この記事は、行政書士試験の会社法を○✕20問で確かめる一問一答です。問題はすべて、このサイトのオリジナルです(過去問の文は使っていません)。正誤は、令和8年4月1日に施行されている会社法の条文で確かめています。
会社法は、条文の数が多い割に配点が小さく、「捨てるか迷う」科目です。どこまでやるかの考え方は商法・会社法は捨てていいかの記事にまとめています。この20問は、その記事で最低限の範囲とした設立・株式・機関から、設立6問・株式6問・機関8問を出します。会社法の肢は、内容を理解していても、数字(期間・割合・金額)と、どの機関が決めるかの一語で落とすことが多いので、そこを中心にしました。
この20問の使い方
- 答えを見る前に、○か✕かを決める。✕なら「どの言葉を何に直せば正しくなるか」を一言で言う。
- 答えを見て、自分の直し方が解説の分かれ目と合っているかを確かめる。正解でも理由が違えば、まちがえた問題として数える。
- まちがえた問題が「数字」「機関」「主体」のどれに集まっているかを数え、多いものから復習する。
問題文の「X社」は株式会社です。公開会社かどうか、取締役会を置いているかどうかは、問題文に書いたとおりとします。
設立(問1〜6)
設立は、発起人だけが株を引き受ける発起設立と、ほかの人も募る募集設立の2つの方法があります(25条1項)。どちらの方法の話か、だれの責任か、で正誤が分かれます。流れの全体は株式会社の設立の記事で確かめてください。
問1(このサイトのオリジナル問題)
発起人A・Bが発起設立で会社をつくる。Aが設立時発行株式の全部を引き受け、Bは1株も引き受けなかった。Bも定款に発起人として署名しているので、この進め方は会社法に反しない。
答え:✕ 分かれ目は、発起人が株を引き受ける義務です。25条2項は「各発起人は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を一株以上引き受けなければならない」としています。正しくは、Bも1株以上引き受ける必要があります。発起設立の定義(25条1項1号)の「発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける」を、発起人のうち一人が全部を引き受ければよい、と読み違えた形です。
問2(このサイトのオリジナル問題)
発起人Aが、定款に価額300万円と記載した自動車を出資する。ほかに現物出資や財産引受けの定めはない。この場合、自動車の価額について検査役の調査は要らない。
答え:○ 分かれ目は、検査役の調査が要らない金額の基準です。33条10項1号は、現物出資財産等について定款に記載された価額の総額が「五百万円を超えない場合」は検査役の調査の規定を適用しないとしています。現物出資にはいつも検査役が要る、と覚えていると✕にしてしまいます。不動産なら、金額で外れない場合に弁護士などの証明に加えて不動産鑑定士の鑑定評価が要る(同項3号)点と区別します。
問3(このサイトのオリジナル問題)
発起設立で、発起人全員が出資金を払込取扱銀行に払い込んだ。発起人は、会社法にもとづき、その銀行に払込金の保管に関する証明書の交付を請求することができる。
答え:✕ 分かれ目は、保管証明の制度がどちらの設立方法のものかです。64条1項は、保管証明書の交付を請求できるのを「第五十七条第一項の募集をした場合」、つまり募集設立に限っています。正しくは、発起設立には会社法上の保管証明の請求の定めはありません。払込みを銀行等の払込取扱場所でする決まり(34条2項)は両方に共通なので、混ざりやすいところです。
問4(このサイトのオリジナル問題)
公開会社でない株式会社を設立する。定款で発行可能株式総数を1,000株とし、設立時発行株式の総数を200株とした。この定めは会社法に反しない。
答え:○ 分かれ目は、「4分の1」の決まりがかかる会社です。37条3項は、設立時発行株式の総数は発行可能株式総数の4分の1を下ることができないとし、ただし書で「公開会社でない場合は、この限りでない」としています。200株は1,000株の4分の1(250株)を下回りますが、公開会社でないので反しません。4分の1を下回るから違反、と考えると✕にしてしまいます。
