行政書士の問題集・アプリの選び方:肢別・過去問・記述・アプリを誰がどう使うか

行政書士の問題集は、種類ごとに1冊で足ります。基本書と並行して回す肢別(選択肢を1つずつ○✕で解く形)の問題集を1冊。年度別の過去問は、行政書士試験研究センターの公式サイトの無料PDFでも代わりになります。記述式と基礎知識の問題集は、基本書を1周してから、足りない方だけ足します。アプリは肢別の代わりではなく、本を開けない時間の練習用です。

今どうするかは、受ける年度で分かれます。11月8日の令和8年度試験を受ける人は、新しく買い足しません。翌年の令和9年度試験を受ける人は、2027年度版を待って買います。この記事で取り上げる中では、合格革命 行政書士 肢別過去問集の2027年度版が12月23日に発売予定です(2026年10月10日時点)。

この記事では、名前が知られている問題集とアプリから7つを選び、それぞれ「何ができるか」「合う人」「合わない人・注意点」「現実的な使い方」の順に並べます。書名・版・価格・収録の範囲は、2026年10月時点で出版社・提供会社の公式ページと App Store/Google Play で確認したものだけを書いています。価格は税込の目安で、変わることがあります。このサイトは教材を使った感想は書きません。予算ごとの組み合わせは教材の選び方に、肢別の回し方は肢別問題集の使い方に任せ、ここでは「どれが誰に合うか」に絞ります。

問題集とアプリは、種類ごとに何をする物か

先に、種類と役割を並べます。同じ役割の物を2つ持たないことが、選ぶときのいちばんの決まりです。

種類練習できることいつ使うか
肢別・一問一答条文の要件・期間を思い出す基本書と並行
年度別の過去問3時間の配分と本番の形試験の2〜3か月前
記述式の問題集要件を40字程度で書く基本書の1周目のあと
基礎知識の対策本足切りのある科目の問題演習1周目のあと
アプリすき間時間の○✕・択一持ち歩き用に並行

肢別・分野別・年度別の違いと、肢別だけで受かるかは肢別問題集の使い方で、一問一答やアプリの限界(多肢選択式・記述式は○✕では練習できない)は一問一答・アプリの使い方で説明しています。

肢別の問題集:3冊の違いと、合う人

「行政書士 問題集」で探す人がまず選ぶのが、この種類です。3冊とも、過去の試験の選択肢を1つずつに分けて分野ごとに並べた形で、B6判(持ち歩ける大きさ)です。違いは、量と、問題の手の入れ方と、アプリの有無です。

本(2026年度版)価格の目安量・特徴2027年度版
合格革命 肢別過去問集3,850円1,056ページ12月23日発売予定
みんなが欲しかった!肢別問題集2,640円936ページ・重要度ランク予定は未発表
出る順 良問厳選 肢別過去問題集3,850円2800肢・アプリ付き予定は未発表

合格革命 行政書士 肢別過去問集(早稲田経営出版)

何ができるか:2026年度版は3,850円、1,056ページ(2025年12月23日発売)。2027年度版は予価3,850円・1,032ページで、2026年12月23日発売予定です。出版社の説明では、法令科目を中心に、過去問を肢ごとに分解して科目別・体系別に並べ替え、解説を付けた一問一答式の問題集です。

  • 合う人:過去に出た肢を、量を減らさずに広く当たりたい人。翌年に受ける人で、12月に出る新しい版から肢別を始めたい人。同じシリーズの基本テキストを使う人。
  • 合わない人・注意点:1,000ページを超えるので、全部を同じ重さで回そうとすると、平日に少しずつ進める人は1周目が終わりにくくなります。法令科目が中心なので、基礎知識は別に手当てが要ります。
  • 現実的な使い方:基本書で読んだ単元だけを、その日か翌日に解きます。行政法と民法から始め、商法・会社法は基本の範囲で止めます。2周目からは△と✕の肢だけを回します。

みんなが欲しかった!行政書士の肢別問題集(TAC出版)

何ができるか:2026年度版は2,640円、936ページ(2026年1月24日発売)、赤シート付き。出版社の説明では、過去問の選択肢をもとに重要度ランクを付けて体系的に並べ替えた一問一答式で、内容が重なる肢や法改正で不要になった肢は削除・変更しています。2025年度の本試験をもとにした問題も足しています。肢ごとに「覚える」「理解」「ひっかけ」「比較」の印が付きます。法改正は、2025年12月時点で、2026年4月1日までに施行される見込みのものを反映したとしています。2027年度版の肢別問題集の発売予定は、10月10日時点で公式ページに出ていません。

