宅建の個数問題の解き方:消去法が使えない問題で1点を取る

宅建の個数問題は、「次の記述のうち、正しいものはいくつあるか」と聞く問題です。ふつうの問題のように、明らかにおかしい肢を消して残りから選ぶ、という解き方(消去法)が使えません。4つの肢をすべて正しく判定して、はじめて1点になります。

解き方の結論は3つです。1つ目、肢ごとに○(根拠を言えて正しい)・✕(入れ替わった一語を指させて誤り)・△(自信がない)を付ける。2つ目、確実な肢から数を絞り、△の肢だけに時間を使う。3つ目、△が2つ以上残ったら、決めた時間で区切って次の問題へ進む。この記事では、この手順をオリジナルの例題で練習し、ふだんの勉強での備え方まで説明します。

個数問題は、なぜ落としやすいのか

ふつうの4択(「正しいものはどれか」)なら、正しい肢を1つ見つけられれば、ほかの3つに自信がなくても点になります。逆に、明らかな誤りを3つ消せれば、残りの1つを知らなくても点になります。

個数問題では、そうはいきません。4つの肢の判定が1つでもずれると、数がずれて0点です。

かんたんな計算で確かめます(このサイトの計算例です)。1つの肢を正しく判定できる確率が80%で、肢どうしが無関係だとします。4つとも正しく判定できる確率は、0.8×0.8×0.8×0.8=約41%です。1肢あたり80%の自信でも、個数問題で点になるのは半分を切ります。90%なら約66%、95%なら約81%です。個数問題は「だいたい分かる」を「根拠まで言える」に変えた分だけ、点になる問題だといえます。

似た形に「正しいものの組合せはどれか」と聞く組合せ問題があります。こちらは、選択肢の組み合わせ(「ア・イ」「ア・ウ」など)を見ると、1つの肢を自信を持って判定できれば、選択肢をいくつか消せることがあります。個数問題より、消去法が効きやすい形です。

個数問題がどの分野で何問出るかの公式の発表はなく、年によって違います。当サイトが過去の問題を数えると、個数問題は全40回で111問あり、そのうち100問が宅建業法でした(残りは権利関係9問、法令上の制限2問)。回ごとの数は次のとおりです。

回個数問題の数うち宅建業法
令和7年度1110
令和6年度43
令和5年度87
令和4年度65
令和3年度(12月試験)55
令和3年度(10月試験)65
令和2年度(12月試験)55
令和2年度(10月試験)44
令和元年度66
平成30年度33
平成21〜29年度(9回の合計)4439
昭和63〜平成20年度(21回の合計)98

数えたのは、不動産適正取引推進機構が公開している宅建試験の問題(昭和63年度〜令和7年度の40回、2,000問)です。当サイトが1問ずつ読み、「正しいものはいくつあるか」のように数を答えさせる問を個数問題として数えました。分け方は当サイトの判断で、公式の分類ではありません。令和2年度と令和3年度は10月と12月の2回ずつ試験があったので、別の行にしています。

平成20年度以前の21回では合わせて9問でしたが、直近10回では毎回3〜11問あり、58問のうち53問が宅建業法でした。1回ごとの数は上下するので、次の試験で何問出るかは数からは分かりません。数の大半は宅建業法ですが、権利関係にも直近10回で5問ありました。だから、宅建業法を中心に、どの分野でも「肢を1つずつ確定させる力」が要ります。「正しいもの」「誤っているもの」をふくめた問いの形の割合は、宅建の問いの形を数えた記事で分野ごとに並べています。

組合せ問題での使い方:選択肢が「1 ア・イ 2 ア・ウ 3 イ・ウ 4 ウ・エ」のように並んでいるとします。アに✕を付けられれば、1と2が消えます。続いてエに✕を付けられれば4も消え、答えは3です。イとウを読む前に答えが決まります。組合せ問題では、自信のある肢から先に判定し、どの選択肢が消えるかを見ながら進めると、△の肢を読まずにすむことがあります。個数問題では、この近道が使えません。

肢ごとに○△✕を付ける

個数問題では、4つの肢を読みながら、次の3つの印を付けます。

  • ○:正しいと言い切れる。根拠の条文や数字を言える。
  • ✕:誤りだと言い切れる。どこが入れ替わっているかを指させる。
  • △:どちらとも言い切れない。

ポイントは、○と✕を「なんとなく」で付けないことです。✕なら「どの一語が入れ替わっているか」に印が付けられる、○なら「その肢を崩す例外がないこと」まで確かめた、という状態を○✕の基準にします。ひっかけの入れ替わり方の型は、宅建のひっかけ問題のパターンで6つに分けています。

確実な肢から数を絞る(例題)

例題(このサイトのオリジナル問題)
宅建業者が行う取引に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。
ア 宅建業者Aが売主となり、宅建業者Bが買主となる売買では、Aは、Bに対し、35条の重要事項の説明をする必要はないが、35条書面は交付しなければならない。
イ 宅建業者Cが、売主Dと専任媒介契約を結び、有効期間を6か月と定めた。この専任媒介契約は、その全体が無効となる。
ウ 宅建業者Eが売主、宅建業者Fが買主となる売買でも、Eは、Fに37条書面を交付しなければならない。
エ 宅建業者は、37条書面を交付するときは、宅建士に、その内容を相手方に説明させなければならない。
1 一つ 2 二つ 3 三つ 4 四つ

