表示に関する登記:表題登記の1か月・分筆と合筆・地目の変更・区分建物

表示に関する登記は、土地や建物の「姿」を登記記録の表題部に記録する登記です。土地なら所在・地番・地目(使いみち)・地積(面積)、建物なら所在・家屋番号・種類・構造・床面積などです。

まちがえやすいのは、申請の義務の有無です。土地や建物ができた・変わった・なくなったときの登記(表題登記、地目・地積の変更、滅失など)は、1か月以内に申請する義務があります。一方、土地を分ける分筆(ぶんぴつ)と、まとめる合筆(がっぴつ)の登記は、所有者が自分で決めることで、申請の義務はありません。表示に関する登記は、登記官が職権(申請がなくても自分の判断)ですることもできます(不動産登記法28条)。

登記記録の全体(表題部と権利部、共同申請、仮登記、相続登記の義務)は不動産登記法の記事で扱っています。この記事は、表題部の登記に絞って、だれが・いつまでに申請するかを当てはめます。

身近な例で考えると

登場人物は次のとおりです。

人物立場したこと
おかださん土地の所有者(所有権の登記名義人)家を建て、畑を宅地にし、土地を分ける
みらい建設分譲業者新築マンションを建てて売る
まりさん会社員みらい建設からマンションの一室を買う

おかださんの1年は次のとおりです。

  1. 4月1日:自分の土地に家が完成した。4月1日から1か月以内に、建物の表題登記を申請しなければならない(47条1項)。
  2. 6月:畑の一部を整地して、家の庭(宅地)にした。1筆の土地の一部の地目が変わったので、おかださんが申請しなくても、登記官は職権で分筆の登記をしなければならない(39条2項)。
  3. 9月:残った畑を2つに分けて、片方を売ろうと考えた。分筆の登記は、おかださんが申請するかどうかを決める。申請の期限はない(39条1項)。
  4. 12月:古い物置を取り壊した。物置が登記されていれば、滅失の日から1か月以内に建物の滅失の登記を申請する(57条)。

まりさんの場合は事情が違います。みらい建設がマンションを建てたとき、各部屋(区分建物)の表題登記は、1棟の建物のほかの部屋の分とまとめて申請します(48条1項)。表題登記がまだない部屋をまりさんが買っても、まりさん自身に、1か月以内に表題登記を申請する義務はありません(47条1項は区分建物を除いています)。

たとえるなら、表題部は「土地と建物の身分証」です。ただし本物の登記では、身分証のように本人が更新するだけでなく、登記官が自分の判断で書き直すこともできます。

条文ではこう決まっている

令和8年4月1日時点の不動産登記法で確かめました。

申請の義務があるもの(1か月以内)

  • 土地の表題登記(36条):新たに生じた土地、または表題登記がない土地の所有権を取得した者は、取得の日から1か月以内。
  • 地目・地積の変更(37条):表題部所有者か所有権の登記名義人は、変更があった日から1か月以内。変更の後に所有者になった人は、自分の登記があった日から1か月以内(2項)。
  • 土地の滅失(42条):滅失の日から1か月以内。
  • 建物の表題登記(47条1項):建物を新築した者、または区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、取得の日から1か月以内。
  • 建物の表題部の変更(51条)・建物の滅失(57条):変更・滅失の日から1か月以内。
  • 共用部分である旨の規約の廃止(58条6項):規約を廃止した日から1か月以内に、建物の所有者が表題登記を申請する。

これらを正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料(かりょう=行政上のお金の制裁)です(164条1項)。

申請の義務がないもの

  • 分筆・合筆(39条1項):表題部所有者か所有権の登記名義人以外は申請できない。申請の期限の定めはない。
  • 職権の分筆(39条2項):1筆の土地の一部が別の地目になったり、地番区域が違うことになったときは、申請がなくても、登記官が職権で分筆の登記をしなければならない。
  • 地図をつくるための分筆・合筆(39条3項):登記官は、所有者の異議がないときに限り、職権で分筆・合筆の登記をすることができる。

