この記事は、宅建試験の農地法を○✕20問で確かめる一問一答です。問題はすべてこのサイトのオリジナルで、正誤は令和8年4月1日に施行されている農地法・同施行規則の条文で確かめています。
当サイトが、不動産適正取引推進機構が公開している過去の試験(昭和63年度〜令和7年度の40回、2,000問)を1問ずつ読んで数えたところ、農地法が主な論点の問題は40問で、40回すべてに1問ずつ出ていました。直近10回(令和7年度〜平成30年度。令和2・3年度は10月・12月の2回ずつ)では10問です(分け方は当サイトの判断で、公式の分類ではありません)。
農地法の肢は、場面を3条・4条・5条のどれに振り分けるかを決めたうえで、「許可する人」「届出の相手」「許可がいらない例外」を入れ替えて作られます。20問は、①3条・4条・5条の振り分けと許可する人、②許可がいらない場合、③許可のない行為の扱いと許可の基準、④農地の賃貸借、の4つに分けました。
この20問の解き方
- まず「農地のまま権利が動くか(3条)」「自分で農地でなくすか(4条)」「農地でなくすために権利が動くか(5条)」を決める。
- 次に、許可する人(農業委員会か都道府県知事等か)と、市街化区域の届出の特例が使える条文かを確かめる。
- 最後に、許可がいらない例外に当たるかを見る。例外は条文と施行規則に挙がっているものだけ。
3条・4条・5条の振り分けと、許可する人(問1〜7)
3つの条文の違いは農地法の記事の表にまとめています。ここでは、その表を事例に当てはめます。
問1(このサイトのオリジナル問題)
農林水産大臣の指定を受けた指定市町村であるC市の区域(市街化区域外)で、Dが自分の畑を資材置場にする。Dは、都道府県知事の許可を受けなければならない。
答え:✕ 分かれ目は、指定市町村の区域での許可権者です。4条の許可をするのは都道府県知事ですが、農林水産大臣が指定する市町村(指定市町村)の区域内では、その指定市町村の長が許可をします(4条1項)。正しくは、DはC市長の許可を受けます。4条・5条の許可は「都道府県知事等」と書かれ、指定市町村の長を含むことを読み落とした取り違えです。
問2(このサイトのオリジナル問題)
問1と同じC市の区域(市街化区域外)で、農家Aが、所有する畑を、耕作を続ける農家Bに畑のまま売る。この売買には、C市長の許可が要る。
答え:✕ 分かれ目は、3条の許可をする者です。農地を農地のまま売るのは3条の場面で、当事者は「農業委員会」の許可を受けます(3条1項)。指定市町村の長が許可をするのは、転用の4条・5条の許可(「都道府県知事等」の許可)です(4条1項・5条1項)。正しくは、C市長ではなく農業委員会の許可です。問1の転用の許可権者を、権利が動くだけの3条に当てはめた取り違えです。
問3(このサイトのオリジナル問題)
Eは、採草放牧地を畑にして耕作する目的で、その土地を買い受ける。この取得には、農地法5条の許可が要る。
答え:✕ 分かれ目は、5条の「農地を除く」の読み方です。5条は、採草放牧地を「採草放牧地以外のもの(農地を除く。)」にするための権利の移転などを対象にしています(5条1項)。正しくは、採草放牧地を農地にするための取得は5条ではなく、3条の許可の場面です。採草放牧地の地目を変える=転用、と考えて5条に当てはめた取り違えです。
問4(このサイトのオリジナル問題)
市街化区域内の自分の畑に、Fが自宅を建てる。Fは、あらかじめ都道府県知事に届け出れば、農地法4条の許可を受けなくてよい。
答え:✕ 分かれ目は、市街化区域の届出の相手です。市街化区域内の農地を転用するときは、あらかじめ「農業委員会」に届け出れば、4条の許可は要りません(4条1項7号)。正しくは、届出先は農業委員会です。許可をする者が都道府県知事等なので、届出も知事に、と考えた取り違えです。5条の市街化区域の届出も、同じく農業委員会に出します(5条1項6号)。
問5(このサイトのオリジナル問題)
農家Gは、自分の畑を長男Hに贈与し、Hがそこに自宅を建てる(市街化区域外)。親子の間の贈与でも、この場合は農地法5条の許可が要る。
