宅建の都市計画法の覚え方:区域・地域地区・開発許可・都市計画制限を1枚で

宅建の都市計画法は、「どこで(区域)・何をすると(開発・建築)・だれの許可か(知事・市町村長など)」の順に並べると、1枚の地図になります。ばらばらに覚えるより、この順番の中に条文を置いていくほうが、数字の入れかえに強くなります。

ひとことで言うと、都市計画法は3段でできています。①場所を決める(都市計画区域・区域区分)。②場所ごとのルールを決める(用途地域などの地域地区・地区計画)。③その場所で開発や建築をするときの許可や届出(開発許可・53条・65条・58条の2)。

この記事では、その3段を1枚にまとめ、面積と例外は自分で表を作る手順を示します。あわせて、ほかの記事で扱っていない「都市計画施設の区域の建築の許可(53条)」と「事業地内の許可(65条)」をくわしく扱います。

身近な例で考えると

登場人物は2人です。土地を買って家を建てたい人=こうじさんと、不動産会社の担当=みなみさんです。

こうじさんが候補の土地を見つけるたびに、みなみさんは都市計画法の地図を上から順にたどります。

  1. どの区域か:その土地は都市計画区域の中か。中なら、市街化区域・市街化調整区域・どちらでもない区域(非線引き区域)のどれか(5条・7条)。
  2. どんなルールの場所か:用途地域は何か(8条・9条)。地区計画は定められているか(12条の5)。
  3. 宅地にする工事がいるか:畑を宅地にするなど、建物を建てるための区画形質の変更(開発行為)をするなら、面積によって開発許可がいる(29条)。
  4. 道路などの予定地か:都市計画で決めた道路(都市計画施設)の予定地の中なら、建物を建てるのに都道府県知事等の許可がいる(53条)。
  5. 工事が始まる段階か:その道路の工事(都市計画事業)の認可などが告示された後の事業地なら、もっと強い許可(65条)がいる。

ある土地は市街化区域の第一種低層住居専用地域で、面積は200平方メートル。開発許可はいらず、地区計画もありません。別の土地は、都市計画道路の予定地にかかっていました。こちらは53条の許可を考えることになります。

たとえるなら、都市計画法は「町の住所録」です。まず市(区域)、次に町名(用途地域)、最後に番地(その土地での行為)の順で引きます。ただし本物のルールでは、同じ番地でも、計画の段階(予定地か、工事が始まったか)で許可の重さが変わります。

条文ではこう決まっている(1枚の地図)

段何を決める・するか主な条文許可・届出の相手
①場所都市計画区域・準都市計画区域、区域区分5条・5条の2・7条(指定・決定は都道府県など)
②ルール用途地域(13種類)などの地域地区8条・9条(都市計画で決める)
②ルール地区計画12条の5着手30日前に市町村長へ届出(58条の2)
③行為開発行為29条都道府県知事等の許可
③行為開発区域で工事完了の公告前の建築37条原則禁止(例外あり)
③行為市街化調整区域の、開発区域以外での建築43条都道府県知事の許可
③行為都市計画施設・市街地開発事業の区域内の建築53条都道府県知事等の許可
③行為都市計画事業の事業地内の建築・形質の変更など65条都道府県知事等の許可

用途地域は、第一種低層住居専用地域から工業専用地域まで、田園住居地域を含めて13種類です(8条1項1号)。区域と区域区分の中身は都市計画区域の記事、用途地域ごとに建てられる建物は用途地域の記事、地区計画は地区計画の記事で扱っています。

開発許可:面積は「区域ごとの表」にする

開発許可は、都市計画区域・準都市計画区域の中で開発行為をするときに必要です(29条1項)。ただし、小さな開発は区域ごとに許可がいりません(同項1号・施行令19条)。区域の外でも、大きな開発は許可がいります(29条2項・施行令22条の2)。

区域許可がいらない規模条文
市街化区域1,000㎡未満(三大都市圏の一定の区域は500㎡未満)29条1項1号、施行令19条
市街化調整区域規模による例外なし29条1項1号(対象外)
非線引き区域・準都市計画区域3,000㎡未満29条1項1号、施行令19条
都市計画区域・準都市計画区域の外1ha未満29条2項、施行令22条の2

市街化区域と非線引き区域・準都市計画区域の数字は、都道府県などが条例で、300平方メートルまでの範囲で小さくできます(施行令19条1項ただし書)。農林漁業用の建物や、図書館・公民館・駅舎などの公益上必要な建物のための開発など、面積と別の例外もあります(29条1項2号・3号ほか)。例外のくわしい一覧は開発許可の記事で確かめてください。

