宅建の難易度:合格率・合格点・範囲から見る難しさと、働きながら届くかの見分け方

宅建試験の難易度を公式の数字で言うと、令和7年度の合格率は18.7%でした(受験者245,462人のうち合格者45,821人)。直近5年(令和3〜7年度。令和3年度は10月と12月の2回)では15.6%〜18.7%で、受験した人のうち合格したのは2割に届きません。合格点(合格基準点)は50問中33点〜37点で、満点の66〜74%にあたります。落としてよかったのは13〜17問でした。

難しさの正体は、合格率の低さそのものではありません。①合格点が試験のあとで決まるので、余裕を見込んだ目標が要ること、②性格のちがう4つの分野にまたがる範囲、③2時間で50問、しかも「いくつあるか」を問う個数問題があること、の3つです。反対に、受験資格がほぼないこと、分野ごとの足切りがないこと、公式の過去問が40回分無料で見られることは、思われているほどの壁ではありません。この記事では、不動産適正取引推進機構(試験を実施している機関。以下「機構」)が公表している数字と、出題の範囲を決めた条文だけを使って、どこが難しいかを分けます。最後に、働きながら自分に届くかを見積もる手順を示します。

公式の数字で見ると、宅建はどのくらい難しいか

機構の「試験実施概況(令和7年度以前10年間)」から、直近5年の数字を並べます。合格率は「合格者数÷受験者数」で、申し込んだ人ではなく、実際に受けた人をもとにしています。

年度受験者数合格者数合格率
令和7年度245,462人45,821人18.7%
令和6年度241,436人44,992人18.6%
令和5年度233,276人40,025人17.2%
令和4年度226,048人38,525人17.0%
令和3年度(10月)209,749人37,579人17.9%
令和3年度(12月)24,965人3,892人15.6%

数字から言えるのは、どの年度も20万人をこえる人が受け、そのうち合格するのは2割に届かない、ということです。ただし、受ける人の準備の度合いはさまざまです。合格率は受けた人全体の結果で、「あなたが受かる確率」ではありません。年ごとの数字の読み方や、登録講習修了者の扱いは宅建試験の合格点と合格率にまとめています。

合格点は何点で、どう決まるのか

宅建試験の合格点は、試験の前には決まっていません。合格発表の日に「合否判定基準」として公表されます。どうやって決めているかの詳しい基準は、機構の案内には書かれていません。合格率を目安に決めている、とも公表されていません。分かっているのは、次の結果だけです。

年度合格基準点満点に対する割合落としてよかった問数
令和7年度50問中33点66%17問
令和6年度50問中37点74%13問
令和5年度50問中36点72%14問
令和4年度50問中36点72%14問
令和3年度(10月)50問中34点68%16問
令和3年度(12月)50問中34点68%16問

(割合と問数は、機構の表の合格基準点から当サイトが計算したものです。)

ここが難しさの1つ目です。令和6年度は37点、令和7年度は33点で、1年で4点動いた例があります。前の年の基準点だけを見て目標を決めると、高い年に届きません。そのため当サイトは、目標を過去の幅の上のほう、50問中38点(落としてよいのは12問)に置くことをすすめています。12問をどの分野で落とすかの組み立ては、この記事の最後で紹介する得点戦略の記事で説明しています。

一方で、宅建試験には分野ごとの最低点(足切り)がありません。合否は50問の合計だけで決まります。ある分野が苦手でも、ほかの分野で補えるということです。この点は、科目ごとの足切りがある行政書士試験とのちがいです(行政書士試験の難しさの分け方は行政書士試験の難易度)。

なお、登録講習を終えて5問免除を受ける人(登録講習修了者)の合格基準点は「45問中◯点」で別に示され、数字のある年はどの年も、一般の受験者より5点低くなっています。

