宅建の模試の使い方:無料・直前模試の選び方、いつ何回、結果の読み方

宅建の模試(本番に似せた練習の試験)は、予備校など民間の団体が自分で問題を作って行うものです。宅建試験を実施する一般財団法人 不動産適正取引推進機構(以下「機構」)の試験ではありません。模試の点数や合格判定で、本番の合否が決まるわけではありません。本番の合否は、その年の合格基準点に届いたかで決まります。合格基準点は毎年変わり、直近5年は50問中33〜37点でした。

模試の使い道は3つです。①本番と同じ2時間で50問を解き、時間配分と解く順番を試す。②初めて見る問題・マークシート・決まった開始時刻という本番の形に慣れる。③どの分野で、どう落としたかを知り、残りの期間の復習の材料にする。受けるのは全範囲を一通り終えてからで、回数は「次の模試までに前の模試の復習を終えられる数」までにします。結果は合計点より、落とし方で読みます。

模試は受けたほうがいいのか:公式の過去問との違い

受けなくても、準備はできます。機構のサイトには、昭和63年度から令和7年度までの問題と正解番号表(PDF)が無料で載っています。本番と同じ13時から2時間を取って解けば、時間配分の練習になります(何年分をどう解くかは宅建の過去問の記事)。

そのうえで模試を足す意味は、宅建の場合、次の所にあります。

比べる点公式の過去問PDF模試
問題本番の問題。解いたことがあれば初見ではない初めて見る問題
法改正・統計出された年度の法令と数字のままその年度向けに作ってあるかを確かめて選ぶ
解説ない(正解番号だけ)あるが、中身は模試ごとに違う
費用無料無料のものと有料のものがある

過去問を何度も解いて答えを覚えている人ほど、初めて見る問題で時間配分を試せる模試の意味は大きくなります。また、統計の数字は毎年変わり、法改正で新しくなった所は過去問にまだ少ないので、その年度向けに作られた模試で確かめる価値があります。反対に、公式の過去問をまだ一度も2時間通しで解いていないなら、先にそちらで1回試します。お金をかけずに、自分の時間配分の癖が分かります。

無料模試・直前模試は、何を確かめて選ぶか

「直前模試」「公開模試」などの呼び名は、行う団体ごとに違います。呼び名や有料・無料より、次の5つを確かめます。

  1. 本番と同じ形か:50問・四肢択一式・2時間か。登録講習を終えた5問免除の人は、45問・1時間50分で解けるか(本番の免除は問46〜50の5問です)。
  2. 受ける年度の法令と数字か:宅建試験は、試験の年度の4月1日に施行されている法令から出ます。令和8年度なら令和8年4月1日の時点です。統計の数字も、その年度向けかを見ます。
  3. 解説が肢ごとにあり、条番号が書いてあるか:正解の肢だけの解説では、残りの3つの肢の復習ができません。
  4. 結果が何を、いつ返すか:問題ごとの正答率(正しく答えた人の割合)と、分野ごとの成績が出るか。結果が届くまでの日数も見ます。
  5. 受け方と申込の条件:会場か自宅か。申込に連絡先の登録が要るか、案内のメールなどを受け取ることになるかも、先に読んでおきます。

無料の模試でも、この5つがそろっていれば練習には足ります。有料かどうかより、復習に使える解説と結果が付くかで選びます。

いつ・何回受けるか

目安は、全範囲(宅建業法・権利関係・法令上の制限・税・その他)に一度は手が付いてからです。まだ読んでいない分野が多い時期に受けても、点数は「やっていない所が多い」ことを示すだけで、次に何を直せばよいかが分かりません。試験は毎年10月の第3日曜日なので、当サイトは次の置き方をすすめます。

回時期(当サイトの目安)見ること
1回目試験の2か月前ごろ(8月中旬〜下旬)分野ごとの失点と、時間の足りなさ
2回目試験の1か月前ごろ(9月中旬)1回目のあと直した所が点になったか
3回目(足すなら)試験の2〜3週間前まで時間配分と解く順番の最終確認