都市計画施設の区域内の建築(53条・54条)

都市計画で道路・公園などの都市施設を決めると、その予定地(都市計画施設の区域)や、市街地開発事業の施行区域で建物を建てるには、都道府県知事等の許可がいります(53条1項)。将来の工事の妨げにならないようにするしくみです。

  • 許可がいらない行為(53条1項各号):①政令で定める軽易な行為(階数が2以下で地階がない木造の建築物の改築または移転=施行令37条)。②非常災害のため必要な応急措置。③都市計画事業の施行として行う行為など。④⑤立体的な範囲を定めた施設の区域の一定の行為など。
  • 許可をしなければならない場合(54条):①都市計画で定めた建築物の制限に適合するもの。②立体的な範囲の外で、施設の整備に著しい支障がないもの。③階数が2以下で地階がなく、主要構造部が木造・鉄骨造・コンクリートブロック造などで、容易に移転・除却できると認められるもの。
  • 65条との切りかえ(53条3項):都市計画事業の認可などの告示(65条1項の告示)があった後は、その区域には53条1項がかからなくなり、65条の許可に移ります。

都市計画事業の事業地内の制限(65条)

  • 許可がいる行為(65条1項):都市計画事業の認可などの告示の後、事業地内で、事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更、建築物の建築その他工作物の建設、政令で定める移動の容易でない物件の設置・堆積をするには、都道府県知事等の許可がいります。
  • 例外:65条1項には、53条1項のような「軽易な行為」「非常災害の応急措置」の例外の定めがありません。
  • 施行者の意見(65条2項):知事等は、許可の申請があったとき、事業の施行者の意見を聴かなければなりません。

当てはまる例・当てはまらない例

  1. 当てはまる(53条の許可):都市計画道路の予定地にある土地に、木造2階建て(地階なし)の家を新築する。53条の許可がいる。容易に移転・除却できると認められれば、知事等は許可をしなければならない(54条3号)。
  2. 当てはまらない(軽易な行為):同じ予定地にある木造2階建て(地階なし)の家を改築する。軽易な行為なので、53条の許可はいらない(施行令37条)。新築は軽易な行為に入らない。
  3. ひっかけやすい(65条):道路の工事の認可が告示された後の事業地で、同じ改築をする。65条には軽易な行為の例外がないので、事業の障害となるおそれがあれば許可がいる。
  4. 当てはまる(市街化調整区域の開発):市街化調整区域で、200平方メートルの土地に住宅を建てるための開発行為をする。調整区域には面積による例外がないので、原則として開発許可がいる。
  5. 当てはまる(工事完了の公告前):開発許可を受けた区域で、工事完了の公告の前に家を建てる。原則としてできない。工事用の仮設建築物、知事が支障がないと認めたとき、開発行為に同意していない土地の所有者などが権利の行使として建てるときは例外(37条)。

似ているルールとの違い

都市計画法で「建築の許可」が出てくる場面は複数あります。いつの段階の、どの区域の話かで見分けます。

比べる点53条65条43条
いつ・どこで都市計画施設の区域など(計画が決まった段階)事業地内(事業の認可などの告示の後)市街化調整区域の開発区域以外
対象建築物の建築形質の変更・建築・工作物・物件の設置や堆積建築物の新築・改築・用途変更など
軽易な行為・非常災害の例外ありなし非常災害・仮設などの例外あり
許可する人都道府県知事等都道府県知事等都道府県知事

53条から65条へは、計画が「予定」から「工事」に進むと切りかわります(53条3項)。段階が進むほど、対象の行為が広がり、例外がなくなる、と覚えます。

覚え方:自分で表を作る手順

都市計画法の数字と例外は、教材の表を眺めるより、自分で空欄の表を作って埋めるほうが、思い出す練習になります。法令上の制限全体での表の作り方は法令上の制限の勉強法にもまとめています。

  1. 縦に「区域」を並べる:市街化区域・市街化調整区域・非線引き区域・準都市計画区域・区域外の5行。
  2. 横に「聞かれること」を並べる:開発許可がいらない面積、用途地域を定めるか、区域区分を定められるか、など。1枚に3列までにする。
  3. 何も見ずに埋める:分からないマスは空けたままにする。
  4. 条文で答え合わせ:まちがえたマスにだけ印を付け、次はそのマスから埋める。
  5. 許可の表を別に作る:「行為」を縦(開発・53条・65条・43条・地区計画)、「許可か届出か・相手・例外」を横に置く。

