この記事は、宅建試験の営業保証金と保証協会(宅地建物取引業保証協会)を○✕20問で確かめる一問一答です。前半10問が営業保証金、後半10問が保証協会です。問題はすべてこのサイトのオリジナルで、正誤は令和8年4月1日に施行されている法令で確かめています。
当サイトが、不動産適正取引推進機構が公開している過去の試験(昭和63年度〜令和7年度の40回、2,000問)を1問ずつ読んで数えたところ、主な論点の問題は営業保証金が41問(38回)、保証協会が35問(35回)で、合わせて76問でした。40回すべてに、どちらかが主な論点として出ています。直近10回(令和7年度〜平成30年度。令和2・3年度は10月・12月の2回ずつ)では、営業保証金10問・保証協会8問の計18問です(分け方は当サイトの判断で、公式の分類ではありません)。
この分野の肢は、仕組みを理解していても、「だれが」「いつまでに(いつから数えて)」「どこへ」の一語を入れ替えられると落とします。営業保証金と保証協会は、同じ2週間・同じ公告でも主語と行き先が違うので、各問の解説の最後で、もう一方の制度の規定を取り違えの相手として示しています。
解く前に:3つの問いで読む
- だれが:宅建業者か、保証協会か、免許権者か、還付を受ける人か。
- いつまでに:「1週間」「2週間」「6か月」と、その数え始め(受領の日・通知を受けた日・設置した日)。
- どこへ:供託所か、保証協会か、免許権者か。
○✕を決めたら、✕の問題は「どの一語をどう直すか」まで言ってから答えを見ます。二つの制度の全体の流れは営業保証金と保証協会の記事で先に確かめられます。
営業保証金①:供託と還付(問1〜5)
問1(このサイトのオリジナル問題)
Aは、宅建業の免許を申請した。Aは、免許を受ける前に、主たる事務所の最寄りの供託所に営業保証金を供託しておかなければならない。
答え:✕ 分かれ目は、供託する時点です。営業保証金を供託するのは「宅地建物取引業者」で(25条1項)、免許を受けた後に供託し、その旨を免許権者に届け出て(25条4項)、届出の後でなければ事業を始められません(25条5項)。免許をした日から3か月以内に届出がないと免許権者が催告する仕組み(25条6項)も、免許の後の供託が前提です。正しくは、免許を受けた後に供託します。保証協会の分担金を「加入しようとする日まで」に納める規定(64条の9第1項1号)と取り違えた形です。
問2(このサイトのオリジナル問題)
本店だけで営業している宅建業者Aが、マンションを分譲するため、契約の締結もする現地の案内所を設けた。Aは、この案内所の分として、500万円の営業保証金を追加で供託しなければならない。
答え:✕ 分かれ目は、営業保証金の額を決める単位です。額は「主たる事務所につき千万円、その他の事務所につき事務所ごとに五百万円」の合計です(施行令2条の4)。案内所は事務所ではないので、正しくは追加の供託はいりません。案内所に求められるのは、専任の宅建士を置くこと(31条の3第1項)と、あらかじめの届出(50条2項)です。案内所のルールと事務所のルールを取り違えた形です。
問3(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者でないBは、宅建業者Aに媒介を依頼して、Cの土地を買った。Bは、Aとのこの媒介の取引で生じた債権について、Aが供託した営業保証金から還付を受けることができる。
答え:○ 分かれ目は、還付を受けられる人の範囲です。還付を受けられるのは「宅地建物取引業者と宅地建物取引業に関し取引をした者」で(27条1項)、売買の当事者に限られず、媒介を依頼した人も入ります。土地の売主はCで、Aは媒介をしただけなので✕に見えます。除かれるのは、取引の相手が宅建業者である場合です(同項のかっこ書き)。
問4(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aは、本店と支店1か所の分として、営業保証金1,500万円を供託している。支店でAと取引をした宅建業者でないBは、その取引で生じた債権について、1,500万円の範囲で還付を受けることができる。
答え:○ 分かれ目は、還付の範囲が事務所ごとに区切られているかです。27条1項は「宅地建物取引業者が供託した営業保証金について」弁済を受ける権利を定めていて、どの事務所で取引したかで範囲を分けていません。支店の分の500万円までと考えると✕にしてしまいます。保証協会の社員と取引した場合も、範囲はその社員が社員でないとしたら供託すべき営業保証金の額で、事務所ごとに区切りません(64条の8第1項)。
