宅地に向く土地・向かない土地:台地・段丘・扇状地・自然堤防・後背湿地・旧河道・埋立地

宅地として見たときに、水害や地震の心配が比べて少ないのは、まわりより高く、古くからある硬い地盤の土地です。台地や段丘がその代表で、集中豪雨で水につかる可能性は少なく、地震の揺れも低地より大きくなりにくいとされます。ただし、台地のふちの崖や急な斜面は、地震で崩れる可能性があります。

反対に注意がいるのは、まわりより低い土地と、人が造った土地です。昔の川の流れのあと(旧河道)や、自然堤防の後ろ側の低い湿地は、水につかると水が長くとどまることがあり、揺れも大きくなりやすいとされます。埋立地・干拓地は、高潮・液状化・津波の被害を受けやすいとされます。低地の中でも、川沿いのまわりより少し高い土地(自然堤防)は、水につかっても浅く水はけもよいとされます。

ひとことで言うと、地形は「高さ」「水」「揺れと液状化」の3つで見ます。この記事の「向く・向かない」は、国土交通省の資料が地形ごとに説明している起きやすい災害から見た目安です。同じ名前の地形でも、場所ごとに状態は違います。

当サイトが、不動産適正取引推進機構が公開している過去の試験(昭和63年度〜令和7年度の40回、2,000問)を1問ずつ読んで数えたところ、土地(地形・災害)が主な論点の問題は38問で、38回に出ていました。直近10回(令和7年度〜平成30年度。令和2・3年度は10月と12月の2回ずつ)では毎回1問、いつも問49です。38問のうち37問、直近10回では10問すべてが「誤っているもの」を選ぶ形でした(分け方は当サイトの判断で、公式の分類ではありません)。4つの肢のうち3つは正しい説明なので、正しい説明の言い回しを読み慣れておくと、誤りの肢を見つけやすくなります。問49は、登録講習修了者が免除される問46〜50の中にあります。

土地と建物の分野の全体(建物の構造の数字を含む)は土地と建物の基礎で扱っています。この記事は、地形どうしの見分けと、肢の言い回しの判定に絞ります。

身近な例で考えると

家を建てる土地を探している、しおりさんの話です。同じ市の中で、5つの土地を見比べています。

候補どんな土地かしおりさんのメモ
Aまわりを崖で区切られた、平らで高い台の上水には強そう。崖のそばは避けたい
B川沿いで、まわりより少しだけ高い細長い土地水につかっても浅いらしい
CBの後ろに広がる、低くじめじめした土地水がたまりやすく、地盤がやわらかそう
DBのそばを帯のように走る、まわりより低い土地昔の川のあとらしい
E海を埋め立てた新しい住宅地高潮と液状化が心配
  1. しおりさんは、まず「まわりより高いか低いか」で分けた。高いのはA、少し高いのはB、低いのはCとD。
  2. 次に、それぞれの土地が水につかったときのことを考えた。Bは浅く水はけもよいとされ、CとDは水が長くとどまることがあるとされる。
  3. 最後に地震を考えた。Aは揺れが大きくなりにくいが崖に注意。CとDとEは、揺れや液状化に注意がいる。Bでも、まわりの低地との境目のあたりは液状化しやすいとされる。
  4. しおりさんは、Aの台地の上で、崖から離れた場所を第一候補にした。

たとえるなら、地形は「土地の生い立ち」です。川が運んだ砂がどこに積もったか、昔は水の底だったかで、その土地の弱いところが見えてきます。ただし本物の土地では、同じ地形でも造成のしかたで状態が変わります。国土交通省の資料自身も、地形分類図は災害を引き起こす自然現象に対する土地の「潜在的な可能性」を知るための地図だと説明しています。

資料ではこう説明されている

試験の範囲は、宅建業法施行規則8条1号の「土地の形質、地積、地目及び種別」です。条文に地形の説明はないので、ここでは国土交通省 国土政策局の土地履歴調査の資料の説明にそって書きます。

高い土地(台地・段丘)

  • 台地:「土地の表面が平坦で、縁を崖で限られた台状または階段状の地域」。段丘も、この資料では台地(砂礫台地)の一種として分類されている。
  • 水:集中豪雨で水につかる可能性は少ない。ただし、低い台地では浸水することがあり、台地の上の凹地では雨水が集まる場合がある。
  • 地震:低地より土は硬く、揺れは大きくならない。ただし、ふちの崖や急な斜面は崩れる可能性がある。

山のふもとの土地(扇状地・谷底低地・崖錐)

  • 扇状地:「山麓部にあって、主として砂や礫からなる扇状の堆積地域」。傾斜のゆるい扇状地について、集中豪雨などで水につかる場合はあるが水はけはよく、扇状地の末端で液状化が起きやすいとされる。
  • 谷底低地:山地・丘陵地・台地を刻む川の堆積作用が及ぶ、細長い平らな土地(いわゆる谷底)。
  • 崖錐(がいすい):斜面の下のほうにたまった、岩のかけらや風化した土からなる地形。