合筆できない場合(41条)

次の土地どうしは、合筆の登記ができません。

  1. 互いに接していない土地。
  2. 地目か地番区域が違う土地。
  3. 表題部所有者か所有権の登記名義人が違う土地。
  4. 所有者は同じでも、共有の持分が違う土地。
  5. 所有権の登記がない土地と、ある土地。
  6. 所有権以外の権利の登記(抵当権など)がある土地。ただし、承役地の地役権の登記や、登記の目的・受付年月日・受付番号・登記原因とその日付が同じ担保権の登記など、法務省令で定めるものだけなら合筆できる(不動産登記規則105条)。

区分建物(48条)・共用部分(58条)

  • 区分建物が属する1棟の建物を新築したときは、区分建物の表題登記は、同じ1棟のほかの区分建物の表題登記とあわせて申請する(48条1項)。ほかの区分建物の所有者に代わって申請することもできる(2項)。
  • 規約で決めた共用部分(集会室にした部屋など)は、その旨の登記をしないと第三者に対抗できない(区分所有法4条2項)。この登記は、表題部所有者か所有権の登記名義人しか申請できず、登記をすると、登記官が職権で表題部所有者の登記や権利の登記を抹消する(不動産登記法58条2項・4項)。

1枚の表:だれが・いつまでに

登記申請の義務期限申請できる人
土地・建物の表題登記あり取得・新築の日から1か月所有権を取得した人・新築した人
地目・地積の変更あり変更の日から1か月表題部所有者・所有権の登記名義人
建物の表示の変更・滅失あり変更・滅失の日から1か月表題部所有者・所有権の登記名義人
分筆・合筆なし定めなし表題部所有者・所有権の登記名義人だけ
区分建物の表題登記新築した人にあり1か月1棟分をまとめて申請

当てはまる例・当てはまらない例

当てはまる例(1か月以内の申請義務がある)

  • おかださんが家を新築した。表題登記の申請は、新築した日(所有権を取得した日)から1か月以内です(47条1項)。
  • 畑を全部、宅地に変えた。地目の変更の登記は、変更の日から1か月以内です(37条1項)。

当てはまらない例(申請義務がない)

  • おかださんが、売るために土地を2つに分けたい。分筆は義務ではなく、申請するかどうかはおかださんが決めます。
  • まりさんが、表題登記のない区分建物を分譲業者から買った。47条1項は「区分建物以外の」表題登記がない建物の取得者に義務を課しているので、まりさんには1か月の申請義務がありません。

ひっかけやすい例

  • 「分筆の登記は、所有者の申請がなければできない」は誤りです。1筆の一部が別の地目になったときは、登記官が職権で分筆しなければなりません(39条2項)。
  • 「土地を買った人は、分筆の登記を申請できる」も、登記の前は誤りです。分筆・合筆を申請できるのは、表題部所有者か所有権の登記名義人だけです。買っただけで登記名義人になっていない人は申請できません。
  • 「隣どうしで地目も同じ土地なら、片方にだけ抵当権の登記があっても合筆できる」は誤りです(41条6号)。

似ているルールとの違い:権利の登記と比べる

比べる点表示に関する登記権利に関する登記
記録する所表題部権利部
申請の義務新築・変更・滅失などは1か月原則なし(相続登記3年・住所等の変更2年は義務)
職権登記官が職権でできる(28条)原則として申請が必要
申請のしかた所有者などが単独で共同申請が原則

権利の登記の申請義務(相続登記・住所等の変更登記)と過料は不動産登記法の記事で、共同申請の例外は登記の申請の記事で整理しています。マンションの共用部分と規約の決め方は区分所有法の記事にあります。

