宅建業に当たるか:「宅地」「建物」「取引」「業として」の4つで判定する

宅建業(宅地建物取引業)は、「宅地」か「建物」について、「取引」を「業として」行うことです(宅建業法2条2号)。この4つが全部そろうと、宅建業の免許がいります(3条1項)。1つでも欠ければ宅建業ではなく、免許はいりません。

判定は、次の順に進めると迷いません。

  1. 対象は宅地か建物か(2条1号・2号)。
  2. していることは「取引」か。自分で売買・交換するか、売買・交換・貸借の代理・媒介をするか(2条2号)。
  3. 業として行うか。不特定多数を相手に、くり返し行うか(国土交通省の考え方)。
  4. 最後に、法律が適用されない人か(国・地方公共団体、信託会社)を確かめる(77条・78条)。

免許の種類や更新・届出は宅建業の免許の記事で扱っています。この記事は、免許がいるかどうかの当てはめに絞ります。

身近な例で考えると

会社員のまさるさんは、土地や建物をいくつか持っています。まさるさんがしたいことは次の3つです。

  1. 市街化区域の用途地域内にある田(農地)を、農地のまま10区画に分けて、広告を出して売る。
  2. 持っているアパート1棟を、自分で入居者と契約して貸す。
  3. 住んでいた自宅を、住み替えのため1回だけ売る。

4つの順で当てはめると、1は宅建業に当たり、2は当たりません。3も、ふつうは当たりません。

  • 1:用途地域内の土地は、道路・公園・河川・広場・水路に使われているもの以外は宅地です。田のままでも宅地に当たります。自分で売買をする「取引」です。自分で広告を出して広く一般に売り、区画割りした販売は1回でも反復継続に当たる(国土交通省の考え方)ので、「業として」に当たります。
  • 2:アパートは建物ですが、自分で貸すことは「取引」に入りません。
  • 3:自宅は建物で、自分で売るのは取引ですが、住み替えのための1回だけの売却で、「業として」の5つの要素(下の表)のほとんどが事業性の低い側にそろいます。

たとえるなら、宅建業は「不動産の取引のお店を開くこと」です。ただし本物のルールでは、農地を売るだけでも、用途地域の中なら「宅地」の取引になる点が、ふだんの言葉の感覚と違います。

条文ではこう決まっている

  • 宅地(2条1号):「建物の敷地に供せられる土地」。さらに、都市計画法の用途地域内の土地は、道路・公園・河川その他政令で定める公共の用に供する施設の用に供せられているもの以外は、宅地に含む。政令で定める施設は「広場及び水路」(施行令1条)。
  • 宅建業(2条2号):宅地・建物(建物の一部を含む)の売買・交換、または宅地・建物の売買・交換・貸借の代理・媒介をする行為で、業として行うもの。
  • 免許(3条1項):宅建業を営もうとする者は、国土交通大臣か都道府県知事の免許を受ける。
  • 国・地方公共団体(78条1項):宅建業法の規定は、国と地方公共団体には適用しない。
  • 信託会社(77条):信託業法の免許を受けた信託会社には、免許の規定(3条〜7条など)を適用しない。宅建業を営もうとするときは国土交通大臣に届け出て、大臣免許の業者とみなされる。

「建物の敷地に供せられる土地」について、国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」は、いま建物が建っている土地に限らず、広く建物の敷地にする目的で取引の対象になった土地をいい、登記簿の地目や現況は問わないとしています。

「業として」は条文に定めがありません。同じ考え方は、社会通念上、事業の遂行とみられる程度に行うかどうかを、次の5つの要素から総合して判断するとしています。

要素事業性が高い事業性が低い
取引の相手広く一般の人親族・隣地の所有者など特定の人
取引の目的利益を得るため相続税の納付・住み替えなど
物件を手に入れたいきさつ転売するために取得相続・自分で使うために取得
取引の態様自分で買う人を集め、一般の人に直接売る業者に代理・媒介を頼んで売る
反復継続性くり返し行う1回限り