答え:○ 分かれ目は、転用の目的で権利が動くかです。農地を農地以外のものにするため所有権を移転する場合は、当事者が5条の許可を受けます(5条1項)。家族の間の贈与なので3条の話、または土地を使うのが家族なので4条の話、と考えると✕に見えます。贈与でも売買でも、権利が動いて農地でなくなるなら5条です。
問6(このサイトのオリジナル問題)
農家Jは、市街化区域外にある自分の畑に杉を植えて山林にする(建物は建てない)。建物を建てないので、農地法4条の許可は要らない。
答え:✕ 分かれ目は、転用に建物の建築が要るかです。農地とは耕作の目的に供される土地で(2条1項)、4条は「農地を農地以外のものにする者」に許可を求めています(4条1項)。正しくは、畑を山林にすることも農地以外のものにすることなので、4条の許可が要ります。転用=建物を建てること、と考えた取り違えです。
問7(このサイトのオリジナル問題)
登記簿の地目は「山林」だが、Bが現に毎年野菜を作り続けている土地がある(市街化区域外)。Bがこの土地に貸し倉庫を建てるときは、農地法4条の許可が要る。
答え:○ 分かれ目は、農地かどうかを何で決めるかです。農地は「耕作の目的に供される土地」と定められ(2条1項)、登記簿の地目ではなく、現に耕作に使われているかで判断します。地目が山林なので農地法はかからない、と考えると✕に見えます。貸し倉庫は自分の農作物のための農業用施設ではないので、2アール未満の例外(施行規則29条1号)にも当たりません。
許可がいらない場合(問8〜14)
相続や遺贈で農地を取得したときの扱いは、ほかの分野とあわせて宅建の各分野の「相続」の記事で並べています。
問8(このサイトのオリジナル問題)
Kは、銀行から融資を受けるため、自分の農地に銀行の抵当権を設定する。抵当権は農地を使う権利ではないので、この抵当権の設定には、農地法3条の許可は要らない。
答え:○ 分かれ目は、3条の許可の対象になる権利です。3条1項は、所有権の移転と、地上権・永小作権・質権・使用貸借による権利・賃借権などの使用収益を目的とする権利の設定・移転に許可を求めています。抵当権は土地を使う権利ではないので、ここに入っていません。担保でも権利を設定するから許可が要る、と考えると✕に見えます。質権は耕作する権利を伴うので許可の対象です。
問9(このサイトのオリジナル問題)
Lは、自分の農地を、親戚のMにただで貸して耕作させる(使用貸借)。お金をもらわない貸し借りでも、農地法3条の許可が要る。
答え:○ 分かれ目は、使用貸借が3条の対象かです。3条1項は、賃借権だけでなく「使用貸借による権利」の設定にも許可を求めています。無償なら許可はいらない、と考えると✕に見えます。賃貸借なら引渡しで第三者に対抗できますが(16条1項)、使用貸借にはこの規定がない点もあわせて区別します。
問10(このサイトのオリジナル問題)
畑を持つNが死亡し、遺言で、相続人の一人である子Pにその畑を特定遺贈した。Pがこの遺贈で畑を取得するには、農地法3条の許可は要らない。
答え:○ 分かれ目は、特定遺贈のうち許可がいらないものの範囲です。3条1項16号を受けた施行規則15条5号は、「包括遺贈又は相続人に対する特定遺贈」による取得を許可がいらない場合に挙げています。特定遺贈は個別の財産を贈るものなので売買と同じく許可が要る、と考えると✕に見えます。許可を受けずに取得した人は、農業委員会への届出が要ります(3条の3)。
問11(このサイトのオリジナル問題)
問10のNが、遺言で、相続人ではない知人Qにも別の畑を特定遺贈した。Qがこの遺贈で畑を取得するにも、農地法3条の許可は要らない。
答え:✕ 分かれ目は、特定遺贈の相手が相続人かどうかです。許可がいらないのは、包括遺贈と「相続人に対する」特定遺贈です(施行規則15条5号)。正しくは、相続人でないQへの特定遺贈には3条の許可が要ります。問10の相続人への特定遺贈の例外を、相続人以外への特定遺贈に広げた取り違えです。
問12(このサイトのオリジナル問題)
R県が、農業振興上の必要性が高い農業用用排水施設(省令で定めるもの)を設けるため、県の所有する農地をつぶして用水路にする。この転用には、農地法4条の許可は要らない。
