休日のまとまった時間の使い方:通し演習・弱点つぶし・翌週の復習計画

休日のまとまった時間は、平日の続きをするより、平日にはできない3つに使います。①本番と同じ時間帯での通しの演習。②弱点の分野を1つ選んで、まとめてつぶすこと。③翌週の復習の予定を立てること。新しい単元を少しずつ読み進める作業は、平日の決まった時間に回します。

休日に3時間とれるなら、通し演習か弱点つぶしのどちらか1つと、30分の予定づくりを入れます。5時間以上とれる日は、通し演習とそのあとの振り返りまで入れられます。この記事では、3つのやり方と、時間別の組み方を、行政書士試験と宅建試験の例で書きます。

休日にしかできないことは何か

平日は、すき間の15分と、決まった30〜60分が中心です。途中で切れても困らない作業はそこでできます。休日に回すのは、途中で切ると意味が薄れる作業と、1週間を見渡す作業です。

休日にやることかかる時間平日に向かない理由
通しの演習行政書士3時間・宅建2時間+振り返り途中で切ると時間配分の練習にならない
弱点つぶし2〜3時間読む→解く→確かめるを1日で回す
翌週の予定30分1週間全体を見渡す

逆に、○✕を数問解く、前日の間違いを見直す、といった作業を休日に長々とやるのは、もったいない使い方です。こうした作業は、平日のすき間で十分にできます(通勤・昼休みの15分でやること)。

通しの演習は、いつ・どうやるか

通しの演習とは、本番と同じ時間で、全部の問題を一度に解く練習です。時間帯も本番に合わせます。

  • 行政書士試験:令和8年度は11月8日(日)の午後1時から4時まで。3時間で60問(令和7年度の実績では、5肢択一式54問・多肢選択式3問・記述式3問)。
  • 宅建試験:令和8年度は10月18日(日)の午後1時から3時まで。2時間で50問の四肢択一式。登録講習を終えた人は、午後1時10分から3時までの45問。

どちらも午後の試験です。休日の午後の同じ時間に解くと、昼食のとり方や、眠くなる時間帯まで本番に近い形で試せます。

いつから始めるかは、全部の範囲に一度手が付いてからが目安です。行政書士試験では、1年かけて準備する場合、当サイトは最後の約3か月、週末に1回ずつをすすめています(勉強スケジュールの記事)。宅建試験でも、全範囲を一度回ったあとに始め、残り期間が短くなるほど回数を増やすと組みやすくなります。

材料は、公式サイトで公開されている過去の試験問題(PDF)か、模試です。使うときに、知っておくことが2つあります。

  • 行政書士試験:行政書士試験研究センターのサイトの過去問には、著作権の関係で載っていない問題が毎年いくつかあります。そのぶん満点が小さくなるので、採点のときは、載っている問題の数で割合を出します。
  • 宅建試験:不動産適正取引推進機構は、過去問のページに「法改正により、現在の法律と一致しない場合があります」と書いています。古い年度の問題ほど、正解が今の法律と違うことがあります。

解くときのルールは3つです。スマホは別の部屋に置く。時計は腕時計を1つだけ使う。途中で解説やテキストを見ない。解く順番と時間配分は、本番でやる予定どおりにします。順番と配分の決め方は、試験当日の記事で書いています。模試を使う場合の時期や回数は、模試の使い方の記事にまとめています。

通しの演習には、分野別の問題集にはない練習が含まれています。本番では、科目も論点もばらばらの順で出てきます。そのため、「この問題はどの制度の話か」を自分で見分けなければなりません。これに関係する実験があります。

Rohrer & Taylor(2007年)の実験では、大学生が4種類の立体の体積の求め方を習い、練習問題を解きました。片方のグループは、同じ種類の問題をまとめて解きました。もう片方は、種類を混ぜた順番で解きました。