反復継続性について、同じ考え方は、区画割りして複数の人に売るときは、1回の販売でも反復継続的な取引に当たるとしています。

4つの順で当てはめる(事例)

事例当てはめ免許
用途地域内の農地を、農地のまま区画割りして広く売る用途地域内なので宅地・自ら売買・業いる
用途地域外の農地を、農地として使う人に何度も売る建物の敷地にする目的がなく宅地でないいらない
用途地域外の山林を、別荘地として区画割りして売る建物の敷地にする目的で宅地・自ら売買・業いる
用途地域内の月極駐車場の土地を、何区画も広く売る用途地域内なので宅地・自ら売買・業いる
用途地域内で、いま公園として使われている土地を売る公園に使われている土地は宅地でないいらない
倉庫を建てる目的の土地を、何区画も広く売る倉庫も建物で、その敷地なので宅地いる
マンションの部屋を、何戸も買っては売る建物の一部も建物・自ら売買・業いる
自分のマンション10戸を、自分で入居者に貸す自ら貸借は取引でないいらない
マンション1棟を借り上げて、各部屋を転貸する自ら転貸も自ら貸借で取引でないいらない
アパートの入居者探しを、貸主から何度も頼まれて媒介する貸借の媒介は取引・業いる
宅地を何区画も、ほかの土地と交換していく自ら交換は取引・業いる
住み替えのため、自宅を業者の媒介で1回だけ売る目的・取得のいきさつ・態様・1回限りが、どれも事業性の低い側いらない
相続した土地を区画割りして、広く一般に1回で売り出す区画割りは1回でも反復継続・相手は広く一般(高い側)、相続で取得(低い側)判断が分かれうる
市が持つ土地を、市が自分で何区画も売る地方公共団体には宅建業法を適用しないいらない
市が持つ土地の売却を、民間の会社が何度も媒介する媒介する会社には適用があるいる
信託会社が宅建業を営む免許の規定は適用されず、大臣へ届出いらない(届出)

「判断が分かれうる」とした事例は、5つの要素が事業性の高い側と低い側に分かれるものです。国土交通省の考え方は、諸要因を勘案して総合的に判断するとしているだけで、どれか1つの要素で結論が決まるとはしていません。ただし、区画割りして複数の人に売ることは、1回の販売でも反復継続に当たると明記しています。試験の肢では、「区画割りして」「不特定多数に」「反復して」のように、問題文に書かれた事情を5つの要素に当てはめて読みます。

当てはまる例・当てはまらない例

当てはまる例(宅建業に当たる)

  • 用途地域内の田を、田のまま売る取引でも、くり返し広く行えば宅建業です。「農地は宅地ではない」は、用途地域外の話です。
  • マンションの1室だけを売るのも「建物」の取引です。2条2号は「建物の一部を含む」としています。

当てはまらない例(宅建業に当たらない)

  • 自分の物件を自分で貸す、借り上げた物件を自分で転貸する。どちらも、2条2号の「取引」に自ら貸借は入っていません。何十戸あっても同じです。自ら貸主の扱いは自ら貸主の記事にあります。
  • 国や地方公共団体が自分の土地を売る。宅建業法そのものが適用されません(78条1項)。

ひっかけやすい例

  • 市の土地の売却を、免許のない会社が何度も媒介する。適用されないのは国・地方公共団体自身で、その取引を媒介する会社ではありません。会社は免許がいります。
  • 信託会社は「免許がいらない」が、宅建業法の全部が外れるわけではありません。大臣への届出が必要で、届け出た信託会社は大臣免許の業者とみなされ、免許の規定以外のルールはかかります(77条)。
  • 用途地域内でも、いま道路・公園・河川・広場・水路に使われている土地は宅地ではありません。「用途地域内の土地はすべて宅地」とすると誤りです。

