その他の法令をわかりやすく:許可がいるのはだれの許可か(宅建 その他の法令)

宅建の「その他の法令」は、都市計画法・建築基準法・農地法などの主な法律のほかに、土地や建物の利用を制限している法律のことです。自然公園法、文化財保護法、河川法、生産緑地法などがあります。

ひとことで言うと、覚えるのは「どこで・何をするとき・だれの許可(または届出)がいるか」だけです。さらに、この記事では「許可するのは都道府県知事が多い」という目安を置き、そうでない例外(大臣・長官・管理者・市町村長・届出)だけを覚える方法をとります。

この目安は法律の決まりではなく、覚える量を減らすための整理です。表に出てくる許可する人は、すべて条文で確かめています。

身近な例で考えると

登場人物は2人です。土地を探している人=たけしさんと、宅建業者の営業担当=あおいさんです。

たけしさんは、別荘を建てる土地を探しています。あおいさんは、候補の土地ごとに、法令上の制限を調べます。宅建業者は、契約の前に、法令にもとづく制限の概要を重要事項として説明しなければならないからです(宅建業法35条1項2号)。

  1. 海の近くの土地:国立公園の特別地域の中にあった。建物を新築するには、環境大臣の許可がいる(自然公園法20条3項)。
  2. 川沿いの土地:一部が河川区域に入っていた。その部分で土を掘ったり盛ったりするには、河川管理者の許可がいる(河川法27条1項)。
  3. 市内の畑:生産緑地地区に指定されていた。建物を新築するには、市町村長の許可がいる(生産緑地法8条1項)。
  4. 山すその土地:急傾斜地崩壊危険区域の中にあった。のり面を削るには、都道府県知事の許可がいる(急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律7条1項)。

たけしさんの土地探しでは、4つの土地で許可する人が4通りに分かれました。たとえるなら、土地ごとに「管理人」がちがうマンションのようなものです。ただし本物のルールでは、管理人を選ぶのは法律で、土地の持ち主ではありません。

条文ではこう決まっている

どの法律が「法令上の制限」か

宅建業法35条1項2号は、「都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限で」政令で定めるものの概要を、重要事項として説明させています。その政令(宅建業法施行令3条1項)には、64の号にわたって法律と条文が並んでいます。都市計画法・建築基準法から始まり、農地法・国土利用計画法・土地区画整理法・宅地造成及び特定盛土等規制法なども入っています。

主な法律はそれぞれの記事で扱い、この記事では、それ以外の法律から、許可する人に特徴があるものを選んで整理します。

許可する人が「国の機関」のもの

法律・条文区域・物許可する人
自然公園法20条国立公園の特別地域環境大臣
自然公園法20条国定公園の特別地域都道府県知事
文化財保護法43条重要文化財(現状の変更など)文化庁長官

自然公園法20条3項は、特別地域で工作物を新築・改築・増築することなどを、「国立公園にあつては環境大臣の、国定公園にあつては都道府県知事の許可」を受けなければしてはならないとしています。同じ条文の中で、公園の種類によって許可する人が分かれます。文化財保護法43条1項は、重要文化財の現状を変えるときなどに文化庁長官の許可を求めています(維持の措置や、影響が軽い場合などは除かれます)。

許可する人が「管理者」のもの

法律・条文区域許可する人
河川法27条河川区域内の土地河川管理者
海岸法8条海岸保全区域海岸管理者
港湾法37条港湾区域・港湾隣接地域港湾管理者

河川法27条1項は、河川区域内の土地で、掘削・盛土・切土など土地の形状を変える行為や、竹木を植える・切る行為をするときに、河川管理者の許可を求めています。海岸法8条1項は、海岸保全区域で土石を採る、施設を新しく設ける、土地を掘るなどの行為に、海岸管理者の許可を求めています。港湾法37条1項は、港湾区域の水域の占用や、施設の建設などに、港湾管理者の許可を求めています。

