試験に落ちたあと、次の1年をどう組み直すか:働きながらの立て直し方

試験に落ちたあとの1年は、前の年の勉強をやり直す1年ではありません。前の年の記録を使って、足りなかった所だけを組み直す1年です。当サイトのすすめる順番は次の4つです。

  1. 点数を、科目・分野ごとに分けて見る。
  2. 落とした問題を「知らなかった」「知っていたが間違えた」「時間が足りなかった」の3つに分ける。
  3. 直す所を3つまでに絞る。教材は全部は変えず、法改正に合わせて版を新しくする。
  4. 最初の1か月で、振り返りと再スタートの形を作る。

この記事は、行政書士試験と宅建試験のどちらの人にも使えるように書いています。

自分の点数は、どこで分かるか

振り返りの材料は、自分の点数と、問題・正解です。2つの試験で、手に入り方が違います。

材料行政書士試験宅建試験
自分の点数合否通知書に得点が書かれる。発表日に受験者全員へ送られる不合格の人への通知はない。ネット申込の人はマイページで得点を見られる予定
試験問題令和8年度は11月16日以降に公表合格発表の日から機構のサイトに載る
正解合格発表の日(令和9年1月27日)以降に公表合格発表の日(令和8年11月25日)に公表

行政書士試験の合否通知書には、センターの案内で「合否、配点、合格基準点、得点」が書かれているとされています。宅建試験のマイページでの得点の閲覧は、令和8年度試験からの予定です。試験案内(インターネット申込用)では令和8年11月26日(木)から(予定)、機構のスケジュールのページでは「合格発表日以降(日時未定)」とされているので、始まる日は機構の案内で確かめてください。郵送で申し込んだ人は、問題冊子に残した自分の答えと、公表された正解で自己採点します。

問題冊子に自分の答えを書き残していなかった場合は、覚えている範囲で、分野ごとに「自信があった・迷った・分からなかった」を書き出すだけでもかまいません。正確な点よりも、どこで落としたかの見当がつくことのほうが、次の1年には役に立ちます。自己採点の手順は、行政書士試験の自己採点の記事と宅建試験の自己採点の記事にまとめています。

点数は、科目・分野ごとにどう分けるか

合計点だけを見ても、次に何をすればよいかは決まりません。まず、どの基準に届かなかったのかを確かめます。

  • 行政書士試験:法令等・基礎知識・全体の3つの基準のうち、どれに届かなかったかを見ます。令和7年度の基準は、法令等122点・基礎知識24点・全体180点でした(基準は補正されることがあります)。基礎知識の足切りだったのか、法令等が足りなかったのかで、次の1年の計画は大きく変わります。
  • 宅建試験:基準点との差が何問だったかを見ます。直近5年の一般の受験者の基準点は、50問中33点から37点まででした。宅建業法・権利関係・法令上の制限・税と価格・免除科目の5つに分けて、どこで何問落としたかを数えます。

次に、科目・分野ごとの失点を、得点の計画と並べます。当サイトでは、行政書士試験は行政書士試験の得点戦略、宅建試験は宅建試験の得点戦略に、科目・分野ごとの目標の型を載せています。型の表と見比べると、「計画より多く落とした分野」がはっきりします。立て直しの中心は、そこです。

落とした問題を、3つの理由に分ける

同じ1問の失点でも、理由が違えば直し方が違います。落とした問題を1問ずつ、次の3つに分けます。勘で選んで当たった問題も、「知らなかった」に入れます。

理由見分け方次の1年でやること
知らなかった解説を読んで初めて知った。勘で選んだその単元を教材で学び直し、過去問を解く
知っていたが間違えた解説を読めば「知っていた」と分かる。読み違い・似た決まりとの取り違え似た決まりを並べて比べる。問題文のどこで間違えたかに印
時間が足りなかった最後まで解けなかった。見直しができずに塗った時間を計った通し練習を早めに始める。解く順番を決める

たとえば行政書士試験で、行政不服審査法の審査請求の期間を問う問題を落としたとします。期間を覚えていなかったなら「知らなかった」です。覚えていたのに、行政事件訴訟法の出訴期間と取り違えたなら「知っていたが間違えた」です。前者は覚え直し、後者は2つの期間を並べて比べる練習が要ります。宅建で8種制限の問題を落としたときも、業者が売主の場面だけの決まりだと知らなかったのか、知っていたのに「買主が業者」の場面に当てはめてしまったのかで、直し方が分かれます。

分け終わったら、3つの理由ごとに、どの科目・分野に何問あったかを数えます。そのうえで、直す所を3つまでに絞ります。「知らなかった」が多い分野の学び直し、「知っていたが間違えた」が多い分野の比べる練習、そして時間が足りなかった人は通し練習、という形です。全部を直そうとすると、計画は前の年の勉強を同じ順番でなぞる形に戻ってしまいます。

教材を全部変えないほうがいいのはなぜか

落ちたあと、教材が悪かったと考えて、全部を新しくしたくなることがあります。当サイトは、全部を変えることはすすめません。理由は3つです。

  • 前の年の記録が使えなくなる:問題集に書いた日付と○✕、間違えた印は、どこが弱いかの記録です。教材を変えると、この記録を最初から作り直すことになります。
  • 最初の数か月が「慣れる時間」になる:新しい教材は、説明の順番や言葉づかいに慣れるまで時間がかかります。働きながらの1年では、その数か月が大きく響きます。
  • 点が取れなかった理由が教材とは限らない:上の3つの理由に分けると、教材そのものより「どう使ったか」の問題が見えてくることがあります。たとえば、読み返す時間が多く、問題で思い出す時間が少なかった、などです。