  • 合う人:同じシリーズの「行政書士の教科書」を使う人。重要度ランクを使って、回す量を自分で絞りたい人。3冊の中で価格を抑えたい人。
  • 合わない人・注意点:肢は過去問をもとに手を入れたものなので、本試験の肢を出題年度ごとにそのままの形で確かめたい人には向きません。
  • 現実的な使い方:時間が少ない人は、1周目を重要度の高い肢だけで回し、2周目に残りを足します。「ひっかけ」「比較」の印の肢は、✕にした理由を1行書いておくと、似た条文の取り違えを見つけやすくなります。

出る順行政書士 良問厳選 肢別過去問題集(LEC)

何ができるか:2026年版は定価3,850円(LECの公式ストアでは10%引きの3,465円)。過去30年以上の本試験問題から選んだ2800肢を、一問一答式・見開き完結型で載せています。スマホ学習アプリが付きます。アプリの対応端末と使える期間、法改正の扱いは、LECの書籍ページでは確認できませんでした。2027年版の案内は、10月10日時点でまだ出ていません。

  • 合う人:同じ肢を、机では本で、通勤ではスマホで回したい人。本とアプリを別々に買わずに1つで済ませたい人。
  • 合わない人・注意点:古い年度の肢を含むので、改正のあった条文は解説の条文を今の条文と見比べる手間がかかります。翌年に受ける人が2026年版を買うと、法改正のずれに加えて、アプリがいつまで使えるかも分かりません。買う前に、本の案内でアプリの期限を確かめます。
  • 現実的な使い方:本で印を付けた△と✕の肢を、アプリでは通勤中の解き直しに使う、と役割を分けます。本とアプリで別々に全部を回すと、どの肢をいつ解き直すかの予定が2か所に分かれます。

分野ごとに5肢の問題を並べた過去問集もあります。肢別と分野別のどちらを先にするかは肢別問題集の使い方で、分野別の本を使った組み合わせは教材の選び方で書いています。

年度別の過去問集は買うか、公式PDFで足りるか

先に公式の無料の範囲です。センターのサイトでは、令和2年度から令和7年度の6年分の問題(PDF)と正解が見られます。ただし、著作権の関係で毎年いくつかの問題は載っていません。また、公式にあるのは正解だけで、解説はありません。本を買うかどうかは、この「解説がない」を手元の基本書と条文で埋められるかで決めます。使い方は過去問の記事にまとめています。

みんなが欲しかった!行政書士の5年過去問題集(TAC出版)

何ができるか:2026年度版は2,860円、A5判712ページ(2026年3月10日発売)。令和3年度から令和7年度の5年分を、新しい年度順に収録しています。出版社の説明では、本試験の問題に法改正を反映させて2026年度の試験に合わせたとしています(2025年12月時点で、2026年4月1日までに施行が見込まれる改正)。令和6年度の一部の問題は、引用文献の著作権の都合で載っていません。問題編と解答解説編の2分冊で、抜き取り式のA4判の答案用紙と、TACの受講生データによる正答率が付きます。2027年度版の予定は、10月10日時点で出ていません。

  • 合う人:本番と同じ3時間の通し練習を、紙と答案用紙でしたい人。間違えた問題を、解説で根拠まで確かめたい人。正答率で「落としてはいけない問題」と「深追いしない問題」を分けたい人。
  • 合わない人・注意点:基本書の1周目の途中の人。通し練習は全科目に一度手が付いてからなので、早く買っても使う時期が来ません。過去問の解説を基本書と条文で自分で調べられる人は、公式PDFで足ります。
  • 現実的な使い方:試験の2〜3か月前から、週末に1年分ずつ3時間で解きます。採点のあと、法令等・基礎知識・全体の3つの基準(令和7年度は122点・24点・180点)にそれぞれ届いたかを見ます。

記述式の問題集は、いつ、どんな人が足すか

記述式は3問あり、令和7年度の配点では1問につき20点、合わせて60点です。○✕や択一の問題集では、この形はほとんど練習できません。どう書くかの型は記述式の書き方にまとめているので、ここでは問題集の選び方だけを書きます。

みんなが欲しかった!行政書士の40字記述式問題集(TAC出版)

