建築確認をわかりやすく:確認がいる工事と手続きの流れ(2025年4月改正後)

建築確認(けんちくかくにん)は、建物の工事を始める前に、その計画が建築基準法などのルールに合っているかを確かめてもらう手続きです(建築基準法6条1項)。確かめるのは建築主事等(市や県の担当者)か、国などが指定した民間の指定確認検査機関です。確認済証(かくにんずみしょう)を受け取るまで、工事は始められません(6条8項)。

2025年4月1日施行の改正で、確認がいる建物の区分が変わりました。いまは「2階以上か、延べ面積200平方メートル超」の建物は、木造かどうかに関係なく全国どこでも確認が必要です。平屋で200平方メートル以下の建物は、都市計画区域などの中で建てるときだけ必要です。この記事では、確認がいるかどうかの判断と、確認から完了検査までの流れを扱います。条文は令和8年4月1日時点のものです。

身近な例で考えると

登場人物は2人です。家を建てる会社員=はるかさんと、設計と工事を引き受けた工務店の建築士=けんじさんです。

  1. はるかさんは、市街化区域の土地に、木造2階建て・延べ面積120平方メートルの家を建てることにした。2階建てなので、6条1項2号の建物に当たる。
  2. けんじさんが確認の申請をした。審査は、申請を受け付けた日から35日以内に行われる。
  3. 確認済証が届いてから、工事を始めた。
  4. 工事が終わったので、終わった日から4日以内に届くように完了検査を申請した。検査は、申請を受け付けた日から7日以内に行われる。
  5. 検査に通り、検査済証(けんさずみしょう)を受け取った。2号の建物の新築なので、原則として検査済証を受け取るまでは住めない。
  6. 5年後、庭側に床面積8平方メートルの増築をした。土地は防火地域でも準防火地域でもない。10平方メートル以内の増築なので、確認はいらなかった。

たとえると、建築確認は「工事の設計図を先生に見せて、OKのはんこをもらう」ことです。完了検査は「できあがった作品を見せて、設計図どおりかを見てもらう」ことです。ただし本物のルールでは、はんこをもらう相手は役所だけではありません。指定確認検査機関の確認も、役所の確認と同じ扱いになります(6条の2第1項)。

条文ではこう決まっている

確認がいる建物(6条1項・2025年4月改正後)

  • 1号:別表第一(い)欄の用途の特殊建築物で、その用途の床面積の合計が200平方メートルを超えるもの。用途は、劇場・映画館・集会場、病院・ホテル・旅館・共同住宅・寄宿舎、学校・体育館、百貨店・マーケット・展示場・キャバレー・バー・遊技場、倉庫、自動車車庫などで、政令で細かく決まっている。
  • 2号:1号以外で、2以上の階数がある建物か、延べ面積が200平方メートルを超える建物。
  • 3号:1号・2号以外(平屋で延べ面積200平方メートル以下)で、都市計画区域・準都市計画区域、準景観地区、都道府県知事が指定する区域の中の建物。都市計画区域などのうち、知事が指定して外した区域は入らない。
  • 1号と2号は、場所に関係なく全国で確認がいる。3号は、上の区域の中だけ。

確認がいる工事(6条1項・2項、2条13号〜15号)

  • 1号・2号:建築(新築・増築・改築・移転)、大規模の修繕、大規模の模様替のどれでもいる。増築して1号・2号の大きさになる場合もふくむ。
  • 3号:建築のときだけいる。大規模の修繕・模様替にはいらない。
  • 大規模の修繕・模様替:主要構造部(壁・柱・床・はり・屋根・階段)の一種以上について、過半(半分を超える部分)を直す・作り変えること(2条14号・15号)。
  • 例外:防火地域・準防火地域の外で、増築・改築・移転をする部分の床面積の合計が10平方メートル以内なら、確認はいらない(6条2項)。新築にはこの例外はない。

審査の期間と工事の開始(6条4項・6項・8項)

  • 1号・2号:申請を受け付けた日から35日以内に審査する。
  • 3号:7日以内に審査する。
  • 構造計算のチェックが必要な場合などは、35日の範囲で延長できる。延長するときは、その期間と理由を通知する。
  • 確認済証を受け取った後でなければ、工事をしてはいけない。

審査の一部省略(6条の4)