問5(このサイトのオリジナル問題)
発起設立で、発起人Aが給付した機械の会社成立時の価額が、定款に記載された価額に著しく足りなかった。検査役の調査を経ていたので、Aは不足額を支払う義務を負わない。
答え:✕ 分かれ目は、免責される人の範囲です。52条1項は発起人と設立時取締役に連帯して不足額を支払う義務を負わせ、2項は検査役の調査を経た場合などに義務を負わないとしますが、そのかっこ書きで、財産を給付した発起人を除いています。正しくは、給付したA自身は、検査役の調査を経ても義務を免れません。免責されるのは、給付していないほかの発起人や設立時取締役です。
問6(このサイトのオリジナル問題)
会社の設立の手続を進めたが、会社は成立しなかった。発起人ではない設立時取締役Cも、発起人と連帯して、設立に関して支出した費用を負担しなければならない。
答え:✕ 分かれ目は、責任を負う人です。56条は、会社が成立しなかったときは「発起人は、連帯して」設立に関してした行為の責任を負い、設立費用を負担するとしています。正しくは、責任を負うのは発起人だけです。現物出資の不足額の責任(52条1項)や任務懈怠の責任(53条)には設立時取締役も入るので、その範囲と取り違えた形です。
株式(問7〜12)
株式の分野では、株主総会と取締役会のどちらが決めるか、期間が何か月かが入れ替えられます。株主の権利や譲渡のルールは株式の記事で確かめられます。
問7(このサイトのオリジナル問題)
取締役会設置会社であるX社(種類株式発行会社ではない)が、1株を2株に分割する。分割の割合や効力が生じる日は、取締役会の決議で定める。
答え:○ 分かれ目は、株式の分割を決める機関です。183条2項は、株式の分割は「株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議」で定めるとしています。株主の持株の数が変わるので株主総会が要る、と考えると✕にしてしまいます。分割では株主の持株比率は変わらないので、取締役会設置会社では取締役会で決めます。
問8(このサイトのオリジナル問題)
取締役会設置会社であるX社が、10株を1株に併合する。併合の割合や効力が生じる日は、取締役会の決議で定めることができる。
答え:✕ 分かれ目は、分割と併合で決める機関が違うことです。180条2項は、株式の併合は「株主総会の決議」で定めるとし、309条2項4号でこれは特別決議です。取締役は、併合が必要な理由を株主総会で説明します(180条4項)。正しくは、株主総会の特別決議です。1株に満たない端数が生じて株主の地位を失う人も出るので、分割(183条2項)より重い手続になっています。
問9(このサイトのオリジナル問題)
X社は、権利を行使できる株主を決めるため、3月31日を基準日と定めた。X社は、基準日株主が行使できる権利として、基準日から6か月以内に行使するものを定めることができる。
答え:✕ 分かれ目は、基準日から権利行使までの期間です。124条2項は、基準日株主が行使できる権利は「基準日から三箇月以内に行使するもの」に限るとしています。正しくは3か月以内です。6か月は、公開会社で取締役の解任の訴えなどを起こす株主に求められる株式の保有期間(854条1項など)の数字で、別の場面の数字を当てた形です。
問10(このサイトのオリジナル問題)
取締役会設置会社であるX社が、持っている自己株式を消却する。消却する自己株式の数は、取締役会の決議で定める。
答え:○ 分かれ目は、自己株式の消却を決める機関です。178条1項は、自己株式を消却するときは消却する数を定めるとし、2項は、取締役会設置会社ではその決定は「取締役会の決議によらなければならない」としています。株式が減るので株主総会が要る、と考えると✕にしてしまいます。自己株式の消却は会社が持つ株を消すだけなので、ほかの株主の持株の数は変わりません。
問11(このサイトのオリジナル問題)
X社は、募集株式の払込みの期間を4月1日から4月10日までと定めた。引受人Bは、4月3日に払込金額の全額を払い込んだ。Bは、4月3日にX社の株主となる。