問5(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aの営業保証金から還付がされ、供託額が政令で定める額に足りなくなった。Aは、還付がされた日から2週間以内に、その不足額を供託しなければならない。
答え:✕ 分かれ目は、2週間の数え始めです。不足額の供託は「法務省令・国土交通省令で定める日から二週間以内」で(28条1項)、その日は、業者が不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けた日です(宅地建物取引業者営業保証金規則5条)。正しくは、通知書の送付を受けた日から2週間以内です。還付の日から数えると、業者が還付を知らないうちに期限が進んでしまいます。保証協会の還付充当金も、通知を受けた日から2週間です(64条の10第2項)。
営業保証金②:届出と取戻し(問6〜10)
取戻しは、「取り戻せる場面か」「取り戻すときに公告が要るか」「公告をするのはだれか」の3段で読みます。保管替えや事務所の廃止のときの手続は営業保証金の保管替え・取戻しの記事にまとめています。
問6(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aが廃業を届け出て、免許が効力を失った。Aが営業保証金を取り戻すには、Aの免許権者である知事が、還付を受ける権利を持つ人に、6か月以上の期間内に申し出るよう公告しなければならない。
答え:✕ 分かれ目は、公告をする人です。取戻しには、6か月を下らない一定期間内に申し出るべき旨の公告が要りますが(30条2項)、公告をするのは営業保証金を取り戻そうとする者で、公告をしたら遅滞なく免許権者に届け出ます(宅地建物取引業者営業保証金規則7条)。正しくは、A自身が公告し、知事に届け出ます。保証協会の社員が地位を失ったときに、協会が公告する規定(64条の11第4項)と取り違えた形です。
問7(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aは、宅建業法66条にもとづいて免許を取り消された。この場合でも、Aは、還付を受ける権利を持つ人への公告の手続を経て、営業保証金を取り戻すことができる。
答え:○ 分かれ目は、免許の取消しが取戻しの事由に入っているかです。30条1項は、有効期間の満了や廃業などと並べて、25条7項・66条・67条1項による免許の取消しを取戻しの事由に挙げています。処分を受けたら営業保証金は戻らない、と考えると✕に見えます。営業保証金は取引の相手を守るための預け金で、還付の申出の機会(公告)を経たうえで、残りは宅建業者であった者に戻ります。
問8(このサイトのオリジナル問題)
個人の宅建業者Aが死亡し、Aが結んだ契約にもとづく取引はすべて終わっている。Aの相続人Bは、公告の手続を経て、Aが供託していた営業保証金を取り戻すことができる。
答え:○ 分かれ目は、取り戻せる人に承継人が入るかです。30条1項は、業者の死亡(11条1項1号に当たること)を取戻しの事由とし、取り戻せる人を「宅地建物取引業者であつた者又はその承継人」としています。Bは宅建業者ではないので✕に見えます。ただし、取引を結了する目的の範囲で宅建業者とみなされている間(76条)の承継人は除かれるので、問題文で「取引はすべて終わっている」と前提を置いています。
問9(このサイトのオリジナル問題)
営業保証金を供託して営業していた宅建業者Aが、保証協会の社員となった。Aは、還付を受ける権利を持つ人への公告をしないで、営業保証金を取り戻すことができる。
答え:○ 分かれ目は、公告の規定が準用されているかです。社員は営業保証金を供託しなくてよくなり(64条の13)、供託していた営業保証金を取り戻せます(64条の14第1項)。このとき準用されるのは省令への委任(30条3項)だけで、公告を定める30条2項は準用されていません(64条の14第2項)。取戻しにはいつも公告が要る、と考えると✕に見えます。社員になった後の取引の相手は、弁済業務保証金で守られます。
問10(このサイトのオリジナル問題)
営業保証金の還付で不足が生じた宅建業者Aは、不足額を供託した。この場合、Aは、遅滞なく免許権者に届け出ればよく、届出の期限は日数では定められていない。
答え:✕ 分かれ目は、届出の期限です。不足額を供託したときは、供託書の写しを添えて「二週間以内に」免許権者に届け出ます(28条2項)。正しくは、供託の後2週間以内の届出です。「遅滞なく」届け出るのは、取戻しの公告をしたときの届出(宅地建物取引業者営業保証金規則7条)で、二つの届出の期限を取り違えた形です。
