地方議会の招集と会期:定例会・臨時会・通年会期、議長や議員による臨時会の招集の請求(地方自治法101条〜102条の2)

ひとことで言うと、地方議会の会期(かいき=議会が活動できる期間)の決め方は2つあります。1つは、毎年条例で決めた回数の定例会と、必要なときに開く臨時会に分ける方法です(地方自治法102条)。もう1つは、条例で定めて、定例会・臨時会に分けず、毎年、条例で定める日から翌年のその日の前日までを1つの会期にする方法で、条文の見出しは「通年の会期」です(102条の2)。どちらでも、議会を招集(しょうしゅう=集めて開くこと)するのは長が原則です(101条1項)。

この記事では、定例会・臨時会・通年の会期を「だれが招集し、いつ、何を審議できるか」の表で比べ、招集や会議の数字(7日・3日・20日・30日・4分の1・半数)を条文で並べます。長が臨時会を招集しないときの議長の招集(101条2項〜6項)の説明は議会と長の関係の記事にあるので、ここでは流れの要点だけにします。通年の会期を採っている地方公共団体の名前や、制度の良し悪しは扱いません。条文は、令和8年4月1日時点の地方自治法を e-Gov 法令検索で確かめています。

身近な例で考えると

市会期の決め方この1年にあったこと
あおば市定例会と臨時会(102条)条例で定例会を年4回とした。秋に臨時会も開いた
みなと市通年の会期(102条の2)条例で毎年5月1日から翌年4月30日までを会期とした
  1. あおば市:定例会は条例で定めた回数、市長が招集する(102条2項)。秋に急いで決めたい条例案が出たので、市長は、付議する事件をあらかじめ告示して臨時会を招集した(102条3項・4項)。招集の告示は、市なので開会の日の7日前までにした(101条7項)。
  2. みなと市:条例で定める5月1日が来ると、市長がその日に招集したものとみなされる(102条の2第2項)。条例で、定期的に会議を開く日(定例日)を決めてある(同条6項)。
  3. みなと市:市長が、定例日以外の日に会議を開くよう、付議する事件を示して議長に請求した。議長は、請求のあった日から7日以内に会議を開かなければならない(同条7項)。

あおば市では、会期は定例会・臨時会ごとに区切られ、臨時会では告示された事件を審議します。みなと市では、1年が1つの会期なので、定例会・臨時会という区別がありません。そのかわり、定例日を決め、定例日以外に開くときの手順(長の請求と議長の開催)が条文に置かれています。

たとえるなら、定例会・臨時会は「決まった月に開く定期の会合と、必要なときの臨時の会合」、通年の会期は「1年中開いている窓口で、決まった曜日に会議をする」形です。ただし本物のルールでは、通年の会期でも、議員の任期満了や解散などがあれば会期はその日に終わります(102条の2第3項)。

条文ではこう決まっている

招集(101条)

  • 招集する人(1項):議会は、長が招集する。
  • 臨時会の招集の請求(2項〜6項):議長(議会運営委員会の議決を経て)と、議員の定数の4分の1以上の者は、付議すべき事件を示して、長に臨時会の招集を請求できる。長は請求の日から20日以内に招集しなければならない。長が招集しないときは、議長の請求なら議長が招集でき、議員の請求なら、請求した議員の申出にもとづき、議長が都道府県・市は10日以内、町村は6日以内に招集しなければならない(くわしくは議会と長の関係の記事)。
  • 招集の告示(7項):開会の日の前、都道府県・市は7日、町村は3日までに告示する。緊急を要する場合は、この限りでない。
  • 開会の日の変更(8項):告示の後に、災害などやむを得ない事由で開会の日に会議を開くのが難しいと認めるときは、告示をした者は開会の日を変更でき、変更後の日と理由を告示する。

定例会と臨時会(102条)

  • 種類(1項):議会は、定例会と臨時会とする。
  • 定例会(2項):毎年、条例で定める回数、招集しなければならない。
  • 臨時会(3項・4項):必要がある場合に、その事件に限り招集する。付議すべき事件は、長があらかじめ告示しなければならない。
  • 議長が招集した臨時会(5項):101条5項・6項で議長が招集するときは、請求で示された事件を付議すべき事件として、議長があらかじめ告示する。
  • 緊急の事件(6項):臨時会の開会中に緊急を要する事件があるときは、3項〜5項にかかわらず、直ちに会議に付議できる。
  • 会期(7項):会期とその延長、開閉に関する事項は、議会が定める。

