宅建試験の過去問は、試験を実施している一般財団法人 不動産適正取引推進機構(以下「機構」)のサイトで、無料で見られます。「宅建試験の問題及び正解番号表」のページに、昭和63年度から令和7年度までの38年度分の問題と正解番号表(PDF)が並んでいます。令和2年度と令和3年度は10月と12月の2回に分けて行われたので、PDFは40回分です。解説は付いていません。
当サイトのすすめは次の使い分けです。本番と同じ2時間で通して解くのは、新しい年度から6回分(令和7年度から令和3年度の10月・12月まで)。単元ごとの練習は、受ける年度向けの分野別の過去問集で、✕と△の肢(し=選択肢)がなくなるまで回します。古い年度の問題は、法改正で答えが変わっていることがあるので、今の条文で確かめてから使います。
「過去問だけで受かるか」には、正直に「勉強の中心にはなるが、それだけでは穴が残る」と答えます。法改正で新しくできたルール、毎年変わる統計の数字、まだ問われていない条文があるからです。この記事では、何年分・何周やるか、解説の選び方、間違えた肢の扱いまで具体的に書きます。
公式の過去問はどこで、何が見られるか
機構の宅建試験の問題及び正解番号表のページに、年度ごとのPDFがあります。2026年10月10日に当サイトで確かめた内容は次のとおりです。
- 載っている年度:昭和63年度から令和7年度まで。間に抜けている年度はありません。令和2年度と令和3年度は、10月試験と12月試験が別のPDFです。
- 中身:問題と正解番号表です。なぜその答えになるのかの解説はありません。
- 5問免除の人の問題:講習を終えた人(5問免除。平成9年度以降)の問題は、各年度の問1から問45までの45問だと注記されています。
- 法改正の注意:「法改正により、現在の法律と一致しない場合があります。」と注記されています。
- 問い合わせ:試験問題と解答の内容についての問い合わせには、一切答えないとされています。
令和8年度(10月18日)の問題は、合格発表の日から機構のサイトに載る予定です。合格発表は令和8年11月25日(水)9時30分で、同じ日に試験問題の正解番号も載る予定です。
自分で解くのは自由ですが、ブログやSNSに問題文や選択肢を書き写したり、少し言い換えて載せたりするのは避けます。機構の「著作権・免責事項」のページは、私的使用や引用など著作権法で認められた行為を除き、サイトの内容の無断転載と無断改変をできないとしています。人に伝えるときは「平成30年度の問10」のように年度と番号だけにします。このサイトでも、過去問の問題文は載せていません。
何年分やればよいか
何年分で足りるかについて、公式の目安はありません。当サイトでは、目的によって2つに分けて考えます。
| 使い方 | 使うもの | 年数の目安(当サイト) |
|---|---|---|
| 2時間の通し練習 | 公式のPDFか年度別の過去問集 | 新しい年度から6回分 |
| 単元ごとの練習 | 分野別の過去問集 | 本に入っている問題すべて |
| それより古い年度 | 公式のPDF | なくてもよい。使うなら分野を選ぶ |
通し練習を新しい年度からにする理由は、出題の根拠の法令が今に近いからです。宅建試験は、試験を行う年度の4月1日に施行(実際に効き始めること)されている法令から出題されます。令和8年度の試験なら、令和8年4月1日の時点の法令です。年度が古くなるほど、その後の改正が積み重なっていきます。
6回分にしたのは、試験の1〜2か月前から週に1回解くと、ちょうど回しきれる量だからです。休日の13時から2時間で1回分を解き、平日にまちがえた肢を見直します。時間に余裕があれば、令和2年度の2回分を足してもかまいません。5問免除の人は、45問・1時間50分(試験の開始は13時10分)で解きます。
解いたら、点数をその年度の合格基準点と比べます。公式の問題PDFには合格基準が載っていない年度もあるので(令和7年度には載っています)、機構の試験実施概況(令和7年度以前10年間)で確かめます。直近5年の合格基準点は50問中33〜37点(5問免除の人は45問中28〜32点)で、年ごとに違います。目標の点の置き方は宅建試験の得点戦略にまとめています。