何ができるか:2026年度版は1,760円、A5判452ページ(奥付は2026年2月17日)。出版社の説明では、①40字の解き方を手順にした解法マニュアル、②過去問を素材にした科目別・出題形式別の解法テクニック、③TACオリジナルの記述式問題の実践編、④主に過去問の多肢選択式問題、の4部です。別冊の解答用紙があり、PDFでもダウンロードできます。法改正は、2025年12月時点で2026年4月1日までに施行が見込まれるものを反映したとしています。

  • 合う人:記述式を何から練習すればよいか分からない人。書く手順を先に決めてから、オリジナル問題で練習したい人。多肢選択式の練習も1冊で済ませたい人。
  • 合わない人・注意点:基本書の1周目の途中の人。記述は条文の要件が頭に入っていないと書けないので、早すぎると解答を写すだけの時間になります。記述より先に択一の点を固める計画の人も、後回しでかまいません。どの科目で何点を取るかは得点戦略の記事の型で先に決めておきます。
  • 現実的な使い方:週に1〜2問、何も見ずに書いてから解答と見比べます。答えの文を覚えるのではなく、「どの条文の、どの要件が抜けたか」を1行で残します。

同じ形の本は早稲田経営出版やLECからも出ています。持つのは1冊で足ります。

基礎知識(旧・一般知識)の対策本はいるか

基礎知識には足切りがあり、令和7年度の基準では56点中24点が要ります。法令等の点がよくても、ここを落とすと不合格です。また、基礎知識の出題分野は令和6年度試験から今の形(一般知識・行政書士法などの業務に関係する法令・情報通信と個人情報保護・文章理解)になりました。それより前の年度の過去問は、分野の並びが今と違います。範囲と6問の取り方は基礎知識の記事で説明しています。

行政書士 基礎知識が得意になる本(早稲田経営出版)

何ができるか:2026年度版は2,310円、A5判304ページ(2026年1月27日発売)。出版社の説明では、最新5年分を中心とした過去問と、オリジナルの予想問題を収録しています。分野ごとの問題の内訳や法改正の扱いは、公式ページでは確認できませんでした。2027年度版の予定は、10月10日時点で出ていません。

  • 合う人:足切りが心配で、基礎知識だけを問題でまとめて練習したい人。使っている肢別が法令科目中心で、基礎知識の問題が手元にない人。
  • 合わない人・注意点:文章理解の練習量を重く見る人は、買う前に書店で目次を見て、文章理解が何問入っているかを確かめます。行政書士法は2026年1月1日施行の改正で条番号が変わった所があるので(行政書士法の改正)、版は受ける年度に合わせます。
  • 現実的な使い方:法令科目の1周目が終わったあと、週に1回、基礎知識の日を決めて解きます。行政書士法・個人情報保護法のように条文で決まる分野から先に固めます。

アプリは、何ができて何ができないか

アプリには、過去問を解くための単体のアプリと、通信講座の受講用のアプリがあります。どちらも、本の肢別を置き換える物ではなく、本を開けない時間の練習に向きます。過去問を収録した単体のアプリは、この記事では取り上げていません。センターは、試験問題を書籍やホームページなどに載せるにはセンターの許諾が必要としており、名前の知られているアプリを調べた範囲で、ストアの説明に許諾の表示を確かめられなかったためです。使う場合は、説明に許諾や出典の表示があるかを見ます。アプリでの○✕の回し方と、間違えた肢の出し直しの間隔は一問一答・アプリの使い方に書いています。

スタディング 行政書士講座(STUDYingアプリ)

何ができるか:アプリ単体ではなく、スマホで受ける通信講座です。公式ページによると、2027年度合格目標の通常価格は、ミニマム(ペーパーレス)34,980円、スタンダード(冊子テキスト付)54,000円、コンプリート(冊子テキスト付)69,400円です(期間限定の値引きがある時期もあります)。スタンダードとコンプリートには、一問一答のスマート問題集、13年分のテーマ別過去問集、記述式の解法講座が入ります(ミニマムには記述式の解法講座が入りません)。コンプリートには、記述式の答案のAI添削も付きます。STUDYingアプリ(iOS・Android)では、講義動画をダウンロードして通信のない所でも見られます(ダウンロードできるのは講義動画だけ)。メールアドレスの無料登録で、講義の一部やスマート問題集などを試せます。