川がつくった低地(自然堤防・後背の湿地・旧河道・氾濫原低地・三角州)

  • 自然堤防:「河道及び旧河道沿いに細長く堆積して形成された微高地」。水につかっても、まわりより高いので水深は浅く、水はけもよい。ただし、それほど高くない新しい自然堤防や、低地との境目のあたりは液状化が起きやすい。
  • 後背の湿地:資料は「湿地」の名で、「自然堤防や、砂州等の後背に位置するため、河川の堆積作用が比較的及ばない沼沢性起源の低湿地」と説明している。自然堤防の後ろ側にあるので、後背湿地とも呼ばれる。軟弱な地盤で排水が難しい場合、長時間浸水が続くことがあり、地震では揺れが大きくなり、条件によっては液状化や盛土の変形・沈下が生じることがある。
  • 旧河道:「過去の河川流路で、周囲の低地より低い帯状の凹地」。洪水のときは水の通り道となり、水につかると長く水がとどまることがある。低地の中でも揺れが大きく、新しい旧河道ほど液状化が起きやすい。
  • 氾濫原低地:川が運んだ土砂で広く開けた平らな土地(自然堤防・旧河道・湿地を除く)。川の氾濫や大雨で浸水しやすく、揺れが大きい。自然堤防のまわりや旧河道で液状化が起きやすい。
  • 三角州:河口付近の、細かい砂や粘土が積み重なった平らな土地。高潮の被害を受けることが多く、揺れが大きく液状化の可能性も大きい。津波で水につかる場合がある。

海辺と人が造った土地(砂州・埋立地・干拓地・盛土地・切土地)

  • 砂州・砂堆:「砂または小石からなる周囲よりわずかに高い土地」。水はけはよいが、低い所は氾濫や高潮で水につかることがある。砂州と砂州の間の低地で液状化が起きやすい。
  • 埋立地:水部などを埋め立てて造った土地。海抜の低い所は高潮の被害を受けやすく、液状化が起きやすく、津波の浸水被害を受けやすい。
  • 干拓地:海や湖、干潟、湿地などを堤防で締め切り、排水して陸地にした低く平らな土地。高潮の被害を受けることが多く、水につかると長く続くことがある。揺れが大きく、液状化が起きやすく、津波の被害を受けやすい。
  • 盛土地:「低地等に0.5m以上盛土して造成された土地」。締め固まっておらず地下水位が高い所では、宅地の地盤の液状化や地すべりが起きることがある。盛土の斜面が崩れることもある。
  • 切土地:山地・丘陵地や台地などの斜面を人工的に切ってできた平らな土地と、急な人工の斜面。

3つの軸で見分ける表

地形の名前を、「まわりとの高さ」「水」「揺れと液状化」の3つの軸に置き直します。

地形まわりとの高さ水揺れ・液状化
台地・段丘高いつかりにくい(低い台地は例外)揺れにくい。ふちの崖に注意
自然堤防わずかに高いつかっても浅い、水はけよい境目や新しいものは液状化
砂州・砂堆わずかに高い水はけよい砂州の間の低地で液状化
扇状地山のふもとの傾斜地水はけよい末端で液状化
後背の湿地低い長く水がとどまる揺れが大きい、液状化も
旧河道低い帯状水の通り道、長くとどまる揺れが大きい、液状化
三角州・干拓地低い高潮、長くつかる揺れが大きい、液状化
埋立地人が造った土地高潮液状化、津波

見分ける手がかりは、資料の説明の言葉にあります。「縁を崖で限られた」なら台地、「河道沿いに細長い微高地」なら自然堤防、「周囲より低い帯状の凹地」なら旧河道、「自然堤防や砂州の後背」なら後背の湿地、「山麓の扇状」なら扇状地です。

肢の言い回しで○✕を判定する

当サイトが作った説明文です。表の軸に当てはめて判定します。

説明文判定決め手
台地は、低地に比べて地震の揺れが大きくなりにくい○台地は低地より土が硬い
台地の上なら、ふちの崖のそばでも地震で崩れるおそれはない✕ふちの崖や急斜面は崩れる可能性
自然堤防は、まわりの低地よりわずかに高く、水はけがよい○微高地
自然堤防の後ろ側の低湿地は、水はけがよく浸水が短い✕長時間浸水が続くことがある
旧河道は、まわりより低い帯状の土地で、水につかると水がとどまりやすい○周囲より低い凹地
旧河道は、古い川のあとなので地盤が締まり、液状化しにくい✕新しい旧河道ほど液状化しやすい
扇状地は砂や礫からなり、水はけがよい○傾斜のゆるい扇状地の説明
埋立地は、高潮・液状化・津波の被害を受けやすい○資料のとおり
低い台地や、台地の上の凹地でも浸水のおそれはない✕低い台地は浸水、凹地に雨水が集まる
盛土をした土地は、地下水位が高くても液状化しない✕締め固まらず地下水位が高いと液状化

