宅建の法改正はいつの試験から出るか:改正と最初に出た回を全40回で数えた

宅建試験は、試験を行う年度の4月1日に施行されている法令から出題されます。施行日が4月2日以降の改正は、その年度の試験には入りません。

では、範囲に入った改正はすぐに出るのか。当サイトが全40回2,000問を数えると、範囲に入った最初の回から毎回出た制度(住宅瑕疵担保履行法、盛土規制法)がある一方で、主な論点になるまで3回目(配偶者居住権)、8回目(建物状況調査)だった制度もありました。「改正の次の年には出る」とは、数からは言えません。

試験に入る改正は、どこで決まるか

不動産適正取引推進機構の試験概要は、「出題の根拠となる法令は、試験を実施する年度の4月1日現在施行されているもの」としています。基準になるのは公布日(法律ができて公表された日)ではなく、施行日(実際に効き始める日)です。

たとえば、宅地造成等規制法を改めた宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)は、令和5年5月26日に施行されました(e-Gov法令検索の改正履歴)。令和5年度の基準日(令和5年4月1日)より後なので、令和5年度の試験は前の宅地造成等規制法で出ています。令和6年度の問題冊子を見ると、盛土規制法の問は「宅地造成及び特定盛土等規制法」の名前で出ていました。

令和2年度と令和3年度は10月と12月の2回の試験がありましたが、どちらも同じ年度の試験です。この記事では、2回とも同じ年度の4月1日を基準日として数えています。

この数字は、どうやって数えたのか

不動産適正取引推進機構が公開している宅建試験の問題(昭和63年度〜令和7年度の40回、2,000問)を、当サイトが1問ずつ読み、主な論点と副の論点に分けて数えました。分け方は当サイトの判断で、公式の分類ではありません。4回分200問を別の担当が読み直し、主な論点の一致は97.5%でした(食い違った問は直してから数えています)。

「主な論点」は、その問が全体として何を聞いているかで1つだけ決めたものです。「副の論点」は、1問の中に別の論点の肢が混ざっているときに、最大2つまで記録したものです。宅建業法や建築基準法には、1問の中にいくつもの規定の肢が混ざる「総合」型の問があり、その中の論点は主な論点としては数えられません。新しい制度は、こうした問の1肢として出ることが多いので、この記事では副の数もあわせて見ます。数えたのは問ごとの論点で、1問の中の4つの肢を1つずつ数えてはいません。

「範囲に入った最初の回」は、施行日がその年度の4月1日までだった最初の回です。

新しい制度は、何回目の試験で出たか

制度(施行日)範囲に入った最初の回初めて出た回主な論点で初めて
住宅瑕疵担保履行法(平成21年10月施行)平成22年度平成22年度(主)1回目
建物状況調査(平成30年4月施行)平成30年度平成30年度(副2問)8回目(令和5年度)
配偶者居住権(令和2年4月施行)令和2年度10月試験令和3年度10月試験(主)3回目
書面の電磁的方法での提供(令和4年5月施行)令和5年度令和5年度(副2問)まだ出ていない
盛土規制法(令和5年5月施行)令和6年度令和6年度(主)1回目

「8回目」「3回目」は、範囲に入った最初の回から数えた回数です(令和2年度・令和3年度は1年に2回と数えます)。施行日は、e-Gov法令検索の改正履歴で確かめました(住宅瑕疵担保履行法は資力確保の義務の規定、書面の電磁的方法での提供は35条8項などの規定の施行日)。建物状況調査は、媒介契約の書面に記載する事項として、平成30年4月1日施行の宅建業法34条の2第1項4号に入っています(e-Govで3月31日と4月1日の条文を比べて確かめました)。

範囲に入ってからの出方を、回数でまとめると次のとおりです。

制度範囲に入ってからの回数出た回数主・副の問数
住宅瑕疵担保履行法18回18回主18問
建物状況調査10回6回主1問・副6問
配偶者居住権8回2回主2問
電磁的方法での提供3回2回副3問
盛土規制法2回2回主2問

電磁的方法での提供の3問は、令和5年度の37条書面の問とクーリング・オフの問、令和6年度の37条書面の問の3つです。どれも、書面の代わりに電磁的方法で提供する場面や、その承諾を問う肢が入っていました(当サイトが問題冊子で確かめました)。