単元ごとの練習は、何年分かより「その単元の問題を、根拠まで言えるようになったか」で区切ります。分野別の過去問集は、受ける年度向けの版を選びます。そのうえで、改正で答えが変わる古い問題をどう扱っているか(問題を直している、外している、注記をつけている)を、本のはしがきや凡例で確かめておきます。
古い年度の問題は、どこで答えが変わっているか
古い年度の問題は、出された年度の4月1日の法令で作られています。その後の改正で、正解が今と違うことがあります。宅建の範囲で大きな改正があった所を、e-Gov法令検索の改正履歴にある施行日と、出題の基準日(各年度の4月1日)から当サイトで整理しました。
| 分野と改正の中身 | 施行日 | 改正前の法令で出ている年度 |
|---|---|---|
| 民法(債権):瑕疵担保責任から契約不適合責任へ など | 2020年4月1日 | 令和元年度以前 |
| 民法(相続):遺留分をお金で請求、配偶者居住権 など | 主に2019年7月1日と2020年4月1日 | 令和元年度以前(2019年1月13日施行の一部を除く) |
| 民法:成年は18歳から(4条) | 2022年4月1日 | 令和3年度以前 |
| 民法:共有のルール(軽い変更は過半数で決める など) | 2023年4月1日 | 令和4年度以前 |
| 宅地造成等規制法から宅地造成及び特定盛土等規制法へ(名前も変更) | 2023年5月26日 | 令和5年度以前 |
| 建築基準法:建築確認がいる建物の区分 | 2025年4月1日 | 令和6年度以前 |
| 宅建業法:欠格事由の「懲役」「禁錮」が「拘禁刑」に | 2025年6月1日 | 令和7年度以前 |
読み方の例です。令和元年度以前の問題や古い解説で「瑕疵担保責任」という言葉が出てきたら、今は契約不適合責任のルールで考え直します。令和3年度以前の問題で、未成年者が「20歳未満」の前提で出ていたら、今は18歳未満です(民法4条「年齢十八歳をもって、成年とする。」)。建築確認では、今の建築基準法6条1項2号は「二以上の階数を有し、又は延べ面積が二百平方メートルを超える建築物」としています。改正前は木造かどうかで基準が分かれていたので、古い問題には今と答えが変わるものがあります。
改正は、答えだけでなく言葉や法律の名前も変えます。解説に「懲役」「宅地造成等規制法」と書いてあったら、それだけで古い前提の解説だと気づけます。反対に、令和8年4月1日より後に施行される改正は、令和8年度の試験の範囲に入りません。
改正の注記がない古い問題(公式のPDFなど)を使うときは、迷った肢をe-Gov法令検索で今の条文と見比べます。解説と今の条文が食い違うときは、今の条文のほうで考えます。
過去問だけで受かるか
過去問は勉強の中心ですが、過去問「だけ」では穴が残ります。理由は3つあります。
法改正で、過去問がまだ少ない所がある
上の表のような改正で新しくできたルールは、施行より前の年度には出ていません。たとえば建築確認の新しい区分は、令和7年度の試験から範囲に入ったばかりで、今の区分を前提にした試験はまだ令和7年度の1回だけです。こうした所は、受ける年度向けの基本書(テキスト)と、今の条文で押さえます。
統計の数字は、毎年変わる
出題の範囲には「宅地及び建物の需給に関する法令及び実務に関すること。」(宅地建物取引業法施行規則8条五号)があり、統計の数字を問う問題が出ることがあります。統計は毎年新しい数字になるので、過去問の答えを覚えても使えません。受ける年度向けの教材などで、その年度の数字を別に覚えます(五号は5問免除の対象なので、登録講習を終えた人は解かなくてよい範囲です)。
範囲を決めているのは過去問ではなく条文
出題の範囲は、施行規則8条の7つの事項です。過去に出たかどうかで決まっているわけではありません。過去問で問われた条文の、同じ条のほかの項や、前後の条が問われることもあります。過去問を解いて根拠の条文を開いたら、そのまわりも読んでおくと、初めて見る問題でも手がかりが残ります。
