について」定めるものです(7条1項)。準都市計画区域で定められる地域地区の一覧(8条2項)にも入っていません。

問3(このサイトのオリジナル問題)
市街化調整区域については、都市計画に、少なくとも道路・公園・下水道を定めなければならない。

答え:✕
少なくとも道路・公園・下水道を定めるとされているのは、市街化区域と区域区分が定められていない都市計画区域です(13条1項11号)。市街化調整区域は入っていません。

まとめ

  • 都市計画区域は都道府県が指定(大臣の同意あり)。2以上の都府県にまたがるときは大臣が指定。
  • 準都市計画区域は、都市計画区域の外に都道府県が指定。区域区分や防火地域・準防火地域は定められない。
  • 区域区分は原則「できる」。三大都市圏の一定区域と大都市の都市計画区域は「定める」。
  • 市街化区域=すでに市街地+おおむね10年以内に市街化。市街化調整区域=市街化を抑制。
  • 市街化区域は少なくとも用途地域、調整区域は原則として用途地域なし。道路・公園・下水道は市街化区域と非線引き区域に定める。

このサイトで次に読むなら、開発許可をわかりやすくがおすすめです。この記事の区域の区別が、そのまま「何平方メートルから許可がいるか」の区別につながります。

参考にした公式の情報(2026年10月確認)

宅建試験の出題の根拠となる法令は、試験を実施する年度の4月1日現在施行されているものです(不動産適正取引推進機構)。条文は、令和8年4月1日時点で施行されている内容をe-Gov法令検索で確かめました。