準都市計画区域で何がかかるか:用途地域・高度地区・開発許可3,000㎡・建築確認・届出

準都市計画区域(じゅんとしけいかくくいき)は、都市計画区域の「外」で、建物や工作物が増えていて、放っておくと将来の街づくりに支障が出るおそれがある所に、都道府県が指定する区域です(都市計画法5条の2)。

ひとことで言うと、「土地の使い方をおさえるルールはかかるが、街を積極的につくるルールはかからない区域」です。用途地域や高度地区などは定められ、開発許可(3,000平方メートル以上)・建築確認・建物の集団規定もかかります。一方で、区域区分(市街化区域と市街化調整区域の線引き)、防火地域、地区計画、土地区画整理事業はありません。都市計画区域の外なので、国土利用計画法の事後届出は10,000平方メートル以上の取引が対象です。

この記事は、法律ごとの「かかる・かからない」を1枚の表にまとめ、事例で当てはめます。区域の指定のしかたは都市計画区域と区域区分、地域地区の中身は地域地区の記事、開発許可の面積と例外の全体は開発許可をわかりやすくで扱っています。

当サイトが、不動産適正取引推進機構が公開している過去の試験(昭和63年度〜令和7年度の40回、2,000問)を1問ずつ読んで数えたところ、主な論点の問題は、都市計画法の地域地区・都市計画の内容が24問(直近10回で9問)、開発許可が56問(全40回すべて、直近10回も毎回)でした。区域の指定(都市計画区域・区域区分)が主な論点の問題は5問で、直近10回では0問です(分け方は当サイトの判断で、公式の分類ではありません。「準都市計画区域」という語が肢に出た数は数えていません)。準都市計画区域は、単独の問としてより、地域地区や開発許可の問の1肢として出てくる区域だと考えておくとよいでしょう。

身近な例で考えると

舞台は、高速道路のインターチェンジができた「あおい町」です。町は都市計画区域の外にありますが、インターのまわりに倉庫や店が増えてきたので、県が準都市計画区域に指定しました。

人物立場したいこと
まことさんホームセンターの会社の担当者4,000㎡の土地に店を建てる
ふみえさんあおい町の農家自分の住む家を建てる
たいちさん会社員小さな平屋の家を建てる
  1. まことさんの会社は、店のために4,000平方メートルの土地を造成する。準都市計画区域では3,000平方メートル以上の開発行為に許可がいるので、県知事の開発許可を受ける(都市計画法29条1項1号、施行令19条1項)。
  2. まことさんの会社がこの土地を買ったとき、国土利用計画法の事後届出は「都市計画区域の外」の線で考える。10,000平方メートル未満なので、届出はいらない(国土利用計画法23条2項1号ハ)。
  3. ふみえさんは、農業を営む人として、自分の住む家のために土地を造成する。準都市計画区域では、農業を営む人の居住用の建物のための開発行為は、面積にかかわらず許可がいらない(29条1項2号)。
  4. たいちさんは、木造平屋・延べ面積90平方メートルの家を建てる。準都市計画区域の中なので、建築確認がいる(建築基準法6条1項3号)。道路に2メートル以上接しているかなどの集団規定もかかる(41条の2)。
  5. 町は、インターのまわりに用途地域を定めた。ただし、区域区分の線引きはできないし、地区計画も定められない。

たとえるなら、準都市計画区域は「街の外にかける、ゆるい柵」です。中で好き勝手に建てられないよう柵はかけますが、道路や公園をつくる大きな事業までは用意していません。ただし本物のルールでは、柵の中身は法律ごとに決まっていて、「準都市だから全部ゆるい」わけではありません。建築確認のように、都市計画区域と同じだけかかるものもあります。

条文ではこう決まっている

区域の指定(都市計画法5条の2)