  • 3号の建物で、建築士が設計したものは、政令で定める一部の規定が審査の対象から外れる。
  • 改正前は「4号特例」と呼ばれ、木造2階建ての住宅なども対象だった。改正後は3号(平屋で200平方メートル以下)に縮小された。

完了検査と使用制限(7条・7条の6)

  • 工事が終わったら、終わった日から4日以内に建築主事等に届くように、完了検査を申請する(7条1項・2項)。やむを得ない理由があるときは、その理由がなくなった日から4日以内。
  • 検査は、申請を受け付けた日から7日以内に行う(7条4項)。合っていれば検査済証を交付する(7条5項)。
  • 1号・2号の建物を新築したときは、検査済証を受け取るまで使ってはいけない(7条の6第1項)。
  • 例外:①特定行政庁(とくていぎょうせいちょう=建築の許可などをする自治体)が安全上・防火上・避難上支障がないと認めたとき、②建築主事等か指定確認検査機関が国の基準に合うと認めたとき、③完了検査の申請が受け付けられた日から7日たったとき。

用途変更と届出(87条・15条)

  • 建物の用途を変えて、1号の特殊建築物にするときは、確認の規定を準用する(87条1項)。200平方メートル超の特殊建築物にする用途変更なら、確認がいる。
  • 政令で定める似た用途どうしの変更は、確認がいらない。
  • 用途変更の工事が終わったときは、完了検査の申請ではなく、建築主事等への届出をする。
  • 確認とは別に、建物を建てる人は建築工事届を、取りこわす工事をする人は除却届を、建築主事等を通じて知事に出す。床面積の合計が10平方メートル以内ならいらない(15条1項)。

当てはまる例・当てはまらない例

  1. 当てはまる(全国で確認):都市計画区域の外の山あいに、木造2階建て・延べ面積100平方メートルの別荘を新築する。2階建てなので2号です。2号は場所を問わないので、確認がいります。
  2. 当てはまらない(区域の外の平屋):都市計画区域・準都市計画区域などの外に、平屋・延べ面積150平方メートルの住宅を新築する。1号でも2号でもなく、3号の区域の中でもないので、確認はいりません。
  3. 当てはまらない(3号の大規模修繕):市街化区域にある平屋・延べ面積90平方メートルの住宅で、屋根の過半をふき替える大規模の修繕をする。3号の建物は「建築」のときだけ確認がいるので、いりません。
  4. ひっかけやすい(防火地域の小さな増築):防火地域の中で、床面積5平方メートルの増築をする。10平方メートル以内の例外は「防火地域・準防火地域の外」だけです。この建物が1号〜3号のどれかに当たる限り、確認がいります。
  5. ひっかけやすい(新築の10平方メートル):都市計画区域の中で、床面積8平方メートルの平屋の物置を新築する。10平方メートル以内の例外は増築・改築・移転だけです。3号の建物の新築なので、確認がいります。
  6. ひっかけやすい(用途変更):延べ面積300平方メートルの事務所を、ホテルに用途変更する。ホテルは別表第一の特殊建築物で200平方メートルを超えるので、確認がいります。逆に、ホテルを事務所にする変更は、事務所が特殊建築物ではないので、87条の確認はいりません。

似ているルールとの違い

まず、2025年4月の改正の前と後の違いです。古い問題集や解説で勉強すると、答えが逆になることがあります。

建物の例改正前改正後(2025年4月から)
木造2階建て・延べ120㎡の住宅旧4号(区域外なら確認不要)2号(全国で確認)
木造平屋・延べ250㎡の住宅旧4号2号(200㎡超)
木造平屋・延べ150㎡の住宅旧4号3号(区域内だけ確認)
鉄骨造2階建て・延べ150㎡の事務所旧3号(全国で確認)2号(全国で確認)

改正前は、木造なら3階以上か延べ面積500平方メートル超など、木造以外なら2階以上か延べ面積200平方メートル超で、全国で確認が必要でした。改正後は木造かどうかの区別がなくなりました。宅建試験は試験を行う年度の4月1日現在の法令から出題されるので、令和8年度は改正後のルールで考えます。