回数に決まりはありません。1回の模試には、2時間の本番と、同じくらいの見直しの時間がかかります(当サイトは1回あたり約4時間と見込みます)。前の模試の復習が終わらないまま次を受けると、同じ所でまた落とし、同じ弱点をもう一度確かめるだけになります。模試の間の週末は、公式の過去問での通し練習に使えます。

試験の週には、新しい模試は受けません。結果を直す時間が残らないからです。

試験まで1週間ほどの人は

試験まで1週間ほどの人が新しく模試を受けるなら、試験の1週間前の週末の1回までにします。結果が返るのを待たずにその日のうちに自己採点し、残りの平日はその✕と△の見直しに使います。試験の前の日(土曜日)にも受けません。残りの日の割り振りは直前1か月の復習の配分にまとめています。

次の年の試験を目指す人は

試験は毎年10月の第3日曜日です。正式な日付は、原則として6月の第1金曜日に官報と機構のサイトで公告されます。模試を受ける8月と9月の週末を、早めに予定表で押さえておきます。申込は例年7月です(令和8年度はインターネットが7月1日〜31日、郵送が7月1日〜15日)。年間の組み方は宅建の勉強スケジュールで説明しています。

会場で受けるか、自宅で受けるか

比べる点会場自宅
本番に近い所決まった時刻・知らない人の中で解く時刻と決まりを自分で合わせれば近づく
手間移動がある。日程が決まっている都合のよい日にできる
崩れやすい所費用と日程中断・スマホ・時間の延長

本番は、原則として住んでいる都道府県の、指定された会場で受けます。会場は自分では選べません。12時30分までに着席し(5問免除の人は12時40分まで)、途中で退出はできません。13時30分を過ぎて着いた人は受験できません。行ったことのない場所で、知らない人に囲まれて2時間座り続ける経験は、1回は会場の模試でしておくと安心です。

自宅で受けるときは、次の決まりを先に作ります。

  • 13時から15時に解く(5問免除の人は13時10分から15時)。12時30分には机に着く。
  • 途中で席を立たない。スマホは別の部屋に置き、時間は腕時計で見る。
  • 答えはマークシート(なければ別の紙)に移す。問題冊子に書いた番号とずれないかまで練習する。
  • 時間が来たら止める。延長して解いた問題は、点数に入れない。

本番の持ち物や、机の上に置けるものは宅建試験の当日の記事で確かめ、模試でも同じ物だけを置きます。

結果はどう読むか:点数より「落とし方」

模試の順位や合格判定(A・Bなど)は、その模試を受けた人の中での位置と、その団体が出した見込みです。本番を受ける人全体の中での位置ではありません。模試の難しさも本番と同じとは限らないので、合計点を直近の合格基準点(33〜37点)とそのまま比べて、喜んだり落ちこんだりしすぎないようにします。

見るのは、落とした問題が「どの分野で」「どう落としたか」です。落とし方は4つに分けます。

  1. 知らなかった:その条文やルールを覚えていなかった。
  2. 知っていたが読み違えた:「誤っているものはどれか」を正しいものと取り違えた。事例の登場人物(売主・買主、宅建業者かどうか)を取り違えた。
  3. 時間が足りなかった:後回しにした問題に戻れなかった。最後のほうを急いで落とした。
  4. マークのずれ・塗り忘れ:分かっていたのに、マークでまちがえた。

たまたま当たった問題(迷って△を付けたのに正解した問題)も、本番で取れるとは限らないので、失点の側に数えておきます。

例で読んでみます。みなとさんが8月の模試で31点(50問中19問を落とした)だったとします。

分野落とした数落とし方
宅建業法6問知らない2・読み違え3・時間1
権利関係7問知らない5・読み違え2
法令上の制限3問知らない3
税・その他3問知らない3

合計の31点だけを見ると「あと数点」に見えます。でも落とし方で読むと、直す順番が決まります。宅建業法の6問のうち4問は、読み違えと時間で落としていて、知識を足さなくても減らせる失点です。当サイトの得点戦略の「宅建業法で稼ぐ型」では、宅建業法で落としてよいのは2問なので、まずここを直します。具体的には、問題文の「誤っているもの」に丸を付ける、登場人物の立場に印を付けるなど、解き方を変えて次の通し練習で試します。権利関係の「知らない5問」は、そのうちどれが深追いしなくてよい所かを確かめてから手を付けます。分野ごとに何問まで落としてよいかの決め方は、宅建試験の得点戦略にまとめています。