  • だれが・どこに(1項):都道府県が、都市計画区域外の区域のうち、相当数の建築物その他の工作物の建築・建設や敷地の造成が現に行われているか、行われると見込まれる一定の区域で、そのまま放置すれば将来の一体の都市としての整備・開発・保全に支障が生じるおそれがある区域を指定する。
  • 手続(2項・3項):あらかじめ関係市町村と都道府県都市計画審議会の意見を聴き、省令の方法で公告する。
  • 都市計画区域と重なったら(5項):準都市計画区域の全部か一部に都市計画区域が指定されると、その部分の準都市計画区域は、廃止されたか、重ならない部分に変更されたものとみなされる。

都市計画法の中で、定められるもの・定められないもの

  • 地域地区(8条2項):準都市計画区域に定められるのは、用途地域、特別用途地区、特定用途制限地域、高度地区、景観地区、風致地区、緑地保全地域、伝統的建造物群保存地区。8条1項の一覧にある高度利用地区・特定街区・防火地域・準防火地域・特例容積率適用地区・高層住居誘導地区などは入っていない。準都市計画区域の高度地区で定めるのは、高さの最高限度だけ(8条3項)。
  • 区域区分(7条1項):「都市計画区域について」の規定なので、準都市計画区域には定められない。
  • 都市施設(11条1項):都市計画区域について定めるのが原則だが、「特に必要があるときは、当該都市計画区域外においても」定められる。
  • 市街地開発事業(12条1項):「都市計画区域については」と定めている。土地区画整理事業も、都市計画区域内の土地について行う事業(土地区画整理法2条1項)なので、準都市計画区域では行わない。
  • 地区計画など(12条の4第1項):「都市計画区域については」と定めているので、準都市計画区域には定められない。

開発許可(29条、施行令19条・22条の2)

  • 許可がいる区域(29条1項):都市計画区域か準都市計画区域の中で開発行為をする人は、あらかじめ都道府県知事(指定都市・中核市ではその長)の許可を受ける。
  • 小さな開発の例外(1号、施行令19条1項):区域区分のない都市計画区域と準都市計画区域は、3,000平方メートル未満なら許可不要。都道府県は、条例で、区域を限って300平方メートル以上3,000平方メートル未満の範囲で別の規模を決められる。
  • 農林漁業の例外(2号):市街化調整区域・区域区分のない都市計画区域・準都市計画区域では、農林漁業用の政令で定める建築物や、農林漁業を営む人の居住用の建築物のための開発行為は、許可不要。
  • 両区域の外(29条2項、施行令22条の2):都市計画区域と準都市計画区域の外では、1ヘクタール以上の開発行為に知事の許可がいる。

建築基準法(6条1項3号・41条の2)

  • 建築確認(6条1項):特殊建築物で200平方メートル超(1号)と、2階建て以上か延べ面積200平方メートル超の建物(2号)は、場所を問わず確認がいる。それ以外の小さな平屋でも、都市計画区域か準都市計画区域の中(知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く)なら確認がいる(3号)。
  • 集団規定(41条の2):道路と敷地の関係、用途制限、建蔽率・容積率、高さなどを定めた建築基準法の第3章(第8節を除く)は、「都市計画区域及び準都市計画区域内に限り、適用する」。

ほかの法律

  • 国土利用計画法(23条2項1号):事後届出がいる面積は、市街化区域2,000平方メートル、それ以外の都市計画区域5,000平方メートル、「イ及びロに規定する区域以外の区域」は10,000平方メートル。準都市計画区域は都市計画区域の外にあるので、10,000平方メートルの線を使う。
  • 農地法(4条・5条):市街化区域で前もって農業委員会に届け出れば許可がいらない特例は、市街化区域だけのもの。準都市計画区域には区域区分がないので、この特例は使えない。
  • 宅地造成及び特定盛土等規制法:規制区域は、都市計画区域の中かどうかで決めていない。準都市計画区域でも、知事が規制区域に指定していれば許可などがかかる。