変えるのは、振り返りで「教材に足りない」と分かった所だけです。たとえば、行政書士試験で記述式の練習問題が手元の教材に少なかったなら、記述の問題集を1冊足します。宅建で法令上の制限の数字が問題集だけでは整理できなかったなら、その分野の表を作るか、一覧の載った教材を足します。足すのは1冊ずつにして、元の教材は使い続けます。

ただし、法改正に合わせて版は新しくします。同じシリーズの新しい年度版に変えれば、説明の順番は大きくは変わらず、改正だけを入れられます。前の年の問題集に書いた○✕は、新しい版の同じ単元の問題に写すか、前の年の本を記録用に残しておきます。

翌年の法改正と基準日を、どう確かめるか

どちらの試験も、出題の根拠は「試験を実施する年度の4月1日現在施行されている法令」です。センターも機構も、この決まりを案内しています。令和9年度の試験なら、令和9年4月1日の時点で施行されている法令が範囲です。前の年の基準日(令和8年4月1日)からあとに施行された改正は、新しく範囲に入ります。

たとえば行政書士法には、令和8年5月21日に施行された改正(デジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律、令和5年法律第63号による改正)があります。令和8年度試験では基準日より後なので範囲外ですが、令和9年度の基準日には施行済みです。民法にも、令和8年6月24日に公布された改正(民法等の一部を改正する法律、令和8年法律第45号。成年後見と遺言の見直し)があります。法務省の案内では、施行日は改正の事項ごとに「公布の日から1年/2年6か月/3年を超えない範囲内で政令で定める日」とされ、案内のページには具体的な日付は載っていません(2026年10月確認)。令和9年度の範囲に入るのは、令和9年4月1日の時点で施行されている部分だけです。このように、同じ改正でも施行日によって範囲に入るかどうかが分かれるので、政令で施行日が決まったら確かめ直します。

確かめ方は次のとおりです。

  1. 新しい年度版の教材の「法改正」のページを読み、どの法律の何が変わったかを書き出す。
  2. 主な法律(行政書士試験なら行政法の各法・民法・行政書士法、宅建なら宅建業法・民法・都市計画法など)について、e-Gov法令検索の改正の記録で、施行日が前の年の4月1日から次の年の4月1日までにあるかを見る。
  3. 前の年の問題集で、その改正に関わる問題に「改正あり」と印をつけ、解説をそのまま信じないようにする。

機構も過去問のページで「法改正により、現在の法律と一致しない場合があります。」と注意しています。前の年に覚えた答えのうち、改正で変わった所だけは覚え直しになります。

同じ試験をもう一度受けるか、決め直すとき

振り返りが終わったら、次の年度も同じ試験を受けるかを決めます。行政書士試験は毎年11月の第2日曜日、宅建試験は毎年10月の第3日曜日で、申込はどちらも夏です。行政書士試験は1月下旬の発表から次の試験まで約9か月、宅建試験は11月下旬の発表から約11か月あります。

基準まであと少しだった人は、同じ試験で、直す所を絞った1年にするのが組みやすい形です。基準から大きく離れていた人も、3つの理由に分けた結果を見てから決めます。「知らなかった」が多いなら、時間の確保そのものを見直す1年になります。資格を取る目的が変わった場合や、もう一方の試験を先にしたくなった場合は、行政書士と宅建のどちらから受けるかの記事で、順番を考え直せます。

最初の1か月にやること

結果が分かってからの1か月は、新しい単元を進めるより、次の試験までの土台を作る月にします。当サイトの目安は次のとおりです。

時期やること
1週目勉強を休む日を作る。点数・問題・正解をそろえる
2週目科目・分野ごとの失点を数え、落とした問題を3つの理由に分ける。直す所を3つまでに絞る
3週目次の試験日と申込の時期を手帳に書く。教材の新しい版の発売時期を確かめる。週ごとの勉強時間を書き出し直す
4週目いちばん失点の多かった分野の過去問から再開する。前の年に✕がついた問題だけを解く

4週目の再開は、前の年に✕がついた問題から始めます。○だった問題は、すぐには解き直しません。解き直した問題は、日をあけてもう一度解きます。間をあける目安は、復習の間隔の決め方の記事にまとめています。

1週目に休む日を作るのは、結果が分かった日にすぐ振り返りを始めなくてよい、という意味です。休むのは数日でかまいません。ただし、休む期間が長くなるほど、前の年に覚えたことは薄れていきます。2週目には、振り返りの作業だけでも始めます。

今日からやること

  • 点数・問題・正解をそろえる。手元にない物は、いつ手に入るかを確かめる。
  • 届かなかった基準を1行で書く(「基礎知識が足りなかった」「基準点まで2問」など)。
  • 落とした問題を「知らなかった」「知っていたが間違えた」「時間が足りなかった」に分け、科目・分野ごとに数える。
  • 直す所を3つまでに絞り、教材は版だけ新しくする予定を立てる。

次に読むなら、受ける試験の得点戦略の記事です。振り返りで数えた失点を、目標の型の表と並べると、次の1年で「どの科目・分野で、何問取り戻すか」を決められます。

参考にした公式の情報(2026年10月確認)