似ているルールとの違い

比べる点宅建業法の「取引」宅建業に当たらないもの
売買・交換自分でしても、代理・媒介でも取引―
貸借代理・媒介をするときだけ取引自分で貸す・転貸する
対象宅地・建物(建物の一部を含む)用途地域外の、建物の敷地にしない土地
主体免許を受けた業者・届け出た信託会社国・地方公共団体(法律の適用なし)

自分で貸す人には宅建業法がかからないので、重要事項説明や37条書面の義務もありません。一方、その物件の貸借を業者が媒介すれば、媒介する業者には説明や書面の義務がかかります。代理・媒介の違いは代理と媒介の違いの記事で整理しています。

試験ではここをまちがえやすい

当サイトが数えた宅建試験の全40回で、宅建業の定義(免許の要否)が主な論点になったのは23問(23回)、直近10回では6問でした(数え方は宅建の出題論点ランキング)。次の形で取り違えやすい所です。

  • 用途地域内の土地:農地・駐車場を「宅地でない」とする形。反対に、道路・公園・河川・広場・水路まで宅地にする形。
  • 自ら貸借:多数の物件を自分で貸す、転貸する場合に免許がいる、とする形。
  • 国・地方公共団体:その取引を媒介する者まで免許がいらない、とする形。
  • 信託会社:免許も届出もいらない、とする形。
  • 建物の一部:マンションの1室の取引は「建物」に当たらない、とする形。

○✕でたしかめよう

問1(このサイトのオリジナル問題)
Aは、用途地域内にある自分の農地を、農地のまま区画割りし、広告をして不特定多数の人に反復して売却しようとしている。この場合、Aは宅建業の免許を受けなければならない。

答え:○ ○です。分かれ目は、用途地域内の土地が宅地に当たるかです。宅建業法2条1号は、用途地域内の土地を、道路・公園・河川・広場・水路に使われているもの以外は宅地に含めています。農地のままでも宅地で、自ら売買を業として行うので免許がいります(3条1項)。「農地は宅地ではない」と考えると✕に見えますが、それは用途地域外で、建物の敷地にする目的がない場合です。

問2(このサイトのオリジナル問題)
Bは、オーナーから一棟のマンションを借り上げ、各部屋を不特定多数の人に反復して転貸している。この場合、Bは宅建業の免許を受けなければならない。

答え:✕ 分かれ目は、自ら貸借が「取引」に入るかです。2条2号の取引は、自らする売買・交換と、売買・交換・貸借の代理・媒介です。正しくは、自分で貸すことも、借りた物件を自分で転貸することも取引に入らず、免許はいりません。免許がいるのは、貸借の代理や媒介を業として行う場合で、それと取り違えた文です。

問3(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者でないCは、市が所有する宅地を市が分譲するにあたり、その売買の媒介を反復して行っている。宅建業法は地方公共団体には適用されないので、Cは宅建業の免許を受ける必要はない。

答え:✕ 分かれ目は、適用されないのがだれかです。78条1項は、宅建業法の規定を「国及び地方公共団体」に適用しないとしています。正しくは、市から頼まれて媒介するCには宅建業法が適用され、売買の媒介を業として行うので免許がいります。適用されないのは市自身が売る取引で、その範囲を媒介する者にまで広げた文です。

まとめ

  • 宅建業=宅地・建物の「取引」を「業として」行うこと。4つがそろえば免許がいる。
  • 宅地は、建物の敷地にする土地と、用途地域内の土地(道路・公園・河川・広場・水路を除く)。農地・駐車場でも用途地域内なら宅地。
  • 取引は、自らの売買・交換と、売買・交換・貸借の代理・媒介。自ら貸す・転貸するのは取引でない。
  • 業としては、相手・目的・取得のいきさつ・態様・反復継続性で総合判断。区画割りして複数に売れば1回でも反復継続。
  • 国・地方公共団体には適用なし(媒介する者には適用あり)。信託会社は大臣への届出。宅建業法の○✕は宅建の5分○✕ドリルで続けて解けます。

参考にした公式の情報(2026年10月確認)

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