✕の文の多くは、地形の「強み」を言い切って、資料が書いている例外(崖、低い台地、新しい旧河道、境目)を消した形です。○の文は、資料の説明の言葉(微高地、凹地、砂や礫)をそのまま使っています。

似ているルールとの違い

地形の知識は、宅建業法の重要事項説明ともつながります。宅地でも建物でも、売買でも貸借でも、市町村長が提供する水害の図面(ハザードマップ)に物件の位置が表示されているときは、その位置を説明します(重要事項説明の災害と調査の項目)。また、斜面に土を盛ったり削ったりする工事は、宅地造成及び特定盛土等規制法の許可の対象になることがあります(盛土規制法の記事)。

場面見るもの分野
問49の土地の問地形と災害の一般的な知識免除科目(施行規則8条1号)
重要事項説明ハザードマップ上の位置など宅建業法35条
造成の工事盛土・切土の規模と区域法令上の制限

試験ではここをまちがえやすい

  • 自然堤防と後背の湿地の入れ替え:少し高く水はけがよいのは自然堤防。後ろ側の低湿地は水がとどまりやすい。
  • 旧河道を高い土地とする型:旧河道は、まわりより低い帯状の土地です。
  • 台地の例外を消す型:台地でも、ふちの崖、低い台地、台地の上の凹地には注意がいります。
  • 扇状地の末端:水はけはよくても、末端では液状化が起きやすいとされます。
  • 埋立地・干拓地・三角州:高潮・液状化・津波の3つがそろって出てきます。
  • 盛土:締め固まっておらず地下水位が高い所では、液状化や地すべりが起きることがあります。

宅建試験では、問49はほぼ毎回「誤っているもの」を選ぶ形です。正しい説明の言葉(微高地・凹地・縁を崖で限られた・砂や礫)を覚えておき、強みを言い切って例外を消した文を探す、という読み方が使えます。

○✕でたしかめよう

問1(このサイトのオリジナル問題)
自然堤防の背後に広がる後背湿地は、川が運んだ砂が積もってできた、まわりよりわずかに高い土地であり、洪水で水につかっても水はけがよい。

答え:✕ 分かれ目は、自然堤防と、その後ろ側の湿地の高さと水はけです。国土交通省の資料は、湿地を「自然堤防や、砂州等の後背に位置する」「沼沢性起源の低湿地」とし、排水が困難な場合は長時間浸水が続くことがあるとしています。正しくは、低くて水がとどまりやすい土地です。「河道沿いに細長く堆積して形成された微高地」で水はけがよいのは自然堤防のほうで、2つを取り違えた文です。

問2(このサイトのオリジナル問題)
台地は、低地に比べて地盤が硬く、地震の揺れは大きくなりにくいとされるが、台地のふちの崖や急な斜面は、地震のときに崩れる可能性がある。

答え:○ 分かれ目は、台地の強みと、その例外の両方を言えているかどうかです。国土交通省の資料は、台地について、低地より土が硬く揺れは大きくならないとしたうえで、縁辺の崖や急斜面は崩れる可能性があるとしています。台地は安全な土地なので崩れる心配はない、と考えると✕にしてしまいます。水についても、低い台地や台地の上の凹地では浸水や雨水の集まりがありうるとされています。

問3(このサイトのオリジナル問題)
扇状地は、主として砂や礫からなり水はけがよいので、扇状地の末端の部分でも、地震による液状化が起きるおそれは小さい。

答え:✕ 分かれ目は、扇状地の水はけのよさと、末端の液状化の関係です。国土交通省の資料は、傾斜のゆるい扇状地について、水につかる場合はあるが水はけはよいとしつつ、扇状地の末端で液状化現象が発生しやすいとしています。正しくは、末端の部分は液状化に注意がいる所です。水はけがよいという強みを、扇状地のすべての場所に広げて言い切った文です。

この分野の○✕は、宅建の5分○✕ドリルの「税・その他」で続けて解けます。

まとめ

  • 地形は「まわりとの高さ」「水」「揺れと液状化」の3つで見る。
  • 台地・段丘は浸水しにくく揺れにくいが、ふちの崖、低い台地、台地の上の凹地に注意。
  • 自然堤防はわずかに高く水はけがよい。後ろ側の湿地と旧河道は低く、水がとどまりやすく、揺れや液状化に注意。
  • 扇状地は水はけがよいが、末端で液状化しやすい。三角州・干拓地・埋立地は高潮・液状化・津波。
  • 盛土地は、締め固まっておらず地下水位が高いと液状化や地すべり。

次に読むなら、土地と建物の基礎がおすすめです。問50で出る建物の構造の数字(鉄筋のかぶり厚さ、筋かいなど)も、同じ免除科目の範囲として続けて確かめられます。

参考にした公式の情報(2026年10月確認)

地形の説明は、国土交通省の資料の文言にそって書いています。資料にない数字は書いていません。

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