保証協会①:加入と分担金(問11〜16)
保証協会では、社員が協会に納めるお金(分担金・還付充当金)と、協会が供託所に供託するお金(弁済業務保証金)を分けて読みます。社員になる手続と還付の流れは保証協会の記事で確かめられます。
問11(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aは、保証協会に加入した。Aは、加入した日から2週間以内に、弁済業務保証金分担金を保証協会に納付しなければならない。
答え:✕ 分かれ目は、納付の期限です。加入しようとする宅建業者は「その加入しようとする日」までに分担金を納付します(64条の9第1項1号)。正しくは、加入の前に納めます。「その日から二週間以内」は、社員が新たに事務所を設置したときの分担金の期限です(64条の9第2項)。
問12(このサイトのオリジナル問題)
保証協会の社員Aが、新たに支店を1か所設けた。Aは、その日から2週間以内に、弁済業務保証金分担金30万円を、主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない。
答え:✕ 分かれ目は、納める先です。期限(2週間以内)と額(その他の事務所ごとに30万円:施行令7条)は合っていますが、分担金は「当該宅地建物取引業保証協会に納付」します(64条の9第2項)。正しくは、供託所ではなく保証協会に納付します。営業保証金を供託する業者が支店を増やしたとき、主たる事務所の最寄りの供託所に供託する(26条1項・2項で25条1項を準用)のと取り違えた形です。
問13(このサイトのオリジナル問題)
保証協会は、社員Aから弁済業務保証金分担金の納付を受けた。保証協会は、納付を受けた日から2週間以内に、その額に相当する額の弁済業務保証金を供託しなければならない。
答え:✕ 分かれ目は、協会が供託する期限です。分担金の納付を受けたときは、その日から「一週間以内」に、相当する額の弁済業務保証金を供託します(64条の7第1項)。正しくは1週間以内です。2週間は、還付があったときに協会が補う供託の期限(64条の8第3項)や、社員の新しい事務所の分担金の期限(64条の9第2項)です。
問14(このサイトのオリジナル問題)
保証協会は、社員Aから金銭で納付を受けた分担金に相当する額の弁済業務保証金を、国債証券で供託した。この供託は、宅建業法上認められる。
答え:○ 分かれ目は、有価証券で充てられるのはどのお金かです。協会が供託する弁済業務保証金には、営業保証金を国債証券などの有価証券で充てられるとする25条3項が準用されます(64条の7第3項)。分担金と同じく金銭だけだと考えると✕に見えます。有価証券で充てられるとする規定があるのは、供託所に供託するお金(営業保証金・弁済業務保証金)のほうです。社員が協会に納める分担金は、64条の9が「政令で定める額」の納付を定めるだけで25条3項の準用がないため、有価証券では納められず金銭で納めます。
問15(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aが保証協会に加入した。Aは、直ちに、加入した旨を自分の免許権者に届け出なければならない。
答え:✕ 分かれ目は、知らせる主体です。新たに社員が加入したとき、また社員が地位を失ったときに、直ちにその社員の免許権者に報告するのは保証協会です(64条の4第2項)。正しくは、協会が報告し、A自身の届出の義務はこの規定にはありません。営業保証金を供託したときに業者自身が免許権者に届け出る規定(25条4項)と取り違えた形です。
問16(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aが保証協会に新たに加入した。Aが社員となる前にした取引の債権の弁済によって、弁済業務の円滑な運営に支障が生じるおそれがあると協会が認めるときは、協会は、Aに担保の提供を求めることができる。
答え:○ 分かれ目は、加入前の取引への備えです。弁済業務保証金からの弁済は、社員となる前に取引をした人も対象になるので(64条の8第1項)、協会は、それで弁済業務に支障が生じるおそれがあると認めるときは、その社員に担保の提供を求めることができます(64条の4第3項)。加入の条件は分担金の納付だけ、と考えると✕に見えます。社員となる前の取引を還付の対象外とする誤りとも、根は同じです。
保証協会②:還付のあとと、社員でなくなったとき(問17〜20)
問17(このサイトのオリジナル問題)
保証協会の社員Aと取引をしたBに、弁済業務保証金の還付がされた。保証協会は、国土交通大臣から還付についての通知書の送付を受けた日から2週間以内に、還付額に相当する額の弁済業務保証金を供託しなければならない。