法律ごとの「かかる・かからない」の表

区域区分のない都市計画区域(いわゆる非線引き区域)と、都市計画区域・準都市計画区域のどちらでもない区域を並べました。準都市計画区域は、2つの間に入ります。

ルール区域区分のない都市計画区域準都市計画区域どちらでもない区域
用途地域・高度地区など定められる8種類だけ定められない
防火地域・準防火地域定められる定められない定められない
地区計画定められる定められない定められない
土地区画整理事業行える行えない行えない
開発許可3,000㎡以上3,000㎡以上1ha以上
小さな平屋の建築確認いるいる原則いらない
建築基準法の集団規定かかるかかるかからない
国土法の事後届出5,000㎡以上10,000㎡以上10,000㎡以上

覚え方は、「建物と開発は都市計画区域と同じ、土地の取引は区域の外と同じ、街をつくる計画と事業はない」です。表の中で、準都市計画区域が左の列(都市計画区域)と同じになるのは開発許可・建築確認・集団規定、右の列(区域の外)と同じになるのは防火地域・地区計画・区画整理・国土法です。

当てはまる例・当てはまらない例

  1. 当てはまる(開発許可):準都市計画区域で、ホームセンターの店のために3,500平方メートルを造成する。3,000平方メートル以上なので、開発許可がいる。
  2. 当てはまらない(農家の住宅):同じ準都市計画区域で、農業を営むふみえさんが、自分の住む家のために4,000平方メートルを造成する。29条1項2号にあたり、面積にかかわらず許可はいらない。市街化区域なら、この例外は使えない。
  3. ひっかけやすい(国土法):準都市計画区域内の8,000平方メートルの土地を売買で買う。「市街化区域以外の都市計画区域と同じ5,000平方メートル」と考えると届出がいることになるが、準都市計画区域は都市計画区域の外なので、線は10,000平方メートル。届出はいらない。
  4. 当てはまる(建築確認):準都市計画区域(知事が除外した区域ではない)で、木造平屋・延べ面積90平方メートルの家を建てる。6条1項3号にあたり、確認がいる。
  5. 当てはまらない(防火地域):準都市計画区域に、都市計画で防火地域を定めることはできない。8条2項の一覧に入っていないからである。
  6. ひっかけやすい(高度地区):準都市計画区域にも高度地区は定められる。ただし定めるのは高さの最高限度だけで、最低限度は定めない(8条3項)。「高さの地区はいっさい定められない」とする文も、「最低限度も定められる」とする文も誤り。

似ている区域との違い

準都市計画区域とまぎらわしいのは、区域区分のない都市計画区域と、市街化調整区域です。

比べる点準都市計画区域区域区分のない都市計画区域市街化調整区域
どこにあるか都市計画区域の外都市計画区域の中都市計画区域の中
開発許可の面積3,000㎡以上3,000㎡以上面積にかかわらず
開発区域外の建築許可はいらない許可はいらない知事の許可(43条)
国土法の届出10,000㎡以上5,000㎡以上5,000㎡以上

開発許可の面積が同じ3,000平方メートルなので、準都市計画区域と非線引き区域は同じ扱いだと思いがちです。違いが出るのは、区域の外か中かで決まるルール(国土法・地区計画・区画整理・防火地域)です。市街化調整区域の法律ごとの扱いは、市街化調整区域で何ができるかで同じ形の表にしています。

試験ではここをまちがえやすい

  • 区域区分を定められるとする型:区域区分は都市計画区域についての規定です。準都市計画区域には定められません。
  • 定められる地域地区の入れ替え:高度地区は定められますが、高度利用地区は定められません。防火地域・準防火地域、特定街区も定められません。
  • 高度地区の中身:準都市計画区域では、高さの最高限度だけです。
  • 開発許可の面積の入れ替え:準都市計画区域は3,000平方メートル。1ヘクタールは「両区域の外」の数字、1,000平方メートルは市街化区域の数字です。
  • 国土法の面積:準都市計画区域は都市計画区域の外なので10,000平方メートル。5,000平方メートルとする形に注意します。
  • 建築確認がいらないとする型:小さな平屋でも、準都市計画区域の中なら確認がいります(知事が指定して除いた区域を除く)。
  • 地区計画・区画整理:どちらも都市計画区域の制度です。準都市計画区域にはありません。