「偏差値」「大学でいうと」「ほかの資格と比べて」は当てになるか

「宅建 難易度」で調べると、資格を偏差値で並べた表や、「大学でいうとどのくらい」という言い方、ほかの資格との比べ方が出てきます。しかし、機構は偏差値のような数字を出していません。国家試験どうしを一つの物差しで並べた公式の資料もありません。どの数字をもとに、どう計算したのかが示されていない数字は、当サイトでは使いません。そのため、ほかの試験と難しさを比べる表も作りません。

合格率どうしを並べても、同じ物差しにはなりません。試験ごとに、受ける人の準備も、合格の決め方も、問題の形もちがうからです。難しさを判断する材料は、公式に確かめられる次の5つで足ります。

  • 合格率(受けた人のうち何%が合格したか)
  • 合格基準点(何点で合格だったか)
  • 出題の範囲(宅地建物取引業法施行規則8条の7つの事項)
  • 問題の形(50問・4つから1つを選ぶ形・2時間)
  • 公開されている過去の問題(実際に何が問われたか)

何が難しいのか:範囲・時間・個数問題

性格のちがう4つの分野にまたがる

出題の範囲は、宅地建物取引業法施行規則8条が「おおむね次のとおり」として7つの事項を挙げています。土地・建物の権利、法令上の制限、税、需給、価格の評定、宅建業法などです。分野ごとの問題数は、機構が公式に発表したものではありません。

そこで当サイトでは、機構が公開している宅建試験の問題(昭和63年度〜令和7年度の40回、2,000問)を1問ずつ読み、主な論点と副の論点に分けて数えました。分け方は当サイトの判断で、公式の分類ではありません。4回分200問を別の担当が読み直し、主な論点の一致は97.5%でした(食い違った問は直してから数えています)。その集計で、直近10回(令和7年度〜平成30年度。令和2・3年度は2回ずつ)を分野ごとに数えると、10回とも次の問数でした。

分野直近10回の各回中身の性格
宅建業法20問1つの法律の数字・要件・手続
権利関係14問民法などの事例を読み、人と人の関係を判断
法令上の制限8問いくつもの法律の区域・面積・許可
税・その他8問税・価格と、問46〜50の5問

難しいのは、量よりも性格のちがいです。宅建業法は条文の言葉と数字がそのまま答えを決めます。権利関係は、登場人物の関係を図にして、どのルールを当てはめるかを考えます。法令上の制限は、似た数字と区域の組み合わせを取り違えないことが問われます。1つのやり方で全部を回すことはできません。

2時間で50問を解く

試験は13時から15時までの2時間で、1問にかけられるのは平均2分24秒です(登録講習修了者は45問を1時間50分)。権利関係の事例問題は、問題文を読んで関係を整理するだけで時間を使います。知っていても時間内に答えを出す練習をしていないと、点になりません。

「いくつあるか」を問う問題がある

4つの選択肢から1つを選ぶ形でも、聞き方はいくつかあります。上の集計で直近10回の500問を数えると、「正しいもの(誤っているもの)はいくつあるか」を問う個数問題が58問あり、そのうち53問が宅建業法でした。宅建業法の200問のうち53問です。個数問題では、明らかにちがう選択肢を消して残りから選ぶ、という解き方が使えません。すべての選択肢の正誤を言い切る必要があります。解き方は宅建の個数問題の解き方で扱っています。

法改正で答えが変わる

出題の根拠となる法令は、試験を行う年度の4月1日に施行されているものです。令和8年度なら令和8年4月1日の時点です。古い年度の問題や古い教材は、その後の改正で答えが変わっていることがあります。機構も過去問のページで「法改正により、現在の法律と一致しない場合があります」と注意しています。

思われているほど難しくないのはどこか

公式の仕組みを見ると、次の点は最初に心配するほどの壁ではありません。

  • 受験資格がほぼない:日本国内に住んでいれば、年齢・学歴などに関係なく受けられます。
  • 分野ごとの足切りがない:合否は合計点だけです。苦手な分野を、得意な分野で補えます。
  • 満点はいらない:直近5年の合格基準点は満点の66〜74%でした。50問のうち13〜17問は落としても届いた計算です。
  • 4つから1つを選ぶ形:答えを書く問題はありません。マークシートで答えます。
  • 練習の材料が無料で手に入る:機構のサイトで、昭和63年度から令和7年度までの問題と正解番号(40回分)が見られます(解説はありません)。条文は、国の法令データベースのe-Gov法令検索で無料で読めます。
  • 範囲が条文で決まっている:出題の範囲は施行規則8条の7つの事項です。何を準備すればよいかを、自分で確かめられます。