練習中の正答率は、まとめて解いたほうが高く、89%対60%でした。ところが1週間後のテストでは、混ぜて解いたほうが63%、まとめて解いたほうが20%と、逆になりました。テストの間違いのほとんどは、計算のミスではありませんでした。どの公式を使うかの選び間違いでした。

試験勉強に当てはめると、分野別では解けるのに通しで崩れるのは、「選ぶ」練習が足りないからかもしれない、ということです。ただし、この実験は数学の問題で、最後まで参加したのは18人です。法律の試験で同じ大きさの差が出るとは言えません。混ぜて解く練習のくわしいやり方は、混ぜて解く練習の記事で書いています。

通しの演習のあと、何をするか

解き終わったら、点数を出すより先に、間違えた問題を3つに分けます。かける時間は1時間ほどです。分け方によって、次にやることが変わります。

間違いの種類見分け方次にやること
知らなかった解説を読んで初めて知った翌週の弱点つぶしの候補にする
知っていたのに間違えた解説を読めば「そうだった」と分かるその肢を平日のすき間の見直しに入れる
時間切れ・読み違い時間があれば解けた解く順番と時間配分を直す

点数は、そのあとに見ます。行政書士試験では、合格の条件が3つありました。令和7年度の合否判定基準では、法令等122点以上、基礎知識24点以上、全体180点以上で、3つ全部を満たす必要がありました。この基準は、問題の難しさによって補正されることがあります。通しの演習では、全体の点よりも「3つのうちどれが足りなかったか」を見ます。

宅建試験の合格基準点は、毎年変わります。直近5年では、50問中33点(令和7年度)から37点(令和6年度)でした。決まった点を目標にするより、上のほうの年でも届く点を目安にしておくと安心です。

弱点の分野は、どう選んで、どうつぶすか

弱点つぶしは、1回の休日で1つの分野だけにします。選び方は、次の2つが重なる分野です。1つは、通しの演習や分野別の問題で「知らなかった」が多い分野。もう1つは、点の大きい科目に入っている分野です。

たとえば行政書士試験なら、行政手続法の「聴聞と弁明の機会の付与」のような、1つの条文のまとまりで区切れる分野が向いています。宅建試験なら、宅建業法の「8種制限」(業者が売主のときだけのルール)のような分野です。科目全体(「民法」など)を1日でつぶそうとすると、どこも浅くなって終わります。

2時間半の使い方の例です。

  1. テキストのその分野を読む(30分)。全部ではなく、間違えた論点のまわりだけにする。
  2. その分野の問題をまとめて解く(60分)。肢ごとに○✕と「理由を一言」を決めてから答えを見る。
  3. 間違えた肢の根拠になる条文を開き、要件を確かめて一言メモを残す(30分)。
  4. 休憩をはさんで、最初に間違えた問題だけ解き直す(20分)。
  5. まだ言えない肢を、翌週の見直しのリストに入れる(10分)。

ここでは、同じ分野の問題をまとめて解いています。理解がまだ固まっていない段階では、同じ種類が続くほうが、ルールの形をつかみやすいからです。ただ、上の実験のとおり、まとめて解いた日の「できた」という感じは、1週間後には当てになりません。そこで、つぶした分野の問題は、翌週の平日のすき間と次の通しの演習で、ほかの分野と混ぜて出し直します。

選ばないほうがいい分野もあります。点が小さく、範囲の広い分野です。どこを深追いしないかは、試験ごとの「捨ててもいい所」の記事で書いています。

翌週の復習の予定は、どう立てるか

休日の最後の30分で、翌週の予定を立てます。材料は、その週にたまった✕の肢のリストと、その日につぶした分野です。予定は「何曜日の、どのすき間で、どれを出すか」まで書き込みます。

当サイトがすすめる置き方は、「2〜3日後・約1週間後・3〜4週間後」の3回です。たとえば日曜につぶした分野なら、火曜か水曜の通勤で○✕、次の休日に✕と△の肢の見直し、3〜4週間後の休日にもう一度、のようにします。