答え:○ 分かれ目は、期日を決めた場合と期間を決めた場合の違いです。209条1項は、払込みの期日を定めたときは「当該期日」に、期間を定めたときは「出資の履行をした日」に株主になるとしています。期間の最後の日(4月10日)にそろって株主になる、と考えると✕にしてしまいます。出資をしないと、株主となる権利を失います(208条5項)。
問12(このサイトのオリジナル問題)
X社は、定時株主総会で議決権を行使できる株主を決めるため、基準日を定めた。X社は、基準日の後に株式を取得した人に議決権を行使させることを定めることはできない。
答え:✕ 分かれ目は、議決権についての特則です。124条4項は、基準日株主が行使できる権利が株主総会の議決権である場合には、基準日の後に株式を取得した人の全部または一部を、議決権を行使できる者と定めることができるとしています(ただし基準日株主の権利を害することはできない)。正しくは、定めることができます。配当を受ける権利など議決権以外の権利には、この特則はありません。
機関(問13〜20)
機関の分野では、だれが承認するか、だれが決めるか、何日以内か、が入れ替えられます。機関の置き方は株式会社の機関の記事で、取締役の責任は取締役の義務と責任の記事で確かめられます。
問13(このサイトのオリジナル問題)
取締役会を置いていないX社の取締役Aが、X社が持つ土地を自分で買い取る。Aは、株主総会でこの取引の重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
答え:○ 分かれ目は、取締役会がない会社で承認する機関です。356条1項2号は、取締役が自己のために会社と取引しようとするときは、株主総会で重要な事実を開示し承認を受けるとしています。取締役会設置会社なら取締役会が承認します(365条1項)。利益相反取引の承認は取締役会、と覚えていると✕にしてしまいます。
問14(このサイトのオリジナル問題)
取締役会設置会社であるX社で、取締役Aが取締役会の承認を受けてX社と取引した。Aは、取引の後、遅滞なく、その取引の重要な事実を取締役会に報告しなければならない。
答え:○ 分かれ目は、承認の後の報告義務です。365条2項は、取締役会設置会社では、356条1項各号の取引をした取締役は、取引後遅滞なく重要な事実を取締役会に報告しなければならないとしています。承認を受けたのだから報告は不要、と考えると✕にしてしまいます。報告の義務は取締役会設置会社の定めで、取締役会がない会社にはこの定めはありません。
問15(このサイトのオリジナル問題)
取締役会設置会社であるX社で、取締役Aの利益相反取引を承認する取締役会の決議に、取締役Bが賛成した。その取引でX社に損害が生じても、取引をしたのはAなので、Bが任務を怠ったと推定されることはない。
答え:✕ 分かれ目は、任務懈怠が推定される人の範囲です。423条3項は、利益相反取引で会社に損害が生じたときは、取引をした取締役のほか、会社がその取引をすると決めた取締役、承認の決議に賛成した取締役も、任務を怠ったものと推定するとしています(3号)。正しくは、Bも推定されます。無過失でも責任を免れないとする428条は、自己のために直接取引をしたAについての定めで、Bには及びません。
問16(このサイトのオリジナル問題)
X社の代表取締役Aは任務を怠ってX社に損害を与えたが、職務について善意で重大な過失もなかった。この場合、X社は、株主総会の特別決議によって、Aの責任の全額を免除することができる。
答え:✕ 分かれ目は、全額免除と一部免除の手続の違いです。424条は、423条1項の責任は総株主の同意がなければ免除できないとしています。425条1項は、善意でかつ重大な過失がないときに、最低責任限度額(代表取締役は報酬などの6年分を基準に計算)を残して、株主総会の決議(309条2項8号の特別決議)で免除できるとしています。正しくは、総会の特別決議で免除できるのは一部です。全額の免除には総株主の同意が要ります。
問17(このサイトのオリジナル問題)
取締役会設置会社であるX社の定款には、取締役の報酬についての定めがない。この場合、X社は、取締役会の決議だけで取締役Aの報酬の額を決めることができる。