答え:○ 分かれ目は、協会が補う供託の期限と数え始めです。還付があったとき、協会は「法務省令・国土交通省令で定める日から二週間以内」に、還付額に相当する額を供託します(64条の8第3項)。その日は、協会が国土交通大臣から通知書の送付を受けた日です(宅地建物取引業保証協会弁済業務保証金規則1条)。分担金を受けたときの1週間(64条の7第1項)と混ぜると✕にしてしまいます。社員に還付充当金を納めさせる通知(64条の10第1項)とは別の、協会自身の義務です。
問18(このサイトのオリジナル問題)
保証協会の社員Aとの取引について還付がされ、Aは協会から還付充当金を納付するよう通知を受けた。Aは、通知を受けた日から2週間以内に、還付額に相当する額を供託所に供託しなければならない。
答え:✕ 分かれ目は、納める先です。通知を受けた社員は、その日から2週間以内に、還付充当金を「当該宅地建物取引業保証協会に納付」します(64条の10第2項)。正しくは、供託所ではなく協会に納めます。期間内に納めないと社員の地位を失います(同条3項)。営業保証金の不足額を供託所に供託する規定(28条1項)と取り違えた形です。
問19(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者Aは保証協会を退会して、社員の地位を失った。その後、Aが社員であった間の取引について還付がされたときは、協会はAに還付充当金の納付を通知し、Aはこれを納付しなければならない。
答え:○ 分かれ目は、通知の相手に「社員であった者」が入るかです。協会は、還付に係る「社員又は社員であつた者」に還付充当金の納付を通知し、通知を受けた者は2週間以内に納付します(64条の10第1項・2項)。退会したら協会とは関係がなくなる、と考えると✕に見えます。納付しないと地位を失うという3項は「社員」についての規定で、すでに社員でないAには当てはまりません。
問20(このサイトのオリジナル問題)
保証協会の社員Aが、社員の地位を失った。この場合、保証協会は、Aとの取引で生じた債権を持つ人に対し、6か月を下らない一定期間内に認証を受けるため申し出るよう公告しなければならない。
答え:○ 分かれ目は、公告をする主体です。社員が地位を失ったときに公告するのは保証協会で、期間は6か月を下らない一定期間です(64条の11第4項)。期間内に申出がなかった債権には認証をしません(同条5項)。営業保証金の取戻しでは業者自身が公告するので(問6)、公告はAがする、と考えると✕に見えます。
まちがえた問題を3つの問いに戻す
| 入れ替えの種類 | 問題 | 直し方 |
|---|---|---|
| だれが | 問6・8・15・20 | 公告・報告・届出の主語を制度ごとに書く |
| いつまでに・いつから | 問1・5・10・11・13・17 | 1週間・2週間・6か月と数え始めを表にする |
| どこへ | 問12・18 | 供託所に行くお金と協会に行くお金を分ける |
| 範囲・場面 | 問2・3・4・7・9・14・16・19 | 還付・取戻し・準用の対象を条文で確かめる |
二つの制度は、「宅建業者が自分で供託する(営業保証金)」か「協会に分担金を納め、協会がまとめて供託する(保証協会)」かの違いから、主語と行き先の違いが出てきます。問題を解くときに、まず「これはどちらの制度の話か」を決めてから読むと、入れ替えに気づきやすくなります。
この20問のあとは、宅建の5分○✕ドリルの宅建業法で、営業保証金と保証協会を含む問題を続けて解けます。1回10問で、✕と△を付けた問題が間をあけて戻ってきます。
参考にした公式の情報(2026年10月確認)
- e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(第11条、第25条、第26条、第27条、第28条、第30条、第31条の3第1項、第50条第2項、第64条の4、第64条の7、第64条の8、第64条の9、第64条の10、第64条の11、第64条の13、第64条の14を確認。令和8年4月1日時点の条文)
- e-Gov法令検索「宅地建物取引業法施行令」(第2条の4、第7条を確認)
- e-Gov法令検索「宅地建物取引業者営業保証金規則」(第5条、第7条を確認)
- e-Gov法令検索「宅地建物取引業保証協会弁済業務保証金規則」(第1条を確認)
- 一般財団法人 不動産適正取引推進機構(宅建試験の過去の問題。出題数は当サイトが公開問題から数えたもので、公式の内訳ではありません)
働く人の法律試験ノート