では、何を足せばよいか。当サイトの考えは次の4つです。
- 基本書:範囲を一通り学ぶ地図。改正の所もここで押さえる。
- 条文(e-Gov法令検索):解説のない公式の過去問の、答えの根拠を確かめる。無料で読める。
- 予想問題・模試:初めて見る問題で、覚えた知識が使えるかを試す。試験の1〜2か月前から。
- 統計の最新の数字:その年度の分を、試験の前に別に覚える。
教材の種類と予算の組み方は宅建試験の教材の選び方に、教材を組み合わせた半年の計画は宅建を独学で受けるにはにまとめています。この記事は、そのうちの過去問の部分をくわしくしたものです。
何周すればよいか
回数に公式の目安はありません。当サイトでは、周の数ではなく「肢ごとに根拠を言えるか」で区切ることをすすめます。宅建は4つの肢から1つを選ぶ形です。正解の肢が1つ分かれば点にはなりますが、同じ論点(問われるテーマ)が、次は別の肢の形で出ることがあります。だから、1問ごとではなく肢ごとに印をつけます。
| 印 | 状態 | 次にやること |
|---|---|---|
| ○ | 正誤と根拠の条文を言える | 次の周で確かめるだけ |
| △ | 合ったが根拠があいまい・勘 | 基本書と条文に戻る |
| ✕ | まちがえた | 取り違えを1行で書く |
回し方の目安は次のとおりです。
- 1周目:基本書で1単元を読んだら、その単元の問題をすべて解き、肢ごとに印をつける。
- 2周目:✕と△の肢を、1週間ほどあけて解き直す。
- 3周目:まだ○にならない肢を、さらに数週間あけて解き直す。日をあけて2回続けて○になった肢は、試験前の総まとめまで外す。
この回し方だと、2周目からは解く量が減っていきます。周の数で言えば3周前後が一つの区切りですが、✕と△が残っていれば4周目も回します。反対に、全部の肢を同じように3周するのは、できる肢にも時間を使うことになるのですすめません。間をあけて解き直す理由と、間隔の決め方は復習の間隔の決め方で説明しています。
同じ問題を何度も解くと、答えの番号を覚えてしまいます。それでも練習にはなりますが、判定は「4つの肢それぞれについて、どこが正しいか・まちがいかを言えるか」でします。番号で答えが分かってしまう問題でも、残り3つの肢の理由を言えなければ△です。
解説はどう選び、問題集・アプリ・PDFはどう使い分けるか
公式の過去問には解説がないので、解説は市販の過去問集などに頼ることになります。選ぶときに見る点は4つです。
- 肢ごとに解説があるか:正解の肢だけでなく、4つの肢すべてに理由が書いてあるか。
- 根拠の条文番号が書いてあるか:あとで条文を開いて確かめられるか。
- 受ける年度向けの版か:改正で答えが変わった問題の扱いが示されているか。
- 理由が短く言い切ってあるか:「誤り。◯条で〜だから」と1〜2行で根拠が分かるか。読んでも根拠が分からない解説は、条文に戻る手間が増えます。
道具ごとの向き・不向きは次のとおりです。
| 道具 | 向いている時間 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 分野別の過去問集(本) | 机の時間。読んだ単元をすぐ解く | 受ける年度向けの版にする |
| 一問一答のアプリ・過去問のサイト | 通勤・昼休みのすき間 | 改正への対応と解説の根拠を確かめる |
| 公式のPDF(印刷) | 休日の2時間の通し練習 | 解説はないので条文で確かめる |
| 公式のPDF(画面) | 問題の形をながめる | 本番の紙で解く感覚とは違う |
アプリや、過去問を解けるウェブサイトは、すき間時間に1肢ずつ思い出す練習に向いています。ただし、どれも公式のものではありません。古い問題を今の法律に合わせて直しているか、解説に根拠の条文があるかは、アプリやサイトごとに違います。机の時間にやる分野別の過去問集を中心にして、アプリはその上乗せと考えます。読み返すより思い出すほうがよい理由と、テキストと問題集の使い分けは読むより「思い出す」ほうが覚えるで説明しています。