答え:○ 分かれ目は、国・都道府県等が行う転用の例外です。国または都道府県等が、道路・農業用用排水施設その他の地域振興上・農業振興上の必要性が高い施設で農林水産省令で定めるもののために転用する場合は、4条の許可は要りません(4条1項2号)。県でも許可を受ける、と考えると✕に見えます。この例外に当たらない国・都道府県等の転用は、知事等との協議の成立で許可があったものとみなされます(4条8項)。
問13(このサイトのオリジナル問題)
国が、庁舎を建てるため、市街化区域外の農地を買い受ける(5条1項ただし書の例外には当たらない)。この場合、国と都道府県知事等との協議が成立すれば、5条の許可があったものとみなされる。
答え:○ 分かれ目は、例外に当たらない国の取得の扱いです。国または都道府県等が5条1項の権利を取得しようとする場合は、国等と都道府県知事等との協議が成立することをもって、5条1項の許可があったものとみなされます(5条4項)。国の取得なら許可も協議も要らない、と考えると✕に見えます。問12のように省令で定める施設のための取得なら、そもそも許可が要りません(5条1項1号)。
問14(このサイトのオリジナル問題)
道路事業のため、土地収用法にもとづいて、Sの農地が収用される。この場合、農地法5条の許可は要らない。
答え:○ 分かれ目は、収用の例外です。土地収用法その他の法律によって農地やその権利が収用・使用される場合は、5条の許可は要りません(5条1項5号)。農地が道路になる以上、転用のための権利の移転として許可が要る、と考えると✕に見えます。3条(3条1項11号)と4条(4条1項6号)にも、収用の例外があります。
許可のない行為の扱いと、許可の基準(問15〜18)
許可と届出の全体は法令上の制限の許可と届出の記事で比べています。
問15(このサイトのオリジナル問題)
Tは、宅地にする目的で、市街化調整区域内の農地をUから買い、代金を払ったが、農地法5条の許可を受けていない。この売買契約は、許可がなくても、当事者の間では所有権を移転する効力を生じる。
答え:✕ 分かれ目は、許可のない5条の契約の効力です。5条の許可を受けないでした行為は効力を生じません(5条3項が準用する3条6項)。正しくは、当事者の間でも所有権は移りません。当事者が納得していれば契約は有効で、許可は行政上の手続にすぎない、と考えた取り違えです。4条の転用には契約がないので、効力ではなく原状回復の命令などで対応します(51条)。
問16(このサイトのオリジナル問題)
Vは、農地法3条の許可を受けずに、畑をWに畑のまま売り、Wがそこで耕作を始めた。都道府県知事等は、Vに対し、農地法51条にもとづいて原状回復を命ずることができる。
答え:✕ 分かれ目は、51条の命令の対象です。工事の停止や原状回復などを命ずることができるのは、4条1項・5条1項の規定に違反した者など(違反転用者等)です(51条1項)。正しくは、3条の違反は51条の対象に入っていません。3条の許可のない売買は効力を生じない(3条6項)ので、所有権が移らないという形で扱われます。転用の違反と、権利移動の違反を取り違えた形です。
問17(このサイトのオリジナル問題)
会社員のXは、農業を始めるため、30アールの畑を買い、取得した畑のすべてを効率的に耕作し、農作業に常時従事する。取得後の耕作面積が50アールに満たないときは、農業委員会は3条の許可をすることができない。
答え:✕ 分かれ目は、下限面積の要件が今もあるかです。かつては、取得後の耕作面積が都府県で50アールに満たないと許可できない、という要件が3条2項5号にありました。この要件は令和5年4月1日施行の改正で削られ、令和8年4月1日時点の3条2項にはありません。正しくは、面積が小さいことだけを理由に許可を拒めません。全部効率利用(同項1号)・常時従事(同項4号)などの要件と、削られた下限面積を取り違えた形です。
問18(このサイトのオリジナル問題)
農地所有適格法人ではない株式会社Yは、農地を借りて野菜を作りたい。書面の契約に、農地を適正に利用しないときは貸主が解除する条件を付けるなどの要件を満たせば、Yは3条の許可を受けて賃借できる。