通年の会期(102条の2)

  • 選べる(1項):議会は、102条にかかわらず、条例で定めるところにより、定例会・臨時会とせず、毎年、条例で定める日から翌年のその日の前日までを会期とすることができる。
  • 招集のみなし(2項):条例で定める日が来たら、長がその日に招集したものとみなす(4項で招集しなければならない場合を除く)。
  • 会期の途中の終了(3項):議員の任期満了、議会の解散、議員が全てなくなったときは、その日に会期が終わる。
  • その後の招集(4項・5項):3項で会期が終わったときは、長は、一般選挙で選ばれた議員の任期が始まる日から30日以内に議会を招集しなければならない。会期は、招集の日から、その後の最初の「条例で定める日」の前日まで(4項後段)。この会期にも3項が準用される(5項)。
  • 定例日(6項):条例で、定期的に会議を開く日(定例日)を定めなければならない。
  • 長の請求(7項):長は、付議すべき事件を示して、議長に定例日以外の日に会議を開くことを請求できる。議長は、請求の日から都道府県・市は7日以内、町村は3日以内に会議を開かなければならない。

会議を開く条件と委員会(109条・113条・114条)

  • 委員会(109条1項):条例で、常任委員会、議会運営委員会、特別委員会を置くことができる。
  • 定足数(113条):議員の定数の半数以上の議員が出席しなければ、会議を開けない(除斥で半数に達しないときなどの例外がある)。
  • 議員の請求による開議(114条1項):議員の定数の半数以上の者から請求があるときは、議長は、その日の会議を開かなければならない。

3つの形を1枚で比べると

比べる点定例会臨時会通年の会期
根拠102条2項102条3項〜6項102条の2(条例で選ぶ)
招集長が、条例で定める回数長が必要なときに。請求による招集もある(101条)条例で定める日に長が招集したものとみなす
期間議会が定める(102条7項)議会が定める(102条7項)条例で定める日から翌年の前日まで
審議できる事件限定の定めなし告示した事件に限る。開会中の緊急の事件は直ちに付議できる定例日に会議。長は定例日以外の会議を議長に請求できる

数字を条文で並べると

数字何の数字か条文
4分の1以上議員が長に臨時会の招集を請求できる人数101条3項
20日以内請求を受けた長が臨時会を招集する期限101条4項
10日・6日以内議員の請求で長が招集しないとき、議長が招集する期限(都道府県・市/町村)101条6項
7日・3日前まで招集の告示(都道府県・市/町村)。緊急なら例外101条7項
7日・3日以内通年の会期で、長の請求から議長が会議を開く期限102条の2第7項
30日以内通年の会期が任期満了などで終わった後、新しい議員の任期の始まりから長が招集する期限102条の2第4項
半数以上定足数/議員の請求でその日の会議を開く人数113条/114条1項

同じ「7日・3日」が2か所に出てきます。101条7項は開会の日の「前」までの告示の日数で、102条の2第7項は長の請求から会議を開くまでの「以内」の日数です。また、議員の人数は、長に臨時会を求めるなら定数の4分の1以上、その日の会議を開かせるなら半数以上で、相手も違います(長/議長)。

当てはまる例・当てはまらない例

当てはまる例:臨時会で告示した事件を審議する

あおば市の秋の臨時会では、市長があらかじめ告示した条例案を審議します(102条3項・4項)。臨時会は「その事件に限り」招集するものなので、告示していない別の事件は、原則として審議しません。

ひっかけやすい例:臨時会の途中で緊急の事件が出た

臨時会の開会中に、告示していない緊急を要する事件が出たときは、直ちに会議に付議できます(102条6項)。「臨時会は告示した事件だけ」を言い切ると、この例外を落とします。

当てはまらない例:通年の会期に臨時会を招集する

みなと市は、条例で定例会・臨時会とせず通年の会期にしているので、臨時会という区分はありません(102条の2第1項)。市長が定例日以外の日に会議を求めるなら、付議すべき事件を示して議長に会議を開くよう請求する手順になります(同条7項)。

ひっかけやすい例:議会が解散されたとき

通年の会期の途中で議会が解散されると、解散の日に会期が終わります(102条の2第3項)。その後の一般選挙で選ばれた議員の任期が始まる日から30日以内に、市長が議会を招集しなければなりません(同条4項)。このときは、「条例で定める日が来たら招集したものとみなす」(2項)の形ではなく、長が実際に招集します。