すぐに出たもの、時間がかかったもの

範囲に入った最初の回から毎回:住宅瑕疵担保履行法・盛土規制法

住宅瑕疵担保履行法は、新築住宅を売る業者に、欠陥の補修などのお金を用意しておく義務(資力確保)を課す法律です。この義務の規定が施行されたあと最初の平成22年度から、問45の位置で、令和7年度までの18回すべて主な論点として出ています。

盛土規制法は、前の宅地造成等規制法の時代から、直近10回は毎回1問の枠がありました。法律が入れ替わったあとも、令和6年度・令和7年度とも主な論点として出ています。どちらも、もともと「毎回1問」の席がある法律です。

副の肢から始まった:建物状況調査

建物状況調査(既存の建物の状態を専門家が調べること)は、範囲に入った平成30年度に、副の論点として2問に混ざっていました。その後も35条書面や37条書面の問の1肢として出て、主な論点になったのは令和5年度、範囲に入ってから8回目でした(建物状況調査の記事)。10回のうち出なかった回も4回あります。

範囲に入って3回目:配偶者居住権

配偶者居住権は、令和2年4月1日に施行された民法の改正でできた権利です。範囲に入った令和2年度は2回とも主な論点になく、令和3年度の10月試験で初めて主な論点になりました。その次は令和5年度で、範囲に入ってからの8回のうち出たのは2回です(配偶者居住権の記事)。

法律ができてから長くたって出た:犯罪収益移転防止法

犯罪収益移転防止法は平成19年3月31日に公布された法律で、宅建業者はこの法律の義務を負う事業者に入っています(2条2項42号)。この記事の表の制度とちがい、改正ではありませんが、当サイトの集計で初めて出たのは令和4年度で、宅建業法の総合型の問の1肢(副の論点)でした。主な論点として出たのは令和7年度です(犯罪収益移転防止法の記事)。

「改正の次の年に出る」と言えるか

5つの制度のうち、範囲に入った最初の回に主な論点として出たのは2つで、どちらも毎回1問の枠がある法律でした。ほかは、副の肢から始まったもの(建物状況調査)、3回目で主になったもの(配偶者居住権)、施行後3回で主になっていないもの(電磁的方法での提供)です。

数えた例は5つしかなく、ここから「改正の次の年に出る」「出ない」のどちらの決まりも引き出せません。言えるのは、範囲に入った改正は、主な論点としてではなく、ほかの論点の問の1肢として出ることがある、ということです。改正のあった論点は、その論点の問だけでなく、35条書面や37条書面のような書面の問の中でも出ると考えて、改正後の条文で覚えておくのが確かです。

古い年度の過去問で、改正のために今と答えが変わる所は、宅建の過去問の使い方の表にまとめています。

令和8年度の試験に入る主な改正

令和8年度の試験の基準日は令和8年4月1日です。e-Gov法令検索の改正履歴で、宅建の範囲の法律のうち、令和7年度の基準日の後から令和8年4月1日までに施行された主な改正を確かめました。どれが出るかの予想はしません。

法律改正の中身施行日
区分所有法集会の決議の要件など(令和7年法律第47号)令和8年4月1日
不動産登記法住所などの変更登記の申請の義務(76条の5、変更から2年以内)令和8年4月1日
宅建業法欠格事由の「懲役」「禁錮」が「拘禁刑」に令和7年6月1日

区分所有法の改正の中身は、区分所有法の記事で改正後の条文に合わせて説明しています。反対に、不動産登記法には令和8年6月24日に施行された改正もありますが、基準日より後なので令和8年度の試験には入りません。

この数字の使い方

この記事の数は、「改正点は出るのか」を考えるときの事実として使えます。新しい制度が1肢として混ざる出方が多いことから、改正のあった論点は、1回覚えて終わりにせず、間をあけて同じ論点にもう一度当たるのが向いています(復習の間隔の決め方)。改正のあった論点を含め、宅建の論点を○✕で続けて確かめたいときは、宅建の5分○✕ドリルが使えます。

参考にした公式の情報(2026年10月確認)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です