許可する人が「市町村長」のもの

法律・条文区域許可する人
生産緑地法8条生産緑地地区市町村長

生産緑地法8条1項は、生産緑地地区で建築物その他の工作物を新築・改築・増築するときなどに、市町村長の許可を求めています。生産緑地地区は、都市計画法8条1項14号の地域地区の一つです。都市計画で定める地区でも、許可するのが市町村長になる例として押さえます。

許可する人が「都道府県知事」のもの(目安の側)

法律・条文区域許可する人
急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律7条急傾斜地崩壊危険区域都道府県知事
森林法34条保安林都道府県知事
都市緑地法14条特別緑地保全地区都道府県知事(市の区域は市長)
流通業務市街地の整備に関する法律5条流通業務地区都道府県知事(市の区域は市長)

森林法34条は、保安林で立木を切ること(1項)や、土地の形質を変えること(2項)などに、都道府県知事の許可を求めています。流通業務地区では、トラックターミナル・卸売市場・倉庫など、条文が挙げる施設以外は原則として建てられず、都道府県知事(市の区域内では市長)が認めて許可した場合が例外になります(5条1項)。特別緑地保全地区で建築物を新築したり木や竹を切ったりするときも、許可するのは都道府県知事で、市の区域内では市長です(都市緑地法14条1項。7条5項で、この二者をまとめて「都道府県知事等」と呼んでいます)。「知事が目安」といっても、市の区域では市長になるものがある点に注意します。

許可ではなく「届出」のもの

法律・条文区域・場面届け出る先
景観法16条景観計画区域での建築物の新築など景観行政団体の長(あらかじめ)
公有地の拡大の推進に関する法律4条都市計画施設の区域内の土地などを有償で譲り渡そうとするとき町村の区域は町村長を経由して都道府県知事、市の区域は市長

景観法16条1項は、景観計画区域で建築物の新築・増築・外観を変える修繕などをしようとする者に、「あらかじめ」景観行政団体の長への届出を求めています。公有地の拡大の推進に関する法律(公拡法)4条1項は、都市計画施設の区域内の土地などを持つ人が有償で譲り渡そうとするとき、届出を求めています。届け出る先は、町村の区域なら「当該町村の長を経由して都道府県知事」、市の区域なら「当該市の長」です。

当てはまる例・当てはまらない例

  1. 当てはまる(国立公園):国立公園の特別地域で別荘を新築する。環境大臣の許可がいる。
  2. ひっかけやすい(国定公園):同じ別荘を、国定公園の特別地域で新築する。許可するのは都道府県知事。「公園ならすべて環境大臣」は誤り。
  3. 当てはまる(生産緑地):生産緑地地区の畑に家を新築する。市町村長の許可がいる。
  4. 当てはまらない(許可ではない):景観計画区域で家を新築する。許可ではなく、あらかじめ景観行政団体の長に届け出る。
  5. ひっかけやすい(届け出る先):町の中の都市計画施設の区域にある土地を有償で売ろうとする。町長に届けて終わりではなく、町長を経由して都道府県知事に届け出る。市の土地なら市長に届け出る。

似ているルールとの違い

法令上の制限の主な法律と比べると、「その他の法令」の位置づけが分かります。

法律主な許可・届出相手
都市計画法開発許可(29条)など都道府県知事(指定都市などは市長)
農地法3条許可農業委員会
国土利用計画法事後届出(23条)市町村長を経由して都道府県知事
その他の法令法律ごと知事が目安、例外は大臣・長官・管理者・市町村長

公拡法の「町村長を経由して知事へ」は、国土利用計画法の事後届出(市町村長を経由して知事へ)と形が似ています。ただし公拡法は、市の区域では市長に届け出る点がちがいます。都市計画法の区域のしくみは都市計画区域の記事、都市計画法全体の覚え方は都市計画法の覚え方の記事で扱っています。