正答率が示される模試なら、「正答率が高いのに自分は落とした問題」を探します。受けた人の多くが解けた問題で落とすと、差が開きます。先に直すのはこちらです。正答率がとても低い問題は、復習の順番を後ろにしてかまいません。

受けたあと、何をどの順で復習するか

模試は、受けっぱなしにしないことがいちばん大事です。大学生72人が文章を読んで選択肢の問題を解いた実験(Butler & Roediger、2008年)では、答え合わせをしなかった場合、1週間後のテストで、選択肢の問題で見たまちがいの選択肢を答えとして書いてしまうことがありました。答え合わせをした場合は、それが減り、正しく書ける答えが増えました。答え合わせは、解いた直後でも、全部解き終えてからまとめてでも効果がありました。模試の解説を読むのは、この「答え合わせ」にあたります。受けた週のうちに、次の順で見直します。

  1. その日のうちに自己採点する:解いている最中に付けた迷いの印を使い、肢ごとに○・△・✕を付けます。
  2. 失点を4つに分け、分野ごとに数える:上の表の形にします。
  3. 直す順を決める:正答率が高いのに落とした問題、宅建業法と法令上の制限、権利関係の基本の順にします。
  4. 根拠の条文を確かめる:解説にある条番号を、e-Gov法令検索で元の言葉で読みます。模試の解説が、受ける年度の4月1日の時点の法令で書かれているかも見ます。
  5. ✕と△の肢を、正しい形の1行にする:問題文は写さず、「誰が・いつまでに・何を」で書きます。これを一問一答の形にして、3日後・1週間後に思い出します(一問一答の使い方)。
  6. 時間の使い方を書き残す:どの分野で何分使ったか、どこで止まったかを書き、次の通し練習で配分と解く順番を変えます。

「読み違え」「時間」「マーク」は、知識を足しても直りません。解く順番、1問にかける時間の上限、迷った問題の印の付け方を変えて、次の通し練習で試します。1問の上限や印の付け方の目安は宅建試験の当日の記事で示しています。

模試の問題そのものを覚え直す必要はありません。予想の問題なので、同じ問題が本番に出るとは限らないからです。覚えるのは、その問題のよりどころになった条文のほうです。ただし、受ける年度向けの統計の数字は、そのまま覚える価値があります。

結果が悪かったときは、どう組み直すか

1回の模試の点数で、受けるかどうかや、勉強のやり方全体を決め直す必要はありません。組み直すかどうかは、残りの期間で決めます。

  • 残り2か月以上:得点戦略の型と、深追いしない範囲を見直します。「知らなかった」が多い分野に、平日の机の時間を回します。
  • 残り1か月前後:新しい範囲は入れません。宅建業法と法令上の制限の✕と△、読み違えの癖の直しに集めます。
  • 読み違えと時間の失点が多い:期間にかかわらず、知識の前に解き方を直します。いちばん早く点が戻る所です。

5問免除の人は、45問で受け、合格基準点は数字のある年はどの年も一般の受験者より5点低く示されています。模試の点を読むときも、45問で何問落としたかで見ます。

今日からやること

  • 受ける予定の模試が、50問・2時間の形か、受ける年度の法令と統計か、肢ごとの解説があるかを確かめる。
  • 模試を受ける週末と、その次の平日の見直しの時間を、先に予定表に入れる。
  • 自宅で受けるなら、13時開始・スマホは別の部屋・途中で立たない、を決める。
  • 結果が出たら、失点を「知らない・読み違え・時間・マーク」に分け、分野ごとに数える。
  • ✕と△の肢を正しい形の1行にして、一問一答で3日後・1週間後に思い出す。

このサイトで次に読むなら、宅建の勉強スケジュールがおすすめです。模試を受ける時期を、残りの期間の中のどこに置くか、模試で見つかった弱点をどの月で直すかを決められます。

参考にした公式の情報・研究(2026年10月確認)