答え:2(二つ) 正しいのはアとウです。

  • ア ○:相手方が宅建業者のときは、35条書面の「交付して説明をさせなければ」が「交付しなければ」に読み替えられ、説明はいらなくなります(35条6項)。書面の交付はいります。
  • イ ✕:専任媒介契約の有効期間は3か月を超えられず、長い期間を定めたときは3か月になります(34条の2第3項)。正しくは、契約全体が無効になるのではなく、期間が3か月に縮みます。
  • ウ ○:業者どうしの取引で外れるのは、33条の2と37条の2から43条までです(78条2項)。37条は外れないので、業者間でも37条書面は交付します。
  • エ ✕:37条は、書面を交付し、宅建士に記名させることを求めています(37条3項)。正しくは、宅建士による説明は求められていません。説明がいるのは35条の重要事項説明です。

この例題を、次の順で解きます。

  1. 4つの肢に印を付ける:たとえば、イ(3か月に縮む)とエ(説明は35条だけ)は確信があるので✕。アは○。ウは「業者間だと外れた気がする」と迷って△。
  2. 数の範囲を出す:○が1つ(ア)、✕が2つ(イ・エ)、△が1つ(ウ)。答えは「一つ」か「二つ」のどちらか。選択肢3と4は、この時点で消える。
  3. △の肢だけに時間を使う:ウだけを考え直す。「業者間で外れる規定はどこからどこまでか」。8種制限(37条の2から43条)と33条の2だけで、37条は入らない。ウは○。
  4. 数を決める:○はアとウの2つ。答えは2。

個数問題でも、○✕が確実な肢が増えるほど、答えの範囲が狭まります。△が1つなら、答えは2つの候補にまで絞れます。消去法が「使えない」のではなく、選択肢単位ではなく肢単位で消していく、と考えると手順が見えます。

△が2つ以上残ったら、時間で区切る

本番の試験時間は2時間(13時から15時)で、50問です(登録講習修了者は45問を1時間50分)。単純に割ると、1問あたり2分24秒です。マークや見直しの時間も要るので、1問に使える時間はこれより短くなります。

当サイトがすすめる区切り方は次のとおりです。

  • 1つの個数問題で、△が2つ以上残ったまま3分たったら、いったん印だけ残して次の問題へ進む。
  • 最後に時間が残ったら戻る。戻ったときは、△の肢だけを読み直す(○✕を付けた肢は読み直さない)。
  • 時間切れで決めるときは、○と✕の数から出した答えの範囲の中で選ぶ。範囲の外の選択肢は選ばない。

△が2つあると、答えの候補は3つに広がり、当たる見込みは下がります。そこに5分、10分と使うと、ほかの問題を解く時間が減ります。1点の問題に使う時間の上限を、あらかじめ決めておくことが大事です。試験当日の時間配分の全体は宅建試験の当日で整理しています。

ふだんの勉強で、個数問題に備える

個数問題の力は、本番で急に伸びるものではありません。ふだんの○✕練習のしかたで決まります。

自信の印を付けて答える:○✕を答えるたびに、自信があるか(確実か、△か)も付けます。手がかりになる研究があります。Butterfield と Metcalfe(2001年)は、一般常識の問題に答えてもらい、答えごとに自信の高さを付けさせ、正解を示したあとでもう一度テストしました。その結果、自信を持ってまちがえた答えほど、正解を見たあとに直りやすいという結果でした(hypercorrection effect=高い確信の誤りが直りやすい現象)。実験は一般常識の問題で、法律の肢で同じ結果になるかは確かめられていません。

ここからは当サイトの当てはめです。自信の印を付けておくと、「自信があったのにまちがえた肢」がはっきりします。この肢は、正しい知識を一度見れば直りやすい可能性があり、しかも本番の個数問題で数をずらす原因になる肢です。ふだんから、自信の印つきで答えて、自信のある✕を優先して見直すと、確信の精度が上がります。

正解した△も、まちがいと同じに扱う:個数問題では、△の肢が1つ残るだけで答えが割れます。○✕が合っていても、△を付けた肢は、数日後にもう一度解く対象にします。

1肢ずつ判定する問題で練習する:一問一答の○✕は、1つの肢を確定させる練習そのものです(宅建の一問一答の使い方)。このサイトの宅建の5分○✕ドリルは、答えるときに自分で○・△・✕を付け、✕と△が日をおいて戻ってくる作りなので、この記事の練習にそのまま使えます。

4肢をまとめて判定する練習もする:四肢択一の過去問を解くとき、正解の肢を見つけたら終わりにせず、残りの3つの肢にも○✕を付けて、理由を一言で言います。本番の個数問題と同じ頭の使い方になります。

この練習も、勉強の量を減らすためのものではありません。肢を迷わず判定するには、条文の数字や例外を正確に覚える時間が要ります。宅建業法の覚え方と回し方は宅建業法の勉強法にまとめています。

今日からやること

  • ○✕を答えるときに、自信の印(言い切れる/△)を付けて答える。
  • まちがえた肢のうち、自信を持って答えていた肢を先に見直す。正解した△も見直しの対象にする。
  • 四肢択一の過去問を解くとき、4つの肢すべてに○✕と理由を付ける。
  • 個数問題で△が2つ以上残ったら3分で区切って次へ進む、と決めておく。

参考にした研究・資料(2026年10月確認)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です