2時間の通し練習を紙で解くのをすすめるのは、本番がマークシートで答える筆記試験だからです。紙の問題を読み、答えを別の用紙に移す流れまで練習できます。
間違えた肢はどう扱うか
まちがえた肢は、その場で1行だけ記録します。問題文は写しません。問題集のページと問題番号、肢の番号があれば、元の問題に戻れるからです。書くのは「場所」「何と取り違えたか」「正しい根拠(条番号と一言)」「あとで正しく言えた日」の4つです。書き方の決まりは間違いノートは作りすぎないにまとめています。
「取り違え」は、条文の要件のどこがずれたかで書くと、次に同じ形で落としにくくなります。まちがいの肢は、主語(だれが)、要件(どんなときに)、効果(どうなる)、数字(期間・面積など)のどれかを入れ替えて作られていることがあります。例で示します。
例(このサイトのオリジナル問題):「宅建業者が自ら売主となり、宅建業者ではない個人に建物を売る契約で、『種類・品質の不適合を売主に通知する期間は、引渡しから1年』とする特約は有効である。」
判定は誤りです。記録の1行は「数字のずれ。40条1項は通知の期間を引渡しから2年以上とする特約なら有効。1年は買主に不利で無効(40条2項)」。場面(宅建業者が自ら売主、買主は業者ではない)は合っていて、数字だけがずらされた形です。宅地建物取引業法40条1項は、民法566条の期間について「その目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き」、買主に不利な特約をしてはならないとし、2項で「前項の規定に反する特約は、無効とする。」と定めています。
記録した肢は、読み返すのではなく、根拠の欄を隠して思い出す形で見返します。日をあけて2回続けて言えたら、その行は終わりです。見返す間隔は、前の見出しの回し方と同じです。
今日からやること
- 機構の「宅建試験の問題及び正解番号表」を開き、通し練習に使う6回分を決めて、印刷するか年度別の過去問集で用意する。
- 使っている分野別の過去問集が受ける年度向けの版か、改正で変わった問題の扱いがどこに書いてあるかを確かめる。
- 次に解くときから、1問ごとではなく肢ごとに○・△・✕をつける。
- ✕の肢は、その場で1行(場所・取り違え・根拠・正しく言えた日)を書く。
- 古い年度の問題を使うときは、上の改正の表の年度と見比べる。
このサイトで次に読むなら、宅建の勉強時間の考え方がおすすめです。この記事の「何周するか」を、自分に必要な時間の見積もりに落とし込めます。
参考にした公式の情報(2026年10月確認)
- 不動産適正取引推進機構「宅建試験の問題及び正解番号表」(昭和63年度〜令和7年度の掲載、令和2・3年度の10月・12月試験、解説の掲載なし、注記:問い合わせ・法改正・平成9年度以降の講習修了者は問1から問45)
- 同「試験実施概況(令和7年度以前10年間)」(PDF)(合格基準点:一般受験者・登録講習修了者)
- 同「試験概要」(50問・四肢択一式、出題の根拠となる法令は試験を実施する年度の4月1日現在施行のもの、試験の時間)
- 同 試験日程の案内(令和8年度の試験日・合格発表日)、同 宅建試験のページ(合格発表日に正解番号を掲載予定)
- 同 サイトマップ(今年度の試験問題は合格公告日から掲載)
- 同「著作権・免責事項」
- e-Gov法令検索の改正履歴:民法(平成29年法律第44号・平成30年法律第72号・平成30年法律第59号・令和3年法律第24号の施行日)、建築基準法(令和4年法律第69号の2025年4月1日施行)、宅地造成及び特定盛土等規制法(令和4年法律第55号の2023年5月26日施行と題名の変更)、宅地建物取引業法(2025年6月1日施行の改正)
- e-Gov法令検索の条文:民法4条、建築基準法6条、宅地建物取引業法18条、同40条、宅地建物取引業法施行規則8条
働く人の法律試験ノート