重要事項説明で、法令上の制限をどう説明するかは重要事項説明の記事にまとめています。

試験ではここをまちがえやすい

  • 許可する人の入れかえ型:国立公園を都道府県知事、重要文化財を都道府県知事、生産緑地を都道府県知事、とする肢。例外の側を覚えていれば見分けられます。
  • 公園の種類の型:国立公園は環境大臣、国定公園は都道府県知事。同じ20条の中で分かれます。
  • 許可と届出の型:景観計画区域や公拡法は届出です。「許可を受けなければならない」と書いた肢に注意します。
  • 経由の型:公拡法の町村の区域は「町村長を経由して知事」、市の区域は「市長」。
  • 全部を覚えようとする型:施行令3条1項には64の号があります。全部の許可する人を覚えるのは、時間に見合いません。表の例外だけを、条文の言葉とセットで覚えます。

宅建試験では、法令上の制限の中で、いくつかの法律を並べて「〜の許可を受けなければならない」かどうかを、法律ごとに区別して覚えます。法令上の制限全体の勉強の配分は法令上の制限の勉強法を参考にしてください。

○✕でたしかめよう

問1(このサイトのオリジナル問題)
たけしさんが買う予定の土地は、国立公園の特別地域にある。この土地で別荘を新築するには、都道府県知事の許可を受けなければならない。

答え:✕ 分かれ目は公園の種類です。特別地域での工作物の新築は、国立公園なら環境大臣、国定公園なら都道府県知事の許可が要ります(自然公園法20条3項)。正しくは、国立公園の特別地域なので環境大臣の許可です。許可は知事が多いという目安どおりに答えると誤ります。取り違えの相手は、同じ条文の国定公園の場合(都道府県知事)です。

問2(このサイトのオリジナル問題)
生産緑地地区に指定されている市内の畑で、建築物を新築しようとする者は、市町村長の許可を受けなければならない。

答え:○ 分かれ目は許可する人です。生産緑地地区で建築物を新築するには、市町村長の許可が要ります(生産緑地法8条1項)。生産緑地地区は都市計画法の地域地区の一つなので、知事の許可だと考えると✕に見えます。取り違えの相手は同じ地域地区の流通業務地区(流通業務市街地の整備に関する法律5条1項)で、こちらは都道府県知事の許可です(市の区域内だけ市長)。生産緑地地区は、町や村でも町村長が許可します。

問3(このサイトのオリジナル問題)
町の区域内にある都市計画施設の区域内の土地(例外に当たる事情はない)を有償で譲り渡そうとする持ち主は、その町の長を経由して、都道府県知事に届け出なければならない。

答え:○ 分かれ目は、届け出る先と経由です。公拡法4条1項は、町村の区域内の土地なら「当該町村の長を経由して都道府県知事」に、市の区域内の土地なら「当該市の長」に届け出るとしています。町の長に届けて終わりだと考えると✕に見えます。取り違えの相手は市の区域の場合で、こちらは市長に届け出ます。

まとめ

  • 「その他の法令」は、主な法律以外で土地の利用を制限する法律。重要事項説明の対象として宅建業法施行令3条1項に並ぶ。
  • 覚え方の目安は「許可は都道府県知事」。例外だけを覚える。
  • 国の機関:国立公園=環境大臣(国定公園は知事)、重要文化財=文化庁長官。
  • 管理者:河川区域=河川管理者、海岸保全区域=海岸管理者、港湾区域=港湾管理者。市町村長:生産緑地地区。
  • 届出:景観計画区域(景観行政団体の長)、公拡法(町村は町村長経由で知事、市は市長)。

法令上の制限の○✕は、宅建の5分○✕ドリルの「法令上の制限」で続けて解けます。その他の法令だけの分野はないので、都市計画法や国土利用計画法の肢とまぜて、許可する人を見分ける練習に使ってください。

次に読むなら、都市計画法の覚え方の記事がおすすめです。生産緑地地区や流通業務地区のような地域地区が、都市計画法のどこに位置づくかが分かります。

参考にした公式の情報(2026年10月確認)

条文は、令和8年4月1日時点で施行されている内容を、e-Gov法令検索(法令API)で確かめています。

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