答え:✕ 分かれ目は、報酬を決める機関です。361条1項は、取締役の報酬等について、額などの事項は「定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める」としています。正しくは、定款か株主総会の決議が要ります。業務の決定は取締役会がするので報酬も取締役会で、と考えた取り違えです。取締役が自分たちの報酬を決めると、高くしすぎるおそれがあるからです。
問18(このサイトのオリジナル問題)
監査役設置会社であるX社には、取締役が3人、監査役が1人いる。4人全員が同意したので、招集の通知をしないで取締役会を開いた。この取締役会は適法に開くことができる。
答え:○ 分かれ目は、招集手続を省略できる条件です。368条2項は、取締役会は、取締役(監査役設置会社では取締役および監査役)の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催できるとしています。通知は1週間前までに必要(同条1項)だから違法、と考えると✕にしてしまいます。監査役設置会社では、取締役だけの同意では足りない点も押さえます。
問19(このサイトのオリジナル問題)
X社は、代表権のない取締役Aに「副社長」の肩書きを使わせていた。AがX社の名前で取引先Bと契約し、BはAに代表権がないことを知らず、知らないことに過失もなかった。X社は、この取引についてBに責任を負う。
答え:○ 分かれ目は、代表権がない人の行為でも会社が責任を負う場合です。354条は、代表取締役以外の取締役に社長・副社長その他会社を代表する権限があると認められる名称を付けた場合、その取締役の行為について、会社は善意の第三者に責任を負うとしています。代表権がないので会社には効果がない、と考えると✕に見えます。会社が肩書きを付けた点が、責任の理由です。
問20(このサイトのオリジナル問題)
公開会社X社で取締役Aに重大な法令違反があったのに、Aの解任議案が株主総会で否決された。総株主の議決権の100分の3以上を6か月前から持つ株主Bは、その総会の日から3か月以内に、Aの解任の訴えを起こすことができる。
答え:✕ 分かれ目は、訴えを起こせる期間です。854条1項は、解任議案が否決されたときなどに、一定の株主が「当該株主総会の日から三十日以内に」訴えで解任を請求できるとしています。正しくは30日以内です。3か月は、株主総会の決議の取消しの訴え(831条1項。決議の日から3か月以内)の期間です。公開会社でない会社では、6か月の保有期間の要件はありません(854条2項)。
まちがえた問題の見分け方:3つの型と直し方
| 型 | 当たる問題 | 直し方 |
|---|---|---|
| — | — | — |
| 数字 | 問2・問4・問9・問11・問20 | 数字を「何の数字か」と並べて書き出す |
| 決める機関 | 問7・問8・問10・問13・問16・問17 | 「株主総会か取締役会か」を表にする |
| 主体・条件の読み落とし | 問1・問3・問5・問6・問12・問14・問15・問18・問19 | 条文の主語・かっこ書き・ただし書に線を引く |
数字の型が多かった人は、会社法の数字の一覧の記事で、決議の要件・期間・割合をまとめて見直すと効率がよいです。決める機関の型は、「株主の持株比率や財産に影響するものは株主総会、日々の運営は取締役会」という大まかな見分け方から入ると、例外(有利発行や併合)を覚える足場になります。
この20問のあとは、行政書士の5分○✕ドリルの「会社法」で、同じ分野の問題を続けて解けます。1回10問で、自分で○・△・✕を付けると、✕と△が間をあけて戻ってくる仕組みです。
参考にした公式の情報(2026年10月確認)
- e-Gov法令検索「会社法」(第25条、第33条、第34条、第37条、第52条、第53条、第56条、第64条、第124条、第178条、第180条、第183条、第208条、第209条、第309条、第354条、第356条、第361条、第365条、第368条、第423条〜第425条、第428条、第831条、第854条を確認。令和8年4月1日時点の条文)
働く人の法律試験ノート