宅建を40代・50代から独学で受ける:年代別の合格者の数と、記憶の研究から決める勉強の組み方

宅建試験の令和6年度の合格者44,992人のうち、40代は8,449人(18.8%)、50代は5,842人(13.0%)でした。年代別の合格率は40代17.9%、50代15.6%で、全体は18.6%です(不動産適正取引推進機構の発表)。この数字は年代ごとの結果で、勉強時間などの条件は含まれていないので、「40代・50代は不利」とも「年齢は関係ない」とも言えません。

研究で分かっているのは、年齢とともに下がりやすい力(処理の速さ・新しいことを覚え込む力)と、下がりにくい力(言葉や知識の量)がある、ということです。そこでこの記事では、40代・50代から独学で受ける人の勉強を、①意味を理解してから覚える、②間をあけて思い出す、③問題を解く速さを先に測るの3つで組みます。転職や仕事の話は扱いません。

40代・50代の合格者は何人いるか

年代別の内訳は、令和7年度の発表(試験結果の概要)にはなく、令和6年度の結果を書いた機構の試験部の記事に載っています。

年代合格者合格者に占める割合合格率
30代11,815人26.3%20.8%
40代8,449人18.8%17.9%
50代5,842人13.0%15.6%
60歳以上1,625人3.6%12.2%
全体44,992人100%18.6%

40代と50代を合わせると14,291人で、合格者のおよそ3割(31.8%)です(当サイトの計算)。令和7年度の合格者の平均年齢は36.2歳でした。

合格率は年代で差がありますが、発表には、勉強を始めた時期・勉強時間・前の年にも受けたか、といった条件がありません。差がどこから来るかは、この数字からは分かりません。受験者数や合格者の職業の推移は宅建の受験者数と合格者数の記事にまとめています。宅建試験は、日本国内に住んでいれば年齢・学歴に関係なく受けられます。

「40代・50代からは意味ない」は本当か

試験の合否は、50問中の得点が、その年の合格基準点に届くかで決まります。合格基準点は毎年変わり、令和7年度は33点、令和6年度は37点でした。年齢で点数が足し引きされる仕組みはありません。ですから「意味があるか」は、年齢ではなく、「試験日までに自分の得点を基準点の上に置ける勉強を続けられるか」で判断するのが筋です。

判断の材料は、勉強を始めて数週間たってからの、自分の過去問や○✕の正答率の動きです。量の見積もり方は宅建の勉強時間の記事で扱っています。範囲×1単元の時間×回数で見積もり、それを週の時間に割ると、続けられる計画かどうかが見えます。

年齢で変わる力・変わりにくい力(研究で分かっていること)

どんな研究か:Park らの研究(2002年、Psychology and Aging)は、345人の成人に、処理の速さ・作業記憶(頭の中で情報を一時的に持って操作する力)・長期記憶・言葉の知識などのテストをして、年齢による違いを調べました。

何が分かったか:処理の速さ・作業記憶・長期記憶のような、頭を速く・たくさん働かせる課題では、20代から年齢とともに続けて下がる傾向がありました。一方で、言葉の知識は年齢とともに増えていました。

Salthouse の研究(2009年、Neurobiology of Aging)は、18〜60歳の健康で教育を受けた成人を調べ、速さ・空間の把握・推論・記憶のテストの成績のいくつかは20代〜30代から下がり始める、と結論づけています。同じ論文は、語彙や一般知識のような積み重ねた知識のテストの成績は、少なくとも60歳までは上がることが一貫して見られる、とも述べています。

ただし:どちらも、違う年齢の人を同じ時に比べた研究(横断的な比較)が中心で、平均の傾向です。同じ号には、横断的な比較から年齢による低下を読み取ることへの、別の研究者の批判(Schaie 2009)も載っています。また、平均の差よりも、同じ年代の中の個人差のほうが大きいことも多く、「◯歳だからこの程度」と一人ひとりに当てはめることはできません。

試験勉強ではこう使う:宅建の勉強に落とすと、①まったく新しい語を丸ごと覚え込む勉強は負担が大きくなりやすい、②すでに持っている知識(契約・お金・住まいについての経験や言葉)は使える、③速さは練習と時間の配分で補う必要がある、の3つになります。次の章から、それぞれの組み方を書きます。