試験ではここをまちがえやすい

不動産登記法は、当サイトが数えた宅建試験の全40回すべてで主な論点として出ており(計53問)、直近10回は毎回1問(問14)でした(数え方は宅建の出題論点ランキング)。表示に関する登記は、次の形で取り違えやすい所です。

  • 申請義務の有無:分筆・合筆にも1か月の申請義務がある、とする形。
  • 申請できる人:分筆・合筆を、登記名義人でない買主や抵当権者が申請できる、とする形。
  • 職権:表示に関する登記は申請がなければできない、とする形。
  • 合筆の制限:地目・持分・所有権以外の権利の登記の違いを見落とす形。
  • 区分建物:区分建物の表題登記を、部屋ごとに別々に申請できる、とする形。表題登記のない区分建物を買った人にも1か月の義務がある、とする形。

○✕でたしかめよう

問1(このサイトのオリジナル問題)
Aが所有権の登記名義人である1筆の土地の一部が、畑から宅地に変わった。Aが分筆の登記を申請しない限り、登記官はこの土地の分筆の登記をすることができない。

答え:✕ 分かれ目は、登記官が職権で分筆する場合があるかです。不動産登記法39条2項は、1筆の土地の一部が別の地目になったときは、申請がなくても、登記官が職権で分筆の登記を「しなければならない」としています。正しくは、Aの申請がなくても分筆されます。分筆の登記を表題部所有者か所有権の登記名義人しか申請できないとする39条1項は、申請するときの話で、それと取り違えた文です。

問2(このサイトのオリジナル問題)
分譲業者Bが新築したマンションのうち、表題登記がまだされていない一室を、Cが買い受けた。Cは、買い受けた日から1か月以内に、その部屋の表題登記を申請する義務を負わない。

答え:○ ○です。分かれ目は、区分建物が1か月の申請義務の外にあることです。47条1項は、建物を新築した者と「区分建物以外の」表題登記がない建物を取得した者に、1か月以内の表題登記の申請を義務づけています。区分建物の表題登記は、新築したBが1棟のほかの部屋とあわせて申請します(48条1項)。「表題登記のない建物を買ったら1か月以内」と覚えていると✕にしてしまいます。

問3(このサイトのオリジナル問題)
Dが所有する、互いに接し、地目と地番区域が同じ2筆の土地の両方に、登記の目的・受付年月日・受付番号・登記原因とその日付が同じ抵当権の登記がある。この2筆の土地は、ほかの制限に当たらなければ、合筆の登記をすることができる。

答え:○ ○です。分かれ目は、所有権以外の権利の登記がある土地の合筆の例外です。41条6号は、所有権以外の権利の登記がある土地の合筆を認めていませんが、合筆後の登記記録に登記できるものとして法務省令で定めるものは除かれます。不動産登記規則105条は、登記の目的・受付年月日・受付番号・登記原因とその日付が同じ担保権の登記を挙げています。「抵当権の登記があれば合筆できない」とだけ覚えていると✕に見えます。片方にだけ抵当権の登記がある場合は合筆できません。

まとめ

  • 表示に関する登記は、土地・建物の姿を表題部に記録する登記。登記官が職権でもできる(28条)。
  • 表題登記・地目や地積の変更・建物の表示の変更・滅失は、1か月以内の申請義務。怠ると10万円以下の過料。
  • 分筆・合筆は申請義務なし。申請できるのは表題部所有者か所有権の登記名義人だけ。1筆の一部が別の地目になれば登記官が職権で分筆する。
  • 合筆できない6つの場合(接していない・地目や地番区域が違う・所有者や持分が違う・所有権の登記の有無・所有権以外の権利の登記)。同じ担保権の登記などは例外。
  • 区分建物の表題登記は1棟分をまとめて申請。表題登記のない区分建物を買った人に1か月の義務はない。権利関係の○✕は宅建の5分○✕ドリルで続けて解けます。

参考にした公式の情報(2026年10月確認)

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