この記事の2つの表(開発許可の面積、53条・65条・43条)が、その完成形の見本です。

試験ではここをまちがえやすい

  • 区域の入れかえ型:開発許可の面積を、市街化区域と非線引き区域で入れかえた肢。調整区域に「1,000㎡未満は不要」と面積の例外を当てはめる肢。
  • 53条と65条の例外の型:軽易な行為・非常災害の応急措置の例外は53条だけ。65条に当てはめた肢は誤りです。
  • 新築と改築の型:53条の「軽易な行為」は、階数2以下・地階なしの木造建築物の改築・移転。新築は入りません。
  • 許可しなければならない場合の型:54条は「許可をしなければならない」。53条の許可がいらない、とは別です。
  • 届出と許可の型:地区計画は届出(市町村長)、開発・53条・65条は許可(都道府県知事等)。盛土規制法・区画整理・農地法・国土法までふくめた許可と届出の一覧は、許可と届出の見分け方にあります。

宅建試験では、都市計画法を、区域・地域地区の文章の知識と、開発許可を中心とした許可の知識に分けて覚えます。地図のどの段の話かを先に決めると、使う条文が絞れます。

○✕でたしかめよう

問1(このサイトのオリジナル問題)
こうじさんは、都市計画道路の予定地(都市計画施設の区域)にある自分の土地に、地階のない木造2階建ての家を新築したい。この家が容易に移転・除却できると認められるときは、都道府県知事等は、53条の許可をしなければならない。

答え:○ 分かれ目は、許可を「しなければならない」場合に当たるかです。53条の申請が、階数2以下・地階なし・主要構造部が木造などで、容易に移転・除却できると認められるものなら、知事等は許可をしなければなりません(都市計画法54条3号)。道路の予定地なので建てられないと思うと✕に見えます。取り違えの相手は、許可そのものがいらない「軽易な行為」(施行令37条の改築・移転)で、新築は許可の申請がいります。

問2(このサイトのオリジナル問題)
都市計画事業の認可の告示があった後、その事業地内で、事業の施行の障害となるおそれがある建築物を、非常災害のため必要な応急措置として建築する場合は、都道府県知事等の許可を受ける必要はない。

答え:✕ 分かれ目は、許可がいらない例外があるかです。事業地内で事業の障害となるおそれがある建築などには知事等の許可がいり(65条1項)、条文に非常災害の応急措置の例外はありません。正しくは許可が必要です。取り違えの相手は53条1項で、こちらは軽易な行為や非常災害の応急措置などが許可不要とされています。

問3(このサイトのオリジナル問題)
開発許可を受けた開発区域内の土地では、工事完了の公告があるまでの間でも、その開発行為に同意した土地の所有者は、自分の権利の行使として建築物を建築することができる。

答え:✕ 分かれ目は、同意した人か、同意していない人かです。工事完了の公告前の開発区域では建築が原則禁止で、例外は工事用の仮設建築物、知事が支障がないと認めたとき、開発行為に「同意をしていない者」が権利の行使として建てるときです(37条)。正しくは、同意した所有者はこの例外に当たりません。取り違えの相手は37条2号の「同意をしていない者」の例外です。

まとめ

  • 都市計画法は「①場所を決める→②場所ごとのルール→③そこでの行為の許可・届出」の3段。
  • 開発許可がいらない面積は、市街化区域1,000㎡未満(三大都市圏の一部500㎡未満)、非線引き・準都市3,000㎡未満、区域外1ha未満。調整区域は面積の例外なし。
  • 都市計画施設の区域の建築は53条の許可。軽易な行為(木造2階以下・地階なしの改築・移転)などは不要。54条3号に当たれば許可しなければならない。
  • 事業の認可などの告示後の事業地は65条の許可。軽易な行為・非常災害の例外はない。
  • 地区計画は届出(市町村長・30日前)。許可と届出を分けて覚える。

都市計画法の○✕は、宅建の5分○✕ドリルの「法令上の制限」で続けて解けます。区域と地域地区、開発許可、都市計画制限の肢がまざって出るので、地図のどの段の話かを決めてから答える練習に使ってください。

次に読むなら、開発許可の記事がおすすめです。この記事の表の③段の中心になる開発許可について、面積以外の例外を条文で確かめられます。

参考にした公式の情報(2026年10月確認)

条文は、令和8年4月1日時点で施行されている内容を、e-Gov法令検索(法令API)で確かめています。

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