思い出す練習は、50代でも効くのか

どんな実験か:Meyer と Logan の研究(2013年、Psychology and Aging)は、18〜25歳の大学生、18〜25歳の地域の成人、55〜65歳の地域の成人の計180人に、短い説明文(心臓・津波など)を読ませました。2つの話題は読んだあとに選択式の小テストを受け、ほかの2つの話題は読み直しをしました。最後のテスト(答えを書く形)は、同じ日のうちか2日後です。

何が分かったか:どの年齢のグループでも、小テストを受けた話題のほうが、読み直した話題より最後のテストの成績がよく、55〜65歳のグループの伸びは大学生のグループと同じくらいでした。2日後のテストでも、この差は残りました。最初の小テストの成績は、大学生のグループのほうが高い結果でした。

試験勉強ではこう使う:この実験には26〜54歳の人は入っておらず(40代は対象外)、参加者はみな大学で学んだ経験のある人で、材料も法律ではありません。それでも、55〜65歳でも「読み直すより、思い出す」の効果が出たことは、50代の勉強の組み方の根拠の一つになります。思い出す練習(テスト効果)の研究全体は思い出す練習の記事、間をあけて繰り返す研究は分散学習の記事にまとめています。

3つの組み方:理解してから覚える・間をあけて思い出す・速さを先に測る

① 意味を理解してから覚える

数字や要件を、意味のつながりなしに覚え込むのは、上の研究でいう「新しいことを覚え込む力」に頼るやり方です。先に「なぜそのルールがあるのか」を一行で言えるようにしてから覚えます。これは研究の結果をそのまま言い換えたものではなく、知識のテストが下がりにくいという結果から当サイトが選んだ組み方です。

  • 宅建業法の8種制限:「業者どうしの取引では使わない」を、「プロどうしなら一方だけを守る必要がない」という理由と一緒に覚える。
  • 民法の制限行為能力者:「うそで成年だと信じさせた未成年者は取り消せない」を、「うそをついた人まで守る必要はない」という理由と一緒に覚える。
  • 時期は、似た決まりと組で覚える(例:重要事項の説明は契約が成立するまでに、37条書面の交付は契約が成立したら遅滞なく)。

② 間をあけて思い出す

読んだ日のうちに読み直すより、翌日・数日後・1〜2週間後に、○✕や一問一答で「思い出す」ほうに時間を回します。間違えた問題だけを、次の週にもう一度出します。読み返しで「分かったつもり」になるのを防ぐためでもあります。

③ 問題を解く速さを先に測る

本番は2時間で50問(登録講習修了者は1時間50分で45問)です。1問あたりの平均は約2.4分になります(当サイトの計算)。処理の速さは年齢とともに下がりやすい力なので、勉強の終わり近くになって初めて時間を測るのではなく、早い時期に一度、過去問1回分を時間を測って解き、自分の速さを知っておきます。遅い分野が分かれば、その分野は、読む練習ではなく、短い時間で決める練習(1肢30秒で○✕を決める、など)を足します。

1週間の組み方の例

平日に30〜60分、休日にまとまった時間がとれる場合の例です。時間の量は人によって違うので、必要な総量は勉強時間の記事の方法で見積もってください。

いつ時間することねらい
平日の通勤15〜20分前日と3日前の範囲の○✕間をあけて思い出す
平日の夜30〜40分テキスト1単元を読み、理由を一行で書く理解してから覚える
土曜2〜3時間過去問を時間を測って解き、間違いを直す速さを測る・直す
日曜1時間1週間前・3週間前の範囲の○✕と、間違いの解き直し間をあけて思い出す

疲れて予定どおりにできない日は、通勤の○✕だけでも続けると、間をあけた復習の流れが切れません。

今日からやること

  1. 過去問1回分を、時間を測って解いてみる(点数より、1問にかかった時間を見る)。
  2. 今週読む範囲を決め、各単元で「なぜこのルールか」を一行で書く欄をノートに作る。
  3. 読んだ範囲の○✕を、翌日・3日後・1週間後に解く予定をカレンダーに入れる。
  4. 2〜3週間後に正答率の動きを見て、計画の量を見直す。

宅建の○✕は、宅建の5分○✕ドリルで、間違えた問題が間をあけて戻ってくる形で解けます。

参考にした研究・資料(2026年10月確認)

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