試験ではここをまちがえやすい

  • 招集する人:議会を招集するのは長(101条1項)。議長が招集できるのは、請求があったのに長が招集しない場合(5項・6項)です。
  • 20日と7日の入れ替え:通年の会期で長の請求を受けた議長が会議を開く期限を「20日以内」とする形。20日は臨時会の招集の請求を受けた長の期限(101条4項)で、通年の会期の議長は都道府県・市7日以内、町村3日以内です(102条の2第7項)。
  • 4分の1と半数の入れ替え:議員の4分の1以上は長への臨時会の招集の請求(101条3項)。議長にその日の会議を開かせるのは定数の半数以上の請求(114条1項)です。
  • 臨時会の例外の落とし:臨時会は告示した事件に限るのが原則ですが、開会中の緊急を要する事件は直ちに付議できます(102条6項)。
  • 決める手段の入れ替え:定例会の回数と通年の会期は「条例」で定め、会期の長さ・延長・開閉は「議会」が定めます(102条2項・7項、102条の2第1項)。

地方自治法の中でどこから手をつけるかは、地方自治法の進め方の記事で配点と範囲を確かめられます。住民による直接請求(条例の制定改廃・解散・解職など)は、議会の招集とは別のしくみで、直接請求と住民監査請求の記事で扱っています。

○✕でたしかめよう

問1(このサイトのオリジナル問題)
条例で通年の会期を定めているみなと市で、市長が、付議すべき事件を示して、定例日以外の日に会議を開くよう議長に請求した。この場合に議長が会議を開くべき期限は、請求のあった日から20日以内である。

答え:✕ 分かれ目は、通年の会期で議長が会議を開く期限です。102条の2第7項は、長が定例日以外の日に会議を開くことを請求したときは、議長は、請求のあった日から、都道府県と市は7日以内、町村は3日以内に会議を開かなければならないとしています。正しくは、みなと市の議長は7日以内に開きます。取り違えの相手は、臨時会の招集の請求を受けた長が、請求のあった日から20日以内に臨時会を招集しなければならないとする101条4項です。

問2(このサイトのオリジナル問題)
あおば市の市長は、付議すべき事件として条例案1件を告示して臨時会を招集した。開会中に、告示していない緊急を要する事件が生じたときは、この事件を直ちに会議に付議することができる。

答え:○ 分かれ目は、臨時会で告示していない事件を審議できる例外です。102条3項・4項は、臨時会は必要がある場合にその事件に限り招集し、付議すべき事件は長があらかじめ告示するとしていますが、同条6項は、臨時会の開会中に緊急を要する事件があるときは、これらの規定にかかわらず直ちに会議に付議できるとしています。臨時会は告示した事件しか扱えない、と覚えていると✕にしてしまいます。原則と例外を一組で覚えます。

問3(このサイトのオリジナル問題)
あおば市議会(議員の定数28人)で、議員7人が、議長に対して、その日の会議を開くよう請求した。この請求により、議長は、その日の会議を開く義務を負う。

答え:✕ 分かれ目は、請求に必要な人数と、請求の相手です。114条1項は、議員の定数の半数以上の者から請求があるときに、議長はその日の会議を開かなければならないとしています。正しくは、定数28人なら14人以上の請求が要り、7人では足りません。取り違えの相手は、議員の定数の4分の1以上(28人なら7人以上)が、長に対して臨時会の招集を請求できるとする101条3項です。

この分野の○✕は、行政書士の5分○✕ドリルの「行政法」で続けて解けます。

まとめ

  • 議会を招集するのは長(101条1項)。告示は開会の日の7日前(都道府県・市)・3日前(町村)まで。
  • 定例会は条例で定める回数、臨時会は必要なときに告示した事件に限る。開会中の緊急の事件は直ちに付議できる(102条)。
  • 通年の会期は、条例で定める日から翌年の前日まで。その日に長が招集したものとみなす。定例日を条例で定める(102条の2)。
  • 通年の会期で長が請求したら、議長は7日以内(都道府県・市)・3日以内(町村)に会議を開く。臨時会の請求を受けた長の20日とは別。
  • 議員の4分の1以上は長への臨時会の招集の請求、半数以上は議長への開議の請求。

参考にした公式の情報(2026年10月確認)

条文は、令和8年4月1日時点で施行されている内容を、e-Gov法令検索(法令API)で確かめています。

このサイトで次に読むなら、議会と長の関係の記事です。招集された議会と長の間の再議・不信任議決・専決処分を、数字と流れで続けて確かめられます。

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