答え:○ 分かれ目は、法人が農地を借りる場合の例外です。農地所有適格法人以外の法人は原則として3条の許可を受けられませんが(3条2項2号)、賃借権・使用貸借による権利の取得で、適正に利用しないときに解除する旨の条件が書面の契約にあり、地域の農業者との適切な役割分担のもとで継続的・安定的に農業経営を行うと見込まれ、業務執行役員等の1人以上が耕作の事業に常時従事するときは、許可ができます(同条3項)。株式会社は農地を使えない、と考えると✕に見えます。所有権の取得には、この例外はありません。
農地の賃貸借:解除と更新(問19・20)
農地の賃貸借の対抗力・解約の許可・合意解約の例外は農地の賃貸借の記事で扱っています。
問19(このサイトのオリジナル問題)
農地の賃借人Zが賃料を払わないので、賃貸人Aは賃貸借を解除したい。賃借人の側に債務不履行がある場合でも、この解除には都道府県知事の許可が要る。
答え:○ 分かれ目は、債務不履行による解除も許可の対象かです。農地の賃貸借の当事者は、都道府県知事の許可を受けなければ、賃貸借の解除・解約の申入れ・合意による解約・更新しない旨の通知をしてはならないとされ(18条1項)、許可のない行為は効力を生じません(同条5項)。賃料不払いの解除はこの例外に挙がっていません。相手が悪いのだから許可はいらない、と考えると✕に見えます。賃借人が信義に反した行為をしたことは、知事が許可をする事由です(同条2項1号)。
問20(このサイトのオリジナル問題)
AがBに期間3年で貸している農地について、AもBも、満了の1年前から6か月前までに更新しない旨の通知をしなかった。この賃貸借は、満了の日に終わる。
答え:✕ 分かれ目は、通知がないときの法定更新です。期間の定めのある農地の賃貸借で、当事者がその期間内に更新しない旨の通知をしないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものとみなされます(17条)。正しくは、期間満了では終わりません。民法の賃貸借のように期間の満了で終わり、使い続けて異議がないときだけ更新する、と取り違えた形です。
まちがえた問題から、直す所を決める
| 分かれ目の種類 | 問題 | 直し方 |
|---|---|---|
| 3条・4条・5条の振り分け | 問3・5・6・7 | 権利が動くか・農地でなくなるかを先に書く |
| 許可する人・届出の相手 | 問1・2・4 | 農業委員会と知事等を条文ごとに言う |
| 許可がいらない例外 | 問8〜14 | 例外を条文と施行規則の言葉で覚える |
| 許可のない行為の扱い | 問15・16 | 効力なし(3条・5条)と命令(4条・5条)を分ける |
| 許可の基準 | 問17・18 | 今の3条2項・3項の要件で判断する |
| 賃貸借の解除と更新 | 問19・20 | 知事の許可がいる行為と更新のみなしを分ける |
農地法は、3条・4条・5条の振り分けを一つまちがえると、許可する人も、届出の特例も、違反の扱いも全部ずれます。まちがえた問題は、答えより先に「どの条文の場面か」を書き出してから読み直すと、同じまちがいを減らせます。
この20問のあとは、宅建の5分○✕ドリルの法令上の制限で、農地法を含む問題を続けて解けます。1回10問で、✕と△を付けた問題が間をあけて戻ってきます。
参考にした公式の情報(2026年10月確認)
- e-Gov法令検索「農地法」(第2条第1項、第3条第1項〜第3項・第6項、第3条の3、第4条第1項・第8項、第5条第1項・第3項・第4項、第16条第1項、第17条、第18条第1項・第2項・第5項、第51条第1項を確認。令和8年4月1日時点の条文。第3条第2項の下限面積の号は令和5年3月以前の版で確認)
- e-Gov法令検索「農地法施行規則」(第15条、第29条を確認)
- 一般財団法人 不動産適正取引推進機構(宅建試験の過去の問題。出題数は当サイトが公開問題から数えたもので、公式の内訳ではありません)
働く人の法律試験ノート