次に、建物に関係する手続きの違いです。

手続き何を見るかだれが行う根拠
開発許可建物のための土地の造成知事等都市計画法29条
建築確認工事前の建物の計画建築主事等・指定確認検査機関建築基準法6条
完了検査できあがった建物建築主事等・指定確認検査機関建築基準法7条

開発許可がいる土地でも、そこに建物を建てるときは別に建築確認がいることがあります。開発許可の面積の基準は開発許可の記事で確かめてください。

試験ではここをまちがえやすい

宅建試験の法令上の制限では、「次の工事のうち建築確認が必要なものはどれか」という形で、建物の規模・場所・工事の種類を組み合わせて問われやすい論点です。

  • 「全国」か「区域内」か:1号・2号は全国、3号は都市計画区域・準都市計画区域などの中だけ。「都市計画区域外だから確認不要」は、平屋・200平方メートル以下の建物でしか成り立ちません。
  • 200平方メートルは「超える」:ちょうど200平方メートルの平屋は2号ではありません。特殊建築物も200平方メートルを超えたときに1号です。
  • 10平方メートルの例外の条件:防火地域・準防火地域の外、増築・改築・移転、床面積10平方メートル以内。新築と防火・準防火地域の中は例外になりません。
  • 大規模の修繕・模様替:1号・2号はいる、3号はいらない。
  • 日数:審査は35日(1号・2号)と7日(3号)。完了検査の申請は工事完了から4日以内、検査は受付から7日以内。使用制限の例外も「受付から7日」。
  • 用途変更:特殊建築物(200平方メートル超)への変更だけ。終わったら完了検査の申請ではなく届出。

防火地域・準防火地域の中でどんな建物が求められるかは防火地域・準防火地域の記事、建物の大きさの上限は建ぺい率と容積率の記事で続けて学べます。

○✕でたしかめよう

問1(このサイトのオリジナル問題)
都市計画区域および準都市計画区域の外(準景観地区や知事が指定する区域でもない場所)で、木造2階建て・延べ面積100平方メートルの住宅を新築する場合、建築確認は不要である。

答え:✕
2以上の階数がある建物は6条1項2号に当たり、場所に関係なく確認がいります。改正前は確認不要だった例なので、古い知識のまま答えないよう注意します。

問2(このサイトのオリジナル問題)
準防火地域の中で、既存の住宅に床面積6平方メートルの増築をする場合は、建築確認は不要である。

答え:✕
10平方メートル以内の増築で確認がいらないのは、防火地域・準防火地域の外だけです(6条2項)。準防火地域の中では、小さな増築でも確認がいります(建物が1号〜3号に当たる場合)。

問3(このサイトのオリジナル問題)
木造2階建ての住宅を新築した建築主は、完了検査の申請が受け付けられた日から7日を経過したときは、検査済証の交付を受ける前でも、その住宅を使うことができる。

答え:○
2号の建物の新築は、原則として検査済証の交付まで使えません(7条の6第1項)。ただし、完了検査の申請の受付から7日たったときは使えます(同項3号)。

まとめ

  • 2025年4月から、1号=特殊建築物で200㎡超、2号=2階以上か延べ200㎡超、3号=それ以外(平屋で200㎡以下)。
  • 1号・2号は全国で確認。3号は都市計画区域・準都市計画区域などの中だけ。
  • 1号・2号は建築・大規模の修繕・大規模の模様替で確認、3号は建築だけ。防火・準防火地域の外の10㎡以内の増築・改築・移転は不要。
  • 審査は35日・7日。完了検査は完了から4日以内に申請、受付から7日以内に検査。
  • 1号・2号の新築は検査済証まで使えない(仮使用の認定、受付から7日経過などの例外あり)。用途変更は特殊建築物200㎡超への変更で確認。

このサイトで次に読むなら、防火地域・準防火地域をわかりやすくがおすすめです。この記事の「10平方メートルの例外」が防火地域かどうかで変わるように、建物の規模と地域の組み合わせで答えが決まる点が共通しています。

参考にした公式の情報(2026年10月確認)

宅建試験の出題の根拠となる法令は、試験を実施する年度の4月1日現在施行されているものです(不動産適正取引推進機構)。条文は、令和8年4月1日時点で施行されている内容をe-Gov法令検索で確かめました。改正前の区分は、e-Gov法令検索で2025年3月31日時点の6条を表示して確かめました。