まとめると、宅建の難しさは「ごく一部しか受からない」種類のものではありません。性格のちがう4つの分野を、それぞれに合うやり方で、2時間で解ける形まで仕上げる段取りの難しさです。

「難しすぎる」と感じるのは、どんなときか

勉強を始めてから「難しすぎる」と感じる場面には、たとえば次のようなものがあります。権利関係の事例を読んでも登場人物の関係がつかめない、宅建業法の数字が混ざる、過去問を通すと時間が足りない、何度解いても点が動かない。

最初の3つは、分野ごとのやり方を変えれば動く部分です。最後の「点が動かない」は、試験の難しさより勉強のやり方を疑うほうが早く解決します。読むだけになっていないか、解きっぱなしになっていないか、教材を広げすぎていないか、本番の形で解いたことがあるか。この4つの型の見分け方と立て直し方は、宅建・行政書士に受かる気がしないときにまとめています。

働きながら自分に届くかは、どう見分けるか

合格率は試験全体の結果で、自分に届くかどうかは、次の手順で見積もります。結果は、受けるかどうか、いつ受けるかを決める材料になります。

  1. 公式の問題を1回分ながめる:機構の「宅建試験の問題及び正解番号表」から新しい年度のPDFを1つ開き、時間を計らずに読みます。解けなくてかまいません。問題文の長さ、権利関係の事例の書き方、宅建業法の数字の細かさを見ます。
  2. 目標点を決める:当サイトの目安は50問中38点、落としてよいのは12問です。12問を分野にどう割り振るかを決めます。
  3. 必要な量を見積もる:基本書の目次で分野ごとの単元を数え、1単元にかかる時間と回す回数を掛けます。見積もりの手順は宅建の勉強時間は何ヶ月・何時間かで説明しています。
  4. 使える時間を数える:机に向かえる週の時間に、試験日までの週の数を掛けます。試験は毎年10月の第3日曜日です。
  5. 最初の2週間で測る:宅建業法と権利関係で1単元ずつ、「読む+その単元の過去問を解く+まちがえた肢の根拠を確かめる」までの時間を測り、3の見積もりを直します。

見積もりと使える時間を比べた結果で、次のように決めます。

比べた結果決め方次にやること
使える時間が見積もりを上回るその年の試験を受ける分野ごとの勉強法を決めて始める
ほぼ同じ受けるが、余裕がない週の時間を増やせるか先に考える
見積もりに届かない翌年に置くか、週の時間を増やす翌年なら、始める月を決める

日付の事実も確かめておきます。申込は例年7月で、令和8年度はインターネットが7月1日〜31日、郵送が7月1日〜15日でした。8月以降に決めた場合、その年の試験には申し込めないので、翌年の試験に向けて計画します。宅建の勉強は、少ない時間で足りるとは考えないでください。範囲を一通り学び、問題を何度も解き直すための、まとまった時間が要ります。

今日からやること

  • 機構の過去問ページで新しい年度のPDFを1つ開き、10分だけながめる。
  • 目標を「50問中38点=落としてよいのは12問」と紙に書く。
  • 基本書の目次で、分野ごとの単元の数を数える。
  • 机に向かえる週の時間と、試験日までの週の数を書き出す。
  • 2週間後に、測った1単元の時間で見積もりを直す。

このサイトで次に読むなら、宅建試験の得点戦略がおすすめです。「12問をどこで落とすか」を決めると、4つの分野のどこに時間をかけるかが決まります。

参考にした公式の情報(2026年10月確認)