間のあけ方には、目安になる研究があります。Cepedaら(2008年)の実験では、1,354人があまり知られていない事実32個を覚え、間をあけてもう一度学びました。2回の学習の間は0日〜105日、最後のテストまでは7日〜350日の組み合わせで比べています。

結果は、どの組み合わせでも、間が短すぎても長すぎても成績が下がり、ちょうどよい間がありました。ちょうどよい間は、テストが先になるほど長くなりました。また、間が長すぎるときの損は、短すぎるときの損より小さめでした。

試験勉強に当てはめると、試験までまだ数か月ある時期は、復習を詰めすぎなくてよい、ということです。迷ったら、短くしすぎないほうを選びます。ただし、この実験は事実を覚える課題で、法律の理解にそのまま使える日数ではありません。間隔の決め方は、間をあけて繰り返す復習の記事でくわしく書いています。

もう一つ、予定は「思ったより進まない」前提で立てます。Buehlerら(1994年)は、卒業論文を書く大学生に、いつ書き終わるかを予想してもらい、実際と比べました。分析した33人の予想は平均33.9日で、実際は平均55.5日かかりました。予想した日までに終えたのは3割ほどでした。

これを受けて、当サイトでは、平日の予定は「できそうだと思う量の7割」で組むことをすすめます。残りの3割は、遅れを吸収する空きにします。7割という数字は研究から出したものではなく、当サイトの目安です。予定の書き方は、「いつ・どこで・何を」の形にすると始めやすくなります(やる気に頼らない続け方の記事)。

休日の時間別に、どう組むか(例)

行政書士試験の通しの演習は3時間かかるので、休日が3時間しかない日には入りません。宅建試験は2時間なので、3時間の日にも入ります。次は、当サイトが考えた組み方の例です。

休日の時間中身注意
3時間(行政書士)弱点つぶし2時間半+予定30分通しは5時間とれる日に
3時間(宅建)通し2時間+分類40分+予定20分分類は3つに分けるだけ
5時間午後に通し+分類1時間+予定30分弱点つぶしは次の休日へ
土日の両方土に弱点つぶし、日に通しと予定片方は短い日にしてもよい

通しの演習を始める前の時期は、休日は弱点つぶしと予定づくりが中心になります。この時期の弱点つぶしは、「その週に進めた単元の問題をまとめて解き、間違いを確かめる日」と考えてかまいません。

休日を勉強で埋めすぎないためには

平日に遅れが出ると、休日で全部取り返したくなります。けれども、休日を全部取り返しに使うと、通し演習と予定づくりの時間がなくなります。取り返すのは、間違えた肢の見直しだけにします。新しい単元の遅れは、翌週以降に配り直します。配り直しても間に合わないときは、点の小さい所から浅くします(削る順番は勉強スケジュールの記事)。

休む日も、先に決めておきます。2日ある休日の両方を長時間の勉強にするより、片方を短い日にするほうが、長い期間を続けやすくなります。休む日の決め方は、疲れた日の最低ラインの記事で書いています。試験まで1か月を切ったら、新しい教材は増やさず、休日の通し演習と見直しに寄せます。

今日からやること

  • 次の休日に何時間とれるかを決め、上の表のどの組み方にするかを選ぶ。
  • 通しの演習をする日は、本番と同じ午後1時に始められるように予定を空ける。
  • 解き終わったら、点数より先に、間違いを「知らなかった」「知っていたのに」「時間切れ」の3つに分ける。
  • 休日の最後の30分で、翌週の見直しを「何曜日の、どのすき間で」まで書き込む。予定の量は7割にする。

このサイトで次に読むなら、通勤・昼休みの15分でやることがおすすめです。休日に立てた予定を、平日のすき間でどう回すかが分かります。試験が近い人は、直前1か月の復習の配分も合わせて読むと、休日の使い方を時期に合わせて変えられます。

参考にした研究・資料(2026年10月確認)

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