宅建試験では、都市計画法の問は直近10回でおおむね問15(地域地区など)と問16(開発許可)です。肢に準都市計画区域が出てきたら、「都市計画区域の中か外か」を先に確かめると、国土法や地区計画の肢で迷いにくくなります。

○✕でたしかめよう

問1(このサイトのオリジナル問題)
準都市計画区域内で、農業を営むAが、自ら居住する住宅を建築するために4,000平方メートルの土地の区画形質の変更を行う場合、開発許可を受ける必要はない。

答え:○ 分かれ目は、農林漁業の例外が使える区域に準都市計画区域が入るかどうかです。都市計画法29条1項2号は、市街化調整区域・区域区分が定められていない都市計画区域・準都市計画区域で、農業などを営む者の居住用の建築物のための開発行為を許可不要としています。準都市計画区域は3,000平方メートル以上で許可がいるので、面積だけを見ると✕にしてしまいます。この例外が使えないのは市街化区域で、市街化区域なら1,000平方メートル以上で許可がいります(施行令19条1項)。

問2(このサイトのオリジナル問題)
準都市計画区域内にある6,000平方メートルの土地を売買により取得した者は、市街化区域以外の都市計画区域と同じく5,000平方メートル以上の取引にあたるので、国土利用計画法23条の事後届出をしなければならない(規制区域・注視区域・監視区域ではないものとする)。

答え:✕ 分かれ目は、準都市計画区域が都市計画区域の中か外かです。準都市計画区域は都市計画区域外の区域から指定されるので(都市計画法5条の2第1項)、国土利用計画法23条2項1号ハの「イ及びロに規定する区域以外の区域」として10,000平方メートルの線を使います。正しくは、6,000平方メートルなら事後届出はいりません。5,000平方メートルは、市街化調整区域や区域区分のない都市計画区域(同号ロ)の線で、その線と取り違えた文です。

問3(このサイトのオリジナル問題)
準都市計画区域内(都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域ではない)で、木造平屋建て・延べ面積90平方メートルの住宅を新築する場合、建築確認を受けなければならない。

答え:○ 分かれ目は、小さな平屋でも区域によって確認がいるかどうかです。建築基準法6条1項3号は、1号・2号にあたらない建物でも、都市計画区域か準都市計画区域の中(知事が指定して除いた区域を除く)なら確認を受けるとしています。平屋で200平方メートル以下だから確認はいらない、と考えると✕にしてしまいます。確認がいらないのは、両区域の外(準景観地区や知事が指定する区域でもない所)の場合です。

この分野の○✕は、宅建の5分○✕ドリルの「法令上の制限」で続けて解けます。

まとめ

  • 準都市計画区域は、都市計画区域の外に都道府県が指定する区域。関係市町村と都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する。
  • 定められる地域地区は8種類(用途地域・特別用途地区・特定用途制限地域・高度地区・景観地区・風致地区・緑地保全地域・伝統的建造物群保存地区)。高度地区は最高限度だけ。
  • 区域区分・防火地域・準防火地域・地区計画・土地区画整理事業はない。
  • 開発許可は3,000平方メートル以上(農林漁業の例外あり)。建築確認と集団規定は都市計画区域と同じくかかる。
  • 国土法の事後届出は10,000平方メートル以上(都市計画区域の外の線)。

次に読むなら、市街化調整区域で何ができるかがおすすめです。同じように1つの区域を軸に法律を並べているので、2つの表を見比べると、区域ごとの違いが一度に整理できます。

参考にした公式の情報(2026年10月確認)

条文は、令和8年4月1日時点で施行されている内容を、e-Gov法令検索(API。基準日2026-04-01)で確かめています。

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