  • 合う人:翌年に受ける人で、何をどの順にやるかを講座に任せ、講義も問題もスマホで済ませたい人。本を何冊も選ぶ手間を省きたい人。
  • 合わない人・注意点:紙に書き込みながら進めたい人(ミニマムは冊子が付かず、記述対策問題集はPDFでの提供です)。講師への質問は、Q&Aチケットが付くのはコンプリートで、ほかのコースは追加で買う形です。11月8日に受ける人が今から始める物ではありません。
  • 現実的な使い方:申し込む前に無料登録で、講義の長さが平日の時間に収まるかを確かめます。講座を選んだら、講座の問題集を肢別の役割にし、市販の肢別を別に買いません。

このほか、無料で使える選択肢として、このサイトの5分○✕ドリルがあります。行政書士試験のオリジナル問題300肢で、根拠を言えたかどうかを選ぶと、自信のなかった肢を日をあけて出し直す作りです(記録はその端末のブラウザにだけ残ります)。

今から何をするか:11月8日に受ける人と、翌年に受ける人

11月8日(令和8年度)に受ける人:買い足さず、手元の物を使い切る

試験まで約4週間です。この時期に新しい問題集を足すと、1周目のために時間を取られ、間違えた所を見直す時間が減ります(直前1か月の復習の配分)。やることは次の3つに絞ります。

  1. 手元の肢別の△と✕の肢を、行政法・民法から解き直す。
  2. 年度別の過去問を3時間通しで解いていなければ、公式PDFで1〜2年分を解く。年度別の本を持っていなくても、これで足ります。
  3. 記述式は、手持ちの問題集か基本書で、行政法と民法の要件を書く練習を週に数問。記述の問題集を持っていなくても、今から買って1冊を通すより、択一の見直しに時間を回すほうが計画を崩しにくくなります。

無料のドリルなどを使うなら、新しい範囲を広げるためではなく、すでに✕を付けた所の確かめに限ります。

翌年(令和9年度)に受ける人:2027年度版を、使う順に買う

試験は、その年度の4月1日に施行されている法令から出ます。2026年度版の問題集は令和8年4月1日時点の法令に合わせてあり、その後の改正は入っていません。たとえば行政書士法には、令和8年5月21日に施行された改正(令和5年法律第63号)があり、令和9年度試験では範囲に入ります。条番号・期間・数字を覚える問題集は、2027年度版で買います。

2026年度版の発売は、この記事で取り上げた本では、肢別が2025年12月〜2026年1月、基礎知識が1月、記述式が2月、年度別が3月でした。2027年度版も同じ時期になるとは限らないので、発売日はTAC出版の刊行予定やLECの書籍ページで確かめてください。買う順番は、使う順番に合わせます。

時期やること買う物
10〜12月入門書か基本書で全体をつかむ基本書(教材の選び方)
肢別の新版が出たら読んだ単元を翌日に肢別で解く肢別1冊(アプリは任意)
1周目のあと記述と基礎知識を足す足りない方の1冊
試験の2〜3か月前3時間の通し練習公式PDFか年度別1冊

新しい版が出るまでは、公式の過去問PDFを1年分眺めて、問題の形を見ておくだけでもかまいません。週に使える時間で計画が成り立つかは、自分に合う進め方を選ぶページで先に確かめておくと、買う冊数も決めやすくなります。

結局どうするか:状況別の決め方

あなたの状況こうする
11月8日に受ける何も買わない。肢別の△✕と公式PDFの通し練習に絞る
翌年・独学・紙で進めたい基本書と同じシリーズの肢別1冊。年度別は公式PDFで始める
翌年・スマホ中心アプリ付きの肢別1冊か、講座のアプリ。同じ役割を2つ持たない
翌年・講座を考えている無料登録で講義の長さを確かめる。講座にしたら肢別は買わない
週5時間未満肢別1冊だけを回す。記述・基礎知識は1周目が終わってから
基礎知識の足切りが心配法令の1周目のあとに基礎知識の本を1冊、曜日を決めて解く
予算をかけたくない肢別1冊(2,640〜3,850円)+公式PDF+このサイトの○✕ドリル

当サイトは、冊数を増やすより、1冊の△と✕を日をあけて解き直す回数を増やすことをすすめます。印の付け方は「できたつもり」を防ぐに書いています。

このサイトで次に読むなら、肢別問題集の使い方がおすすめです。この記事で選んだ肢別を、基本書と並行してどう回すか、法改正で答えが変わった肢をどう扱うかを書いています。

参考にした公式の情報(2026年10月確認)